当麻町打合せ資料 H20/7/17 水田での魚類増殖と魚類による除草効果について 平成 20 年 6 月 10 日、水田に放流する魚類を 採集するため、乾燥イトミミズを入れたドウ (図 1)を①当麻町東1区・大川宅付近のポン 牛朱別川に 1 個、②当麻町東1区・東の沢庵付 近の貯水池に 7 個、③当麻町東1区・金山宅付 近のイチャンナイ川に 2 個、及び④当麻町開明 1区・牛朱別川付近の農業用排水路に 5 個設置 した(図 2)。翌 11 日に、ドウに入った生き物 を採集した。 ドウで採集した生物は、ドジョウ、スジエビ、 タニシ、オタマジャクシ、カエル、ゲンゴロウ であった(表 1)。③イチャンナイ川を除く全て の採集場所で、ドジョウを採集した。特に、④ の特別栽培米の圃場周辺の排水路で、最も多く のドジョウを採集した。①ポン牛朱別川と③イ チャンナイ川は勾配があり、かつ排水路との間 に大きな落差があったことから、産卵のため遡 上するドジョウが水田に移動することは困難で あると考えられた。一方、④の排水路周辺では、 勾配も緩やかになり、ドジョウが生息するのに 図 1 適していると思われた。 ドジョウ 図2 ④排水路に仕掛けたドウと採集した 魚類の採集場所(①~④) 1 当麻町打合せ資料 表1 当麻町(①~④)で採集した生き物 ドジョウ スジエビ タニシ ①ポン牛朱別川 1 多数 多数 ②貯水池 1 多数 ③イチャンナイ川 オタマジャクシ カエル 多数 数個体 ④排水路 H20/7/17 数個体 39 採集したドジョウ 41 個体は麻酔処理し、雌雄 判別と成熟の有無を確認した後、体長と体重を計 15 未成魚 雌 雄 測した。体長と体重は、雌親魚、雄親魚、未成魚 のそれぞれで、平均値と標準誤差を求めた。ドジ 10 個体(出現率 24%)、未成魚 20 個体(出現率 49%)であった。雌親魚の平均体長と平均体重は 10 個体数 ョウは雌親魚が 11 個体(出現率 27%)、雄親魚が 5 8.97±0.59cm と 3.33±0.77g であり、雄親魚では 8.87±0.63cm と 3.18±0.91g と同等の値を示した。 雌 3 個体は排卵間近の状態であったが、産卵後の 0 4 6 雌(経産魚)は観察されなかった。これに対して、 未 成 魚 の 平 均 体 長 と 平 均 体 重 は 5.55±0.19cm と 8 10 12 体長(cm) 図3 ドジョウの体長組成 0.58±0.08g であり、小型の個体が多かった(図 3)。 実際に、④の排水路内でも、用水の余剰水を排水している付近で採集したドジョウは小型の個 体が多く、遠くでは大型の個体が増加する傾向が観察された。小型のドジョウが多く採集され た結果は、水田の水(田面水)に対して用水の水温が低いことによるかもしれない。 採集したドジョウ 41 個体は、伊藤さんの有機水田に放流した(図 4)。今後、ドジョウの生 残と成長を調べるとともに、稚魚の発生量を明らかにする予定である。また、有機水田での生 物多様性を調査し、イトミミズなどドジョウの餌料生物量を、慣行栽培と特別栽培米の圃場と 比較する。ドジョウを増産した後、平成 21 年度に大量のドジョウを水田に放流し、魚類によ る除草効果・抑草効果を確認する予定である。 図4 ドジョウの放流と水田で泳ぐドジョウ 2
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