中国人が使う中国語 Ⅱ 就職、結婚、転職(1999 年 7 月∼2002 年 6 月

中国人が使う中国語
Ⅱ
就職、結婚、転職(1999 年 7 月∼2002 年 6 月)
五 レストラン
1 火鍋
sìchuān huǒguō
蘇州に来て「これ、うまいなぁ∼!」と舌を巻いたのが四川鍋「四 川 火 锅 」。実は、北京で一度食べたこ
とがあって、その時はまずいと思った。でも、蘇州で食べてごっついうまいと思い、それからは虜になってしま
sìchuān huǒguō
った。ほんまは、四川省に行って本場の「四 川 火 锅 」を食べたいと思ったけど、その夢はまだ果たしてない。
huǒguō
(
「 火 锅 」とは、鍋料理の総称)
sìdà cài xì
dōngnán xīběi
中国には四大料理「四 大 菜 系」と呼ばれるものがある。東西南北「 东 南 西 北 」で味付けに特徴があって、
tián de jiāngsūcài
qīngdàn de guǎngdōngcài
東は甘い江蘇料理「 甜 的 江 苏 菜 」、南はあっさり広東料理「 清 淡 的 广 东 菜 」、西はしびれる辛さ
málà de sìchuāncài
xián de shāndōngcài
の四川料理「麻 辣 的 四 川 菜 」、北は塩辛い山東料理「 咸 的 山 东 菜 」。
(八大料理に分ける場合もある)
sìchuān huǒguō
guō dǐ
だから、
「四 川 火 锅 」と言えば辛い鍋になる。蘇州で四川火鍋を食べる時は、おだし「 锅 底」の辛さを選
ぶことができる。
má là
má
1. 麻辣:「麻」は「しびれる」という意味。舌がしびれるほど辛いだし。
zhōnglà
2. 中 辣:日本語的に言えば「中辛」とでも言えるか?これでもかなり辛い。
wēi là
3. 微 辣:「少し辛い」という意味。ちなみに私はいつもこれで注文してた。
それでも、食事の最後の方には舌がしびれきた。
báitāng
4. 白 汤 :白いおだし。まったく辛くない。でも、日本のお鍋と違って、魚などでだしをとって
香辛料を入れて煮たもので、おだしは透き通ってない。辛くないけど、味はしっかりついてる。
yuānyāng
5. 鸳 鸯 :直訳すれば「(オシドリ夫婦の)オシドリ」
。お鍋の真ん中に仕切りがあって、
辛いおだしと白いおだし、両方が楽しめる。もともとは、食べているうちに辛いおだしが
煮詰まって、どんどん辛くなっていく、最後には食べられなくなってくるから、
辛くない白いおだしも一緒に出す、という意義がある。また、火鍋は普通、数人で食べに
行くと思うけど、辛いおだしが好きな人もいれば苦手な人もおる。それでもみんなひとつの
鍋で一緒に食べることができるという便利さもある。
さて、おだしを選んだところで、次はたれ。たれは店によって色々あると思うけど、スタンダードのは、ごま
油に薬味を入れたもの。薬味はニンニクのすりおろしが普通、その他に別の薬味(香菜等)を付け加えて入れる
こともある。最初、たれがごま油っていうので、
「ええ?油?」ってごっつい引いてしまった。でも、このごま油
で食べるのがおいしい!それに、ごま油に漬けると辛みがやわらぐ。
càidān
具は色々ある。肉類、魚類、野菜類、練り物、乾物。すべての具が載ってる紙(メニュー「 菜 单 」)をもらっ
dǎgōu
たら、食べたい物にチェック印をつける「打 勾 」(日本人は、○で囲むけど、中国人はチェックが○の意味)
。
zhūnǎo
初めて蘇州で四川火鍋を食べに行った時、具の中に、私が生まれて初めて食べたものがあった。それは「 猪 脑 」
zhū
nǎo
と呼ばれるものや。「 猪 」は「ブタ」、「 脑 」は「脳みそ」。そう、ブタの脳みそや。食べてしまった、食べてし
まった。それが、ブタさんごめん、むっちゃおいしいねん。
(注意:よぉ∼く煮込んでから食べること!)ごっつ
い抵抗あったけど、食べたらおいしい。二つも食べてしまった。でも、自分で思い出してもやっぱり怖い。これ
は、初めての時だけ食べて、おいしかったけど、それ以降は食べへんかった。やっぱりブタの脳みそは、食べる
には抵抗がありすぎる。
zhūnǎo
「 猪 脑 」も初めて食べて、ごっついインパクトがあったけど、他にも初めて食べた具がある。
fěntiáo
「 粉 条 」:乾物で、形はきし麺みたい、色は半透明の緑とか灰色。原材料はさつまいもで、
結構長い時間煮込まんと硬くて食べられへん。煮込むと、ムチャクチャこしのある麺になる。
どんなに長く煮込んでも、ふやけることがないのがいい。
níqiū
「泥 鳅 」:田うなぎ、ドジョウ。これは好きになれんかった。
yāshé
「鸭 舌 」:中華料理店に行くと、前菜の中によくある。これは字の通り、カモの舌。
形はグロテスクやけどコリコリしてておいしい。酒のつまみにいい。
fèngzhuǎ
fèng
zhuǎ
「 凤 爪 」:これも前菜でよく出てくる。「 凤 」は鳳、鶏のこと。
「 爪 」は、爪で、足のこと。
jījiǎo
つまり、鶏の足「鸡 脚 」のこと。三本足そのままの形で、足の皮がプヨプヨに
調理されて出てくる。味はいいけど、やっぱりそのままの形っていうのが・・・
ん∼、何とも言えん。
jiǎo
ここで余談。中国語で「 脚 」と言えば、くるぶしより下の地面に着く部分の足のことを言う。
tuǐ
「 腿 」は、太ももからくるぶしまでの部分の足のこと。中国では言い分ける。例えば、
nǐ de jiǎo hěncháng
「あんた足、長いなぁ。」と言おうとして、「 你 的 脚 很 长 。
」と言ってしまうとごっついおかしい。
それは、「あんたの(靴を履いてる部分の)足、ごっつい長いなぁ。
」という意味になって、
nǐ de tuǐ hěncháng
40cm も 50cm もの靴を履く人の足を想像してしまう。
「 你 的 腿 很 长 。」と言えば、ちゃんと通じる。
一般的な四川火鍋もおいしいけど、それに勝るとも劣らないチェーン店ができた。いや、勝るかもしれん。
(先
xiǎoféiyáng huǒguō diàn
に言っとくけど、私はこのチェーン店の回し者ではない。
)「 小 肥 羊 火 锅 店 」というお店。日本語にす
るなら「太っちょ羊のお鍋屋さん」とでも言えるやろうか。このお店の羊マークもかわいい。
nèiměnggǔ
nèiměnggǔ
この店の売りは内モンゴル「 内 蒙 古」の羊肉。本店が「 内 蒙 古」にあって、そこの有名な羊肉を出してる。
確かに牛肉と食べ比べたら、やっぱり羊肉の方がおいしい。
でも、その羊肉より私がすごいと思うのは、この店のおだしや。おだしの種類は、先に書いたのと内容は同じ
やけど、味が四川火鍋のとは違う。辛くてもただ辛いだけと違って、味がある、香りがある、こくがある。白い
おだしは、更にこの味、香り、こくが際立って最高の味をかもし出してる。(「美味しんぼ」的に表現するなら、
「最高のハーモニーをかもし出している。」と言える。)
dǎbāo
中国では、レストランで食べた物が余ったら「打 包 」して持って帰ってもいいって前に書いた。火鍋も同じで、
注文した具が余ったら持って帰ってもええ。でも、この店で私が見つけた注意書きの張り紙には、
guōdǐ bùnéng dǎbāo
「锅 底不 能 打包」
だしは持って帰れません。
と書いてあった。そっか∼、これだけおいしいと、だしを持って帰る人もおるんや。だしを持って帰って研究し
てやろうとするライバルもおるかもしれんしな(これは日本人的発想)
。だしをたんまり持って帰ったら、お金払
ってお店で食べんでも、家で火鍋できるしな(これは蘇州人的発想)
。こりゃ経営に影響するわ。
そのくらい、ほんまにおいしい。蘇州に里帰り(夫が蘇州人だから)したら何が食べたいって、そりゃ、絶対
xiǎoféiyáng huǒguō
「 小 肥 羊 火 锅 」や。