例題 伝達関数を求める

前回(第5回)で「ブロック線図での基本的な表し方」を記しまし
前回(第5回)で「ブロック線図での基本的な表し方」を記しまし
制御の入り口
た。制御の因果関係をブロック図と伝達関数で表すことで、特
た。制御の因果関係をブロック図と伝達関数で表すことで、特
性(振る舞い)を理解できます。
性(振る舞い)を理解できます。
(第6回)
その様子はパソコンなどを使って計算するとよりわかりやすく
その様子はパソコンなどを使って計算するとよりわかりやすく
表現できます。(それは後で説明する予定です。)
表現できます。(それは後で説明する予定です。)
例題 伝達関数を求める
ここでは、いくつかの例題で確認してみます。複雑な形もあり
ここでは、いくつかの例題で確認してみます。複雑な形もあり
内容
ますが、基本形の積み重ねで変換できます。
ますが、基本形の積み重ねで変換できます。
ブロック線図の等価変換を用いて
伝達関数を求める例題
1
例題(1)伝達関数を求めます。
X(s)
+
−
2
例題(1)の解き方
+
X(s)
G
−
Y(s)
G
Y(s)
1
上記の図のように
フィードバック結合のフィードバック量を「1」として
変換すると
Y (s) =
G
G
=
1 + G ∗1 1 + G
3
4
例題(2)の解き方
例題(2)伝達関数を求めます。
X(s)
X(s)
+
−
+
1
Y(s)
Y(s)
−
H
H
上記の図のように
フィードバック結合のゲイン量を「1」として変換すると
Y (s) =
5
1
1
=
1 + 1∗ H 1 + H
6
1
例題(3)の解き方
G
1 + G * H1
例題(3)伝達関数を求めます。
GとH1の関係を求めると
+ +
X(s)
G
Y(s)
− −
+
X(s)
H1
G
1+ G * H1
−
H2
Y(s)
H2
上図から伝達関数を求めると
G
G
1
G
* H1 =
+
Y (s) =
G*H2
1
*
1+ G * H 2
G
H
+
1+
1 + G * H1
7
例題(4)伝達関数を求めます。
X(s)
+
−
G1
+ −
例題(4)の解き方
Y(s)
+
X(s)
−
G2
G1
G1とG2の関係は
G1 * G 2
1+ G2
例題(5)の解き方①
G1
+
−
G2
+
+
Y(s)
X(s)
G3
G2
そして上式と1/G2の関係は
G1 * G 2
G1 * G 2
1+ G2
Y (s) =
=
G1 * G 2
1
+
1
G1 + G 2
1+
*
1+ G2 G2
9
例題(5)伝達関数を求めます。
Y(s)
+ −
1
G2
上図のように書き換えます。
X(s)
8
+
−
1
G2
G1
1
G2
10
+
Y(s)
+
G3
上図のように書き換えることができます。
左側のG2,G3の関係は
左側のG1,G2の関係は
11
G2
1 + G 2 * G3
G1
+1
G2
12
2
例題(5)の解き方②
例題(6)伝達関数を求めます。
G2
 G1 
+ 1

1 + G 2 * G3  G 2 
G1* G 2
G2
=
+
G 2 + G 2 * G3 * G 2 1 + G 2 * G3
G1 + G 2
=
1 + G 2 * G3
Y ( s) =
+
X(s)
G1
−
G2
Y(s)
G5
G4
+
+
G3
13
例題(6)の解き方①
例題(6)の解き方②
+
X(s)
−
14
G1
G2
G5
G4
+
+
G1* G 2
G 4(G5 + G 2 * G3)
1 + G1* G 2 *
G2
G1* G 2
=
1 + G1* G 4 * (G 2 * G3 + G 5)
Y ( s) =
Y(s)
1
G2
G3
上図のように書き換えることができます。
15
例題(7)伝達関数を求めます。
16
例題(7)の解き方
G2,G3の関係は
X(s)
+
−
G1
+
Y(s)
G2
それとG1の関係は
−
G3
全体のY(s)は
G4
17
G2
1 + G 2 * G3
G2
* G1
1 + G 2 * G3
G2
* G1
1
2 * G3
+
G
Y ( s) =
G2
1+
* G1* G 4
1 + G 2 * G3
G1* G 2
=
1 + G 2 * G3 + G1* G 2 * G 4
18
3
例題(7)と同じ形ですが、この形で伝達関数を求めると
X(s)
+
−
ωn
s
+
−
ωn
s
いろいろな「ブロック線図」から伝達関数を求める例題を説明
いろいろな「ブロック線図」から伝達関数を求める例題を説明
Y(s)
しました。複雑なブロック線図でも書き換えると基本的な形の組
しました。複雑なブロック線図でも書き換えると基本的な形の組
み合わせになり、伝達関数を求めやすくなることがわかったと
み合わせになり、伝達関数を求めやすくなることがわかったと
2ζ
思います。
思います。
特に例題(7)の二次遅れ要素の標準型伝達関数を表す形は
特に例題(7)の二次遅れ要素の標準型伝達関数を表す形は
1
電気系では「抵抗、コンデンサ、コイル」の組み合わせ回路など
電気系では「抵抗、コンデンサ、コイル」の組み合わせ回路など
ωn 2
ωn 2
s(s + 2ζω n)
= 2
Y (s) =
ωn 2
s + 2ζω n ・ s + ω n 2
1+
s(s + 2ζω n)
で用いられます。
で用いられます。
前出のζ(zeta)、ω(omega)の係数の意味するところを捉える
前出のζ(zeta)、ω(omega)の係数の意味するところを捉える
と数式が身近なものに感じられるでしょう。
と数式が身近なものに感じられるでしょう。
二次遅れ要素の標準形伝達関数を表していることになります。
19
20
4