8-76 (2) 輸入感染症例に対する対応処置 当院において輸入感染症が疑

第 8 章 輸入感染症
2002.7.2
(2) 輸入感染症例に対する対応処置
当院において輸入感染症が疑われる患者を診察した際に取り合えず採るべき処置・対策は以下のとおりで
ある。感染症新法で定められた感染症の扱いについては、その指針に従う。
(第9章参照)
。
1)
院内感染防止委員長に報告する。
2)
確定診断がつくまで患者を個室に個別管理する。
3)
患者のいる病室に入る前と後には手を消毒剤でよく消毒する(第2章参照)
。
4)
1 類、2 類感染症や感染力の強い疾患が疑われる例では、ガウンテクニックが必要である。
5)
患者の糞便は3%クレゾール石鹸液または3%フェノールで消毒する。
6)
患者の家族や友人の面会はできるだけ少なくする。患者が使用した衣類や食器は滅菌する。
入浴に関しては、確定診断がつくまで、或いは抗生物質が投与され始めるまでは最小限にする。
患者から採取した検査材料は滅菌する。
表8-1 マラリアの種類と特徴
種類
潜伏期間
発熱
症状
急性期発熱抑止療法
根治療法
(再発予防)
熱帯熱
7 日− 4週
マラリア
(平均 12 日)
殆ど毎日
脳疲、腎症、肺水
(クロロキン)
、
腫、出血傾向、
ファンシタール、
低血糖、貧血、
メフロキン、
ショック、敗血症
キニーネ、
必要なし
チンハオス製剤
三日熱
10 日− 数カ月
初めは殆ど毎日、 軽症
クロロキン、ファンシ
マラリア
(平均 14 日)
その後一日おき
ダール、メフロキン
卵 形
14 日− 数カ月
初めは殆ど毎日、 軽症
クロロキン、ファンシ
マラリア
(平均 14 日)
その後一日おき
ダール、メフロキン
四日熱
21 日− 数カ月
初めは殆ど毎日、 軽症
クロロキン、ファンシ
マラリア
(平均 28 日)
時にネフローゼ症候群
プリマキンが必要
プリマキンが必要
必要なし
ダール、メフロキン
表8-2 アンケート調査による国内でのマラリア患者数の推移、1990~1999
(ヒューマンサイエンス振興財団「輸入熱帯病・寄生虫症に対するオーファンファンドラッグの臨床評価に関す
る研究」(主任研究者:大友弘士)による)
年
熱帯熱
三日熱
卵形
四日熱
混合感染
不明
合計
1990
40 (1)
62
3
0
5
6
116 (28)
1991
43 (2)
63
0
3
3
2
114 (41)
1992
26 (1)
70
3
0
4
9
112 (38)
1993
40 (0)
60
5
2
3
2
112 (27)
1994
46 (2)
39
4
4
5
7
104 (28)
1995
56 (1)
58
6
1
4
0
125 (30)
1996
42 (0)
50
9
1
0
3
105 (36)
1997
46 (0)
54
2
1
3
7
113 (28)
1998
52 (4)
45
2
1
2
3
105 (20)
1999
40 (3)
66
4
1
4
4
119 (28)
*
熱帯熱マラリアの欄、括弧内は死亡例数(再掲)
** 合計の欄、括弧内は外国人患者数(外国人再掲)
質問、要望は ICT 委員またはリンクナースまで
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表8-3 感染症法施行後のマラリア患者報告数
熱帯熱
1999 年 4 月~12 月
三日熱
41
53
(37.3)
2000 年1月~12 月
105
108
(40.1)
( )
:%
(41.2)
152
(16.4)
2
(3.4)
(100.0)
25
(1.3)
9
110
(11.8)
2
(3.9)
計
13
-
6
(36.2)
型不明
0
(2.7)
55
(42.1)
四日熱
3
(48.2)
64
計
卵形
(100.0)
38
(0.8)
262
(14.5)
(100.0)
(感染症発生動向調査:2001 年 1 月 10 日現在報告数)
表8-4 熱帯病治療用の希少医薬品について
(日本寄生虫学会ホームページより引用:HS財団「輸入熱帯病・寄生虫症に対するオーファンドラップの臨
床評価に関する研究班」から無償供与可能な希少医薬品)
一般名
製剤名および剤型
主要適応疾患
硫酸クロロキン
ニバキン、錠(100mg)
マラリア
キニーネ注射液
キニマックス(250mg/アンプル)
重症マラリア
燐酸プリマキン
プリマキン、錠(15 mg 塩基)
マラリア根治療法
アドバコン+プログアニル
マラロン、錠(250 mg + 100 mg)
薬剤耐性マラリア
アーテスネ-ト
プラスモトリム、錠、坐、各種用量あり
重症マラリア
スチボグルコン酸ナトリウム
ベントスタム、注射波
リーシュマニア症
(5価アンチモンとして 100 mg/ml)
デヒドロエメチン
デヒドロエメチン、注射波(3%)
赤痢アメーバ症
フロ酸ジロキサニド
フラミド、錠(500 mg)
同(嚢子駆除)
イベルメクチン
ストロメクトール、錠(6 mg)
オンコセルカ症、糞線虫症
ほか
表8-5 研究班希少医薬品保管機関
保管機関(担当者)
国立国際医療センター・ACC(
電話番号(内線)
)
国立感染症研究所・感染症情報センター(
)
東京慈恵会医科大学・熱帯医学研究部(
)
慶応義塾大学医学部・熱帯医学・寄生虫学(
仙台市立病院消化器(
)
)
名古屋市立大学医学部・医動物学(
大阪市立総合医療センター・感染症(
質問、要望は ICT 委員またはリンクナースまで
)
03-3202-7181(
)
03-5285-1111(
)
03-3433-1111(
)
03-3353-1211(
)
022-266-7111(
)
052-853-8186
)
06-6929-1221
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鳥取大学医学部・医動物学(
宮崎医大・寄生虫学(
)
0859-34-8028
)
0985-85-0990
長崎大学熱帯医学研究所・内科(
)
琉球大学医学部・第一内科(
095-849-7842
)
098-895-1144
福岡市立子ども病院・感染症(
)
092-713-3111
横浜市立市民病院・感染症部(
)
045-331-1961
泉佐野市立泉佐野病院・内科(
)
0724-69-3111
愛媛大学医学部・寄生虫学(
)
089-960-5285
表8-6 主な輸入感染症病原体
− 成田検疫所における便・吐物検査成績(1997 年1月〜12 月)−
病原体
症例数
(%)
プレシオモナス
605
(44.5%)
腸炎ビブリオ
346
(25.4%)
赤痢菌*
196
(14.4%)
エロモナス
74
(5.4%)
ビブリオ・コレレ non 01
59
(4.3%)
サルモネラ
51
(3.8%)
ビブリオ・フルビアリス
11
(0.8%)
コレラ菌 *
10
(0.8%)
病原性大腸菌
6
(0.4%)
ビブリオ・ミミカス
2
(0.1%)
計 l,362 人
* 旧法定伝染病
検査実施者 8,949 人中病原菌検出者 1,231 人(13.8%)
、うち 131 人が
混合感染者であった。腸チフス、パラチフスは検出されなかった。
輸入感染症としての寄生虫疾患で頻度の高いものは、ランプル鞭毛虫、大腸アメーバ、回虫、駆虫、赤痢ア
メーバ、小型アメーバ、鉤虫、無鉤条虫などである。近年は住血吸虫もみられる。
表8-7 海外旅行者からの腸管系病原菌検出状況
(東京都立衛生研究所 1997 年)
検体数
*1
検出病原菌
下痢現症者
下痢既往者・健康者
合計
246
1553
1799
102
95
197
エロモナス
28
95
123
カンピロバクター
15
92
107
サルモネラ
15
61
76
プレシオモナス
15
39
54
9
34
43
腸管毒素原性大腸菌(ETEC)
*2
腸管病原性大腸菌(EPEC)
質問、要望は ICT 委員またはリンクナースまで
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赤痢菌
2002.7.2
13
26
39
腸炎ビブリオ
8
21
29
コレラ菌
8
−
8
ビブリオ・コレレ non 01
3
5
8
腸管侵入性大腸菌(EIEC)
1
4
5
腸管出血性大腸菌
1
腸炎エルシニア
-
1
1
病原菌陽性者数
154
391
545
(62.6%)
(25.2%)
(30.3%)
陽性率(%)
−
1
*1 同一検体から複数菌が検出される例があるので病原菌陽性者数と検出病原菌とは一致しない。
*2 チフス菌、パラチフス菌を含む。
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