進路だより 第1号 進路 「夢」 実現 平成25年6月7日発行 大笹生養護学校進路指導部 校長あいさつ 校長 円谷 美智子 東日本大震災、福島原発事敀の影響により県内の児童生徒の体力の低下 が課題となっていますが、本校児童生徒も同様で、小・中・高の各学部で は朝のトレーニングや各授業等において意識的に運動量確保に努めてい ます。特に高等部生徒は、卒業後の社会参加を見据え、長時間の勤務に耐 えられる体力と気力が求められています。 学校周辺の除染作業が昨年度末に完了し、放射線濃度が身体に影響のない数値まで低下したことから、 今年度、中学部・高等部では、外でのトレーニングを開始し、高等部では毎朝、十六沼公園のサイクリ ングロードを走っています。中学部では、安全面を考慮し、学校裏の調整池駐車場周辺を走っています。 開始して2ヶ月ですが、生徒たちは心地よい汗をかき、体力・気力ともに徍々に向上しているようです。 進路実現に向け、体力のみならず、基本的生活習慣、コミュニケーション等、一つ一つが大切なことで す。児童生徒一人一人のニーズに応じて、家庭や学園と連携し、着実に定着が図られるよう、日々の指 導をしっかりと行っていきたいと思います。 去る5月30日、福島地区内中学校特別支援学級及び特別支援学校の生徒・出身者の職業能力の開発 と雇用促進及び就労の定着を図るために40数年前に組織されました「福島職業能力開発研究協議会」 より、本校高等部卒業生が「勤労者表彰」を受けました。 この表彰は、 「障がい者が勤労者としての誇りを持ち、社会人として自立するための励みとする。」 「障 がい者をすぐれた勤労者として、または成長が著しいとして認めることで、職場定着を図る。 」ことを 目的としており、昭和50年度から実施されています。 今回受賞した本校卒業生先輩は、平成21年度末に卒業後、福島市内にある福島梱包株式会社に入社 した一條朗仁さんです。一條さんは、 「同一事業所に3年以上勤務し、勤務成績優良で事業所内の期待 が大きい者」として、入社後これまで無遅刻・無欠勤で会 社からも高い評価を受けて今回の受賞となりました。働く 上で大切な生活リズムや体力、働く意欲や態度が身に付い ており、元気に活躍されている先輩です。 在校生も、働く意義や働くために必要なこと、基本的な 生活習慣の確立など現場実習等でぜひ身につけてほしいと 思います。 進路指導主事 熊谷政俊 本年度も、一人一人のより良い自立と社会参加に向けて、進路指導のさらなる充実に努め、児童生徒 一人一人の進路の「夢」実現を目指していきたいと思います。 本年度4月からは、進路指導に関する国の施策等で、大きな3つの動きがありました。 1点目は、福祉施策面で「障害者自立支援法」が廃止となり、 「障害者総合支援法(略称) 」がスター トしました。これは、これまでの「障害者自立支援法」を引き継ぐ内容であり、障がいの範囲に「難病 等」が加わりました。本校では、福祉的就労・訓練系、生活介護系などの福祉サービスを提供している 障がい者福祉サービス事業所の情報を積極的にお知らせしていきたいと考えています。 2点目は、 「障害者優先調達推進法」が新たに施行されました。 この法律は、障がい者就労施設で就労する障がい者や在宅で就業する障がい者の経済面の自立を進め るため、国や地方公共団体などの公機関が、物品やサービスを調達する際、障がい者就労施設等から優 先的・積極的に購入することを推進するために制定されました。今後、障がい者就労施設等への仕事の 発注や物品購入の拡大が図られることを期待したいと思います。 3点目は、この4月から「障害者法定雇用率」が引き上げられました。「障害者の雇用の促進等に関 する法律」では、事業主に対して身体障害者・知的障害者を一定率以上雇用する義務があります。民間 企業の場合は、これまでの法定雇用率1.8%から2.0%(従業員50人以上の事業所が対象義務で す)に変更され、本校の卒業生を含め障がい者の職業的自立に向けた雇用拡大を期待したいものです。 本校では、今年度も保護者対象に進路にかかわる研修会を計画しています。来る6月17日(月)に は障がい者の福祉サービスの内容や最新の施策動向などについて外部講師の講話による理解を深めて いく予定です。ぜひ多くの保護者の皆さんにご出席くださるようお願いいたします。 児童生徒一人一人の進路指導の充実に向けて、進路にかかわる研修会等への参加やお子さんの基本的 な生活習慣の習徔に向けて、本年度も保護者の全面的な協力をお願いいたします。 進路希望調査の集計結果から 進路指導部 尾形 徳洋 高 等 部 進 路 希 望 状 況(全105名) 今年度第1回は、高等部全学年の生徒を対象 希 望 内 容 希望数 希望率 0人 0% に進路希望調査を実施しました。高等部の皆さ 進学 んは、右の表のような結果となりました。それ 企業就職 20人 19% ぞれの希望を実現させるため、協力しながら 福祉就労 50人 47.6% 「夢」の実現に向け、進んでいきましょう。 どのような進路を選択するか考慮中 25人 23.8% その他 4人 3.8% 未定・無回答 6人 5.7% なお、小学部、中学部の進路希望調査は7月 に実施したいと考えておりますのでご協力お願 いいたします。 高等部1年1組 安倍 智司 高等部2年1組 佐藤 駿 5月17日に、事業所見学で「株式会社ハッ 5月14日に「株式会社とうほうスマイル」 ピースマイル」と「あづま授産所」に行ってき を見学しました。オフィスは、仕事の種類ごと ました。 にデスクが並べてあって、仕事の予定や完成さ 「株式会社ハッピーケア」では、色々な介護 用品を見せてもらったり、高圧洗浄機などを使 せる目標の数がホワイトボードに書いてあり ました。 って、車イスや介護用ベッドをきれいにしたり 銀行で使うゴム印や社員の名刺の作成や、ポ する仕事を見学しました。僕たちの身近にも、 スターの印刷などの仕事をしていて、全ての仕 たくさんの介護用品があることを知りました。 事でパソコンを使うことが分かりました。喜古 「あづま授産所」では、人参の皮むきや、部 社長からは、社会的基本的動作(あいさつ、掃 品の組み立てをする様子を見学しました。すご 除、素直さ・明るさ)を身につけることが大切 い速さで、たくさんの人参の皮をきれいにむい だと教えてもらいました。 ていたのには、とてもびっくりしました。 僕は将来、働いて給料をもらって自立した生 働く上で大切なことは、 「体力」と「あいさつ・ 活をしたいので、学校で勉強をたくさんして、 返事・報告」がきちんとできることだと教えて これからに役立てたいです。そして、無遅刻・ いただいたので、僕も、将来しっかり働けるよ 無事敀・無欠席を忘れないようにがんばりたい うに、それらを身に付けていきたいと思います。 と思います。 高等部3年1組 渡邊 伸行 。 5月 24 日に卒業生体験発表会がありました。 今年は、とうほうスマイルで働いている鏡沙弥さんと、あだち共労育成園で働いている高橋翼さんが 学校に来てくださいました。始めに、働いている様子をビデオで見せていただき、その後職場での仕事 内容や一日の流れ、休日や帰宅後の生活について話を聞きました。 翼さんは、ミシンでいろいろな製品を縫っていました。僕は細かい仕事が苦手なので丁寧にミシンが けをしている翼さんを見て、すごいと感じました。鏡さんは伝票の仕事で「正確に速く美しく」を心が けて仕事をしていると話をしていました。どちらの先輩も大変な仕事を任されていますが、自信を持っ て楽しそうに仕事をしていました。自分も将来先輩方のように自信を持って仕事ができるようになりた いと思いました。 発表会が終わり、二人の先輩と一緒に昼食を食べました。体験発表会では聞けなかった話も聞くこと ができました。最後には、私達に励ましの言葉もいただきました。 今回の体験発表で聞いたことを、これからの進路選択に生かしていきたいと思います。 高等部主事 須田富江 今年度は14の企業、31の障がい者福祉サービス事業所で実習を受け入れていただき、7つの事業 所から材料提供をいだだき、前期現場実習を行います。期間は6月10日から28日までの3週間です。 1年生は校内実習で、箱折り班やリサイクル加工班など6班に分かれて実習します。働くために必要な ことを一つでも多く学んでほしいと思います。2、3年生はこれまでの実習や進路学習の経験を生かし、 校外実習に臨みます。自分の課題を意識し、自分の適性を把握しながら進路選択に向けて考える機会に なります。先日の体験発表会で二人の先輩から、「実習をがんばったことが今の仕事に役立っている。」 ことを教えていただきました。一人一人にとって充実した実習になることを願っています。 校内実習の見学は自由ですので保護者のみなさんにも是非ご覧いただき、お子さんの進路選択にも役 立ててほしいと思います。 ~昨年度の実習の様子~ クリーン活動班 箱折り班 割り箸班 先日お知らせを配布いたしましたとおり、6月17日(月)10時30分より、第一回保護者進路研 修会を行います。「障がい者支援のための福祉サービスの内容と現状について」という演題で、障害者 総合支援法における福祉サービスの内容や、福祉施策の動向、福島県における生活支援の現状と課題な ど、最新の情報についてお話ししていただきます。 講師の先生は、福島県あだち地域相談センターあだたらで、福島県障がい福祉サービス基盤整備支援 アドバイザー事業の相談支援アドバイザーをしています、渡邊 かなめ 中 様です。渡邊様は、社会福祉法 人牧人会あだたら育成園職員として安達地方の障がい者相談支援に長くかかわっておられるほか、福島 県の障がい者福祉サービスにおける相談支援アドバイザーなどの公職にあり、障がい児・者の福祉相談 業務に当たられている方です。 すでに研修会の参加を申し込まれた方はもちろん、まだ申し込まれていない方も最新の福祉サービス の内容や生活支援の現状について知るよい機会ですので、ぜひご参加ください。
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