平成21年度 事業報告 - 一般社団法人福井県トラック協会

平成 21 年度 事 業 報 告
1.概 況
昨年は、内外にわたって経済や政治情勢が大きく変化し、まさに「激動の年」となった。
一昨年秋に発生した世界的金融危機からの早期脱却が期待された世界経済は、前半の一
層急速な後退、深刻化を経て、後半はアジアの回復を中心に、底打ち、持ち直しの動き
も指摘される展開となったが、雇用や需要不足の問題を含め、総じて未曾有の厳しい情
勢が続いた。我が国経済も、同様の推移を辿り、年末にかけての円高、デフレ傾向の強
まりなど、厳しい年越しとなった。
一方、政治の分野では、夏の総選挙を通じて、民主党を中心とした新政権が誕生し、
文字どおりの「政権交代」が行われるに至った。
こうした状況の中、トラック運送業界においては、荷動きの極端な落ち込みをはじめ
として、これまで経験したことのない、極めて苦しい一年を過ごした。これは、昨年、
規制緩和後はじめて事業者数が減少に転じ、車両数が大きく減少したことなどにも、明
確に表れている。このように当面の危機突破に向けた業界要望を受け、高速料金の昼間
一律 3 割引きの導入や、中小トラック事業者に対する累計 150 億円の緊急助成、資金
繰り対策のための金融支援などの国としての新たな諸対策も相次いで打ち出され、実施
された。
また、22 年度の税制については、焦点となっていた自動車関係諸税の暫定税率廃止
は、深刻な税収不足、財政危機の中で、重量税の一部軽減を除き、残念ながら実質見送
りとなったほか、強く反対した地球温暖化対策税(環境税)の導入も見送られることと
なったが、これについては「 23 年度の実施に向けて成案を得るべく更に検討」との方針
も明らかにされた。
業界の公益的事業の財政基盤である運輸事業振興助成交付金は、新政権の全く新たな
仕組みの中、手探りで進めた面もあったが、昨年末から全ト協をはじめ他県の協会と歩
調をあわせて、強力な要望活動を展開した結果、その重要な意義が認められ、従来通り
継続されることとなった。
協会としては、こうした課題が山積した状況の中にあっても、安全、環境、法令順守、
労働力確保など、将来にわたるトラック運送事業の発展を目指して、着実に取り組むこ
ととし、特に
・軽油価格変動に対応した適正運賃確保の促進と省エネ対策の推進
・軽油引取税をはじめとする自動車関係諸税の負担軽減・簡素化と環境税等新税導入
の絶対反対
・運輸事業振興助成交付金の活用による各種対策の充実
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・交通・労災事故撲滅運動及び環境対策の積極的な推進
・貨物自動車運送適正化事業の推進による法令遵守の徹底と輸送秩序の確立
・少子高齢化に対応した労働力の確保、事業後継者の育成と事業継承対策の推進
・荷主等対外広報活動の強化
の重点事項について推進してきたところである。
その主な事業活動は、次のとおり。
2.主な事業活動
(1)通常総会の開催
第 35 回通常総会は、5 月 29 日(金)あわら温泉「まつや千千」において、会員 120
名が出席し、関係機関の来賓を迎えて開催した。
任期満了に伴う役員改選では、藤尾会長の勇退に伴い、後任の新会長には福井貨物
自動車(株)の清水則明社長が就任し、4 名の副会長は留任、その他新理事を含む 19
名の理事及び 2 名の監事が選任された。
また、平成 20 年度の事業報告並びに収支決算及び平成 21 年度の事業計画(案)並
びに収支予算(案)等の承認を受けた。
(2)理事会、正副会長会の開催
定款第 3 条の目的を達成するため、事業等の根幹に関わる内容をはじめ、景気対策、
税制改正等その都度発生する諸問題の対応について協議・審議したほか、一部、部会
代表者との意見交換会を行って協会運営や事業計画に反映するなど、平成 21 年度は
8 回の理事会を開催した。
また、会務運営に関することや理事会に提出する議案等を審議する正副会長会を2
回開催した。
(3)税制改正要望活動
ア 与野党国会議員及び民主党福井県連に対する陳情活動状況
新政権による政府税制調査会の 2010 年度の取りまとめに当たり、自動車関連の
税制においても大幅な見直しが検討されるため、業界に影響のある、高速道路の無
料化、暫定税率の廃止と新税の導入反対、運輸事業振興助成金の継続を重点に、次
のとおり要望活動を行った。
① 10 月中には、与野党の福井県選出の全国会議員に対し会長、専務理事が各事
務所を訪問し要望した。
② 11 月 19 日には、民主党福井県連(松宮勲代表)に対し、事務所に赴き同党県
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連の幹事長に要望文書を手渡した。
③ 11 月 21 日には、民主党福井県連地域戦略局(糸川正晃局長)に対し、会長、
専務理事が要望事項の必要性、重要性について説明した。
④ その他、運輸支局、県主管課に対しても要望書を送付の上、機会あるごとに会
長等から要望した。
(4)経営者セミナー等研修会の開催
8 月の総選挙で政権交代が実現したが、マニフェスト等で政策の改革を目指す新政
府の方針が、国内外の経済や社会システムにどのような影響を及ぼしていくのか、業
界にとっても関心の深い話題をテレビでお馴染みの政治評論家 淺川博忠氏を講師に
招き「内外情勢のゆくえとこれからの政局」と題したセミナーを開催し、会員 70 名が
聴講した。
そのほか、各種セミナー、説明会、研修会等を17回開催した。
(5)交通事故防止のための安全対策の強化 安全な輸送の確保は、運送事業の基本的使命であることから、安全教育・研修の充
実等の諸対策を推進した。
ア 4 月 9 日(金)県ト協において、関係行政機関の福井運輸支局、福井労働局、
福井県警察本部から各々来賓をお招きし『トラック協会 春の交通事故・労働災害
防止大会』を会員 99 名が参加して開催した。
大会は、式典に続き福井県警察本部 交通企画課 久保和治交通事故分析官の
「交通死亡抑止対策について」をテーマに講演を拝聴した後 「交通死亡事故ゼロ」
を目指しての宣言を参加者全員で採択した。
イ 上記、交通事故・労働災害防止大会の席上、
「平成 20 年度トラックドライバー
無事故・無違反コンクール(H 20. 8. 1 ~ 12. 31 )」の無事故・無違反達成 329
チーム( 1,645 人)の表彰式を行い、さらなる安全・交通事故防止を誓いあった。
ウ 「安全教育訓練を促進するための助成制度」を活用し、中部トラック総合研修
センターが実施した安全管理者研修に 7 名が受講した。
エ 事業所総ぐるみの交通安全意識の高揚を図るため、四季における安全運動等へ
の参加や、FAX により飲酒運転根絶・高齢者事故防止等の啓発に努めるとともに、
本年からは、県主催の統一街頭活動日に合わせて、各支部が主要交差点において
会員を動員した街頭広報活動を展開した。
※ 当協会及び丹南支部の菱善運輸(株)においては、平成 22 年 3 月 5 日、職場ぐ
るみの交通安全活動が評価され「福井県知事」から交通安全パートナー事業所の
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優良事業所として表彰を受けた。
オ 支部等独自の活動(報告済のもの)
橋北支部=交通死亡事故発生現場の交通安全広報看板の設置
橋南支部=高齢者交通安全教室( 9. 30 トラックに学ぶ交通安全教室)
丹南支部=防犯、交通看板の寄贈
協会=自動車運転者の交通安全意識に関するアンケートの実施
交通事故防止広報塔のリニューアル
カ 交通事故抑止対策の一環として、安全装置等(バックアイカメラ)と衝突被害
軽減ブレーキ装置導入に係る助成金制度を実施し、21 年度は、安全装置等 57 台、
被害軽減ブレーキ装置 3 台(H 22. 3. 末現在)の助成を行っている。
(6)環境・エコ省エネ運転研修等の実施
環境保全・地球温暖化防止は、トラック運送事業にとっても最重要課題と位置づけ、
省エネ運転の普及促進、低公害車導入助成等の諸施策を推進した。
ア 地球温暖化防止対策等に対する低公害車導入に関しては、ハイブリッド車 6 台、
低燃費車 33 台で、県ト協として、総額 353 万 2 千円を助成している。
イ エコドライブを計画的かつ継続的に実施するためのデジタコなど EMS 機器や
ドライブレコーダーの導入に対して 224 台の助成を行った。
ウ 省エネ運転講習会を、中部トラック総合研修センターで 2 回実施し、68 名が受
講した。
エ 現下の厳しい経営状況に対応し、燃費の向上による CO2 削減を図るため、転
がり抵抗を大幅に低減するエコタイヤ 2,279 本を初めて助成した。
オ グリーン経営認証については、申請があった 6 社に対し助成した。
カ アイドリングストップ運動を定着させるため、蓄熱式温熱マット・蓄冷式クー
ラーの斡旋を行ったところ、蓄熱マット 47 枚・蓄熱寝袋 11 枚・蓄冷式クーラー、
エアヒーター 8 台が導入され、合計 20 事業所に対して経費の一部を助成した。
キ 10 月 5 日(月)、環境保全や啓発を目的として、幹線道路の歩道や交差点を中
心に、会員 30 名が清掃奉仕活動「道路クリーン作戦」を展開し、広く県民の信頼
と業界のイメージアップを図った。
ク 「第 60 回全国植樹祭 2009 ふくい」の苗木搬送等をサポート
天皇皇后両陛下ご臨席のもと開催された全国植樹祭に、県内各地で育苗した約
7,000 本の苗木を 4t トラック 20 台で各イベント会場へ搬送するなど、協会が
取組んでいる環境対策への地域貢献を実施した。 ―4―
(7)新型インフルエンザ対策
世界的な猛威をふるう新型インフルエンザの感染拡大を危惧し、この危険性や予
防対策を周知するため、マニュアル本、HP で呼びかけを行った。さらに 5 月 17 日
には、県トラック協会に「新型インフルエンザ対策連絡室」を設置し、関係行政機関
等との情報連絡体制を確立したほか、感染防止策の一つとして 329 事業所にマスク
29,800 枚を配布した。
また、8 月に政府が「本格的な流行が始まった」と宣言したことから、当協会の体制
強化を図るため、9 月 4 日、要綱を制定し会長を本部長とする「新型インフルエンザ対
策本部」に格上げして公共輸送機関としての緊急救援物資の輸送確保や会員事業所従
業員の感染拡大防止対策( 236 事業所 23,350 枚のマスクを追加配布)を講じた。
(8)第 30 回ドライバーコンテスト福井県大会の実施
車両運転や整備点検及び交通関係法令等の知識、技術の向上を図るため、9 月 12 日
(土)福井県運転者教育センターにおいて、3 部門に 35 名の選手が参加して、学科・
運転・整備の科目で競技を行った。
各部門の成績は、11 トン部門 山口 盛央 氏「センコー(株)福井営業所」が 2 年連
続優勝し、4 トン部門では、井上 健太 氏「佐川急便(株)福井店」が総合優勝の栄冠
に輝き、両名は、10 月 26 日に開催された全国大会に福井県代表として出場し、近年
にない好成績を収めた。
なお、女性の 2 トン部門 菊池 美保さん「北陸トラック運送㈱」には敢闘賞が贈ら
れた。
(9)「トラックの日」 の行事
これまでに、協会の青年部協議会が中心となって実施してきた「トラックの日」の
行事については、過去 7 回続けた 「トラック引きレース」 を見直し、多くの県民と触
れ合える場を設ける内容に変更した。
10 月 11 日(日)福井市内の SS イベント広場で、親子と働く自動車をテーマに運
輸支局、県警、消防等関係機関、団体の多くの協賛を得て「安全・環境フェアー」を
開催した。
今回初めての企画であったが、当日は絶好の秋晴れの下、会員の家族をはじめ親子
連れを中心に約 6,000 人が会場を訪れ、展示のトラック試乗体験や多彩なイベント
を楽しんでもらい、多くの県民にトラック業界の重要性、必要性をアピールできた。
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(10)支部・部会組織による活動
県下 7 支部、10 部会による自主的活動として、講師を招いての経営研究会・IT 関
連の講演会・労働、交通災害防止講習会・研修会を開催したが、新しいものとしては、
橋北支部が児童物流施設見学会( 11 月 13 日)を開催した。その他、警察、中日本高
速道路(株)等とタイアップした冬道のスノータイヤ装着キャンペーン、交通安全活
動、バーベキュー・ボウリング大会の実施など、会員相互の親睦・共同意識の醸成と、
トラック運送業界への信頼と共感のアップに努めた。
3.その他の事業
別添「事業実施概要」のとおり
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