演題No44 ●「アーキテクトHCV-Ag」を用いたC型肝炎治療モニタリング の検討 堀田 多恵子1、山中 基子1、栢森 裕三1、内海 健1、康 東天1、古庄 憲浩2、林 純2 九州大学病院 検査部、2九州大学大学院 医学研究院 感染環境医学分野 1 検 出 限 界 : Ag法 3.0 fmol/L、 PCR法 1.08 【はじめに】 C型慢性肝炎の効果予測には血清ウイルスマー logIU/mL。相関性:y=0.884x−1.54(y:Ag法、 カーのモニタリングが重要である。血液中のHCV x : P C R 法 )、 相 関 係 数 r = 0 . 9 6 2 。 一 致 率 関連マーカーを直接検出、定量する方法として、 (n=1085):陽性一致率 72.9%、陰性一致率 99.1%、 PCRによるHCV-RNA定量(以下PCR法)及び 全体一致率 83.6% HCVコア抗原測定(以下Ag法)がある。この両 2)Ag法は2.5 logIU/mLのウイルス量が存在すれ 検査を比較するとAg法は、PCR法に比して検出感 ば検出可能であった。 度が劣るものの、測定時間36分と診察前検査が可 3)治療開始前ウイルス量が5.0 logIU/mL未満 能であること、用手前処理が不要であるためリア (低ウイルス量)ではSVR(ウイルス学的著効) ルタイムに検査可能であること、費用の点で患者 率は92.3%(24/26症例)。治療開始前ウイルス量 負担が少ないことの利点がある。今回「アーキテ が5.0 logIU/mL以上(高ウイルス量)では治療4 クトHCV Ag」を用いて検討し、ウイルス量モニ 週間後のウイルス量が4.5 logIU/mL未満ではSVR タリングでの使用方法を考察したので報告する。 率83.0%(88/106症例)、4.5 logIU/mL以上では SVR率16.7%(7/42症例)であった。 【対象】 当院検査部へ検査依頼があった189検体、及び、 総合診療科にて凍結保存されたC型慢性肝炎患者 【考察】 Ag法、PCR法ともに基本的性能は良好であっ た。2法の比較においてAg法の検出率はPCR法に 180症例1085検体血清を使用した。 【試薬と機器】 比して72.9%であり、ウイルス量が2.5 logIU/mL 未満になると検出できなくなる可能性が高くなる。 Ag法:「アーキテクトHCV Ag」 ® 測定機器 ARCHITECT アナライザー ® C型慢性肝炎174症例をretrospectiveに解析した 結果、SVR(119症例)では治療開始後に速やか PCR法:「アキュジーン m-HCV」 ® に血中ウイルス量が漸減したためAg法を用いての 測定機器 m2000 システム モニタリングは困難であった。一方、高ウイルス 以上、アボット ジャパン株式会社 量でかつ治療開始4週後のウイルス量が4.5 【方法】 1)2法の再現性、直線性、検出限界の比較。2 logIU/mL 以上(35症例)を含むnon-Responder (47症例)でAg法を用いてのモニタリングが可能 法の相関及び一致率 2)1085検体を用いて、2法間のROC曲線からAg であった。これらの症例では迅速報告できるAg法 法でモニタリングできる最少ウイルス量を算出し の特性を活用できると思われる。 2011年11月よりGenotype 1の高ウイルス量には た。 3)治療前から治療後48週までを採取できたC型 プロテアーゼ阻害剤を含む3剤併用療法が開始さ 慢性肝炎患者174症例の解析。 れる。これにより速やかに血中ウイルス量が漸減 する症例が増えることが予想される。今後、治療 【結果】 1)再現性:日差再現性 2法ともCV 7%以下。 法の変更によるウイルス量の動態を解析する必要 直線性:Ag法25000 fmol/L、PCR法8.0 logIU/mL。 があると思われる。 生物試料分析 Vol.35 No.1 2012 93
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