マイコプラズマ肺炎について

2014年11月28日 救急部カンファレンス
マイコプラズマ肺炎について
呼吸器内科
牧野英記
市中肺炎の原因病原体分離頻度
市中肺炎の起炎菌
不明
36.1%
肺炎球菌
28.0%
インフルエンザ菌
7.5%
マイコプラズマ・ニューモニエ 6.6%
クラミジア・ニューモニエ
5.8%
ストレプトコッカス・ミレリ 3.2%
嫌気性菌 2.8%
クレブシエラ・ニューモニエ
黄色ブドウ球菌
石田
2.4%
2.1%
直. 呼吸器ケア 2003; 1(4): 436-443. より作図
細菌性・非定型肺炎の鑑別基準

鑑別に用いる項目







年齢60歳未満
基礎疾患がない、あるいは、軽微
頑固な咳がある
胸部聴診上所見が乏しい
痰がない、あるいは、迅速診断法で原因菌が証明されない
末梢血白血球数が10,000/μL未満
鑑別基準


上記6項目を使用した場合
 6項目中4項目以上合致した場合
 6項目中3項目以下の合致
 非定型肺炎の感度は77.9%,特異度は93.0%
上記1から5までの5項目を使用した場合
 5項目中3項目以上合致した場合
 5項目中2項目以下の合致
 非定型肺炎の感度は83.9%,特異度は87.0%
⇒非定型肺炎疑い
⇒細菌性肺炎疑い
⇒非定型肺炎疑い
⇒細菌性肺炎疑い
マイコプラズマ感染症の疫学
マイコプラズマ肺炎は小児期に多い
2015年はマイコプラズマがくるかも!!
愛媛県感染症情報センター
(http://www.pref.ehime.jp/h25115/kanjyo/graph/g17_myco.html)
臨床経過
一般的には限局的で宿主の感染防御機構
により自然治癒する症例が多い
Walking pneumonia
近年、遷延化、重症化する症例の報告が
増加している
多彩な症状(合併症)を呈しうる
多彩な合併症
部位
呼吸器系
感染症
肺炎、気管支炎、細気管支炎、胸膜炎、肺膿瘍、
Swyer-James症候群、咽頭炎、気管支喘息
神経系
多発単神経炎、髄膜炎、脳炎、小腦運動失調麻痺、
Guillain-Barre syn
関節
関節炎
皮膚
多形滲出性紅斑、Steven-Johnson syn
リンパ節
腫大
鼻耳
中耳炎、外耳炎、急性副鼻腔炎
心臓
心筋炎、心膜炎、伝導障害
血液
溶血性貧血、DIC、血小板減少
肝臓
肝機能障害
腎臓
急性糸球体腎炎
【症例 1】
16歳 女性
【主訴:CC】発熱、乾性咳嗽
【現病歴:HPI】
1月末でインフルエンザが流行していた。
(X-3)日からの咽頭痛、発熱、咳が出現したため近医受診。咽頭発赤
は著明であった。インフルエンザ迅速検査は陰性であったが、インフ
ルエンザ流行期でありインフルエンザと臨床診断され、イナビルⓇ、
アスベリンⓇ、ムコダインⓇ、クラリシッドⓇ処方。
(X+1)日には一旦解熱傾向を認めたが、咳は持続
(X+2)日から再度発熱(38.5℃)を認めたため、前医を再受診。
胸部X-Pにて両側肺炎を指摘され、当院救急外来紹介受診。
【症例 1】
16歳 女性
【シックコンタクト】
インフルエンザの流行はないが、咳をしている人は多い
【既往歴:PMH】なし
【家族歴:FH】なし
【生活歴:SH】喫煙歴:なし
飲酒歴:なし
【身体所見:PE】血圧90/60mmHg、脈拍90/分(整)、体温38.9℃、
Sp02=98%(RA) 眼瞼結膜貧血(-)、頚部リンパ節腫脹(-)、心音正常、
呼吸音正常、腹部平坦軟、圧痛(-)、浮腫(-)、皮疹(-)
【検査所見:Labs】
02 白血球数
50.3 至
非定型肺炎の項目
04 ヘモグロビン
13.5
至
4/5,5/6
10 血小板数
16.1 至
21 Seg
62.0 至
非定型肺炎疑い
34 AST
23 至
35 ALT
12
至
36 LDH
231 H 至
来院時
3日後
38 CK
238 H 至
39 尿素窒素マイコプラス
4.4 HL 至
40
80 H
40 クレアチニン 寒冷凝集
0.51
至
32
41 ナトリウム
137 至
42 カリウム
4.4
至
43 クロール
99 至
46 CRP
2.09 H 至
47 プロカルシトニン
0.14
至
【細菌学的所見:Microbiology】
喀痰:採取できず
尿中肺炎球菌抗原 陰性
【診断:Diagnosis】
マイコプラズマ肺炎疑い
【治療:Treatment】
マクロライド耐性の可能性を考慮して
NQ(ジェニナックⓇ)へ変更
【症例 2】 20歳 男性
【主訴:CC】 発熱、咽頭痛、頭痛
【現病歴:HPI】 生来健康であった。咽頭痛、発熱、鼻汁、頭痛で8月X日
近医を受診。感冒としての対症療法を受けたが改善がみられなかっ
たため再受診。胸部単純写真で右上肺の陰影を指摘され、精査加療
目的で当科紹介となる。
【シックコンタクト】 動物接触・海外旅行・温泉歴なし
【既往歴:PMH】 右膝手術
【家族歴:FH】 なし
【生活歴:SH】 喫煙歴:なし
【アレルギー歴:ALL】なし
飲酒歴:なし
【常用薬:MEDS】なし
【身体所見:PE】 浮腫なし 口腔、扁桃、咽頭:正常 呼吸音:正常 心音:
正常 腹部:平坦軟、圧痛なし
【検査所見:Labs】
02 白血球数 71.6
04 ヘモグロビン 15.9
非定型肺炎の項目 5/6
10 血小板数 18.0
21 Seg 74.8
34 AST 15
非定型肺炎疑い
35 ALT 14
36 LDH 198
37 尿素窒素 14.5
38 クレアチニン 1.07
来院時
1週間後
39 ナトリウム 141
マイコプラス
40
320
40 カリウム 4.7
41 クロール 101
46 CRP 2.97
47 マイコプラス抗体 40倍
48 プロカルシトニン 0.17
【細菌学的所見:Microbiology】
尿中肺炎球菌抗原 陰性
喀痰一般菌:常在菌のみ
【診断:Diagnosis】
マイコプラズマ肺炎
【治療:Treatment】
AZM(ジスロマックⓇ)+CVA/AMPC
【症例 3】 40歳
女性
高熱と湿性咳嗽にて近医を受診。
βラクタム系抗菌薬無効の肺炎とし
て紹介。
マイコプラズマ抗体(CF法) 64倍>(64倍)
マイコプラズマ抗体(PA法) 20480倍> (320倍)
喀痰マイコプラズマ抗原 PCR法 陽性
画像変化
(day10)
consolidationが主体
(day18)
centrilobular distributionへ変化
診断・検査
1.菌体(遺伝子)検出法
・分離培養法 : PPLO培地 2~4週間かかり・操作が煩雑。
培地にウマ血清も添加。薬剤感受性試験などが可能
・遺伝子増幅法: PCR法 (real-time PCR法、nested-PCR法)
LAMP法
2.血清診断(血清抗体)
・微粒子凝集(PA)法 :主としてIgM抗体を検出
・補体結合(CF)法 :主としてIgG抗体を検出
・イムノカード法
:IgM抗体を検出、簡便だが、過去の感染の可能性、
目視による定性法の限界がある
・寒冷凝集素法
:IgM抗体を検出、古典的で特異性が低い
・ELISA法
:各抗体を分別検出、特異度高いが専門機械が必要
(保険収載なし)欧米では一般的
診断・検査
1.菌体(遺伝子)検出法
・分離培養法 : PPLO培地 2~4週間かかり・操作が煩雑。
培地にウマ血清も添加。薬剤感受性試験などが可能
・原因が何であるかが知りたい
・遺伝子増幅法:
PCR法(real-time PCR法、nested-PCR法)
LAMP法
・早く結果が知りたい
2.血清診断(血清抗体)
・微粒子凝集(PA)法 :主としてIgM抗体を検出
・補体結合(CF)法 :主としてIgG抗体を検出
・イムノカード法
:IgM抗体を検出、簡便だが、過去の感染の可能性、
目視による定性法の限界がある
・寒冷凝集素法
:IgM抗体を検出、古典的で特異性が低い
・ELISA法
:各抗体を分別検出、特異度高いが専門機械が必要
(保険収載なし)欧米では一般的
迅速抗原検査