下水処理場におけるノニルフェノール関連 物質のLC/MSを用いた分析 永光 弘明 * 加藤 康伸* 熊谷 哲** 中野 武*** *姫路工業大学工学部 **姫路工業大学環境人間学部 *** 兵庫県立公害研究所 緒言 〇我々は瀬戸内海の播磨灘においてノニルフェノール(NP)のムラサキ イガイへの濃縮や海底底質の堆積を調査し、高い濃縮を確認した。 〇NPに関しての河川水中での濃度や下水処理場放流水からのNP濃度 は低い値であり、播磨灘におけるNPの高い濃縮は下水処理場放流 水やその他の排出源から自然水中に流入したノニルフェノールエト キシレート(NPEO)の分解生成による寄与が大きいと考えられる。 〇NPEOの自然水中における分解生成に関しての報告はまだ少ない為、 今回下水処理場におけるNPEOからNPへの生成過程の調査と分解過 程を検討する為、流入下水、好気性汚泥処理槽、放流を採取し分析 した。 2000年AP/APE 国内販売量 アルキルフェノールの生成過程 下水採取地 下水処理過程 分析手法 測定条件 NP GC/MS-MS 条件 測定機器: Finnigun GCQ Column : J&WRtx5MS 30m 0.25mmid Injection volume: 2μL Injection Temp: 300℃ GC Temp program:60℃(1min) -10℃/min-300℃(10min) Precursor ion m/z=163 Product ion m/z=135 回収率: 水・底質 100% 定量下限:水 0.015μg/L 底質 0.015μg/g (wet) NPEO LC/MS-SIM 条件 測定機器: Finnigun LCQ HPLC HEWLETTPACARD 1100 Column:C30-VG-5 150mm 4.5mm i.d Injection volume: 20μL Solvent: 85%MeOH : 15%H2O (Containing 0.05mM ammonium acetate) Flow rate :0.50ml/min (40min) Column Temp: 40℃ SIM Monitor ion NPEO2-NPEO9 m/z = 326.8 370.7 414.8 458.9 502.5 546.5 590.4 635.6 回収率:水 NPEO2-NPEO6 80% NPEO7-NPEO9 40%-50% 定量下限:水 0.06μg/L 下水中のNPのスペクトルとクロマトグラム 下水中のNPEOのクロマトグラム 下水処理過程での ノニルフェノール関連物質の濃度変化 25 20 NP NPEO合計 μg/ L 15 10 5 0 流入下水 好気性汚泥処理水 放流水 下水処理過程での NPエトキシレートの濃度変化 mo l/ l 0 .0 0 3 5 0 .0 0 3 0 .0 0 2 5 0 .0 0 2 0 .0 0 1 5 0 .0 0 1 0 .0 0 0 5 NPEOn NP EO 9 NP EO 8 NP EO 7 NP EO 6 NP EO 5 NP EO 4 NP EO 2 流入水 好気性汚泥処理水 放流水 NP EO 3 0 下水処理過程におけるNPEOnの存在変化 結果と考察 1. NPに関しては、流入下水から放流下水までの下水処理過程 において95パーセント以上の減少が観察された。 2. NPEO9からNPEO4に関しては好気性汚泥処理を受けること により大きな減少が起こるが、NPEO3からNPEO2は好気性 処理により微量の増加が確認された。 3. 過去の報告によるNPEOからNPへの分解生成は嫌気性処理 を経て起こるのではなく、今回好気性処理のみによる下水処 理場でも確認された。また自然水中におけるNPへの分解生 成が懸念されるのことからも下水処理場もしくは工場廃水か らのNPのみの測定ではなくNPEOを含めた調査が今後必要で ある。
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