課題番号:19 指-1 研究課題名:統合失調症の治療の標準化と普及

課題番号:19 指-1
研究課題名:統合失調症の治療の標準化と普及に関する研究
主任研究者:塚田和美
分担研究者:伊藤順一郎、稲垣中、岩崎俊司、岩永英之、内野俊郎、大島巌、紙野晃人、
藤井康男、坂本宏、村杉謙次、助川鶴平、樽谷精一郎、長尾圭造、
野田隆政、舟橋龍秀、村上優、山口博之、吉住昭、
1 .平成 20 年度の研究成果
初発の統合失調症圏症例の多施設共同前向
き予後研究(JPSS2)では、2 年予後(GAS,SCS)
に お い て 認 知 機 能 (WAIS,WCST) と 精 神 症 状
(PANSS)が有意に相関するが DUP の効果は認
められなくなったことが報告された(酒井ら)。
旧療養所入院中の全患者に対する横断実態
で有意に得点が上昇し、対照群では 2 年後から
有意に上昇したことが確認された(大島、伊藤
ら)。
2. 平成 21 年度の研究計画と期待される研究
成果
JPSS2 は、薬物治療と患者家族の自記式調
査結果を含め予後との関連等を解析する。
調査(JESS)は、1888 人について BMI と代謝疾
JESS は、JESS2000 追跡調査(3224 件)と
患治療薬投与の実態を解析し、糖尿病治療薬
JESS2005(2994 件)のデータを、生命予後と
代謝疾患治療薬投与との関連等を含めて解析
を行なう。薬物療法研究グループでは、急性
期薬物療法と外来維持療法について、MPR 等を
指標にさらに詳細な解析を行い、再発予防に寄
与する薬物療法を検討する。心理教育グル
ープは、RCT にて普及研究を推進する。
の使用頻度が健常人より有意に高いこと
(SIR:1.28)、さらに開放病棟入院患者は閉鎖病
棟のそれと比較して肥満と糖尿病治療薬の使用
頻度が有意に高いこと等を明らかにした(稲垣
ら)。
減量化単純化研究(RASS)では、当班で開発
した減量化単純化手順に従えば、500mgCP 以
上の減量が可能であり自律神経異常に基づく腹
部症状などが改善することを明らかにし、当研究
と先行研究を比較し RASS が唯一、RCT のデザ
インを有していること、再発、脱落の定義が最も
厳密であるにも関わらず成功率は 73%であり、
先行研究と同等か、あるいはそれ以上の成果を
示していることを明らかにした(助川ら)。
薬物療法研究グループでは、重症急性期薬
物療法と外来維持療法については、8 病院で後
方視的に調査され、compliance と再発に関連す
ると考えられる Medication-possession rate(MPR)
などが解析された。MPR が 80-110%の間のもの
は予後が良好であり、それから外れたものの再
入院が有意に多かった(T-test:p<0.05)(藤井
ら)。
心理社会的介入研究グループ(EBP)は機構
以外の 17 施設を 2 群に分けて RCT を継続中で
あり、2007 年 9 月に対照群も本施行を開始した。
今年度は両群の施設の全スタッフを対象として
心理教育の知識・認識度を時点×群の二要因分
散分析を行ったところ、介入群は 1 年後、2 年後
3 行政施策への貢献度
本研究は、統合失調症の薬物療法及び心理
社会的介入の二つのガイドラインによる実証
と民間精神病院への普及研究により、わが国
の統合失調症の治療環境及び水準を高め、統
合失調症全体の予後を改善すると思われる。
4 研究発表
・Effects of age and age of onset on
prescribed antipsychotic dose in
schizophrenia spectrum disorders.
a survey of 1,418 patients in Japan.
Am J Geriatr Psychiatry.
・Implementation and Dissemination of
Family Psychoeducation in Japan:
Nationwide Surveys on Psychiatric
Hospitals in 1995 and 2001.
Journal of Social Policy & Social Work.
等。
・また 2008 年 3 月には当班が心理教育・家族教
室ネットワーク総会を市川市で共催し、参加者は
1300 人に上った。