凍結抑制剤による塩害を受けるコンクリート橋の維持・補修に関する検討

凍結抑制剤による塩害を受けるコンクリート橋の維持 ・ 補修に関する検討
コンサルタント国内事業本部 仙台支店 技術第一部 鹿内 陽介 他
○キーワード
コンクリート橋、 維持管理、 塩害、 凍結抑制剤、 予防保全
○概要
平成 5 年のスパイクタイヤ使用禁止以降、 冬期の交通安全確保のため凍結抑制剤散布量は増加傾向にある。 それによ
り、 凍結抑制剤に含まれる塩化物イオンによる橋梁の塩害損傷が顕在化してきており、 今後、 さらなる損傷進行が懸念さ
れている。 塩害劣化は、 ひび割れ等の損傷が顕在化した後に対策を実施した場合、 大規模な補修 ・ 補強が必要になる
ため、 損傷が顕在化する前に予防保全的対応を行うことが重要である。 しかし、 現状では、 劣化の進行に及ぼす凍結抑
制剤の影響が明らかでなく予防保全的対応導入の阻害となっている。 本業務は、 東北技術事務所からの委託により、 東
北地方整備局管内のコンクリート橋について調査 ・ 検討を行い、 凍結抑制剤による塩害劣化進行要因を明らかにするとと
もに、 劣化予測手法、 予防保全対策工法 ・ 範囲 ・ 時期について検討を行ったものである。
○技術ポイント
① 凍結抑制剤散布量を路線毎に整理 ・ マップ化し、 「凍結抑制剤散布量」 と 「塩害劣化状況」 の関係を分析。
② 水回りに着目した目視調査、 非破壊試験、 試料採取による塩化物イオン量試験を適切に組み合わせることにより、
凍結抑制剤による塩化物イオン供給経路 ・ 範囲を把握し、 効果的な予防保全対策工法 ・ 範囲を設定。
③ 東北地整管内のコンクリート橋を凍結抑制剤散布量等の条件によりグルーピング化。
④ グループ毎に劣化予測を実施し対策優先度設定の際の基礎資料とした。
○図 表 写真等
30,000
25,000
H1~H23
平均散布量:17.3千t/年
( )
散
布 20,000
量
t 15,000
凍結抑制剤
:凍結抑制剤散布量
張出部に
剥離・鉄筋露出
10,000
5,000
伸縮から 雪堤から
の水回り の水回り
0
脱スパイクタイヤ法施行
スパイクタイヤ禁止
凍結抑制剤散布状況
東北地方整備局管内の凍結抑制剤散布量
凍結抑制剤による
塩害劣化状況
R47軽井沢橋測線位置
横断
凡例
凍結抑制剤散布量
(H18~H23)
:0~10t/km
:10~20t/km
:20~30t/km
:30t/km 以上
横断勾配
凡例(kg/m3 )
4~
3~4
2~3
1~2
0~1
軽井沢橋 D測線( A1側)
1 2
グラインダー粉の塩分量試験(電位差滴定)実施箇所
⇒キャリブレーションデータとして 使用
3 4 5
張出し床版、外桁の塩化物イオン量が多い⇒地覆からの水回りの影響と推定
橋梁上部工横断方向の表面塩化物イオン量の分布例
(近赤外分光法調査結果)
劣化予測
鉄筋位置塩分量(kg/m3) 3)
鉄筋位置塩化物イオン量(kg/m
8.0
RCT
水掛かり有、ひび割れ無、表面粗さ無(かぶり 30mm)
RCT 橋
水掛かり有、ひび割れ無、表面粗さ無(かぶり30mm)
7.0
凍結抑制剤散布量
6.0
0~10t/km
10~20t/km
20~30t/km
5.0
4.0
30t/km~
潜伏期上限
進展期上限
3.0
2.0
1.0
現在(平成25年)
0.0
0
日本海側、山間部の散布量が多い
凍結抑制剤散布量マップ
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
凍結抑制剤散布散布開始からの経過年数(平成元年を0年とする)
凍結抑制剤散布量が多いほど劣化が速い
凍結抑制剤による塩害の劣化予測結果の一例
( 1)