2014年7月号企画情報とやま215 - 公益社団法人 富山県建築士会

企画情報とやま
富山県建築士会
TEL 076-482-4446
公益社団法人
2014 年 7 月号
FAX 076-482-4448
ホットライン 第 215 号
E-mail [email protected]
ご
挨
拶
公益社団法人 富山県建築士会 会長 中野健司
去る5月 31 日に開催されました第 63 回通常総会、その後の新理事会におきまして本会
第 15 代会長に選出されました。紙面をお借りして一言ご挨拶させていただきます。
本会は、昨年4月から公益社団法人として新たな一歩を踏み出しています。新法人移行に
関わってきた一人として、押田前会長をはじめとする役員並びに会員諸氏の御尽力に対し厚
く御礼申し上げます。
建築士会は構成員(会員)の幅が広く、皆さんの思いや要望が多様です。それが面白みであり、人材の宝庫とも言
えます。この人材を富山のものづくり文化や建築文化を継承・発展させていく上でいかに協働させていくかが私の
使命だと考えています。
少子高齢社会になり、担い手不足が建設産業界でも深刻化し、高齢化によるリタイアや、若手の職人ばなれが顕
在化するなか、ものづくりが成り立ちにくくなっています。本会においても喫緊の課題の1つは会員の拡大と財政
の安定化です。私がかつて青年部会で活動していた頃に約 2,700 人いた会員は、今や約 1,800 人にまで減少し、会
員の会費だけでは活動の継続が困難なものとなってきています。そのため、財政の安定化を着実に進めていく事が
不可欠です。又、他団体とも連携し、建築の魅力を今一度分かりやすくアピールする広報活動も必要と考えます。
3年前から取り組んでいる建築職人アーカイブ事業を推進するとともに、各地域での防災やまちなみ・空き家対策
といった課題に対し、ヘリテージマネジャーやまちなみコーディネーターの養成といった仕組みを整備することが
肝要です。なおかつ、私達にとっても経済的に成り立つ事を会員自身が認識し、自信を持って活動してもらえれば
と思っています。このことが、地域のまちづくりのパートナーとして行政・地域と連携し、協力し社会貢献してい
くと言う事であり、士会活動として受託事業の強化にもつながります。
一方、建築士法の改正が今国会で成立しました。建築士会・事務所協会・建築家協会3会の合意に基づくもので
す。建築界が協働し、合意を基に私達の日常環境をより良い方向に改善していく一歩となっています。他団体との
連携を深め建築界が直面している諸課題に対応していく事がますます重要となってきています。
新役員と一致協力して、士会活動を行うこととしており、会員の皆様の御理解と御支援を改めて御願いし、会長
就任の挨拶とさせていただきます。
平成 26・27 年度役員
・会
長:中野健司
・副会長:今村彰宏
・常務理事:松平輝之
木村正人
・理
平野明 松井哲雄
事:南保史朗
・監
中谷元秋
事:千代固志
二塚秀夫
・専務理事:小林英俊
徳田義弘 山﨑秀二
根塚三起生 山本幹史
加藤明博
林芳宏
酒井重人
山下重利 小見美由紀
井波隆 片境清久
水木功 荒井 好一郎
-1-
山口孝芳
西野晴仁
山中路代 関一朗
酒井朋子 松井昌一郎
松田昇
ホットライン No.215
◆ 女性委員会からのお知らせ
女性委員会仕事報告会
日時:平成 26 年 7 月 13 日(日)11:00 ∼14:30
(10:50 集合)
会場:ランチ懇親会+仕事報告会
/uchikawa 六角堂(ウチカワ ロッカクドウ)
富山県射水市八幡町 1-20-13
内容:「仕事報告会」を開催します。
ランチ懇親会の後、報告会+ディスカッションを行います。
10:50
集合
uchikawa 六角堂
11:00 12:30
ランチ懇親会
12:30 14:30
仕事報告会
※終了時間は質疑応答等の関係で少し延長する場合も有り
ます。女性委員会の事業はどなたでも参加できます。
報告:中村博子氏(イギリスの一般住宅の改装計画について)、
村田明美氏
(平成 25 年度東海北陸 後期石川大会 報告)
、
酒井朋子氏(平成 26 年度東海北陸 前期岐阜会議 報告)
※この後、参加者のみなさんで「最近の仕事の疑問・困り
ごと相談」をテーマにディスカッションを行います。
参加費:ランチ懇親会 1,200 円(定員 15 名先着順)
仕事報告会 会員無料、一般 500 円
申込先・申込期限:平成 26 年 7 月 5 日(土)までに建築士会事
務局へ
E-mail:[email protected]
FAX:076-482-4448
氏名・会員か一般か・所属(支部、勤務先など)・連絡先・
参加する部分を記入下さい
詳しくは、建築士会 HP に掲載の案内チラシをご覧ください。
◆ プロフェッション委員会からのお知らせ
「老子のタオ(道)と有機的建築について」
日時:平成 26 年 7 月 26 日(土) 18:30∼20:30
会場:サンシップとやま(富山県総合福祉会館)
703 号室 富山市安住町 5-21
講師:上梅澤 保博氏(上梅澤建築設計事務所代表)
演題:老子の根源的思想とフランク・ロイド・ライトの建築思想の共通点
について
内容:老子は「われわれは扉や窓をうがつことで、家をつくる。
そして、そこに何もない空間があるからこそ家が役にたつ
のである。丁度われわれがあるものを利用しているように、
なきが故に役にたつものがあることを識(し)らねばなら
ない。
」と述べています。その思想の根本にタオ(道)とい
う世界観があります。
建築の実在性は四枚の壁と屋根にあるのではなく、内な
る空間そのもの、そのなかで生きるための空間にあるとい
う考え方を、フランク・ロイド・ライトは直感的に理解し、感じつつ建
築を作っていたと自著の中で語り、この概念こそ「有機的
-2-
ホットライン No.215
(オーガニック)建築」=「自然な生活のくつろぎや美を生みだ
り付けなどにより、耐震係数 0.7 としました。今後の町家
す、自然のための建築)の中核をなすものであると言って
の改修方法を探っていく手本となると思っています。新た
おります。
な耐震改修の方法を模索しながらの改修案を考える場にな
今回は、2 人の偉大な思想家・建築家の共通の思いを紐
ればと思っていますので町家の改修に興味のある方は是非
解いてみたいと考えております。
参加ください。
建築 CPD:2 単位(CPD カードをお持ち下さい。
)
建築 CPD:2 単位の申請予定(CPD カードをお持ち下さい。)
定員: 先着順 30 名(どなたでも参加できます。
)
定員:先着順 25 名(どなたでも参加できます。)
参加費:士会員は 500 円、会員外は 1,000 円、学生 200 円(い
参加費:会員無料
ずれも資料代を含む)
会員外
1,000 円(資料代を含む)
申込先・申込期限:平成 26 年 7 月 17 日まで Mail 又は FAX で
申込先・申込期限:平成 26 年 7 月 17 日まで Mail 又は FAX で
下記まで
下記まで
高岡支部事務局:大角亮建築研究所内
E-mail:[email protected] FAX:050-3737-5472
E-mail:[email protected]
問合先:プロフェッション委員会 担当:上梅澤 TEL:070-5636-8880
FAX:0766-25-7020
問合先:高岡支部 担当:林(TEL:0766-21-8542)
◆ 新川支部からのお知らせ
◆ 砺波支部からのお知らせ
「茅葺き屋根を守る」講演会開催のご案内
連続講座(一)『省エネ講座編』開催のご案内
日時:平成 26 年 7 月 11 日(金)15:00∼16:45
会場:新川文化ホール 2 階 201 号室(魚津市宮津 110)
日時:平成 26 年 7 月 25 日(金)
講師:松澤 朋典 氏(㈱小谷屋根 代表取締役)
会場:砺波まなび交流館 2 階視聴覚室
砺波市栄町 717 番地
松澤朋典の父君 松澤敬夫氏は、現在伊勢神宮式年遷宮関連
18:20∼21:00
TEL:0763-33-1115
工事に、指導的立場で 5 年前より出向中。今年 3 月に完了後
講師:三谷建築設計事務所 所長 三谷 光雄氏
帰郷の予定だったが追加工事のため現在も赴任中。
内容:―3 回受ければ誰でもできる―
『住宅省エネルギー計算 実践編』
内容:茅葺き屋根の基礎知識・実際の茅葺き作業の様子・技術
継承の取り組み。 今では、貴重な存在となった茅葺き職人
第 1 回:省エネルギー計算『基本の再確認』
から話の聞けるまたとない機会です。
第 2 回:9 月、第 3 回:11 月予定
建築 CPD:2 単位 (CPD カードをお持ち下さい。
)
共催:(一社)富山県建築士事務所協会 福野支部
定員:先着順 50 名(どなたでも参加できます。
)
建築 CPD:3 単位(CPD カードをお持ち下さい。
)
参加費:無料
定員:先着順 40 名(どなたでも参加できます。)
申込先・申込期限:メール又はファックスで
参加費:士会員は無料、会員外は 1,000 円(いずれも資料代を
E-mail:[email protected]
含む)
FAX:0765-22-4177
申込先・申込期限:平成 26 年 7 月 18 日まで Mail 又は FAX で
平成 26 年 7 月 8 日まで
問合先:新川支部
(E-mail:[email protected]
担当:水口(TEL:0765-22-3008・大杉建築設
FAX:0766-69-8653) まで
問合先:富山県建築士会砺波支部・富山県建築士事務所協会
計事務所)
福野支部 担当:加藤(TEL:0766-69-8703)
◆ 高岡支部 からのお知らせ
◆ 高岡ブロックからのお知らせ
「町家改修の実例紹介と空き家の活用につい
て」講習会開催のご案内
「ゼロエネルギー住宅実践講演会」のご案内
日時:平成 26 年 7 月 19 日(土)15:00∼17:00
日時:平成 26 年 7 月 26 日(土)14:00∼16:00
会場:ほんまちの家(高岡市本町 1-24)
会場:氷見市ふれあいスポーツセンター第 2 会議室
[空き家だった伝統的建築物を講師が設計監理して改修し
(氷見市鞍川 43-1)
た建物]駐車場はありません。申し込みされた方には地図
講師:吉見 聡 氏(永大ホーム 代表取締役社長)
を送ります。
内容:ゼロエネルギー住宅への取り組みについて
建築 CPD:2 単位
講師:野田 明宏氏
定員:先着順 30 名(どなたでも参加できます。
)
(LLC 住まい・まちづくりデザインワークス代表)
参加費:会員 無料
演題:「空き家からの地域復権」耐震&リノベーションから共
会員外
1,000 円
申込先・申込期限:平成 26 年 7 月 19 日まで Mail 又は FAX で
同プロジェクトまで多様な手法紹介
E-mail:[email protected]
内容:間口の狭い町家の改修と耐震性能の向上についての講
FAX:0766-72-4970
問合先:氷見支部 担当:関 一朗(TEL:0766-72-2871)
習会。今回の会場となる町家は根固め、門型フレームの取
-3-
ホットライン No.215
職人アーカイブ No.037
< 大工 >
みやた
ぜん じ
宮田 善治
さん
富山市八尾町宮ノ下
昭和 8 年生まれ 80 歳
中学卒業後、大工業へ弟子入り
「まなぐところから」
75歳まで現役で活躍
経歴
もともと道具を使うことの好きだった宮田さんは、
再び・・・
中学卒業後「大工でもしようか」ということで、現・
昭和 55、56 年頃、梅清建設へもどり大工棟梁として
梅清建設先代の梅清喜代さんの 2 番弟子として修行入
数々の住宅を手掛けられました。八尾の茗ヶ原地区の
り、4 年の年期と 1 年の御礼奉公を経て、10 年後 25 歳
住宅が多かったようです。
で独立する。2 人の弟子を育て昭和 50 年二級建築士の
数ある中でも思い出に残っているのは某邸の門新築
免許を取得した。
である。納得したものをつくり上げるため、いろいろ
な門を見てまわり試行錯誤のうえ完成させた。
修行時代とその後
当時は日曜日も休みもなく、月に 100 円程度の床屋
代をもらい朝 15 分かけて親方の家に行き終了時間は
決まっておらず暗くなるまで働いていた。
昭和 30 年過ぎ、電動工具が普及してくるまではすべ
ての作業が手作業であり梁や差し鴨居をまなぐ(※)
には 2 人で 1 日作業であった。
住宅の表門
その後は製材所でまなぐようになり、楽になったが、
削るのと加工は手仕事だった。
昔は釘を使わずに手刻みで木材加工を行っていたの
で、住宅 1 軒建てるのに、休みなしでも 3 人掛かりで
4∼5 ヶ月は掛かっていた。釘を使わないのが腕の見せ
所だった。
平モンづくり(最近は枠ノ内造りと呼ばれることが
多い。
)は伝統的な仕口や継ぎ手に木栓を使う。木栓は
住宅の裏門
ケヤキ等の堅木を加工して作った。
25 歳で結婚して現在の八尾町宮ノ下に居を構える。
取材を終えて
尊敬しているのは、梅清の親方であり修行時代から
隣の家の新築に際し、大工としての腕を見込まれ腕木
の道具も今でも大切に保管しているとのことでした。
差し化粧の家を完成させた。
近年の建築様式を考えると昭和 33 年 25 歳で棟梁を
独立してはじめて頼まれたこの仕事のことは忘れら
任せられた宮田さんは、高い技術と厚い人望があった
れない。本当にうれしかった。
のではないかと考えられます。
25 歳の大工さんがここまで出来るのかと感心するば
かりである。
※「まなぐ」とは木挽きの作ったラフな木材を角材の
建築用材にするため、そりやねじれを直す作業で主に
釿(ちょうな)で調整すること。
(調査:下島達雄、文:松本悟志、写真:江本 優)
-4-