ill−P−229 デジタル尿糖計の臨床的研究一第3報一 食事,運動療法における効果確認の有用性 タニタ体重科学研究所1,慈恵医大内科学講座糖尿病代謝内分 泌内科2 宮下真理子1,大橋 昭王1,伊藤 成史1,阪本 要一2, 山口いずみ2,池田 義雄1 【目的】食事負荷試験を実施し,食事量や食後の運動が食後血 糖,尿糖に与える影響と,尿糖測定により食事,運動療法の効 果を確認できるか検討した. 【方法】空腹時血糖がやや高い4名に,基本食(約580kca1)と, 食事療法(米飯量を1/2)および運動療法(負荷後ウォーキン グ20分)を取り入れた食事負荷試験を実施し,血糖値と尿糖 値を比較した.尿糖はデジタル尿糖計で測定した、 【結果】基本食に対し米飯量1/2では,60分の血糖は7∼43mg/ dL,120分の尿糖は25∼2203mg/dL低下した(4名中4名). 同様にウォーキングでは,血糖は25∼83mg/dL,尿糖は110∼ 1634mg/dL低下(4名中3名)し,血糖と同様に尿糖でも米飯 減量とウォーキングの効果を確認できた. 【考察】尿糖値は食後血糖とよく相関し食事や運動の効果を反 映する.食後尿糖測定は,食事量や内容を簡便に評価する自己 管理のための手段として有用なことを示唆した. lll−P−230 新潟県郵政職員糖尿病予防計画一3年目までの HbAIcの経過一 新潟逓信病院内科1,栄養科2,新潟郵政健康管理センター3 山谷 恵一1,高澤 希子1,本問 富子2,山本 朋彦3 糖負荷試験境界型の新潟県内郵政職員に対して年4回の郵送に よる定期受診の呼びかけと生活習慣自己評価アンケートによる 介入を行った.対照群(151人,31−63歳)と介入群(159人, 28−62歳)全体では群間のHbAlcの差は僅かであった.アンケー トの主旨は「HbAlcとBMIは正常値を維持せよ」なので,開 始時のHbAlcとBMIの平均値の上下で4分割すると,HbAlc> 5.3%,BMI>24.1の群では,対照群HbAlcの1−3年後の経過 (39,35,28人)は5.8±04(SD)%から5.6±0.7%,58±0.6%, 6.0±0.7%に対して,介入群(37,28,20人)は5.8±0.3%から 5.3±0.4%,5.6±0.6%,5.6±0.5%となり,群間の差がはっきり した(p=0.0032). ll[一P−232 抗アレルギー薬トラニラストは非アルコール 性脂肪肝炎の炎症,線維化のみならず脂肪化 も抑制する 金沢大学医学部環境医科学専攻恒常性制御学 宇野 将文,栗田征一郎,太田 嗣入,松澤 直人, 喜多 祐樹,鍋本 智子,御簾 博文,安藤 仁, 石倉和秀,乙田敏城,金子周一,篁 俊成 【目的】非アルコール性脂肪肝炎(NASH)発症の新たな治療 法の確立のため,NASHモデル動物におけるアレルギー性疾患 やケロイドの治療薬であるトラニラスト(Tra)の効果を検討 した.【方法】肥満糖尿病モデルラットに,メチオニン・コリ ン欠乏(MCD)食,MCD+Tra混餌食を投与し,肝組織や肝 脂肪酸代謝,線維化,酸化ストレス関連遺伝子のmRNA発現 を検討した.【成績】Traは肝の脂肪化,炎症,線維化を改善 した.Traはβ酸化関連遺伝子(CPT1,PPARα)のmRNA 発現を充進した.Traは肝の線維化関連遺伝子(TGFβ1,colla− genl,PAI−1),酸化ストレス関連遺伝子(p47phox)のmRNA 発現を抑制した.【結論】Traは肝の炎症,線維化だけでなく, β酸化の充進と共に肝脂肪化を改善した.現在,その機序につ いて解析中である. III−P−233 ブドウ糖の経門脈注入は静脈注入に比し,早 期に代謝酵素を動かしグリコーゲンを蓄積す るがそのセンサー部位を探索した 朝日生命成人病研究所工,日本大学医学部糖尿病代謝内科2 滝 雅史1,荻原 典和’,春日 広一1,川村 弥’, 岡本真由美1,林 洋一2,菊池方利1 【目的】グルコースの経門脈注入は経静脈注入に比し,肝グリ コキナーゼの細胞内移行を促進レ肝グリコーゲンホスホリ ラーゼの活性を抑制し肝グリコーゲンを多く蓄積する.この現 象をPortal Signaiと呼ぶ、今回我々はこのセンサーの部位を探 索した.【方法】1)予めカテーテルを頚静脈,門脈,門脈深く 肝臓に挿入した3群のラットに14mg/kg/m墨nの速度でグル コースを5分,24時間持続注入し,各終了時肝グリコーゲン 量を測定した.【結果】24時間投与では,グリコーゲンは肝臓 群155±17,頸静脈群152±8で門脈群235±12mmol/kg liverに 比し低値だった.5分投与ではグリコーゲンホスホリラーゼは 肝臓群L41±0.24 頸静脈群L50±0.28 門脈群0.70±0.22μmol/g liverと門脈群でのみ抑制された,【結語】Portal Signalは門脈 内に存在し,肝臓には存在しない. 111−P−231 耐糖能障害患者におけるα一グルコシダーゼ阻 害薬の効果 琉球大学医学部内分泌代謝内科 渡辺 蔵人,池間 朋己,小宮 一郎,高須 信行 llI−P−234 高糖質または高脂肪食負荷により生じたラッ 【はじめに】STOP−NIDDM diabetes prevention trialでは,IGT ト肝臓での非アルコール性脂肪肝炎(NASH) 様病変の検討 帝京大学医学部内科学講座1,長岡香料(株)技術開発研究所2, 大阪府立大学大学院生命環境科学研究科3,帝京大学医学部病 患者にアカルボースを投与すると,糖尿病の発症をおさえられ 五十嵐幹二1,河崎 孝弘1杉本圭一郎2,中川 一弥2,小枝 立樹3 たとしている.またIGT患者を外来で経過観察するのは困難 である.【方法・結果】IGT患者2人にボグリボース0.9mg/日 を投与し投与前,1,2年後で7590GTT施行し以下の結果を 得た.1:症例1の耐糖能は,正常になった.症例2は1年後 正常,しかし2年後はIGTとなった.2:インスリン分泌のピー クは症例1では120分から60分へ,症例2では90分から60 分となった.3:インスリン曲線下面積は,症例1では減少し た.症例2は増加した・4:インスリン分泌指数は,症例1, 症例2ともに上昇した.5:HOMA−Rは症例1は低下,症例2 は増大した.低血糖はなかった.【総括】ボグリボースは,イ ンスリン分泌のピーク時間およびインスリン分泌指数を改善さ せる.75gOGTTはIGT患者の治療効果判定に有用だと思われ た. 理学講座4 三浦 巧3,山地 亮一31乾 博3,中野 長久3,渡辺 雅人41 福里 利夫4,山内 俊一1 【目的】肝臓でのメタボリックシンドロームの表現型の一つで ある非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を解明するため,高糖 質高脂質食負荷後,肝病理組織を検討した. 【方法】Wisterラット5週齢(n=26)を高スターチ食(C),高 フルクトース食(Fru群,高シュークロース食(S)群,高脂 肪食(Fat)群,高脂肪高フルクトース食(Fru+Fat)群の5 群に分け10週齢まで飼育し,hematoxylin eosin染色にて NASH様病変の有無を検討した. 【結果】Fru群,S群,Fat群,Fru+Fat群において小∼大脂 肪滴から成る脂肪沈着と軽度の炎症性変化が見られたが,C群 にはそれらの所見は見られなかった. 【結語】高脂肪食負荷では肥満傾向を伴ったが,高フルクトー ス食や高シュークロース負荷では肥満傾向を伴わず,異なった 機序によりNASH様病変を発症したと考えられた. 一S−337一
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