06. 急性期−合併症対策 目次へ 研究 著者・発行年 対象 design 04 Dhanuka AK, et al. 連続269例の脳卒中 Neurol India. 49 (1): 33-6, 2001 治療法 結果 35例(13%)の患者が脳卒中によるけいれんを起 こした。20例は脳梗塞,15例は脳出血であった。 86%は皮質を含む病変であった。77%は初期の 段階に,2/3は脳卒中直後のけいれんであった。 初期に起こったけいれんは進行せず,後期に起 こったけいれんは50%が頻発した。後期発症で 頻発するけいれんの脳波のパターンに特異的な 所見は見られなかった。初期のけいれんは予後 に影響せず,抗てんかん薬がなくても再発しな かった。 05 Berges S, et al. 3205例の脳卒中初回発 Eur Neurol. 43 (1): 作の患者のうち、けいれ 3-8, 2000 ん発作を初めて起こした 159例 2度目のけいれん発作は、初回発作が脳卒中後 14日以上の例に有意に(p<0.01)多かった。単変 量解析ではけいれん発作の再発に有意な因子 は、出血性病変と初回けいれん発作時のRankin scale、それに後頭葉を含む病変であった。多変 量解析では後頭葉を含む病変と脳卒中後14日 以上の発症が、けいれん発作の多発に有意な因 子であった。 04 Bladin CF, et al. Arch Neurol. 57 (11): 1617-22, 2000 1897例の脳卒中 168例(8.9%)にけいれん発作がおこり,出血性 の脳卒中では10.6%,虚血性脳卒中では8.6% であった。出血性の脳卒中は有意な危険因子で あった。虚血性脳卒中におけるけいれんの危険 因子は皮質を含む梗塞と脳卒中の重症度であ り,出血性脳卒中の危険因子は皮質を含む病変 であった。再発するけいれん発作は2.5%に認め られ,初期の発作が脳卒中発症から遅かった場 合が独立した危険因子であった。 01 Hajat C, et al. Stroke. 31 (2): 410-4, 2000 9つの研究から3790例の 入院時に発熱を認めた群と、認めな 全体では発熱のある群は9%罹病率を上昇させ 急性期脳卒中 い群で罹病率と死亡率を比較 (p<0.0001)、死亡率は1%上昇させた (p<0.00000001)。脳卒中後の発熱は有意に罹病 率と死亡率を上昇させた。 02 Hanger HC, et al. 急性期の片麻痺のある Clin Rehabil. 14 脳卒中98例 (4): 370-380, 2000 04 Langhorne P, et al. 連続311例の脳卒中で入 Stroke. 31 (6): 院した患者 1223-9, 2000 02 Muir KW, et al. 発症72時間以内の脳卒 段階的弾性ストッキングと通常治療 ストッキングを使用した65例中7例に、通常治療の QJM. 93 (6): 359- 中98例 32例中7例に深部静脈血栓が認められ、ストッキ 64, 2000 ングを使用した群が少なかったが有意ではなかっ た(オッズ比0.43、95%CI 0.14-1.36)。最初の1 週間のうちに深部静脈血栓症は多く認められ、ス トッキングの使用により減少できなかった。初期の 深部静脈血栓症の予防に弾性ストッキングを使 用することの有用性には疑問がある。 麻痺側の肩を6週間肩ひもで吊る。 肩を吊った群(49例)はコントロール群(49例)と比 較して、痛みの程度、関節の可動域、機能予後と もに有意な差はなかった。しかし6週後の痛みを やや低下させ、上肢の最終的な機能予後を良く したが有意ではなかった。麻痺側の可動域の消 失は脳卒中後、非常に早く起こるため、肩を吊る ことはこれを改善できなかった。 265例(85%)に入院中に合併症が起こった。主 なものは、脳卒中再発(9%)、けいれん(3%)、 尿路感染(24%)、胸部の感染症(22%)、その他 の感染症(19%)、転落(25%)、そのうち重篤な けが(5%)、褥瘡(21%)、深部静脈血栓症 (2%)、肺塞栓(1%)、肩の痛み(9%)、他の痛 み(34%)、うつ病(16%)、不安(14%)、感情失 禁(12%)、混迷(56%)であった。フォローアップ では感染や転落がなくなるが、痛みやうつ病、不 安などは残存した。 - 110 - 06. 急性期−合併症対策 研究 著者・発行年 対象 治療法 design 00 Price CI, et al. 脳卒中による急性期の肩 電気刺激療法 Cochrane Database の痛みを有する170例 Syst Rev. (4): CD001698, 2000 結果 電気刺激による治療法はコントロールに比して肩 の痛みの頻度(オッズ比0.64;95%CI 0.19∼ 2.14),痛みの程度(Standerised Mean Differences(SMD) 0.13; 95%CI -0.1∼1.25)とも に有意な差はなかった。しかし上腕の他動的外 旋を痛みなく行うことのできる範囲を有意に改善 した(SMD 9.17; 95%CI 1.43∼16.91)。電気刺 激は上腕関節窩の亜脱臼の程度を軽減した (SMD -1.13; 95%CI -1.66∼-0.60)が上肢の運 動麻痺の改善や痙性の改善には役立たなかっ た。 03 Raicevic R, et al. Eur J Neurol. 7 (Suppl 3): 98-99, 2000 脳梗塞急性期に入院し た110例 02 Snels IAK, et al. Stroke. 31 (10): 2396-2401, 2000 脳卒中による麻痺側の肩 Triamcinolone acetonide 40mgの関 最終の注射後3週間目の痛みの軽減は、 の痛みを有する37例 節内投与(n=18)、1mlの生食投与 triamcinolone群2.3に対してプラセボは0.2であ (n=19)をそれぞれ3回行う り、痛みは減少したが有意ではなかった。その他 の指標もプラセボと差はなかった。 02 Walters M, et al. Stroke. 31 (11): 2834-2835, 2000 入院時に血糖値が8∼20 mmol/litであった25例を ランダムに血糖厳格コン トロールと通常の治療に 分けた. 02 Nakagawa T, et al. 脳卒中163例。 Lancet. 353 (9159): 1157, 1999 04 Sekizawa K, et al. 脳卒中の既往のある患 127例にACE阻害薬(imidapril, Lancet. 352 (9133): 者で降圧薬を処方されて enalapril, captoprilのいずれか)を 1069, 1998 いる440例 処方。313例の対照群は、ACE阻害 薬以外のCaブロッカーか、βブロッ カーを処方。 対照群は18%に新たな肺炎が起こったが、ACE 阻害薬群は7%であった。ACE阻害薬を服用しな かった群の誤嚥性肺炎の相対危険率は 2.65(95%CI 1.31-5.35, p=0.007)であった。 04 Roane DW, et al. J 偽痛風14例。 Rheumatol. 24 (6): 1168-70, 1997 トリアムシノロンは安全でかつ有用であった。 04 Davenport RJ, et くも膜下出血を除く脳卒 al. Stroke. 27 (3): 中急性期607例。 421-4, 1996 02 Kobayashi H, et al. 27例の基底核多発性脳 レボドーパ50mg(20mL)静注と生食 対照群ではレボドーパと生食の投与により嚥下反 Lancet. 348 (9037): 梗塞で、少なくとも1回は 20mL。 射の潜時に差はみられなかったが、患者群では 1320-1, 1996 誤嚥性肺炎を起こした27 レボドーパで潜時の有意な改善を認めた。 例と20例の対照。 04 Chakravarty K, et 初回急性期脳卒中のうち 関節内ステロイド注射、非ステロイド 平均8.34日で19例の麻痺側に関節炎が起こり、 al. QJ Med. 86 関節炎の既往のない111 性抗炎症剤。 非麻痺側では4例に関節炎が発症した。偽痛風 (12): 819-23, 1993 例。 は1例で両側に発症した。治療はステロイドの関 節内投与群の方が有意に(p<0.05)早く回復し た。 初期から理学療法と深呼吸の訓練 初期からリハビリを受けた群は、気管支肺炎の発 を行う(70例)。対照群はリハビリを 症率が5.7%であったが、リハビリを受けなかった 受けない(40例)。 群では20%と多かった。 血糖厳格コントロールはインスリンの 静脈内投与に加えて,2時間おきに 血糖を測定し,スライディングスケー ルでさらにインスリンを静注するもの で,血糖値の目標は5∼8 mmol/lit.通常治療はインスリンの 静脈内投与のみ. 48時間後の血糖値は,厳格コントロール群6.8± 1.1,通常治療群7.5±1.3であった.厳格コント ロール群の時間あたりのインスリン必要量は3.25 ±0.32から1.25±0.5(p<0.01)に減少した. アマンタジン100mg/日、無治療対 照。 無治療群では80例中22例(28%)が肺炎を起こし たが、アマンタジン群では83例中5例(6%)であっ た。脳卒中既往例にアマンタジンを投与すると肺 炎を起こすリスクが約20%低下する。 トリアムシノロン60mg筋注。 18例(3%)が消化管出血を起こし、その半数は重 症であった。高齢者、重症の脳卒中では多い傾 向であった。抗血栓塞栓剤の使用は有意な危険 因子ではなかった。出血源が判明したのは5例 で、胃潰瘍2例、十二指腸潰瘍2例、食道と十二 指腸潰瘍が1例であった。消化管出血を起こした 例の予後は不良であり18例中10例が死亡した。 - 111 - 06. 急性期−合併症対策 研究 著者・発行年 design 02 Turpie AG Haemostasis. 22 (2): 92-8, 1992 対象 治療法 75例の急性期脳梗塞。 50例にOrgaran(低分子ヘパリノイ 87例の脳卒中による下肢 ド)を1000単位静注後,12時間ごと 麻痺がある患者 に750単位皮下注。25例のプラセボ 群は生食を皮下注。次にOrgaranの 安全性と有用性をみるために,45例 にOrgaran750単位を12時間ごとに 皮下注,またはヘパリン5000単位を 12時間ごとに皮下注。 結果 深部静脈血栓はOrgaran群で4%,プラセボ群 28%で,Orgaran群は有意に(p=0.005)少なかっ た。近位部の静脈血栓はOrgaran群0%,プラセ ボ群16%(p=0.01)であった。ヘパリンとの比較で は,深部静脈血栓症はOrgaran群が8.9%,ヘパ リン群が31%(2p=0.014)で,出血性の副作用の頻 度に差はなかった。出血性脳梗塞はOrgaran群 9.3%,ヘパリン群5.6%であり,有意差はなかっ た。Orgaranは通常のヘパリンより,深部静脈血栓 症の予防に有用であった。 04 Ameriso SF, et al. 発症7日以内の脳梗塞50 Stroke. 22:1004-9, 例。 1991 50例中17例が発症1ヶ月以内に感染症状を示し ていた。感染群では有意にFibrin D-dimerやカル ジオリピン免疫反応性IgGが高く、また発作後2日 以内のフィブリノーゲン値が有意に高値であっ た。 04 Kilpatrick CJ, et al. 急性期脳血管障害1000 Arch Neurol. 例。 47:157-60, 1990 脳卒中後のけいれんは44例(4.4%)に発症。脳葉 に広範な出血を有する例では65例中10例 (15.4%)、くも膜下出血では71例中6例(8.5%)、皮 質梗塞では370例中24例(6.5%)、半球のTIAで 109例中4例(3.7%)であった。ラクナと深部の出血 例ではけいれんを起こさなかった。けいれんは一 般に48時間以内に発症、死亡率や機能面での 予後に影響は及ぼさなかった。 02 Prins MH, et al. Haemostasis. 19:245-50, 1989 04 Shinton RA, et al. 脳卒中230例。 J Neurol Neurosurg Psychiatry. 51:2736, 1988 02 Mellbring G, et al. 48時間以内に入院した Acta Med Scand. 脳梗塞で下肢の麻痺が 220 (5): 425-9, ある50例。 1986 04 Hauser WA, et al. Epilepsia. 25:666, 1984 急性期の脳梗塞で入院 した206例。 脳梗塞発症から1週間以内のけいれんの発症率 は15%であった。過去にけいれんの既往のない例 では6年で19%のけいれんの発症があり、脳梗塞 の既往例では20%であった。けいれんの既往例で は2年間に56%の発症率であった。 04 Silver FL, et al. Stroke. 15:492-6, 1984 脳卒中1073例のうち発症 30日以内の死亡例212例 の死因を調査。 初期の死亡は2峰性を示した。第1のピークは第1 週で、第2は2-3週にあった。第1週の死亡は大部 分がテント上ヘルニアで、脳出血は通常発症後3 日以内、脳梗塞は発症後3-6日で死亡していた。 1週間以後の死因は、肺炎、肺梗塞、敗血症がほ とんどで、2週目の終わりまでにピークがあった。 心疾患は1ヶ月まで平均して起こり、その中に脳 卒中による機能障害が軽い例も多く含まれてい た。 04 Cocita L, et al. 脳血管造影にて診断し Stroke. 13:189-95, た内頸動脈閉塞性病変 1982 104例と中大脳動脈閉塞 性病変37例。 内頸動脈病変例では17.3%、中大脳動脈病変例 では10.8%にけいれんを認めた。内頸動脈病変例 中6.7%でけいれんが発症したが、中大脳動脈例 では症状にさきがけてけいれんを起こした例はな かった。 急性期(72時間以内)の 低分子ヘパリン(Kabi2165)2× 低分子ヘパリン群では6例に深部静脈血栓症 虚血性脳卒中の60例。 2500anti-Xa unit 皮下注。プラセボ (DVT)が発症したが、プラセボでは15例 (生食)の皮下注。 (p=0.05)であった。脳出血の合併は低分子ヘパ リン群4例、プラセボ群2例(NS)。低分子ヘパリン はDVTの予防に有用であった。 13例(5.7%)に脳卒中発症時にけいれんがみられ た。けいれん群は、全部の脳卒中群に比して48 時間以内の死亡率が有意に高かったが、27ヶ月 後は両群に差はなかった。初回発作の7例中5例 が生存したが、5例全例とも30ヶ月のフォローアッ プ中にはけいれんを起こさなかった。 治療群ではデキストラン40の点滴を 当日、1日目、2日目に500mL、4日 目と6日目に250mL施行。瀉血が必 要な例は1日目に施行。 深部静脈血栓の発症率は治療群54%、対照群 50%で差はなかった。致死的な肺塞栓は治療群 で1例、対照群で3例あった。デキストランは従来 の少量ヘパリン療法などと比べると有用とはいえ ない。 先頭頁へ - 112 -
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