平成二十六年度滋賀県立虎姫高等学校特色選抜小論文問題用紙【受検上の注意】一答えは、解答用紙の決められた欄に書き入れなさい。二漢字はかい書、仮名遣いは現代仮名遣いで書きなさい。三字数には句読点を含むものとします。次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。のぞ号番検受ケニアは野生の王国。国内各地に国立公園と国立保護区がある。これらの地域にミニバスかジープで乗り入れて、車窓から野生のままのゾウだのキリンだのシマウマだのライオぞうげンだのカバだのの世界を覗き見る、これがいわゆる動物サファリだ。最近は年間七〇万人を超える観光客がケニアを訪れるという。外貨が集まるので政府は観光産業に力を入れる。動物保護にも熱心で、狩猟と野生生物でつくった製品の販売は、一九七六年以来全面的に禁止されている。ところが、密猟は絶えない。そこで、一九八九年七月一八日、モイ大統領は、アフリカゾウ保護への決意を全世界に表明する一大セレモニーを実施した。外国の報道陣を集めて、その目の前で、密猟者から押収した象牙総重量一二トン、推定価格六〇〇〇万シリング約 ( せりふ三億五〇〇〇万円の ) 山に火を放った。その時の大統領の台詞がまた正義感あふれるものだ。「①偉大な目的を達成するにはしばしば②大きな犠牲を要する。象牙の取引を永遠に追放するため、私は今、全世界の人に向かってこのケニアで心を一にすることを呼びかける」一方、このほとぼりも冷めた頃、新聞にこんな投書が寄せられていた。おとしいゾウの侵入については、住民が重ね重ね不満を述べているにもかかわらず、何の対策「物現へ在許も講じられていません。農作の諾被許害可の申深請刻中さ」を評価して、農民に補償を与えるべきです。ゾウは食物倉庫や住宅、畑を破壊し、村中を恐怖に陥れています。夜間学校の勉強もままなりません。これは、地域全体、特に私の村の進歩と発展を妨げています。ケニアの野生動植物とその恵みをこよなく愛する者ですが、大事な畑を荒らしてしまう連中をどうするものか困っています（一九九〇年九月一七日付『デイリー・ネーション』）。さくゾウは国立公園も国立保護区も知らない。行きたい場所に、のしのし歩いていくだけだ。他方、人口増加の圧力は人間の活動圏を着実に広げていく。両者の調整をどこかで図らなければならない。象牙取引の禁止とか、絶滅の危機にある種の保護とかいうのは確かに大事だ。でも、ゾウはやっぱり怖い。（おおが大賀敏子『心にしみるケニア』による。）としこ政府は動物保護の地区を柵で覆うことを検討している。しかし、その費用もさることながら、専門家からは、囲い込まれた柵の中では、ゾウなどの大型獣と植物との生態系バランスが維持できないのではないかと懸念が表明されている。（中略）そもそも自然保護とか環境保全とかいった課題は、③環境と人間の相互に依存し、影響し合う関係のあり方を追求する営みにほかならない。 (1) 問一傍線部①②は、それぞれ具体的にはどういう内容を指すか。簡潔に答えなさい。問二傍線部③とは、本文の例でいうとどういう内容になるか、また、自然保護、環境保全では何を大事に考えるべきか、あなたの考えを述べなさい。解答は原稿用紙の正しい使い方に従って、二六〇字以内で記すこと。なお、解答は、二段落構成の文章とし、は第一段落に、は第二段落に書くこと。 (1) (2) (2)