よっシャー.com - 上越市立 吉川中学校

裏っちゃんの人生学
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平成 25 年 11 月 5 日
No.32
(通巻 102 号)
教育目標: 向上心に燃え、心身ともにたくましく実践力のある生徒
上越市立吉川中学校長 裏田道夫
秋晴れの木の実谷に 歌声響く
湧き上がる歌も楽しく 木の実谷 光に映えて・・・
さわやかな秋晴れのもと、大勢の保護者・地域の方々か
らご来場いただき、恒例の吉中音楽祭が行われました。ゲ
スト審査員として前職員の松尾久美子先生(高田特別支援
学校)をお招きし、また、地域の詩吟サークル「紫州流日
本明吟会新潟県本部吉川支部」のみなさんの出演もいただ
いて、すばらしい音楽祭となりました。
どの学級の合唱もたいへん熱のこもった、感動的な合唱
でした。午前中、校舎巡視をしながら各学年のリハーサル
の風景を眺めていましたが、とりわけ 3 年生は気合いが入
り、歌う曲のイメージをよく捉えていて生徒の体が自然に
スゥイングし、合唱にかける強い気持ちが歌に乗っていま
した。
歌唱力・ハーモニー・感銘度など、どの学級もそれぞれ
全力を出していることがこちらに伝わってきましたが、決
め手となったのは、歌詞が全体的に鮮明で、力強かったか
どうかでした。2 年生・1 年生のみなさんは、今回の経験
をぜひ来年度に生かして、よりよい合唱ができるようがん
ばってください。
吹奏楽部のみなさんの演奏も、AKB48 の「恋するフォー
チュンクッキー」など馴染みのある曲目で、自然に手拍子
が興り、運だめしクッキーの生地を「コネコネ」するよう
なポーズをとる子もいて、楽しませてくれました。
詩吟も聴きごたえのある演奏でした。題材は、明治 16
(1883)年 3 月 12 日に尾神岳吹切で起きた雪崩によって
27 名の命が失われた惨事にちなんだものでした。改めて吟
じられた短歌や七言絶句の意味を考えてみましょう(裏面
参照)
。
吉川区
ほうじん い ご
やま ぼ う し
山法師 空木も花なき 中腹に 報尽為期碑は 夏の陽を受く
山法師や空木の花もない尾神岳の中腹に 報尽為期碑は夏の日差しをうけている
な
たけ
だ
雪崩れ起く 嶽に真向かう
いしぶみ
は
碑 に 指を這わせて 字面をたどる
雪崩が起きた尾神岳に向かって立つ慰霊碑に刻まれた字に自分の指を這わせて
亡き人を偲ぶ
おおでら
けん きょ
そり
きお
ひ
ゆ
大寺の 献欅の橇を 競い曳き 雪崩に殉きし 人らを思う
報尽為期の慰霊碑
京都の東本願寺再建のために献上する欅(けやき)の木を積んだそりを
東本願寺再建用材運搬中に尾神岳中腹で発生した雪崩に
力の限り曳いていて雪崩の犠牲に遭った人たちのことを思う
より死亡した 27 名の供養のため明治 20 年 9 月に建立。
碑の所在地は吉川区川谷 23 番地。上越市指定文化財歴
第 189 号。
頸北山嶺緑濃里
頸北の山嶺(さんれい)緑濃(みどりこまやか)なる里
吉川真宗信心郷
吉川真宗(しんしゅう)信心の郷(ところ)
殉泣淋慄涙声頻
殉泣(じゅんきゅう)淋慄(りんりつ) 涙の声 頻(しきり)なり
不忘報儘為期碑
忘れえず 報尽為期の碑(いしぶみ)
意訳:裏田
頸北の霊峰尾神岳の嶺の緑深い吉川の里は
浄土真宗(本願寺)への信心が深い郷である
雪崩の犠牲となった人々を思って、淋しさや恐ろしさに泣く声がしきりに聞こえる
この悲劇を決して忘れまいと立つ 報尽為期*の碑
れんにょ
おふみ
じょうみょう
..
..
*蓮如上人の『御文』4帖2「 定 命 」にある「畢命為期(ひつみょういご)まで仏恩報尽のために称名(阿弥
陀仏の名を称える行)を勤めん=仏様の恩に報いるためこの命が終わるまでひたすら「南無阿弥陀仏」を
唱えるという意味」からの引用句
27 名の殉死者は、男性 8 人、女性 19 人。この中でなんと 10 代の少年少女が 14 名、10 歳未満の子どもが
6 名(内、2 歳の幼児が 2 名)もいました。午後 2 時という発生時刻からして幼い 2 人の子どもは授乳中だっ
たと推定され、その痛ましさが想像できます。