ねじり角パイプを応用した インテリア製品の提案

②ジョイント
2.ねじり角パイプの研究適応検討
ねじり角パイプを応用した
インテリア製品の提案
機器設計研究室
渋谷亜沙美
指導教員:竹末俊昭
東京工科大学の協力を得てねじり角パイプの生産性
パイプの曲線形状を生かすためにジョイントはパイプ外側
と形状の検討を行った。現状においてパイプベンダー
に影響を与えない形状を検討した。基本となる3本のパイプに
成型方法は研究の初段階であり、加工可能な素材はア
それぞれフックをつけ、
ルミニウムパイプとマグネシウムパイプに限られる。
3点をジョイントパーツに
加工可能な形態は機械の圧力・パイプの強度により、
よって上下から固定する。
最小曲げ半径は60[mm]、最大曲げ角度は90[deg]、最大
フックの形状によりパイ
ねじれ率は1/2[deg/mm]であることが分かった。また、
プとの空間に隙間をあける
複雑な曲げ具合を加える場合の限度値は上記数値より
ことででジョイントパーツ
も大きいものになる。一方、数値入力により同形状を
が浮いて見えるように演出
生産することができ、多品種少量生産に向いていると
した(図⑤)。
いう点も大きな特徴である。
ジョイントによる固定に
調査の結果、金属パイプを使用した製品には直線的
加え、棚板を組み合わせる
な形状が多く見られた。塗装や丸パイプを使用するな
ことによって形状の安定を
ど金属特有の冷たさを軽減したものも見られたが、形
図る。
状自体に曲線を用いているものは少なかった。
図⑤ ジョイント上面写真
そこで本研究ではねじり角パイプの特徴である曲線
とねじり形状を生かした有機的なイメージをもつイン
③棚板
テリア製品に着目し、制作を行なった。
アルミ金属との相性の観点からガラス板
1.研究の背景と目的
を採用し、棚板に色を加えることで装飾性
パイプベンダー成型によるねじりパイプは菊池製作
を高めることが可能(図⑥)。
所 と東京工科大学 によって新しく開発中の成形
図⑥ 棚板カラー例
方法である。従来のパイプのねじり加工と異なり、角
形状イメージ写真
パイプを成形した後に押し出し加工によって加工を行
植物園へようこそ!
(http://aoki2.si.gunmau.ac.jp/BotanicalGarden/
BotanicalGarden-F.html)より
写真撮影:青木繁伸
う。よって、任意のねじり角度を加えることやスパイ
ラル形態を制作することができるというものである。
この機械は2006年2月現在、試作機とそれに改良を加
えた機械の2台があるだけで実際の製品にはまだ利用さ
れていない。
3.提案内容
①構成要素
上記項目の検討を基に20mm×20mm×2000mmの同一形
状のねじり角パイプを3本使用した(図①)。今回は使用
できるパイプの長さに制限があったため、それぞれの
先端に60mm、80mm、120mmのパーツを追加した(図②)。
図⑦ 棚板写真
ねじり形状の差を鮮明にするため、曲げだけのもの(
図③左)と曲げにねじり(図④右)を加えたものの2点を
資料提供:東京工科大学
4.考察と今後の課題
制作した。
本研究ではねじれパイプを用いて、従来の直線的なイメー
曲げ加工により表面に擦り傷が発生してしまうため
図③ 全体写真
表面に塗装を行い、表面保護とカラーを加えた。
ジをもった金属家具に曲線やねじれという有機的なイメージ
を加えることができた。
本研究の段階では、機械の性能によりパイプ形状に制限が
あったが、将来的には性能の向上に伴いステンレスといった
新たな素材が使用の使用が可能となる。同時に今回提案した
ものよりも複雑なねじり・曲げ形状を加えることが可能とな
るため、今後は他のインテリア製品にも形状や概念に新たな
可能性を生み出すことができると考える。
また、核家族化が進んだことで都心の高層マンショ
ンに住む家族が増え、マンションには作りつけの収納
空間が多く配置されているために収納を重視した大型
家具の需要が減少してきた。
そこで、ねじり角パイプを応用し、インテリア性を
図④ 使用イメージ
重視した製品を提案する。
図① 3本・同形状
図② パイプ先端部分
(1)株式会社 菊池製作所
東京都八王子市美山町2161-21
総合試作・プレス加工業務
(2)東京工科大学工学部機械制御工学科 一柳研究室
東京都八王子市片倉町1404-1