保薬第975号 平成21年8月12日 山形県医師会長 殿 山形県健康福祉部長 (公 印 省 略) インフルエンザ外来診療の手引きについて(送付) 平素より、本県保健医療行政に多大な御理解と御協力を賜り、厚くお礼申し上げます。 今般、新しい医療体制及びサーベイランス体制の下で、県内の一般医療機関において 「新型」を含めたインフルエンザの外来診療を行う際の留意点や、保健所との連携方法な どを取りまとめた「インフルエンザ外来診療の手引き」を別添のとおり作成しましたので、 貴会員への周知方よろしくお願いします。 なお、本手引きにつきましては、山形県ホームページ→「新型インフルエンザ情報」→ 「新型インフルエンザに関する今後の医療提供体制」の中にも掲載しておりますことを申 し添えます。 インフルエンザ外来診療の手引き (平成21年8月12日) 山形県健康福祉部 政府の新型インフルエンザ対策本部の基本的対処方針に基づき厚生労働大臣が示した「医 療の確保,検疫,学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針」(平成21年6月19 日改定: 以下,「運用指針」という)では,「原則として全ての一般医療機関において外来 診療を行う」としており,本県の新型インフルエンザ対策についても,平成21年7月21日か ら,この運用指針に準じた医療体制に移行した。 また,国内で新型インフルエンザの患者数が急増したことなどを踏まえて,平成21年7月22 日には,感染症法施行規則の一部を改正する省令が公布され,7月24日から施行された。これ により新型インフルエンザについては,患者の「全数把握」を取りやめ,集団感染等の端緒 の早期探知を目的とした「クラスターサーベイランス」や重症化対策などに重点を置くこと となった。 この手引きは,新しい医療体制やサーベイランス体制のもとで,県内の一般医療機関にお いて「新型」を含めたインフルエンザの外来診療を行う際の留意点や保健所との連携方法な どをとりまとめたものである。各医療機関で既に整備されている「院内感染対策マニュアル」 などの補足資料として活用していただければ幸いである。 なお,今後の対策の更なる変化として,秋冬にかけて新型インフルエンザの患者数が大幅 に増加したときには,クラスターサーベイランス等を停止し,「季節性」のインフルエンザ と同様に定点医療機関を中心としたサーベイランスおよび重症化対策を優先した対応へと見 直しが行われる。その際には,本手引きも「流行期版(仮称)」として改定の予定である。 目 次 (頁) 1. 基本的考え方 --------------------------------------- 2 2. 医療機関の対応 (1) 電話等での事前対応 ------------------------------- 2 (2) 院内感染対策の工夫 ------------------------------- 3 (3) 患者の診断および患者発生届 ----------------------- 4 (4) 患者の治療および療養指導等 ----------------------- 5 (5) 濃厚接触者への対応 ------------------------------- 7 (6) 入院を要する患者の医療 --------------------------- 8 (7) サーベイランスへの協力 --------------------------- 8 3. 参考資料 ------------------------------------------- 9 4. 山形県内の保健所等(感染症対策担当)の連絡先 -------10 (添付資料) インフルエンザ自宅療養の手引き Flu 外来診療手引き(山形県) 1.基本的考え方 国の「運用指針」の基本的考え方は,以下のとおりである。今後は,新型インフルエンザ の急速な感染拡大の防止,重症化予防,及び重症患者の治療等に重点を置く方針である。 (1)原則として,対応可能なすべての一般医療機関において外来診療を実施することに より,一部の医療機関に患者が集中することを避けるとともに,重症患者に対し適 切な医療が提供できる体制を構築する。 (2)院内感染対策の徹底などにより,基礎疾患を有する者等(※注)の感染を防止する。 (3)感染の急速な拡大や大規模集団感染を抑制(防止)するため,学校・保育所等の集 団施設におけるインフルエンザ集団発生の早期探知(クラスターサーベイランス) などにより,感染拡大の端緒を早期に把握する。 (4)感染症発生動向調査の病原体定点医療機関において患者から採取した検体(鼻咽腔 ぬぐい液等)からウイルスを検出して解析する「病原体サーベイランス」を実施し, ウイルスの性状変化を早期に探知する。 (※注)季節性インフルエンザに関する知見,および新型インフルエンザに関する海外での知見によ り,妊婦,乳幼児,高齢者,慢性呼吸器疾患,慢性心疾患,糖尿病等の代謝性疾患,腎機能 障害,免疫機能不全(ステロイドの全身投与等を含む)などを有しており,治療経過や管理 状況などを勘案して医師により重症化のリスクが高いと判断される者(例えばコントロール 不良な糖尿病など)を指す。 2.医療機関の対応 (1)電話等での事前対応(※注1) ・ 慢性疾患等でかかりつけの患者には,患者の疾患の状態に応じて治療薬の長期処方を行い, なるべく受診間隔を空けるように努めるとともに,(インフルエンザの流行期前の)定期 受診の機会を利用して,発熱等で今後受診する場合の留意点(待機場所,マスク着用など) を院内掲示や資料配布により説明する。 ・ 発熱等でインフルエンザの感染が心配な患者は,受診に先立って医療機関に電話で連絡を する。(※注2) ・ 電話連絡を受けた医療機関は,受診を希望する患者に対して,受診の時間帯や受診方法を 説明し,必ずマスクを着用して受診するよう指示する。 (※注1) 県内で新型インフルエンザの発生数が多くなった時点(又は季節性を含めたインフルエ ンザの流行期を迎えた時点)で,事前の電話は不要とし,各医療機関の入口付近の掲示あ るいは受付職員の指示に従うよう,県(保健所),市町村および報道機関等を通じて県民 への啓発を行う予定。 2 Flu 外来診療手引き(山形県) (※注2) 県民向けの広報(県庁ホームページ等)では,発熱等で医療機関を受診する場合の留意点 (事前の電話連絡など)について,次のように説明している。 ◎一般の方(基礎疾患のない方) 受診する前に,医療機関に事前に電話で連絡し,受診の時間帯,受診方法等について指 示を受けてから,マスクを着用して受診するようにしてください。 小児科では,日常的に発熱患者の割合が高いので,事前の電話は不要としている医療機 関もあります。また,小児科では「乳児健診」や「予防接種」のための診療日(診療時間) を設定し,その時間帯には発熱患者等の外来診療を行わないなど,院内感染防止策を工夫 しておりますので,かかりつけの医療機関の診療時間等を確認しておきましょう。 ◎慢性呼吸器疾患,慢性心疾患,糖尿病,腎機能障害,免疫機能不全などの 基礎疾患を有する方 かかりつけの医師に事前に必ず電話して,受診方法を確認してから受診しましょう。 ◎妊娠している方 かかりつけの産科医師に連絡し,受診する医療機関の紹介を受けましょう。産科医師が, あなたの診療情報を提供する場合があります。 (2)院内感染対策の工夫 ・ 医療機関は,「標準予防策」に加えて「飛沫感染予防策」を含めた院内感染対策を,各医 療機関の実情に応じて工夫(強化)する。(※注) ・ 小規模の診療所においては,つい立て(間仕切り)などにより受診待ちの区域を分けるな どの対策を追加し,発熱や咳等のある外来患者に対してマスク着用の徹底を行うことでも, 飛沫感染防止策は強化される。 ・ 医療機関は,すべての外来患者に対して,発熱や咳等の症状がある場合の対処方法(咳エ チケット,待合室での待機方法など)を周知できるよう,医療機関の入口に近いところや 受付等に説明文を掲示する。また,発熱や咳等の症状がある患者への具体的な対処方法を スタッフ間で共有し,院内感染の防止に努める。 (※注) 地域内で新型インフルエンザの患者数が大幅に増加した場合,あるいは季節性を 含めたインフルエンザの流行期を迎えた場合は,時間的・空間的な分離による院内感染 対策は現実的に困難となる。このような状況となった場合は,重症化リスクのある基礎 疾患等を有する者の感染防止を優先した対策(例:基礎疾患等でかかりつけの患者に対 する治療薬の長期処方や予約診療,特別な診療日や診療時間の設定など)を工夫する。 3 Flu 外来診療手引き(山形県) ・ 小児科では,麻疹等の患者を想定した空気感染予防策(隔離室の設置,駐車場等の院外待 機など)が工夫されている。しかし,小児科では日常的に発熱患者の割合が高く,その多 くはインフルエンザと同様に「飛沫」を感染経路とする急性感染症なので,「飛沫感染予 防策」として待合室を複数設置する意義は乏しい。現実的な対応としては,待合室でのマ スク着用の指示,咳のひどい患者の優先診療など,各医療機関で対応可能な複数の方策を 組み合わせて院内感染防止策を強化する。 ・ また,小児科では,発熱等の症状のない受診者(乳児健診や予防接種を目的とした受診) のための診療日(診療時間)を特別に設定し,その時間帯には発熱患者等の外来診療を受 け付けないなどの方法も実際に行われている。このような院内感染防止策を各医療機関の 玄関等の掲示やホームページなどで周知することも必要である。 ・ 医療機関の外来スタッフは,季節性インフルエンザの流行期と同様に,サージカルマスク を着用することが望ましい。医療従事者自身が感染し,発症前日(=感染源となりうる期 間)に外来勤務を行う可能性もあるので,常時着用が望ましい。 ・ なお,迅速診断キットによる検査やウイルス分離・遺伝子増幅検査(PCR等)のための 検体を採取する場合は,サージカルマスクに加えて,眼の防護具(ゴーグル又はフェイス シールド)及び手袋の着用が推奨されている。 (※院内感染対策に関する参考資料) (* 要点は本手引きにも記載済み) ① 医療機関における新型インフルエンザ感染対策 (2009年5月31日: 国立感染症研究所 感染症情報センター) (→ http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/06/dl/info0602-01a.pdf ) ② 医療機関におけるハイリスク者に関する感染防止策の手引き (2009年6月1日: 国立感染症研究所感染症情報センター) (→ http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/06/dl/info0602-01b.pdf ) (3)患者の診断および患者発生届 【診断のための検査】 ・ 患者の臨床症状等からインフルエンザが疑われた場合,一般医療機関における検査の流れ は,新型でも季節型でも基本的に同じである。 ・ 迅速診断検査を実施するかどうかも任意であり,診察した医師の判断で決定する。 【患者の発生届】 ・ 新型インフルエンザの患者発生届(感染症法第12条第1項)については,「全数報告」が 中止され,集団発生時(疑いを含む)に限定した届出体制となった。実際の手続きを以下 に示すが,正式な「届出」の前に,保健所に電話等で「連絡」する必要がある。 4 Flu 外来診療手引き(山形県) ・ 医師は,インフルエンザの集団発生が疑われる事例に気付いた場合は,すみやかに保健所 に電話等で「連絡」する。 (→ この連絡を受けた保健所は,当該患者が属する集団で新型インフルエンザの確定例 が既に報告されているかどうかを確認し,その結果に応じて以下の対応を行う。) ◎その集団で新型インフルエンザの確定例がまだ確認されていない場合 → 保健所は,医師に対して,できるだけ検査用「検体」を確保するよう依頼 → 保健所が県衛生研究所に依頼して,PCR検査を実施 → 新型陽性の場合,保健所は診察した医師に対し,発生届(確定例)の提出を依頼 → 医師は,発生届(確定例)を保健所に提出 ◎その集団で確定例が既に確認されている場合 → 保健所は,集団発生(疑い含む)のあった学校や施設等の集団ごとに期間を定めて, 診察した医師に対し発生届(疑似症)の提出を依頼(感染症法施行規則第3条第3号 に規定する保健所長からの連絡を通じて依頼) → 医師は,発生届(疑似症)を提出 【ウイルス検査用の検体採取】 ・ 保健所から医療機関に対して,ウイルス検査用の検体(患者の鼻咽腔ぬぐい液等)の確保 について依頼があった場合は,できる限り検体の採取に協力する。(保健所からの依頼に あたって,ウイルス輸送培地容器等の説明がある。) ・ 採取された検体は衛生研究所に搬入され,新型か季節型かの鑑別を含めてPCR検査等が 実施される。 (→ 後段の「(7)サーベイランスへの協力」の項も参照のこと) (4)患者の治療および療養指導等 【治療方法】 ・ 抗インフルエンザ薬のリン酸オセルタミビル(タミフル)およびザナミビル(リレンザ) は,新型インフルエンザの治療薬としても効果が期待される。 ・ 今般の新型インフルエンザ患者の多くは軽症であり,抗インフルエンザ薬を使用しなくて も治癒している例がある。ただし,基礎疾患等を有する患者の場合は,重症化リスクを考 慮し,抗インフルエンザ薬による治療を早期から開始することが推奨されている。 ・ 2剤のうちタミフル(経口投与)は,より高い全身性の薬物濃度が得られる。一方,リレ ンザ(吸入投与)は即効性が期待できるものの,全身性の吸収率は低くなる。下気道合併 症(気管支炎,肺炎)などの治療では,タミフルが推奨される。(※参考資料②) 5 Flu 外来診療手引き(山形県) ・ 10歳代の患者へのタミフルの使用については,異常行動との関連で出されていた使用制 限が現時点でも継続されている。ただし,タミフルの添付文書(警告)は,「合併症,既 往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては,原則使用を差し控えること」と いう内容であり,厚生労働省は,新型インフルエンザの疾患リスクなどを考慮し医師が必 要と判断して使用する場合は,その投与を妨げるものではないとの解釈を示している(平 成21年4月30日衆議院厚生労働委員会:厚生労働省健康局長答弁)。10歳代の患者にタミ フルを投与する場合は,①異常行動の発現のおそれがあること,②自宅において療養を行 う場合,少なくとも2 日間,患者が一人にならないように配慮すること」などについて, 患者・家族に説明を行う。 ・ 抗インフルエンザ薬の投与量や注意事項等は,各薬剤の添付文書を参照のこと。なお,小 児患者(1歳以上)に対するタミフルの投与量については,添付文書に「1回2mg/kg を 1日2回,5日間」と記載されているが,米国CDCでは患児の体重別投与量を下記のよう に例示している。(※参考資料③) ・体重 15kg 未満: 30mg×2回/日 ・体重 15~23kg : 45mg×2回/日 ・体重 24~39kg : 60mg×2 回/日 ・体重 40kg 以上: 75mg×2回/日 ・ タミフルの1歳未満の患児(低出生体重児,新生児,乳児)に対する安全性は確立されて いない。しかし,米国では新型インフルエンザの発生を受けて,緊急使用が許可されてい る。症状・所見から重症化が予想され,保護者へのインフォームド・コンセントが十分に 得られた場合においては,医師の判断に基づき投与することもあり得る(※参考資料①③ → 治療の際の投与量については,下記に抜粋) 1歳未満の乳児に対するタミフルの推奨治療量(米国) (※参考資料③より抜粋:上記のmgは、1日量ではなく1回量) → CDC: H1N1 Flu; “Interim Guidance on Antiviral Recommendations for Patients with Novel Influenza A (H1N1) Virus Infection and Their Close Contacts”より引用。 (訳:横浜市立大学小児科 教授 横田俊平先生) ・ 乳児や妊婦への抗インフルエンザ薬の使用に関しては,専門機関からの情報(※下記の参 考資料)、及び日本小児科学会や日本産婦人科学会等の専門団体から示される指針等(今 後新たに公表予定のものもあり)も参考のうえ,治療上の有益性が危険性を上回ると判断 される場合に投与する。 (※治療に関する参考資料) ① 国内医療機関における新型インフルエンザ(A/H1N1)抗ウイルス薬による治療 ・予防 投薬の流れ Ver.2(2009年5月20日:国立感染症研究所 感染症情報センター) 6 Flu 外来診療手引き(山形県) (→ http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009idsc/antiviral2.html ) ② 新型インフルエンザA (H1N1)ウイルスのヒト感染に関する臨床管理:暫定的手引き (2009年5月21日 WHO(原文):国立感染症研究所感染症情報センター) (→ http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009who/WHO_clinical_management.html ) ③ 小児における新型インフルエンザ A (H1N1)ウイルス感染に対する予防と治療の暫定 的手引き(2009年5月13日CDC(原文):国立感染症研究所感染症情報センター) (→ http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009cdc/CDC_children_treatment.html ) 【療養指導等】 ・ 患者は自宅療養を基本とし,その期間については,発症した日の翌日から7日を経過する まで,または解熱した日の翌々日までとする。なお,原則としてその期間の経過をもって 治癒したものとし,治癒の判断根拠としてウイルス検査等は実施しないものとする。 ・ 通常,インフルエンザの軽症患者であれば,解熱後2日を経過すれば,その多くは咳など の症状についても消失していると考えられ,自宅療養を終了することが可能である。 ・ ただし,新型インフルエンザについては,発熱等の症状がなくなってからも,しばらくは 感染力を保つ可能性があることが明らかになっている。このため,感染の拡大防止のため に必要と考えられる場合(学校や各種施設等の関係者などの場合)には,解熱後2日間が 経過していたとしても,発症した日の翌日から7日を経過するまでは,できるだけ外出を 自粛するよう指導する。 ・ 患者(小児の場合は保護者)に対しては,別添の「自宅療養の手引き」などを活用しなが ら,療養にあたっての留意点を説明する。特に,症状の推移に注意し,重症化する兆候を 認めた場合は速やかに医療機関に連絡するよう指導する。 ・ 診療報酬については,通常の保険診療を基本に対応する。ただし,濃厚接触者のうち基礎 疾患を持つ者等に対する抗インフルエンザ薬の予防投与については,原則として保険外診 療(全額自己負担)となる。 (5)濃厚接触者への対応 ・ 患者の同居家族等の濃厚接触者については,発症した場合,その前日から周囲に感染を拡 げるおそれがあることから,患者が発症してから概ね1週間は症状の出現に注意するよう 指導する。 ・ 濃厚接触者(医療従事者の場合を含む)に対する抗インフルエンザ薬の予防投与は,原則 として行わない。ただし,基礎疾患等を有する濃厚接触者については,医師により重症化 の危険性があると判断された場合は,(保険外診療で)予防投与を実施する。なお,その 際には薬剤の「添付文書」を参照し,対象者には効果や注意事項などに関する十分な説明 を行って同意を得る。 7 Flu 外来診療手引き(山形県) ・ 家族等の濃厚接触者への具体的な注意事項は,次のとおり。 <感染拡大防止のための注意> ・なるべく外出を自粛する ・なるべく常時マスクを着用する ・こまめに手を洗う <症状出現時の注意> ・ 発熱や急性呼吸器症状等の兆候を認めた場合は,必要に応じて患者への対応と 同様に,医療機関に事前に電話連絡のうえ受診する (6)入院を要する患者の医療 ・ 医師の診察等により,臨床的な観点から入院が必要と判断された患者については,入院受 け入れ可能な病院(感染症指定医療機関以外の救急告示病院等を含む)に紹介する。 ・ 入院患者を受け入れる病院は,インフルエンザ患者が季節性か新型かにかかわらず,入院 医療においても同じ対応をとることを基本とし,飛沫感染によって感染する他の感染症と 同様,標準予防策に加えて飛沫及び接触感染予防策によって院内感染対策を行う。 (7)サーベイランスへの協力 各医療機関は,感染拡大,重症化,ウイルスの性状変化を早期に探知する目的で,国が県 を通じて実施する各種のサーベイランスに協力する。(以下の①~④のうち,①クラスター サーベイランスは,新型インフルエンザの流行が拡大した段階で中止される。) ① 集団発生の早期探知サーベイランス(クラスターサーベイランス) ・ 医師は,日常診療や学校医等の業務を通じてインフルエンザの集団発生が疑われる事例に 気付いた場合は(※注),最寄りの保健所へ電話等で連絡する。 ・ 上記の連絡を受けた保健所は,感染症法第15条に基づく積極的疫学調査を実施する。 ・ 保健所の調査結果から集団発生が疑われ,かつ,その集団内で新型インフルエンザの確定 患者がまだ確認されていない場合には,集団内の一部の患者(迅速診断でA型陽性の患者) から検体を採取し,ウイルスの詳細検査(PCR検査等)を実施する。その場合,保健所 は患者を診察した医師に対して,できる限り検体(鼻咽腔ぬぐい液など)を確保するよう 協力を依頼する。 ・ 既に当該集団内で新型インフルエンザの確定患者が確認されている場合は,ウイルスの詳 細検査(PCR検査等)を行う必要はない。迅速診断検査を実施するかどうかも,診察し た医師の判断となる。 8 Flu 外来診療手引き(山形県) ・ なお,基礎疾患等により重症化のおそれがある患者など,治療方針決定のためにPCR検 査が必要と判断された患者の場合は,集団発生の探知目的とは別に対応するので,その場 合は保健所に電話等で相談する。 (※注)厚生労働省からは,「どのような場合に集団発生を疑うのか?」について,下記の ような基準(目安)が示されている。しかし,日常診療の中で集団発生が疑われる 事例に気付いた場合は,下記の基準にこだわらず,保健所へ連絡してよい。なお, 学校・保育所・各種施設等で下記の基準に該当するような患者発生がみられた場合 は,各学校や施設等から保健所に連絡するシステムとなっている。 ◎保健所への連絡が必要な場合の基準(目安) → 学校・保育所・各種施設等における同一の集団(10人以上の集団)に属する者の間で, 7日間以内に複数のインフルエンザ患者(疑い例を含む)の発生を把握した場合など (参考: 平成21年7月22日付け厚生労働省健康局結核感染症課 事務連絡) ② 入院サーベイランス ・ インフルエンザと診断された患者が入院した場合,医師は最寄りの保健所へ報告する。 ③ 定点サーベイランス ・ インフルエンザ定点医療機関(*注)は,従前の季節性インフルエンザへの対応と同様, インフルエンザと診断した患者の数について,規定の様式に基づき最寄りの保健所へ毎週 報告する。 ④ ウイルスサーベイランス ・ 病原体定点医療機関(*注)においてインフルエンザと診断した患者について,検体を採 取して県衛生研究所へ送付し,ウイルスの詳細検査(分離,PCR検査等)を実施する。 (*注)感染症発生動向調査事業に基づき,従前から定点として指定されている医療機関。 3.参考資料 ○山形県ホームページ 新型インフルエンザ情報 → http://www.pref.yamagata.jp/ou/somu/020020/03/inful/ ○厚生労働省 新型インフルエンザ対策情報 → http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html 医療の確保,検疫,学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針(改定版) → http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/06/info0625-02.html 9 Flu 外来診療手引き(山形県) ○国立感染症研究所感染症情報センター 新型インフルエンザ(A/H1N1) → http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/index.html ○CDC(米国・疾病対策センター) H1N1 Flu(Swine Flu) → http://www.cdc.gov/h1n1flu/ ○WHO(世界保健機関) Pandemic Flu(H1N1)2009 → http://www.who.int/csr/disease/swineflu/en/index.html 4.山形県内の保健所等(感染症対策担当)の連絡先 (保健所) 村山保健所 電話 023-627-1117 FAX 023-622-0191 最上保健所 電話 0233-29-1268 FAX 0233-22-1311 置賜保健所 電話 0238-22-3002 FAX 0238-22-3850 庄内保健所 電話 0235-66-4920 FAX 0235-66-4935 FAX 023-632-8176 (山形県庁 健康福祉部) 保健薬務課 電話 023-630-2315 ※ 今後,県内で新型インフルエンザの感染が拡大した場合には,上記の電話相談窓口を拡充 する予定。(休日を含めた相談,相談時間の延長など) 以上 10
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