山形県における RVA を使用した小麦 「ネバリゴシ」 - 東北農業試験研究

東北農業研究
(Tohoku Agric Res)54, 81-82(2001)
山形県 における RVAを 使用 した小麦「 ネバ リゴ シ」 の刈取適期
相 澤 直 樹・ 鈴 木 雅 光・ 菊 地 栄 一
(山 形県立 農業試験場 )
ヽ
Vheat Variety
Distinguish the Optimun Time of Harvesting of
・ Nebarigoshi"
by Useing RVA in Yamagata Prefecture
Naoki AIsAWA, MaSamitu SuzuKl and Eiichi KIKUCHI
(Yamagata Prefectural Agricultural Experiment Station)
1
は
じ め
54484X-37326で 表 され,寄 与率0869と 高 か った。年次
月1に みると年次で のア ミログラムの変動 はみ られるが ,ほ
に
山形県 においては,小 麦 の収穫時期 が梅雨 と重なるため
刈 り遅 れによる品質低下 (低 ア ミロ小麦)を 招 いている。
,
ア ミログラムは小麦 の品質 の中で重要 な項 目であるため
迅速 に低 ア ミロ小麦 の判定 を行 う必要 がある。
そこで ,穂 発芽性難 の小麦新品種「 ネバ リゴシ」 につ い
,
ぼ同一 直線 に載 ってお り,年 次 を超えて上記 の関係 がみ ら
れた (図 2)。 品種別 ではキタカ ミコム ギが 低 く,ナ ンブ
コムギとネバ リゴシは最高粘度が高 い域 に多 か ったが ,ほ
ぼ同一 直線上 にあり,品 種 が異 な って もその関係 は変 わ ら
な いとみ られた (図 3)。
這聟に 晏く♪〓 K
度を推定 し,「 ネバ リゴシJの 刈取適期 を検討 した。
2試
験 方
法
(1)試 験 1:RVAと ア ミログラムとの関係
RVAは 小麦粉36g(水 分135%換 算),加 水量25ン を
RVA温 度条件 (開 始温度34℃ 加熱温度 5℃ /分 ,最 高温
度93℃ )で 測定 した。
2)試 験 2:耐 雨特性比較
l RVAと
図
ア ミロ グ ラム最 高粘度 との関係
1400
日妻極喘 くいヽ口″ヽ
後 にブラベ ンダーテス トミルで粉砕 し,RVAと オ ー トア
ナライザ ーで分析 を行 った。
RVA最高精度
F鑽
平成 9∼ 12年 の山形農試本場 。庄内支場産 ,作 況試験・
奨励品種決定調査試験 サ ンプル (小 麦 3系 統 :ナ ンブコム
ギ ,キ タカ ミコムギ,ネ バ リゴシ)を 使用 し,脱 穀・ 乾燥
姻 輌 姻¨ 翻 御輌 劉。
て ,従 来 の ビスコアナライザ ーよ りも,よ り少量 か つ 短時
間 で測定 できるラ ピッ ドビスコアナライザー (ブ ラベ ンダー
社製 ,以 下 RVAと 略す)を 使用 して ア ミログラム最高粘
1200
lt1 0
800
6∞
・
′
4al
平成 12年 に山形農試畑 の,ネ バ リゴン,ナ ンブコムギに
出穂期以降雨 よけハ ウスを設置 し,小 麦成 熟期前20日 か ら
人工的 に散水 した。雨量 の設定 については,多 雨区 につ い
2∞
,
た。
3
試験結果及 び考察
試験 1:
麦 の RVAと ア ミロ グラ ム
1に
平成 9年 ∼ 12年 産月ヽ
図
の
最高粘度 と 関係 を示 した。本試験で はア ミログラムの低
い域でのデ ー タがな いこと及び東北農試 での同様 の試験 で
図
2 RVA―
(D
は単相関関係 であ ることか ら,関 係式 は直線 と して y=
-81-
300
2∞
400
0
図3
ア ミロ グ ラ ム最 高 精 度 の年 次 変 動
RVA―
沖” 鴨 ‘
グを行 い,乾 燥後脱穀・ 粉砕 して RVAに よって分析を行 っ
100
RVA最 高粘度
日 黒 “翡 ●一さ κ
少雨区 については,多 雨区 の 1/3(6111/日 )に なるよ
うに設定 した。また,成 熟期以前 か ら段階的 にサ ンプ リ ン
o
。。
仰 m m mm 仙 2
。
ては過去 10年 間 の小麦成熟期 の -20日 ∼ +10日 の 日別降水
量 の最大値 を平均 した雨量 (19mm/日 )を 目標 │こ 散水 した。
0
100
200
RVA最 高粘度
000
ア ミロ グラ ム最高粘 度 の品種変動
東 北 農 業 研 究
第
54 号
(2001)
以上 のことか ら,ア ミログラム最高粘度 は上記 の関係式
の変換 で RVA最 高粘度 か ら推定できるとみ られ ,低 ア ミ
ロ小麦 のア ミログラムが400以 下 の 時 ,RVAの 最高粘度
が150R U以 下 となる。 RVAに よるア ミログラム最高粘
2∞
度 との換算式 は,y‐ 54484X-37326(X≧ 80Dと なる。
また,RVA最 高粘度 80未 満 ではア ミログラム最 高粘度
ビ
に換算 できない。従来 のア ミログラム最高粘度 は原粒 小麦
21Xl gが 必要 で測定時間 は60分 であ るのに対 し,RVA最
,150
高粘度 は原粒小麦 10g(5穂 程度 )で 測定時間20分 である
ため,従 来 より少量 かつ短時間で分析可能 となる。
50
1∞
9)試 験 2:
0
ナ ンプコムギの成熟期 は 6月 26日 ,ネ バ リゴシは 6月 28
日であ った。 いずれ の区 において も少雨区が最高粘度 が高
く,成 熟期 における最高粘度 はネバ リゴンの方が高かった。
0/13
図4
6/20
6/27
7/4
7/11
7/18
異 な る降雨条 件下 にお け るア ミロ グ ラム最 高粘度 の
推移
成熟期後 はナ ンプコムギの方 が最 高粘度 の低下程度が顕著
であ った。
試験 1か ら低 ア ミロ小麦 はア ミログラム最 高粘度 が400
以下 とす ると,RVAで 150R U以 下 とな る ことか ら,ネ
パ リゴンの刈取適期 は成熟期か ら+10日 までとなる (図 4)。
しか し,品 質 を最優先するために成熟期を迎えた ら可能 な
限 り早 く刈 り終える ことが望ま しい。
4
ま
と
め
山形県 にお いて両品種 の成熟期 の差やネバ リゴンの刈取
適期幅を考慮す ると,ネ バ リゴシを導入する ことで小麦 の
刈取適期幅 を 5日 程度拡大す ることが可能 となる。
-82-