AZADO-銅触媒系を用いたアミノアルコール類の 高化学選択的空気酸化

第 25 回仙台シンポジウム Poster 発表要旨
AZADO-銅触媒系を用いたアミノアルコール類の
高化学選択的空気酸化反応
Highly Chemoselective Aerobic Oxidation of Amino Alcohols
Using AZADO-Copper Catalysis
長澤翔太、笹野裕介、澁谷正俊、岩渕好治
(東北大院薬)
アルコールのカルボニル化合物への酸化反応は,有機化学において最も基本的な官能基変換反応
の一つであり,これまでに様々な手法が開発されている.しかしながら,分子内に「無保護」の窒
素原子を有するアルコール基質(アミノアルコール)の効率的な酸化は,電子豊富な窒素原子に起
因する望まない副反応が進行しやすいことから,今なお困難な課題として
位置づけられている.最近我々は,当研究室にて開発された高活性アルコ
ール酸化触媒 AZADO
1)
(Figure)と銅塩を用いることで,アミノアルコール
基質において高化学選択的にアルコールの空気酸化反応が進行することを
見出したので報告する 2).
Table: Substrate scope
2011 年に Stahl らにより報告され
R3
た TEMPO-銅触媒系を用いたアルコ
R2
ール空気酸化反応条件
3)
N
R4
OH
R1
AZADO (x mol%), CuCl (y mol%)
bpy (y mol%), DMAP (2y mol%)
R3
MeCN (0.2 M), Air (open), rt
R2
N
R4
R1
に着目し,
OH
条件検討を開始した.その結果,
N
室温,開放空気雰囲気下,種々のア
OH
OH
AZADO, CuCl, 2,2-bipyridyl (bpy),
DMAP という触媒系を用いることで,
BnN
97% / 2.5 h
(x = 1, y = 3)
で酸化されることを明らかにした
(Table).また本手法は,他の汎用さ
れるアルコール酸化手法の適用が困
N
N
N
H 2N
77% / 4.5 h
(x = 5, y = 5)
88% / 1 h
(x = 3, y = 3)
ミノアルコール基質が対応するアミ
ノカルボニル化合物へと良好な収率
O
HO
BnN
OH
74% / 1 h
(x = 5, y = 5)
(1-Me-AZADO was used.)
NH 2
Br
N
H
Br
97% / 2 h (x = 3, y = 3)
cf) DMP, TPAP, PCC: low yield (<15%)
難な,高度に官能基化された基質にも適用が可能であった.さらに,天然アルカロイド合成の最終
工程に本手法を適用し,その合成化学的な有用性も示した.発表ではこの詳細についても述べる.
<参考文献>
1)a) Shibuya, M.; Tomizawa, M.; Suzuki, I.; Iwabuchi, Y. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 8412.
b) Iwabuchi, Y. Chem. Pharm. Bull. 2013, 61, 1197. (Review)
2)Sasano, Y.; Nagasawa, S.; Yamazaki, M.; Shibuya, M.; Park, J.; Iwabuchi, Y. Angew. Chem. Int.
Ed. 2014, 53, 3236.
3)Hoover, J. M.; Stahl, S. S. J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 16901.
発表者紹介
氏名
長澤
翔太(ながさわ
しょうた)
所属
東北大学大学院薬学研究科
学年
博士課程後期1年
研究室
合成制御化学分野
(岩渕研究室)