3、訓練内容

3、訓練内容
(吃症状を軽減させるための発話方法)
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
発声・発音の仕組みを理解する
意識して呼吸する
軟らかい声を出す(軟起声)
声を途切らせずに続ける
舌や唇の余分な力を抜く
いくつかの方法を試しながら、
一番楽な話し方を検討します。
(1)発声・発音の仕組みを理解する
発声時の声帯
「日本耳鼻咽喉科学会」HPより引用
「音声障害のクリニカルマネージメント」J.L.Case著より
呼吸時の声帯
(2)意識して呼吸する
・ 日常的に浅い呼吸になっている場合には、
(胸)腹式呼吸により深い呼吸を練習します。
息を長く吐いて、のどや肩の余分な力を抜き
ます。
・ 意識して呼吸することを練習します。毎日の
練習により、徐々に上達します。
意識して呼吸する方法(例)
①首を軽く動かします。
②腕を回して、胸を開きましょう。
③咳払いをしてのどをすっきりさせます。
④背筋をピンと伸ばして座り、目を閉じます。
⑤舌の力を抜き、上あごと下あごをそっと離します。
⑥では、呼吸に意識を向けましょう。
⑦息の流れを鼻の穴の近くの皮膚で感じてみましょう。
⑧鼻の奥の粘膜でも感じられますか。
⑨のどの奥の方でも感じられますか。
⑩声帯でも感じられますか。
⑪肺と横隔膜の動きは感じられますか。
⑫気持ちよく、深い呼吸に集中できたら、ゆっくり目を開けましょう。
*雑念が出てきたら、反応・判断することなく、また呼吸と体の感
覚に意識を戻します。
*毎日2回、 1回5分程度練習しましょう。
(3) 軟らかい声を出す(軟起声)
声たてに集中して、小さな声から徐々に声を大きくします。
硬起声
声帯 力が入り、硬く閉じている。
呼気 大量で圧力が高い。
軟起声
力が抜け、柔らかい。
少量で圧力が低い。
音声分析ソフトを用いた「あ」の音圧波形
(杉スピーチアナライザー)
硬起声
(音圧が急激に上昇)
(音の大きさ)
軟起声
(音圧が徐々に上昇)
(4)声を途切らせずに続ける
• 文節の終わり、母音が続くところなどで声が
途切れてしまうことが習慣化している場合が
あります。
• 最後の音を少し引き伸ばして、次の文節につ
なげます。のどを触わると、声帯の振動が続
くのが確認できます。
• 声が途切れ易い場合には、1秒で1音程度の
非常にゆっくりな速度で練習します。
(5)舌や唇の余分な力を抜く
有声音と無声音は、声を出すタイミングが異なります。
舌や唇を使って出す子音では、発音と声たて(軟起声)
を別々に練習します。舌や唇はゆっくり動かします。
有声音と無声音の種類
有声音
母音、半母音 ①あ行、や行、わ
鼻音
②ま行、な行
摩擦音
破裂(破擦)音・ ③だ行、が行、ば
弾音
行、ざ行、ら行
無声音
④さ行、は行
⑤た行、か行、ぱ行
有声音
息と声が同時にでます。軟起声で練習しましょう。
① あ行、や行、わ
/a/
や ゆ
よ
わ
声帯振動
息の出始め
②ま行、な行
/ ma /
いあ いう いお うあ
③だ行、が行、ば行、ざ行、ら行
/ da /
声帯振動
声帯振動
鼻から息が出る
舌打ち様の音
無声音
発音を開始した後、遅れて声帯が振動します。
④ さ行、は行
/s a/
声帯振動
息が出る
⑤た行、か行、ぱ行
/t a/
声帯振動
舌打ち様の音
練習課題
• 50音
• 苦手な言葉
(挨拶、氏名、勤務
先、数字など)
• 文章の音読
• 会話・モノローグ
• 電話
• イメージ練習
病院で練習
家で復習
日常生活で
応用
文章例(北風と太陽)
ある日、北風と太陽が力くらべをしました。
旅人の外とうを脱がせた方が勝ちということ
に決めて、まず、風から始めました。風は「よ
うし、ひとめくりにしてやろう。」と激しく吹きた
てました。風が吹けば吹くほど、旅人は外とう
をぴったりと体に巻きつけました。次は太陽
の番になりました。太陽は雲の間から顔を出
して、暖かな日差しを送りました。旅人はだん
だん良い心もちになり、とうとう外とうを脱ぎ捨
てました。そこで風の負けになりました。
なぜ、上手く言えたり、
言えなかったりするのでしょうか?
無意識な話し方
これまでの方法
• 無意識に行った発話は、
過去の経験に基づいた
方法となります。
わかれ道
意識的な
話し方
新しい方法
• 新しい話し方を意識的
に使うほど、新しい話し
方が学習されます。
繰り返すこと
で道が太くな
る!
• 話し始める前に、どちら
の方法を選択するのか
決めることが重要です。
毎日の練習の重要性
• これまでの発話習慣を変えるには、毎日の練
習の積み重ねが重要です。
• 2-3分の練習を就寝時、車中、入浴時など同じ
時間に行うと、継続しやすいようです。
• 苦手なことばやフレーズは、ノートに書いて、練
習しましょう。