7 1994年 に 福 岡 市 お よ び 近 郊 で 分 離 さ れ たvero毒 O157:H7のpulsed-field 素産 生 性 大腸 菌 gel electrophoresis に よ る解 析 福 岡大 学 筑 紫 病 院小 児 科1),東 京都 立 衛 生研 究 所2),福 岡大 学 小 児科3) 福 岡市 立 こど も病 院 ・感 染症 セ ンタ ー検 査 科4),同 感 染 症 科5) 福 岡大 学 病 院検 査 部6),福 岡 徳洲 会 病 院小 児 科7) 諸 岡 達 也1)甲 斐 明 美2)又 野 浩 美3)山 口 覚3) 村 尾 利 光4)青 木 知 信5)村 上 紀 之6)村 松 和 彦7) 広 田 修3)井 上 秀 一 郎3)田 中 美 紀3)伊 藤 武2) 工 藤 泰 雄2) Key words: (平成7年8月30日 受付) (平成7年9月29日 受 理) verotoxin-producing pulsed-field らvero毒 XろaIに か ら9月 ま で の3カ 月 間 に,福 素 産 生 性 大 腸 菌0157:H7が9株 よ る 菌DNAの 識 別 を検 討 し た.9株 事 例 由 来 の7株 旨 岡 市 お よ び 近 郊 の4病 分 離 さ れ た.2名 切 断 パ タ ー ン をpulsed-field は す べ て 異 な るPFGEパ 院 小 児 科 で,散 ず つ2事 発 性 腸 炎 小 児9名 例 は 同 胞 例 で あ っ た.制 gel electrophoresisで の 内2同 胞 例 か ら分 離 され た2株 な っ て い た こ と,ま た2同 coil (O157: H7), gel electrophoresis 要 1994年7月 Escherichia 比 較 して,こ ず つ は,各 々 同 一 で あ った が,独 タ ー ン を 呈 し た.以 上 か ら,7散 胞 例 で は,感 染 源 が 同 一 で あ るか,あ か 限 酵素 れ ら菌 株 間 の 立 した7散 発 発 事 例 で は感 染 源 が 各 々 異 る い は 家 族 内 で のperson to personで の 感 染 の 可 能 性 が 強 く示 唆 され た. 序 1990年 VTEC感 文 浦 和 市 で 発 生 し たvero毒 菌(verotoxin-producing 素 産生 性大 腸 Escherichia VTEC)O157:H7に coli, よ る 集 団 下 痢 症 事 例1)以 来, 本 邦 で もVTECに 対 す る 関 心 が 高 ま っ て お り,全 染 症 の 大 部 分 を 占 め る と考 え られ る散 発 例 で は,ほ とん どの例 で 感 染 源,感 染 経 路 は不 明 で あ る. 私 達 は,1994年7月 か ら9月 の3カ 月 間 に福 岡 市 お よ び 近 郊 で,散 発 性 腸 炎 小 児 か らVTEC 国 各 地 か ら流 行 例 お よ び散 発 例 の 報 告 が 増 加 して O157:H7を9株 い る. 路 解 明 の一 助 とす る た め に,こ れ ら菌 株 間 の 識 別 流 行 例 に 関 し て は,米 国 や カ ナ ダ で はハ ンバ ー ガ ー を主 とす る牛 肉 由 来 食 品 が感 染 源 との報 告 が 多 い2)が,本 をpulsed-field gel electrophoresis(PFGE)を 別 刷 請求 先:(〒818)筑 材 料 と方 法 福 岡大 学 筑 紫 病 院小 児 科 平 成8年1月20日 諸岡 福 岡 地 区 の4病 院 小 児 科(福 福 岡 大 学 病 院,福 紫 野市 大 字俗 明院377-1 達也 利 用 して 検 討 した の で 報 告 す る. 邦 で は保 育 園 な ど の施 設 内 で の 給 食 や 井 戸 水 が 原 因 と 推 定 さ れ て い る1)3)4).一 方, 分 離 した.本 菌 の感 染 源,感 染 経 岡 大 学 筑 紫 病 院, 岡 市 立 こ ど も病 院,福 岡徳洲会 病 院)を 受 診 した 散 発 性 腸 炎 小 児 か ら,sorbitol- 諸 岡 達也 他 8 Table 1 Clinical profiles characteristics *** family , MacConkey培 O157:H7 下 の 検 討 を 加 え た.VT型 vhお よ びVT2vpに VTEC and bacteriological 0157: H7 outbreaks 地 あ る い はVT/PECS法5)を て 分 離 さ れ たVTEC of the patients of isolated 用 い Fig. 1 9株 に つ い て 以 別 はVT1, VT2, PFGE Fukuoka patient VT2 of E. coli 0157: area numbers in 1994. Lane in Table H7 isolated numbers in the reflect the 1. 各 々特 異 的 な プ ラ イ マ ー を 用 い,常 法 に 従 いPCR法 PFGEは 制 限 酵 素Xba を 用 い て 検 討 し た6). Iに よ る 菌DNAの 切 断 パ タ ー ン を 比 較 検 討 し た7). 成 績 お よ び 考察 患 児 の 年 齢 は1歳 か ら9歳 症 状 が1例,HUSが1例 1).1994年7月 で,血 に3例,8月 と 夏 季 に 分 離 さ れ た.症 例 で あ っ た.VT型 に1例,9月 例4, で は9株 た が,そ に5例 5と7,8は 中7株 産 生 株 でVT1+VT2vhが2株 し た9株 便 が7例,無 に 認 め ら れ た(Table 同胞 がVT1+VT2 認 め ら れ た.検 討 の 内 同 胞 例 か らの 分 離 菌 株 は 同一 で あ っ れ 以 外 は7株 ン を 呈 し た(Fig. VTEC す べ て 異 な るPFGEパ O157:H7の 生 物 型,フ ター 1). 疫 学 マ ー カ ー に は,毒 素 型, ァ ー ジ 型,プ ラ ス ミ ッ ドプ ロ フ ィー ル な ど が 知 ら れ て い る2).さ PFGE7)∼9)やarbitrarily ら に,最 primed 近 で は, PCR法10)な どの べ て 異 な る パ タ ー ン を 呈 し た .感 染 源,感 を 特 定 す る こ と は で き な か っ た が,3カ 短 期 間 に,福 VTEC感 染 経路 月 とい う 岡 市 お よ び近 郊 で 発 生 した 散 発 性 の 染 症 で は,原 因菌株が各 々異 なっていた 優 れ た 識 別 能 力 を 有 す る 遺 伝 子 解 析 の 手 法 も検 討 こ と を 示 し て い る.少 さ れ て い る. 染 物 が 流 通 機 構 を介 して感 染 した 可 能 性 は否 定 さ 私 達 は,制 限 酵 素 の 中 で はVTEC O157:H7菌 株 間 の 識 別 に 最 も 有 効 と 言 わ れ て い るXba を 用 い たPFGEに れ たVTEC O157:H77事 い て 検 討 し た.そ た 各 々2株 よ り,1994年 の 結 果,2同 I7)∼9) 間 の異 同 につ 胞 例 か ら分 離 さ れ は 同 一 で あ っ た が,7事 一 株 に よ る汚 れ た.ま た 同 胞 例 で 同 一 パ タ ー ン を と っ た こ と は, 夏 に福 岡 で 分 離 さ 例9株 な く と も,同 例 由来 株 はす 感 染 源 が 同 一 で あ る か,あ son to personで る い は 家 族 内 で のper- の感 染 の 可 能 性 を強 く示 唆 して い る. 今 回 の 検 討 で,PFGEはVTEC O157:H7菌 間 の 識 別 が 可 能 で あ っ た こ と か ら,私 感 染 症 学雑 誌 株 達 は本法 は 第70巻 第1号 VTEC O157: 本 菌 感 染 の疫 学 的 研 究 を進 め る上 で有 用 な方 法 と 考 え る。しか しPFGEだ H7 ‚Ì 4) 高 山 有 道, 0111: けで は識 別 が 困 難 な菌 株 の存 在 も報 告 され て お り,そ の 場 合 は 他 の 識 別 法 染 そ の もの を予 防 す る こ とが重 要 で あ る.感 染 源 の らに 無 症 状 排 菌 者 等 と多 岐 にわ た っ て い るた め,一 般 的 な 衛 生 上 の 啓 蒙 を行 う こ とが 必 要 な こ とは言 う まで もな い. さ ら に,今 後,本 を利 用 したVTEC分 法 は じめ種 々 の 疫 学 マ ー カー 離 株 間 の 識 別 を よ り詳 細 に 検 討 す る こ とに よ り,本 菌 の ヒ トへ の感 染 源 と感 染 経 路 を同 定 し,適 切 な感 染 予 防 対 策 が 確 立 され る こ と を期 待 す る. 謝辞VT型 断医学部 別 を検討 していただ きました塩野義製薬診 南出和喜夫氏,村 田 豊氏 に深謝いたします. 文 1) 赤 司 俊 二, 城 宏 輔, 献 辻 敦 敏, 他: 浦和市にお け る 病 原 大 腸 菌 に よ る 出 血 性 大 腸 炎 の 臨 床 像. 児 誌1991; 2) Karmali 95: MA: Infection producing Escherichia 1989; 2: 15-38. 3) 伊藤 by verocytotoxin- coli. Clin Microbiol 武, 甲 斐 明 美, 斎 藤 香 彦, 他: 産 生 す る Escherichia coli O145: 中 毒 の 細 菌 学 的 ・疫 学 的 検 討. 年 報1985; 平 成8年1月20日 36: 日 2607-2615. 16-22. Rev Cytotoxinを H-に よ る集 団食 東 京都 立 衛 生研 究 愛 媛 県 病 誌1988; MA, Petric GS: low numbers chia coli in mixed 竹 田 美 文, 毒 素. 生 大 腸 菌 24: M, Lim Sensitive J Clin Microbiol 6) Verotoxin産 よ る出 血 大腸 炎 お よ び溶 血 性 尿 1-13. C, Cheung method for cultures R & detecting of verotoxin-producing sweeps and polymyxin 可 能 性 が 指 摘 さ れ て い る もの は,畜 牛,輸 入 食 肉, 愛 玩 動 物,さ H-に 毒 症 症 候 群. Arbus 有 効 な 治 療 法 が な い現 在,VTEC感 松 本 修 平: K58: 5) Karmali との併 用 が 必 要 と な ろ う8). HUSの 9 PFGE Escheri - by use of colony extraction of verotoxin. 1985; 22: 614-619. 山 崎 伸 二: 腸 管 出 血 性 大 腸 菌 とVero 臨 床 と微 生 物1991; 18: 443-455. 7) Kai A, Obata H, Yamada S et al.: Molecular subtyping of verocytotoxin-producing Escherichic coli isolated from human and animals in Tokyo. The 30th joint conference U.S.-Japan cooperative medical science program cholera and related diarrheal diseases panel (abstract). 1994; 115-118. 8) Bohm H & Karch H: DNA fingerprinting of Escherichia coli 0157: H7 strains by pulsedfield gel electrophoresis. J Clin Microbiol 1992; 30: 2169-2172. 9) Barrett TJ, Lior H, Green JH et al.: Laboratory investigation of a multistate food-borne outbreak of Escherichia coli 0157: H7 by using pulsed-field gel electrophoresis and phage typing. J Clin Microbiol 1994; 32: 3013-3017. 10) Madico G, Akopyants NS & Berg DE: Arbitrarily primed PCR DNA fingerprinting of Eschericha coli 0157: H7 strains by using templates from boiled cultures. J Clin Microbiol 1995; 33: 1534-1536. 諸岡 達也 他 10 Analysis of Verotoxin-producing Escherichia coli (0157:H7) Strains Isolated in the Fukuoka Area in 1994 by Pulsed-field Gel Electrophoresis Tatsuya MOROOKAn, Akemi KAI2), Hiromi MATANO3), Satoru YAMAGUCHI3), Toshimitsu MURA04), Tomonobu AOKI5), Noriyuki MURAKAMI6), Kazuhiko MURAMATSU7), Osamu HIROTA3), Shuichiro INOUE3), Miki TANAKA3), Takeshi ITO2' & Yasuo KUDOH2) Department of Pediatrics, Fukuoka University Chikushi 1) Hospital 2)Department of Microbiology , Tokyo Metropolitan Research Laboratory of Public Health 3)Department of Pediatrics , Fukuoka University Department of Laboratories, Fukuoka Children's 4) Hospital and Medical Center for Infectious Diseases 5)Department of Infectious Diseases , Fukuoka Children's Hospital and Medical Center for Infectious Diseases Department of Clinical Laboratories, Fukuoka 6) University Hospital Department of Pediatrics, Fukuoka Tokushukai Hospital 7) Nine verotoxin-producing Escherichia coil 0157:H7 strains were isolated from 9 pediatric patients with sporadic enteritis between July and September 1994 at four clinics in the Fukuoka area. The patients included two families with two cases each. These strains were analyzed by pulsed-field gel electrophoresis for Xba I-digested DNA fragments. The restriction patterns were identical between each two strains within the two family outbreaks, but different among the seven strains of the distinct seven sporadic cases. It is strongly suggested that the seven sporadic cases were infected through distinct sources, and that the two family cases were due to a common source of infection or person to person infection. 感 染 症 学雑 誌 第70巻 第1号
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