小麦 播 「虫 送 」 麦 ば 稈 か

こんな
活用法が
あった
むらのピンチをチャンスに
楽しく変える、あの手この手
ば
っ
か
ん
小麦 を播いて
「虫 送 り」の
麦稈に、
ま んじゅうに
千葉県九十九里町田中集落
文=編集部
写真=高木あつ子
24
25
75
わずかに3戸となった。
﹁草刈りを1年しないだけで、セ
そんななか、1990年代から
耕作放棄地が急速に増えてきた。
﹁ ご く ろ う さ ま。 朝 か ら 冷 え る
イタカアワダチソウやクズがぐん
立ち上がった
むらのオヤジたち
ね﹂
﹁今年の小麦はどうかね﹂
ばジャングルだ。空き缶やビンだ
九里町の﹁田中交遊倶楽部・自然
踏み作業をするのは、千葉県九十
動車までどんどん捨てられる﹂
けじゃない。冷蔵庫やテレビ、自
ぐん伸びてくる。3年も放置すれ
2月初旬の日曜日。寒空のなか、
昨年の 月下旬に播いた小麦の麦
塾﹂の面々。市街地から車で 分、
そうした農地の荒廃は、高齢農
家が耕作を断念したところとは限
田中集落︵ 戸︶の住民が中心と
なる地域おこしグループだ。
らない。すでに地権者がよそに引
ために行政が勝手に整備するわけ
っ越してしまい、不在地主化して
いる農地も多い。だが、私有地の
自営業や建築士、陶芸家、定年帰
にもいかない。集落の問題は集落
を中心とした﹁むらの飲み仲間﹂
が、月に1、2度集まっては﹁定
年後はなにをしようか﹂と、ワイ
年ぶりに
「虫送り」を復活
でいたので、まずはむらの景観を
げていくか。田畑の荒廃もすすん
﹁これから田中集落をどう盛り上
で、2003年に設立した。
行事﹁虫送り﹂の復活だった。
なかひらめいたのが、集落の伝統
ば長続きしない ﹂
。議論を重ねる
自分たちが楽しめることがなけれ
﹁耕作放棄地の活用といっても、
む ら
よくしようやという話になった﹂
稲を軸に小麦やサツマイモ、ラ ッ
駆除する豊作祈願の祭りのこと。
の害虫を明かりで呼び寄せて炎で
竿でつくる松明に火をつけ、イネ
カセイをつくっていたが、高齢化
農薬がいまほど普及していない1
1960年代まで、田中集落に
は専業農家が 戸ほどあった。水
と、大塚さんは当時をふり返る。
44
虫送りとは、イネが穂をつくる
7月下旬に、麦稈︵麦から︶と竹
ワイガヤガヤ意見交換をするなか
の力で解決するしかなかった。
農など 人。 ∼ 歳の団塊世代
67
72
東
金
線
126
街道
東金
20
自然塾のメンバーは、元会社員
の大塚徳郎さん︵ 歳︶を代表に、
52
53
30
とともに離農がすすみ、いまでは
SPRING 2012
季刊地域
25
11
12
路
道
ぼ 70 アール、畑 30 アール
九十九里浜
料
メーカーを定年後は、田ん
有
九
十
九
大網白里町
里
「田中交遊倶楽部・自然塾」
代表の大塚徳郎さん。塗料
線
九十九里
町役場
九十九里町
金
東
田中集落
東金市
山武市
制度
論説
活用術
マンパワー
導入
特集 耕作放棄地と楽しくつきあう
本
武
総
で農業を営む
3年放置された畑はジャングルとなり、自動車ま
で不法投棄される