日本のバイエル
Bayer in Japan
Harmony
No.40 December 2000
アスピリン、
100年目の新適用承認
抗血小板剤
「バイアスピリン」発売へ
Antiplatelet agent Bayaspirin
to be launched soon.
バイエル薬品は抗血小板剤「バイアスピ
リン」を2001年1月に新発売する。100年以
上にわたって世界中で使用されている解熱
鎮痛剤アスピリンに、血が固まるのを防ぐ
効果が新適用として承認されたことによる
ものだ。具体的には、現在、日本人の生命
を脅かしている狭心症や脳梗塞などの原因
となる血栓再発予防である。欧米では既に
この効能の追加が認められており、日本で
は国内での臨床試験を省き、海外のデータ
を審査することで効能の追加が認められた。
また「バイアスピリン」の特徴として、
胃への負担を大幅に少なくした腸溶錠タイ
プが採用されている。
「バイアスピリン」の発売によって、医
療用医薬品事業の『生活習慣病プロジェク
ト』の四つ葉のクローバーが完成。今後、
さらに積極的なプロモーションが展開され
ることになる。
なお、バイエル薬品は11月にニューキノ
ロン系注射用抗菌剤「シプロキサン注」を
新発売した。
「シプロキサン注」は、幅広い抗菌スペ
クトルを持ち、院内肺炎の原因となる緑膿
菌を始めとするグラム陰性菌に対しても優
れた抗菌力を持つ。国内におけるニューキ
ノロン製剤では初めての注射剤となり、重
症感染症治療に新しい選択肢を提供するこ
とになる。
(詳細はP8∼15)
Bayer Yakuhin will launch the new
antiplatelet agent Bayaspirin in January 2001,
a new indication for Aspirin, used for more
than a hundred years the world over. It will
complete the four-leaved clover of the
lifestyle-related diseases project and will be
used in the prevention of heart attack and
stroke recurrence.
In November this year, the new quinolone
type antibiotic Ciproxan iv for injection was
launched. This broad spectrum product will
provide a new alternative for severe infection
treatment. See pp.8-15
アスピリン、
100年を超えて新適応承認
抗血小板剤
「バイアスピリン」発売へ!
New indication approved for centenarian Aspirin
Antiplatelet agent Bayaspirin to be launched soon!
現代病の救世主
「バイアスピリン」
もうすぐ21世紀。私たちの生活は100
年前には想像もできなかったほど大きく
変わった。豊かな食生活、発達した交通
網、ハイテク化された家電など……しか
し、これらの豊かすぎる生活には代償が
あった。欧米型の食生活や運動不足によ
ってひきおこされる生活習慣病である。
その代表的なものが、日本人の死因の上
位を占める心筋梗塞や脳卒中である。い
ずれも血液が凝固して、いわばドロドロ
の状態になり、血管が詰まって起こる病
気だ。
いったんこれらの病気が発症すると患
者は生涯、再発の予防を考慮した生活を
送る。その再発を予防する薬がようやく
日本にも登場した。とはいってもまった
くの新しい薬ではない。今まで100年以
バイエル薬品
マーケティング第1学術
プロダクトマネジャー
内藤寛之
上にわたって、解熱鎮痛剤として世界中
で愛されてきたアスピリンが、血液をサ
ラサラにする薬「バイアスピリン」とし
て発売されることになったのである。
血をサラサラにする
効果
昨年、生誕100周年を迎えたアスピリン。その新しい適応症
が日本で承認され、早くも各方面で大きな反響を呼んでいる。
心筋梗塞や脳卒中などの再発予防の薬として2001年1月に発
売される新製品は、その名も「バイアスピリン」。ミラクル
ドラッグの活躍の場がまた拡がった。
8
Harmony December 2000
なぜ、アスピリンがドロドロの血液を
サラサラにするのだろうか。血液が“ド
ロドロ”になるのは、血液の流れが悪く
なったり、固まりができて流れが止まっ
てしまうということである。その要因の
1つに血小板の凝集作用がある。血小板
はケガをした時に、傷口に集まって血が
Relief from lifestyle-related diseases
For our high standard of living that
could hardly be imagined a hundred
years ago, there is a price to pay in
lifestyle-related diseases owing to the
adoption of western-style food and lack
of exercise. Heart attacks and strokes,
the chief causes of death in Japan, are
both due to clotting of the blood, which
becomes sticky and clogs the blood vessels.
When this happens, a patient has to
take preventive measures for the rest of
his life. A drug to prevent a recurrence
has now finally appeared in Japan as
well. It is Aspirin, the remedy for fever
and pain that people all over the world
have come to cherish these last hundred
years, in its new form Bayaspirin, a drug
to improve the flow of blood.
効能・効果
●下記疾患における血栓・塞栓形成の抑制
狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)
心筋梗塞
虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)
、脳梗塞)
●冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施工後における血栓・塞
栓形成の抑制
流れるのを止めてくれる働きがあること
た解熱鎮痛剤での臨床データと血小板抑
はみなさんもご存じの通り。しかし、そ
制作用の海外における豊富な臨床データ
の働きは時におせっかいをすることもあ
が、安全性と有効性を十分に証明。その
る。血管にコレステロールなどがたまっ
結果、日本での治験が省かれ、早い承認
ていると、その部位に凝集し血管内にダ
申請が可能となった。
ムを造り、血液の流れをせき止めてしま
うことがあるのだ。
実は、日本でも承認以前から多くの医
師がこの効果を認めており、アスピリン
血液内には、血小板を集めたり、血管
製剤を心筋梗塞や脳卒中の再発予防に使
を収縮させるトロンボキサンA2という
っていた。「バイアスピリン」の発売は
物質がある。この物質はシクロオキシゲ
誰もが首を長くして待ち望んでいたこと
ナーゼという酵素によって活性化される
だったのである。
が、このシクロオキシゲナーゼの働きを
内藤プロダクトマネジャーは今回の上
抑制するのがアスピリンなのである。つ
市に際し、次のように抱負を述べている。
まり、アスピリンは血液の中で血小板が
「バイエルはアスピリンの生みの親。世
集まる作用を抑止する働き(血小板凝集
界中のバイエルグループが持つ豊富なデ
抑制作用)を持ち、血液をサラサラにす
ータがあります。今後はこのデータをま
る働きを持つのだ。
とめ、医師を通じて患者さんに脳卒中や
心筋梗塞の予防を啓蒙していきたいと思
100年の実績が高い
安全性を証明
います。日本の患者さんの病気の知識は、
欧米に比べて3分の1と言われており、
誤った知識が命とりになるケースも多く
このアスピリンの血小板凝集抑制作用
あります。MR750人が力をあわせて患
が発見されたのは1967年。以来、アスピ
者さんの知識向上に向けて頑張っていき
リンの抗血小板剤としての有用性が様々
たいと思います。そして一人でも多くの
な疾患において、立証されてきた。現在
患者さんの命が救えるよう願っていま
では、多くの国で、抗血小板剤として承
す」
認・使用され、心筋梗塞や脳卒中予防の
100年の時を経て、新たな可能性が花
基準薬としてガイドラインで推奨される
開いたアスピリン。最も身近な薬であり
までになっている。
ながら、その力は限りなく大きい。その
「バイアスピリン」の日本での承認申
Makes blood flow better
Why does Aspirin improve the flow of
thick blood? Blood that becomes thick
does not flow well and sometimes
forms clots that stop its flow. The aggregation action of blood platelets, which
serves to stop the flow of blood from
wounds, at times also causes problems,
for when there is an accumulation of
cholesterol etc. in the blood vessels, it
can act to form a barrier there, stopping
the flow of blood.
There is a substance in the blood called
thromboxane A2, which aggregates
blood platelets and constricts blood vessels. This is activated by an enzyme
called cyclo-oxygenase, on which Aspirin
has an inhibiting effect and thus makes
blood flow better.
Hundred-year record vouches for high
safety
This inhibiting action on blood platelet
aggregation was discovered in 1967 and
the efficacy of Aspirin as a blood platelet
inhibitor has since been proven for various diseases, so that this indication has
been approved for use in many countries
and has even become the standard drug
in guidelines for the prevention of heart
attacks and strokes.
The approval of Bayaspirin in Japan
was facilitated by the accumulation of
large amounts of clinical data as a fever
and pain remedy over more than a hundred years and as a blood platelet
inhibitor in other countries, which attest
to its safety and afficacy. Even after a
hundred years, the potential of Aspirin
continues to expand. No wonder it is
called a miracle drug.
効能の高さでミラクルドラッグと呼ばれ
請は、既存の欧米のデータに基づいて行
たアスピリン。ミラクルストーリーは、
われた。100年以上にわたって蓄積され
まだ始まったばかりである。
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本邦初の腸で溶けるタイプ
解熱・鎮痛剤の
アスピリン
「バイアスピリン」と従
来のアスピリンの最大の違
いは、第1にその用量だ。
バイエル薬品では、今年3月から
『生活習慣病プロジェクト』として、主
解熱・鎮痛剤としてのアス
力3製品(高血圧症・狭心症治療薬
ピリンの場合は500mgであ
「アダラートCR」、高コレステロール
るのに対し、抗血小板剤で
は100mgと少用量である。
また、剤型の違いがある。
バイアスピリン
「バイアスピリン」
を新たに加え
『生活習慣病プロジェクト』が本格化
血症治療薬「バイコール」
、糖尿病用薬
「グルコバイ」)のプロモーションを展
開してきたが、この度、プロジェクト
アスピリンの剤型は、世界
対象製品に抗血小板剤「バイアスピリン」を追加。キービジュアル
のバイエルグループ全体で
である“三つ葉のクローバー”を“四つ葉のクローバー”に変え、
88種類。胃で素早く溶けす
装いも新たに本格的なプロモーション活動をスタートさせた。
ぐに効き目があるタイプ、水に溶かして飲むアルカセル
「すこやかな血管を目指して」をスローガンに、生活習慣病治療
ツァー、腸でゆっくり溶け胃に負担の少ないタイプなど、
に貢献するバイエルをアピールするこのプロジェクトは、徐々にそ
それぞれの症例にあわせた剤型がある。世界全体でみる
の認知度を高めつつある。今回4製品が出そろったことによって、
と、約9割が腸で溶けるタイプで、これはバイエルが世
トータルリスクマネジメントの浸透とさらに高いプロモーション効
界に先駆けて開発した技術だ。
「バイアスピリン」は、国
果が期待される。
内では初めてとなる腸溶錠が採用され、継続的な服用で
心配される胃障害の副作用を軽減している。
Project on lifestyle-related diseases full-fledged with Bayaspirin
First type in Japan to dissolve in intestine
In contrast to Aspirin for fever and pain relief, which contains
500 mg of active ingredient, Bayaspirin contains only 100 mg.
It is the first in Japan of a type that dissolves in the intestine
and causes fewer side effects in harm to the stomach even
when taken for a prolonged period of time.
Bayer Yakuhin had been promoting its lifestyle-related diseases project
from March with the three major products Adalat CR for hypertension and
angina pectoris, Baycol for hypercholesterolemia, and Glucobay for diabetes. The antiplatelet agent Bayaspirin is newly added to these line-up,
so that the three-leaved clover was changed to a four-leaved one and a
full-fledged promotion effort started. With the slogan "For healthy blood
vessels", the awareness of Bayer's contribution to lifestyle-related diseases
is gradually on the rise.
バイアスピリンの新適応にメディアも注目!
バイアスピリン・プレスセミナー開かれる
10月23日、バイエル薬品は東京女子医大神経内科助教授 内山
真一郎先生を招き、メディアを対象にしたバイアスピリンのプ
レスセミナーを開催した。当日は60名近くの記者が参加したが、
こうした記者勉強会でこれほどの人数が集まるのは大変珍しく、
新たに医療用医薬品として生まれ変わるアスピリンに、多くの
マスコミが注目をしていることが伺われた。
セミナーは、アスピリンの歴史、血栓の生成メカニズム、ア
スピリンの臨床成績、欧米でのアスピリン使用状況、そして腸
溶錠のメリットなどが紹介され、内山先生は「病態を選んで使
用すれば、脳卒中のリスク軽減などメリットは大きい。バイア
スピリンは他の抗血小板剤と比べて、医療経済的な観点からも
ベネフィットが大きい」と語った。
最後に、松本マーケティング・マネジャーが挨拶し、
「この度
アスピリンが、抗血小板剤として承認されたことを大変光栄に
感じている。今後は、適切な情報活動伝達に力を注いでいきた
い」と抱負を述べた。
On October 23, Bayer Yakuhin held a seminar on Bayaspirin for the
press. Almost 60 people attended, an unusually large number for such
a study meeting, which goes to show the great interest in the transformation of Aspirin as a prescription drug. Prof. Uchiyama of Tokyo
Women's Medical University talked about the history of Aspirin, the
mechanism of blood clot formation, the clinical results with Aspirin, its
use in America and Europe, and the advantages of dissolving in the
intestines. He also pointed out that with proper selection of patients,
the risk reduction for strokes is high, while Bayaspirin is more economical compared to other antiplatelet agents.
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Harmony December 2000
QUIZ
○にあてはまる文字を埋めて下さい。
生誕100周年を迎え、新たに抗血小板剤として
承認されたアスピリンの製品名は
「○○○○○○○」です。
正解者の中から5名様にオリジナルクロック、
10名様にアスピリンブックをプレゼント。
応募要項はP19をご覧下さい。
アスピリン挿話集
100年の歴史を彩る驚きのエピソード
Amazing episodes over a century of Aspirin
生誕100年を超えてなお新しい適応症を取得したミラクルドラッグ、アスピリン。
まさに“世紀の薬”と呼ぶにふさわしいこの薬の歴史は、さまざまなエピソードに彩られている。
「バイアスピリン」の発売を記念して、ここではアスピリンに関するいくつかのエピソードを披露しよう。
Episode 1
Episode 3
アスピリンは
ヤナギから生まれた
文豪は
アスピリンがお好き
アスピリンの鎮痛・解熱作用の有効
近代医学史に名を残してきたアスピ
成分であるサリチル酸は、
「ヤナギ」か
リンだが、近代および現代文学史にお
ら抽出されたものだった。もともとヤ
ナギの鎮痛作用は紀元前の古代ギリシ
いてもアスピリンは足跡を残している。
1900年当時のパッケージ
世界の文豪たちの小説や日記のフレー
ャ時代から知られており、“医学の祖”
ズにはアスピリンの言葉がよく登場す
と呼ばれるヒポクラテスもヤナギの樹
る。「Kのベッドの傍らで夕食時にパ
皮を熱や痛みを軽減するために用いた
ンチを飲み、足が温まる。アスピリン
という記録が残っている。また、ヤナ
も服用し、だいぶ気分が良くなる」と
ギの枝で作られたつまようじも、ただ
日記に書き記したのはノーベル文学賞
単にヤナギの材質が食べかすをとるの
を受賞したトーマス・マン。また、
に適当な固さだというだけでなく、ヤ
『ジャッカルの日』の中で「ローラン
ナギの鎮静作用が歯痛に効果があると
考えられていたのである。
京都の三十三間堂には「柳のお加持」
ド大佐は目玉焼きにパン、コーヒーを
フレデリック・フォーサイス
1938∼(作家)
トーマス・マン
1875-1955(作家)
もう一杯、そして頭痛止めのアスピリ
ンを注文した」とアスピリンを物語の
といい、正月に汲んだ初水を霊木とさ
小道具として使ったフレデリック・フ
れるヤナギの枝につけてふりかけ、頭
ォーサイス。そして、イタリアの有名
痛封じを祈願する行事が今もなお残っ
なオペラ歌手エンリコ・カルーソは、
ている。
マネージャーにこんな手紙を送ってい
る。「天気が変わる度にひどい頭痛と
Episode 2
手足の痛みに悩まされています。そん
アスピリンが見つめていた
歴史的瞬間
な時は、ドイツ製のアスピリンだけが
頼りです」
。
1969年、人類初の月面着陸に成功し
たアポロ11号。アームストロング船長
Episode 4
人類初の月面歩行
率いる乗組員の傍らには、常にアスピ
リンがあった。狭い宇宙船の中で同じ
2度にわたって
ギネスブックに登場
姿勢を保つ宇宙飛行士は筋肉痛や頭痛
発売されて50年余りたった1950年、
に悩まされる。この痛みに効果を発揮
世界最大の売上高を誇る鎮痛剤として、
したのがアスピリンなのである。また、
アスピリンはギネスブックに登録され
1992年、世界最高峰のエベレストへオ
た。そして、生誕100年を迎えた1999
ランダの登山隊が登頂する際にもアス
年、記念イベントとしてバイエル本社
ピリンは携帯された。高山病特有の症
ビルに巨大なアスピリンパッケージの
状を克服するためで、この時は血液を
装飾が施されたが、これもまた世界一
流れやすくするアスピリンの効果が期
の“パッケージ”としてギネスブック
待された。
に登録された。医薬品に関する記録が
2度もギネスブックに登録されるのは
バイエル本社を包む
アスピリンの巨大パッケージ
(100周年記念)
あまり例がない。これもまた“世紀の
薬”アスピリンにふさわしい!
Harmony December 2000
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The miracle drug Aspirin is more than a
hundred years old but still good for new
indications. The history of this product,
which certainly deserves to be called the
drug of the century, is filled with interesting
episodes. Some of them are recalled here
to mark the introduction of Bayaspirin.
Episode 5
全世界で
年間1人当たり16錠を服用!
鎮痛剤のベストセラーとして世界中
で服用されているアスピリン。その生
The active ingredient of Aspirin originally
comes from the willow tree. Willow bark
was already used by Hippocrates to relieve
fever and pain. Willow wood was used for
toothpicks also to relieve toothaches.
産量は年間約5万トンで、500mg錠で
換算すると約1,000億錠分。全世界で年
間1人当たり16錠のアスピリンを服用
している計算になる。また、その錠剤
Aspirin was equipped in Apolo 11 during
the historic landing on the moon in 1969.
The astronauts used it for muscle pain and
headaches caused by the cramped
quarters in the spacecraft. Again in 1992,
the Dutch team scaling Mount Everest used
Aspirin to make the blood flow better.
を一直線に並べると100万km以上。地
球と月の距離は約38万kmなので、十
分往復できる距離だ。
Episode 6
“世紀の薬”が殿堂入り。
永久展示へ!
世界各国のアスピリンパッケージ
Aspirin also appears frequently in modern
novels and diaries. Thomas Mann, who
received the Nobel Prize for literature,
mentioned it, as does Frederick Forsythe.
And the famous Italian tenor Enrico
Caruso said in a letter to his manager that
Aspirin is the only thing that helps when
he has headaches.
生誕100年目にあたる1999年、アス
ピリンは米国のスミソニアン国立アメ
リカ歴史博物館に殿堂入りした。比類
なき歴史をもつ医薬品であるとともに、
米国の医療史に重要な役割を担ったこ
とが認められたものである。アスピリ
ンの原末とオリジナルパッケージは、
永久に展示されることになった。
スミソニアン国立アメリカ歴史博物館
また、コロンビアでは、切手のモチ
ーフとしてアスピリンが選ばれ、過去
The annual consumption of Aspirin in the
world comes to 16 tablets per person. Put
one tablet next to another, the chain
would become one million kilometers
long, more than enough to reach the
moon and back.
最高の200万枚が発行された。その独
特な形状から収集価値が非常に高いも
のになっているといわれている。医薬
品をモチーフにした切手は世界にもほ
とんど例がない。
The Guinness Book lists Aspirin twice. It
made the record in 1950 as the pain killer
with the highest sales and again in 1999,
when the largest package in the world was
made to commemorate its hundredth
anniversary.
コロンビアで発売された
アスピリンの切手
Episode 7
まだまだ続く“ミラクル”
!
In 1999, the Smithsonian Institution
placed Aspirin in the Hall of Fame of the
National Museum of American History in
Washington, D.C., where it is now on
permanent display. Colombia also honored
Aspirin with its biggest commemorative
stamp issue in history: 2 million.
生誕100年を過ぎた今、抗血小板剤
として新たな適応症が承認されたアス
ピリン。このミラクルドラックへの注
目度は依然高く、世界中でさまざまな
研究が行われている。例えば、1988年、
オーストラリアの疫学者クーネがアス
顕微鏡でみたがん細胞
ピリンを服用している人の大腸ガンの
罹患率が、服用していない人より約
In Japan, Bayer Aspirin is available in
package of 30 tablets as an analgesic,
in pharmacies and drugstores.
40%も低いことを発表。これを受けて、
米国がん協会はアスピリンの大腸がん
に対する予防効果を調査確認した。ま
た、アルツハイマー病や糖尿病の領域
でもアスピリンの有効性が研究されて
いる。ますます可能性が広がるアスピ
リン。これからどのような“ミラクル”
を見せてくれるのだろうか。
12
Harmony December 2000
It is a never-ending miracle. More than a
hundred years after its introduction, a new
indication has been approved for Aspirin
as an antiplatelet agent. In 1988, it was
found to be effective in reducing the
incidence of cancer of the colon. Its
effectiveness is also being studied for
Alzheimer's disease and diabetes.
※日本では「バイエルアスピリン」(30錠包
装)が鎮痛・解熱薬として、薬局・薬店で
販売されています。