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産業組織論
(3) 消費者余剰
丹野忠晋
跡見学園女子大学マネジメント学部
2014年12月24日
復習/1

価格とは英語で
price

数量を英語で
quantity

需要を英語で
demand
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復習/2
かき氷の価格
イチローのかき氷
に対する需要曲線
価格から数量を見る
100円
需要曲線の見方
かき氷の数量
6杯
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3
復習/3
P
嗜好変化後の
需要曲線
当初の需要曲線
辛党が増えたとする
(嗜好の変化)
かき氷の需要曲線
の左シフト
Q
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産業組織論 3
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復習/4



価格変化に対して需要量の変化が大きいとき,そ
の需要は弾力的であるという
代替財が多い財は価格に敏感に需要が増減する
必需品の需要は非弾力的である

価格変化に対して供給量の変化が大きいとき,そ
の供給は弾力的であるという

需要・供給曲線が垂直ならば完全非弾力的である
完全弾力的ならば需要・供給曲線は水平



短期的には行動を変えることは難しい
長期的には行動を変えることが可能可能
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お買い得感を需要曲線で表す

前から気に入っていた洋服がバーゲンで安く売
っていた!お買い得で嬉しい

洋服が5000円までだったら買ってもよい

バーゲンで3000円で売られていた.この満足度
の残り 5000-3000=2000 が消費者余剰

人々は財に様々な満足を得る

しかし,支払う価格は同じ

価格を支払った後の満足度は?
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産業組織論 3
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アイスショーへの支払い意欲

5000円を支払うつもりが支払い意欲(支払許容額)

ある財の支払い意欲はそれ以下の価格なら一単位
購入,しかしそれを上回れば購入しない金額

支払い意欲と価格が同じならば買っても買わなく
ても良いと考えている

イチローはアイスショーを見るか見ないか検討

イチローの一回のアイスショーの観覧に対する支
払い意欲は10,000円としよう

アイスショー価格が7,000円ならば見る.12,000円
ならば見ない
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産業組織論 3
支払い意欲から需要表を作る
イチローが価格7000円でアイスショーのチケットを
購入したら
10000-7000=3000
 支払い意欲から購入価格を差し引いた3000円がイチ
ローが得る消費者余剰だ

イチロー以外にもダルビッシュ,マー君,内村航平
本田圭佑がアイスショーを見ようと考えている
 ダルビッシュの支払い意欲は8000円,マー君は5000
円内村は4000円,本田圭佑3000円.
 価格7000円ならばイチロー、ダルビッシュ購入

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買い手
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支払い意欲(円)
イチロー
10000
ダルビッシュ
8000
マー君
5000
内村航平
4000
本田圭佑
3000
産業組織論 3
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支払い意欲のグラフ
支払い意欲(円)
支払い意欲を
高い順に並べる
イチローの支払い意欲
ダルビッシュの支払い意欲
10000
マー君の支払い意欲
内村航平の支払い意欲
8000
5000
本田圭佑の支払い意欲
4000
3000
枚数
1
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2
3
4
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アイスショーのチケットは何枚売れる

価格が低ければ沢山売れる

価格<支払い意欲 → 購入

価格>支払い意欲 → 購入しない

実際に売れる枚数 → 価格=支払い意欲

価格が7000円だったら何枚売れる?
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支払い意欲のグラフ
支払い意欲(円)
2枚目は売れる
10000
8000
価格は7000円
5000
4000
3000
3枚目は売れない
枚数
1
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3
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支払い意欲のグラフ
支払い意欲(円)
•価格7000円⇒2枚購入
•支払い意欲イコール価格は購入量を表す
•支払い意欲の外側の線は需要曲線と同じ
10000
8000
価格は7000円
5000
4000
3000
購入量
枚数
1
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3
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支払い意
欲のグラフ
は需要曲
線である
支払い意欲のグラフ
支払い意欲(円)
イチローの支払い意欲
ダルビッシュの支払い意欲
10000
8000
7000
5000
価格は7000円
4000
3000
需要量
枚数
1
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需要曲線(価格から数量へ)
価格
需要曲線
P
数量
Q
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需要曲線=支払い意欲曲線

最後の一個の支払い意欲と費用(価格)が同じときは
それを購入すると考える

価格と支払い意欲が一致している支払い意欲の個数

限界的な買い手は価格が高いと直ぐに買わなくなる

この個数が需要量になる

価格=支払い意欲⇒購入量

価格に対して購入しようとする数量=需要曲線

支払い意欲曲線は各数量から1単位増えたときに支
払っても良い金額の増加分=限界便益
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支払い意欲曲線と需要曲線
価格(円)
各棒グラフは個人の支払い意欲
10000
8000
需要曲線
5000
4000
3000
枚数
1
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消費者余剰

消費者余剰は取引をした後の満足度を表す

実際に価格を支払ったときの財からの支払い意欲の
残り.残りを余剰ともいう

正確には支払ってもよいと考えている金額から実際
に支払った金額を差し引いた値が消費者余剰
消費者余剰=支払い意欲ー価格

消費者余剰を英語で Consumer Surplus と言う

消費者余剰を記号CS と略す

支払い意欲のグラフから消費者余剰を図示しよう
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支払い意欲と消費者余剰
支払い意欲(円)
イチローの消費者余剰=10000-7000=3000
ダルビッシュの消費者余剰
=8000-7000=1000
価格は7000円
10000
8000
7000
5000
4000
3000
需要量
枚数
1
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3
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需要曲線と消費者余剰
価格(円)
需要曲線
10000
消費者余剰
8000
7000
5000
価格は7000円
4000
3000
枚数
1
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3
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5
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消費者余剰


支払ってもよいと考えている金額から実際に支払
った金額を差し引いた値が消費者余剰
消費者余剰を表す面積=△ABCの面積
価格
A
価格 P
消費者余剰
B
需要曲線
C
数量
Q
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個別消費者余剰と総消費者余剰

市場全体の消費者余剰は総消費者余剰と呼ばれる

イチローやダルビッシュの消費者余剰は個別消費
者余剰と呼ばれる

各個人の消費者余剰は正確には個別消費者余剰

消費者余剰は個別消費者余剰と総消費者余剰の両
方の意味でしばしば使われる.個別と総の省略

どちらなのか自分で判断
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産業組織論 3
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自転車シェア COGOO

大学にある放置自転車.処理費は膨大

リレーションズのCOGOO自転車シェアで解決

自転車シェアで、減らせ学内放置
千葉大学
朝日新聞デジタル2013年5月26日0時35分

COGOOのつかいかた

大学は費用を負担しない

企業はどうやって儲けているのか?

自転車のホイールに広告を出している.効果的!
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産業組織論 3
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価格の下落の効果

物の値段が下がると嬉しい

消費者余剰でどう表現できるか?

アイスショーの価格が4500円に下落した

イチローのCS=10000-4500=5500
余剰は3000円から2500円分増加した

ダルビッシュのCS=8000-4500=3500
余剰は1000円から2500円分増加した

既存の買い手は価格下落分だけ余剰が増加

新たにマー君が購入する
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マー君のCS=5000-4500=500
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産業組織論 3
価格下落と消費者余剰
イチローの消費者余剰の増加
価格(円)
ダルビッシュの消費者余剰の増加
10000
マー君の消費者余剰
8000
7000
5000
4500
4000
元の価格7000円
新しい価格4500円
3000
新しい需要量
枚数
1
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3
4
5
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価格の下落は既存と新規の消費者
への効果をもたらす

既に買っている人には均等に価格下落分だけの
消費者余剰が増える

価格下落によって新たな消費者を獲得できる

新たな消費者の消費者余剰は価格下落分よりは
小さくなる
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産業組織論 3
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価格下落と消費者余剰
価格
元の消費者余剰
既存の買い手の消費者
余剰の増加
A
元価格 P
新価格 P’
C
B
新たな買い手の消費者
余剰の発生
E
D
需要曲線
数量
Q
2014/12/25
Q’
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復習

この価格ならば買っても良いと考える金額が支払い意欲

消費者余剰は支払い意欲と実際に支払った金額の差

消費者余剰は需要曲線と水平な価格線の間

価格の下落によって消費者余剰は増える

元から買っている消費者は価格下落分だけ利益を得る

新たな買い手の消費者余剰は価格下落分よりも小さい
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