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初級ミクロ経済学
-生産者行動理論-
2014年10月31日
古川徹也
2014年10月31日
初級ミクロ経済学
1
損益分岐価格と生産中止価格
企業の利潤最大化条件
価格=限界費用
が基本的なルール
このルールから,限界費用曲線を(個別)供給
曲線と見なすことができるようになる。
しかし,限界費用曲線は完全に(個別)供給曲
線に一致すると言えるのか?
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MC ( y )
AC ( y )
AVC ( y )
次の2つの価格
を考える
MC
AC
AVC
p BE
pSD
0
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y
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利潤の計算式(2通り)
利潤=収入-総費用。これを   R( y )  C ( y ) と表す。
この式は,平均費用(AC)を用いた式と,平均可変費
用(AVC)を用いた式の2通りに表せる。
  R( y )  C ( y )
 py  C ( y )
 ( p  AC ( y ))  y
 ( p  AVC ( y ))  y  FC
これらが前のグラフの2つの点に対応する。
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価格と平均費用の関係
生産量が y1 のとき,利潤は
 1  py1  C ( y1 )
 ( p  AC ( y1 ))  y1
と表せる。
y1  0 であるケース( y1  0 を除いたケース)を考える
と,以下のことが言える。
p  AC ( y1 ) のとき,利潤はプラス
p  AC ( y1 ) のとき,利潤はゼロ
p  AC ( y1 ) のとき,利潤はマイナス
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価格と平均費用の関係からわかること
平均費用曲線はU字型をしており,価格は水平線で示す
ことができるから
1. p  AC ( y ) となるような y を見つけられる場合,利潤
最大化をしたとき,利潤はプラスとなる。
2. ある y で p  AC ( y) となり,他の y では p  AC( y) と
なるような場合,最大利潤はゼロとなる。
3. どのような y を選んでも p  AC ( y ) となる場合,利潤
最大化をしても利潤は必ずマイナスとなる。
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損益分岐点と損益分岐価格
限界費用曲線と平均費用曲線の交点をとおる価格を pBE
とする。
価格が pBE のとき,pBE  MC ( y )  AC ( y ) が成立する生
産量で利潤はゼロとなり,他の生産量では利潤はマイナ
スとなる。つまり最大利潤はゼロとなる。
このような価格を損益分岐価格(break-even price)と呼び,
交点のことを損益分岐点(Break-Even point)と呼ぶ。
p  pBE のとき最大利潤はプラス,p  pBE のとき最大
利潤はマイナスとなる。利潤がプラス(益)かマイナス
(損)かの境目(分岐)となる価格である。
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MC
MC ( y )
AC ( y )
AVC ( y )
AC
損益分岐点
損益分岐価格
AVC
p BE
0
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y
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価格と平均可変費用の関係
生産量が y1 のとき,利潤を次のように表す。
 1  py1  C ( y1 )
 py1  VC ( y1 )  FC
 ( p  AVC ( y1 ))  y1  FC
y1  0 であるケース( y1  0 を除いたケース)を考える
と,以下のことが言える。
p  AC ( y1 ) のとき,利潤は  FC よりも大きい。
p  AC ( y1 ) のとき,利潤は  FC と等しい。
p  AC ( y1 ) のとき,利潤は  FC よりも小さい(赤字が
増す)。
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価格と平均可変費用の関係からわかること
平均可変費用曲線もU字型をしている。価格は水平線で
示すことができるから
1. p  AVC ( y ) となるような y を見つけられる場合,利潤
最大化をしたとき,利潤は  FC より大きくなる。すな
わち,正またはゼロの利潤か,固定費用分よりは小さ
い赤字。
2. ある y で p  AVC ( y) となり,他の yでは p  AVC ( y )
となるような場合,最大利潤は  FC となる。
3. どのような y を選んでも p  AVC ( y ) となる場合,利潤
最大化をしても利潤は必ず  FC よりも小さい。すなわ
ち固定費用分よりも赤字が大きくなる。
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生産をやめるオプション
生産をやめれば,すなわち y  0 とすれば,企業
の赤字は  FC となる。
前の3のケースは,y  0 とすることで赤字がか
えってふくらむことを意味する。つまり,企業
にとっては y  0 とすることが利潤最大化である。
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生産中止点と生産中止価格
限界費用曲線と平均可変費用曲線の交点をとおる価格を
pSD とする。
価格が pSD のとき,pSD  MC ( y )  AVC ( y ) が成立する生
産量で利潤は  FC となり,他の生産量では利潤はそれ
よりも小さくなる。つまり最大利潤は  FC となる。
このような価格を生産中止(shut-down)価格と呼び,交点
のことを生産中止点と呼ぶ。
p  pSD のとき,企業は p  MC ( y ) を満たすプラスの
y を選ぶことが利潤最大化であり,p  pSD のときは y  0
とすることが利潤最大化である。
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MC ( y )
MC
AVC ( y )
AVC
生産中止点
生産中止価格
pSD
0
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(個別)供給曲線
MC ( y )
AVC ( y )
MC
AVC
pSD
0
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y
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練習問題(生産関数が少し異なる)
短期の生産関数が,
y L
であるとする。また,K  8 とおく。
問題1: w  2, r  1 のとき,短期の総費用関数と総費用曲
線を描きなさい。
問題2:限界費用曲線,平均費用曲線,平均可変費用曲線
を図に描きなさい。
問題3:生産物の価格が10のとき,利潤を最大にする生産
量と,そのときの利潤を求めなさい。
問題4:損益分岐価格,操業中止価格を求めなさい。
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