第1章 電気工学の基礎

第2章 電子工学の基礎
2.1 半導体素子
2.2 電子回路
2.3 4端子網
2.2 電子回路
2.2.1
2.2.2
2.2.3
2.2.4
トランジスタ特性
アナログ回路
ディジタル回路
演算増幅器と負帰還増幅器
2.2.1 トランジスタ特性
(1)4定数
以下の4箇所の値を測定する
電流
IC
電流
B
C
IB
E
VBE
電圧
VCE
電圧
定数の定義
トランジスタ規格表に用いられ, hパラメータともいう
①電流増幅率(無名数)
I C
h fe 
I B
( VCE
②入力インピーダンス(Ω)
VBE
hie 
I B
( VCE : 一定)
③電圧帰還率(無名数)
VBE
hre 
VCE
( IB
: 一定)
④出力アドミタンス(S)
I C
hoe 
VCE
( IB
: 一定)
[注] ジーメンス(S : Siemens)とはコンダクタンスの単位
: 一定)
(2)増幅回路の特性
増幅回路では,通常,交流信号の相互関係だけを計算し,
直流は考えなくてよい。
ic
C
ib
B
RL
vbe
E
VB
エミッタ接地増幅回路
VC
vce
(2)増幅回路の特性
電流増幅度
電圧増幅度
一方
I C iC
Aie 
  h fe
I B iB
vce
Ave 
vbe
vce  ic RL , vbe  ib hie
より
ic RL h feib RL h fe RL
Ave 


ib hie
ib hie
hie
I C1
(3)増幅回路
の計算例
IC
IB
IC 2
Tr1
IE
Tr1の電流増幅度をβ1,
Tr2の電流増幅度をβ2
としたときのIc
Tr2
I C1  1 I B
I E  1 I B  I B
 I C 2   2 I E   2 1 I B  I B 
 I C  I C1  I C 2  1 I B   2 1 I B  I B 
 1  1 2   2 I B
2.2.2 アナログ回路
(1)増幅回路の接地方式
3種類の接地方式
C
E
Output
B
Input
Input
C
E
B
Output
Input
C
E
Output
B
(a)ベース接地回路
(b)エミッタ接地回路
(c)コレクタ接地回路
(2)3接地方式の特徴
接地方式による特徴
項目
代表的な用途
入力インピーダンス
電流増幅率
出力インピーダンス
電圧増幅率
電力利得
高周波特性
入出力電圧位相
ベース接地
高周波増幅
小
小(<1)
大
大
中
最も良い
同相
接地方式
エミッタ接地
一般増幅用
中
大
中
中
大
悪い
逆相
コレクタ接地
インピーダンス変換
大
大
小
小(<1)
小
良い
同相
2.2.3 ディジタル回路
(1)パルス発振回路(マルチバイブレータ)
2段の増幅器を
結合素子(抵抗またはコンデンサ)によって
正帰還をかけた回路
Output
結合素子
Tr1
結合素子
Tr2
マルチバイブレータの基本形
マルチバイブレータの種類
結合素子として
コンデンサを使うか,
抵抗を使うかによって異なる。
マルチバイブレータ
結合素子
非安定マルチ
両方共
バイブレータ
にC
単安定マルチ
一方がC
バイブレータ
他方がR
双安定マルチ
両方共
バイブレータ
にR
安定状態の数
0
1
2
主な用途
入出力波形
パルスの発生
入力
同期・分周
出力
パルスの発生
入力
遅延
出力
パルスの発生
入力
レジスタ,計数
出力
なし
(2)微分回路と積分回路
微分回路
積分回路
Out put
Input
微分回路,積分回路の時定数 
Input
 CR
Out put
ただし, C[F], R[]
F : ファラド, Ω : オーム
遮断周波数
fc 
1
2

1
[Hz]
2 CR
微分回路では低域遮断周波数,積分回路では高域遮断周波数となる
2.2.4 演算増幅器と負帰還増幅器
(1)演算増幅器
以下のような性質の増幅器を演算増幅器という。
①入力が差動入力である。
②増幅度が非常に大きく,直流から増幅できる(直結増幅器)
③入力インピーダンスが大きく,出力インピーダンスが小さい。
理想的な演算増幅器とは,
①増幅度が無限大(∞)
②入力インピーダンスが無限大(∞)
③出力インピーダンスが0
Input1
Input2
A
Output
(2)負帰還増幅器
(b) 電圧並列帰還
(a) 電圧直列帰還
Vs
V1
Vi
Vf
基本増幅器
RL V2 Vs
If
V1
Vi
Vf
基本増幅器
帰還回路
RL V2
帰還回路
Vf
(d) 電流並列帰還
I1
I2
Rs
基本増幅器
Vi
帰還回路
(c) 電流直列帰還
Vs
If
I1
Rs
RL V2
Ii
基本増幅器
Vs
If
帰還回路
[注意]増幅器に負帰還をかけると,周波数特性,出力のS/N比は改善されるが,
入力のS/N比は改善されないことに注意しておきたい。
RL V2
(a) 電圧直列帰還について
帰還利得とループ利得
Rs
Vs
Vi
Vf
基本増幅器
RL V2
帰還回路
電流増幅も同様にして
Av : 電圧利得
v
Avf
V1
V2
: 電圧帰還率
: 帰還利得
: 入力電圧
: 出力電圧
Ai : 電圧利得
i
V2  AvVi  Av V1  V f   Av V1   f V2 
V2 1  Av  v   AvV1  Avf 
Av  v : ループ利得という
Av
V2

V1 1  Av  v
Aif
I1
I2
Aif 
: 電圧帰還率
: 帰還利得
: 入力電圧
: 出力電圧
Ai
I2

I1 1  Ai i
式の形が同じであることに注意
以下のような単純化した記法も
用いられるので慣れておこう。
増幅回路
Ei
入力
正帰還と負帰還
E0
増幅度μ
出力
Eg
帰還率β
E g  Ei  E0 , E0  E g ,
 E0  E g   Ei  E0 
整理すると
E0 1     Ei  E0 
A
E0


Ei
1  
Ei
1  
①
1    1 すなわち 1    0
のとき正帰還
②
1    0
  1
すなわち
のときAは∞で発散する
③
1    1 すなわち
  0
のとき負帰還
④
 ≫ 1 のとき


1
A


1  
 

となり増幅度に無関係となる。