本日の内容 アナログ電子回路 トランジスタを使った増幅回路 岩谷 素顕 4-2 4-1 増幅回路の基礎 なぜ増幅が必要か? 逆2乗の法則 Johannes Kepler 電波(電力)は距離の二乗に反比例して弱くなる。 数百kW r 2r テレビ、ラジオ 4-3 4r 各家庭 放送局 3-4 増幅回路の基礎 なぜ増幅が必要か? 演習:携帯電話の基地局アンテナから1[m]離れた地点で、2[GHz]の電磁波 の強度が10[kW/cm2]であった。電磁波は均一に拡がるとして、1[km]離れ た地点での電磁波の強度[W/cm2]を求めなさい。 電波(電力)の強度は距離の二乗に反比例して弱くなる。 数百kW 10000 / 1000 2 テレビ、ラジオ 4-5 放送局 各家庭 4-6 1 10[mW/cm 2 ] 100 増幅する信号 電磁波の波長 例えば、AMラジオ放送信号の場合 電磁波の速度 c=3.0×108[m/s] c=[m](波長)×f[Hz](周波数) 搬送波の周波数 NHK 第1放送 JOCK NHK 第2放送 JOCB 中部日本放送 CBC JOAR(JRN) 東海ラジオ放送 JOSF(NRN) 729[kHz] 909[kHz] 1053[kHz] 1332[kHz] f=1[kHz]の電磁波の波長 =3.0×108/103=300[km] f=1000[kHz]の電磁波の波長 =3.0×108/106=300[m] なぜ、高い周波数の電磁波を利用するのか? 4-7 4-8 必要なアンテナの長さ AMラジオの送信アンテナ (1) 1/4波長接地アンテナ 1[kHz]の場合 75[km] (2) 1/2波長ダイポールアンテナ 1000[kHz]の場合 75[m] (3) 八木アンテナ(VHF、UHF) (4) パラボラアンテナ(マイクロ波) バイポーラトランジスタを用いた交流信号 の増幅の基本構成 アンテナ 微弱信号 増幅回路 直流電源 八木アンテナ パラボラアンテナ 1/4波長接地アンテナ 4-9 4-10 バイポーラトランジスタを用いた交流信号の 増幅の基本構成 バイポーラトランジスタの復習 コレクタ:C コレクタ:C ベース:B 電圧増幅←まずはこの回路を考える 電流増幅 電力増幅 ベース:B エミッタ:E エミッタ:E npn型 増幅回路を考える pnp型 それぞれのトランジスタは何型か? 矢印は電流の向き 4-11 4-12 スピーカー ヘッドホン 演習 向きに注意して、npn型Tr、pnp型Trの直流バイアス(直流電圧 源)を書きなさい。 IC バイポーラトランジスタの静特性 C IB VCE B VBE IB-VBE C C B 出力 入力 IC [mA] IB [A] E pnp型 npn型 VBE[V] 4-14 バイポーラトランジスタの特性表の見方 VCE B VBE E IC [mA] IBが5.0mAの時 が0.2mAの時 が1.0mAの時 C IB=1.0mA IB=0.2mA 4-13 IC IE IC- VCE IB=5.0mA B E IB 単位に注意! E IC- VCE IB=5.0mA VCE[V] 演習 出力特性が、右図のようなト ランジスタを用いて、エミッタ接地増 幅回路を構成した。入力信号IBが 0.2mAP-Pのとき(バイアス電流を加 えない場合)の出力電圧VCEを図示 せよ。なお、RCを500、VCCを15V とする。 IC [mA] IB=0.4mA 60 IB=0.3mA 40 IB=0.2mA 20 IB=0.1mA 0 0 IB=1.0mA RC IB=0.2mA IE VCC IB VCE VCE[V] VCEを変化した時にICはこの様に変化 4-15 5 10 15 VCE [V] IC 入力電流波形 IB[mA] 0.1 0 -0.1 20 出力電圧波形 10 VCE [V] 0 -10 4-16 -20 時間 IC [mA] IB=0.4mA 入力電流波形 IB[mA] 60 60 IB=0.3mA 40 40 IB=0.2mA 20 20 00 4-17 0.1 0 -0.1 20 出力電圧波形 10 VCE [V] 0 IB=0.1mA -10 -20 00 55 10 10 15 15 V [V] VCE [V] CE 20 20 時間 4-18 20 解き方 負荷線を引いて出力波形を考える 赤線のループでキルヒホッフの 法則から回路方程式をたてる IC 15=500IC+VCE RC IC [mA] IB=0.4mA 入力電流波形 IB[mA] 60 IB=0.3mA VCC VCE 赤線のループの回路方程式 で負荷線を引く 15 40 IB=0.2mA 20 出力電圧波形 IB=0.1mA 4-19 10 7 0 -10 -20 0 0 IBが変化したときの動作点 を決めて値を求める。 0 -0.1 20 VCE [V] IB 0.1 5 7 10 15 15 20 時間 VCE [V] 4-20 演習問題から分かったこと この原因は何か? 振幅:0.1V 入力電流波形 IB[mA] IC 0.1 0 20 15 RC VCC IB 出力電圧波形 VCE [V] VCE 10 トランジスタの動作 IC -0.1 C IB 振幅:8V 7 B 0 -10 VBE>0.6V以上の時に動作 VCE VBE E VBE<0.6Vの時はIC=0になる IE -20 時間 振幅は大きくなっている しかし、波形が大きく変化している 入力 出力 IC [mA] 入力電流 出力電流 = IB=0.2mA 増幅 IB=0.1mA 0 0 入力信号 バイアス RB IB=0.3mA VCC 40 20 + IC RC IB=0.4mA 60 交流成分を 取り出す 5 10 15 VCE [V] 20 IB Vi VCE VBB 0.3 0.9 0.2 0.6 入力電圧Vi[V] トランジスタで交流信号を増幅する場 合、ベースからエミッタへ流れる電流 は、ダイオードと同じように片方向に しか流れないから、信号をそのまま ベースに入力すると、半波整流回路 のようになってしまう。そこで、バイア ス電流を流して交流信号を増幅する。 演習 出力特性が、図Aのようなトランジスタを用いて、図Bのようなエミッタ接地増幅 回路を構成した。入力電圧Viが図Cのときの出力電圧VCEを図Eに図示せよ。なお、 RCを300、RB= 3k 、VBBを1.2V、VCCを18Vとする。また、VBEは0.6Vであるとする。 またVBB=0Vの場合に入力電圧が図Dの場合において、出力電圧VCEを図Fに図示 せよ。 IC 交流信号の増幅とバイアス 4-22 入力電圧Vi[V] 4-21 0.1 0.0 -0.1 0.3 0.0 -0.3 -0.2 -0.6 -0.3 4-23 4-24 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 時間[ms] -0.9 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 時間[ms] トランジスタの特性表 IC RC RB VCC IB Vi VCE VBB B-Eはpn接合ダイオード 4-26 ここが0.6V以上でないとトランジスタは動作しない 4-25 解き方 赤線と青線のループでキルヒホッ フの法則から回路方程式をたてる 負荷線を引く VCE=18-300IC VCE VCC R C I C IC [mA] ⇔VCE=18-300IC RC IC RB VCC IB VBE Vi VCE 4-27 60 VBB+Vi=RBIB+VBE ⇔1.2+Vi=3000IB+0.6(VBBが 1.2Vのとき) ⇔Vi=3000IB+0.6 (VBBが0Vの とき) 赤線のループの回路方程式 で負荷線を引く 青線のループでViが変化するこ とによってIBがどのように変化 するかを考え、動作点を決める グラフを記入。軸に値を入れてください VBB IB=0.4mA IB=0.3mA 40 IB=0.2mA 20 IB=0.1mA 0 0 5 10 15 20 VCE [V] 4-28 Vi=0.3V (a) VBB=1.2Vの場合 VBB+Vi=RBIB+VBE ⇔1.2+Vi=3000IB+0.6よりベース電流IBを決める。 Viは、周期0.2msで振幅が0.3Vの正弦波なので・・・・ IC [mA] IB=0.4mA 60 0.3 入力電圧Vi[V] IB=0.3mA IBは0.1mA~0.3mAをとる。 0.2 Vi=0V 40 0.1 IB=0.2mA 0.0 Vi=-0.3V -0.1 20 -0.2 IB=0.1mA -0.3 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 時間[ms] 0 0 5 10 15 VCE [V] 4-29 4-30 20 (b) VBB=0Vの場合 VBB+Vi=RBIB+VBE ⇔Vi=3000IB+0.6よりベース電流IBを決める。 Viは、周期0.2msで振幅が0.9Vの正弦波なので・・・・ 20 トランジスタ 動作する 16 14 0.9 12 0.6 10 入力電圧Vi[V] 出力電圧VCE[V] 18 8 6 4 2 0 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 時間[ms] IBは0mA~0.1mA 0.3 トランジスタ 動作しない 0.0 -0.3 -0.6 -0.9 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 時間[ms] 4-31 4-32 IC [mA] 20 IB=0.4mA 18 出力電圧VCE[V] 60 IB=0.3mA 40 IB=0.2mA Vi=0.9V 20 16 14 12 10 8 6 4 2 IB=0.1mA 0 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 時間[ms] Vi=0V 0 0 5 10 15 20 VCE [V] 4-33 図F 4-34 物理的な意味 本日のまとめ バイポーラトランジスタの基本的な回路 負荷線の引き方 IC=0mAであれば RC RB Vi バイポーラトランジスタの考え方 IC IB VBB VCC VCE VCE=VCC ICが流れることによって VCEが変化 IBによりICを制御 4-35 4-36
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