スライド 1

鹿児島県獣医師会
第44回定期総会
新興感染症に対する世界的取組み
鹿児島大学獣医公衆衛生学教授 岡本嘉六
米国とメキシコで新型インフルエンザA/H1N1感染が発生している
ことを世界保健機関(WHO)が4月24日に発表した。 4月28日に、一
日前倒しで開催したWHO緊急委員会において新型インフルエンザ
警戒レベルを「3」から「4」に引き上げることが決定され、翌日29日に
はさらにレベル「5」となった。
世界各国へと感染が広がり、高病原性鳥インフルエンザH5N1を
想定した国の事前対処計画に基づいて対策が採られたが、メキシコ
とは異なり先行例の米国とカナダにおける感染者はほとんどが軽症
に留まっていたことから、事前対処計画の柔軟な運用へと方針転換
された。そして、ついに日本での流行が始まった。
日別集計(棒グラフ)
1,200
1,000
800
5月27日現在
報告した国:48ヶ国
患者数:13,395名
死者数:95名
致命率:0.7%
WHOによる中間総括
5月18日
累積数(折れ線グラフ)
14,000
12,000
10,000
8,000
600
リンク
6,000
400
4,000
200
2,000
0
0
世界の新型H1N1感染者の日別集計と累積数(WHOへの報告日)
600
500
400
300
200
100
0
1000
800
600
400
200
0
250
200
150
100
50
0
メキシコ
初報告:4月24日
累計:4806名
死亡:85名
米国
初報告:4月24日
累計:7927名
死亡:11名
カナダ
初報告:4月28日
累計:1118名
死亡:2名
60
患者数
リンク
:擬似患者数
:確定患者数
50
40
30
20
カナダでメキシコからの帰国者が
豚群に新型H1N1を感染させた
事例はあるが、メキシコのブタか
ら新型H1N1は検出されていない。
由来は不明のままである。
3月と4月上旬に、メキシコで呼吸器病
の流行があり、その後、米国疾病対策
センター(CDC)とカナダによって新型
ウイルスによって引き起こされたことが
確認された。
広域調査の
強化開始
WHOを中核とする国際連携
10
0
3月15日
3月22日
3月29日
4月5日
4月12日
4月19日
4月26日
発症日
メキシコにおける発生初期の推移: 3月15日~4月26日
(確定患者数97名、擬似患者数260名)
3月28日に最初の患者が確認された。
:擬似患者数
:確定患者数
● Swine strains from North America
(also called Classical swine strains)
● North American bird strains
● Eurasian swine strains
● Swine strains that have some time
in the past acquired a gene from
human influenza viruses.
ヒト・ヒト感染を起こす従来の遺伝子要素を
含んでおらず、全く新たな遺伝子による。こ
のことは、現在弱毒の新型H1N1を基に新
たな感染能力を備えた強毒株の出現を予
測させる。
3月
4月
多米
数国
のの
観流
光行
客の
がピ
押ー
しク
寄に
せ日
た本
!か
ら
5月
米国の新型H1N1感染者の発症日別集計(CDC、5月6日)
563
3.9
600
452
2.9
500
確 400
定
患 300
者
数
200
100
0
166
7.8
患者数
入院割合(%)
222
11.3
130
6.2
1591名
平均 5.5%
31
6.5
27
14.8
30
25
20
累計:
内国内感染:
:英国
:スペイン
184名
125名
138名
42名
英国は国内感染の制御に苦しんでいる。
メキシコの旧宗主国であるスペインは人的交流が現在
も盛んなため、渡航者の持ち込みに苦しんでいる。
15
10
5
0
英国およびスペインの新型H1N1感染者の推移(WHOへの報告日)
非感染者が新型H1N1の感染を予防するための家庭、地域社会および職場に
おけるマスクと医療用マスクの使用についてのCDCの暫定的勧告
状況
非・高リスク者
地域社会に新型H1N1の発生がな
い
地
域
社
会
家
庭
地域社会で新型H1N1が散発して
いる
マスク/医療用マスクを勧めない
マスク/医療用マス
クを勧めない
地域社会で新型H1N1が多発して
いる
そのような状況を避ける。やむを得
ない場合、マスクか医療用マスクの
使用を検討する
インフルエンザ様疾患に罹った者を
介護する人
そのような状況を避ける。やむを得
ない場合、マスクか医療用マスクの
使用を検討する
マスク/医療用マス
クを勧めない
その他の家族
一
般
勤
務
医
療
機
関
高リスク者
マスク/医療用マスクを勧めない
地域社会に新型H1N1の発生がな
い
マスク/医療用マス
クを勧めない
地域社会で新型H1N1が発生して
いる
そのような状況を避ける。やむを得ない場合、マスクか医
療用マスクの使用を検討する
新型A(H1N1) またはインフルエン
ザ様疾患の確定、可能性が高いま
たは擬似の者を世話する
医療用マスク
マスク/医療用マスクを勧めない
一時的配置転換と医療用マスク
医療用マスクの最適の使用には、密着度試験、装着訓練、ならびに、医師の診断書が必要
新型インフルエンザA(H1N1) 感染の確定、可能性が高いまた
は擬似の者が新型H1N1の伝播を防ぐためのマスクを着用する
件についてのCDCの暫定的勧告
リンク
状況
勧告
家庭(他の家族と共通空
間を共にする時)
利用可能で耐えられるならばマスク着用が好まし
く、咳やクシャミをする時はティッシュで覆う
看護の際(患者居室以外)
耐えられるならばマスク着用する
看護以外の場合
利用可能で耐えられるならばマスク着用が好まし
く、咳やクシャミをする時はティッシュで覆う
母乳を与える際
高リスク者(季節性インフルエンザ を含む)
● 5歳未満の幼児、 ● 65歳以上の高齢者、 ● 妊婦
● 長期に亘ってアスピリン投与を受けておりインフルエンザウイルス感染後にReye症候
群のリスクが高いとされた子供と少年(18歳以下)
● 喘息を含む肺疾患、肝疾患、血液疾患、神経疾患、神経筋疾患、糖尿病などの代謝
病に罹っている成人と子供; 免疫が低下している(治療またはHIVによって引き起こされ
た免疫抑制を含む)成人と子供
● 介護施設およびその他の慢性疾患治療病院に入っている人。
日別集計(棒グラフ)
90
累積数(折れ線グラフ)
WHOによる中間総括
5月18日
400
80
350
70
60
300
成田検疫で擬似患者とされた
帰国者が5月8日に確定診断。
250
50
40
30
20
10
5月27日現在
10都道府県
患者数:356名
死者数:0名
検疫所:8名
200
150
100
50
0
新型H1N1国内感染者の日別集計と累積数(厚労省への報告日)
0
リンク
WHOによる中間総括 (5月18日)
新型インフルエンザA(H1N1)に関する高官会議の概要
現在の疫学的状況
6. ウイルスは人から人へとかなり容易に伝播し、公共施設と地域社
会に根付き、地方に拡大している。
7. 新型インフルエンザA(H1N1)感染に関するほとんどの症例は、軽
症かつ自己限定性であると思われ、入院を必要としない。しかしなが
ら、重度の病態と死亡が症例中わずかな割合で報告されている。
8. 季節性インフルエンザでは、重度の病態と死亡の大多数は65歳
以上の人々に起こる。 しかしながら、新型インフルエンザA(H1N1)に
関しては、重度の病態と死亡の症例のかなりの割合がそれまで健康
だった若者の間で起った。
9. さらに、重度の病態と死亡は。肺や心臓血管の慢性疾患、慢性の
肺か心血管疾患と、糖尿病、免疫不全および肥満を含む基礎疾患
のある成人でも報告されている。そのうえ、妊娠女性は新型インフル
エンザA(H1N1)からの合併症が増加するリスクを持っている可能性
がある。
主な不確定要素
10. インフルエンザ・ウイルスに関して唯一の確実なことは、何一つ
確実でないということである。
11. 新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスがどれくらいの速さで世界
中に広まるか、そして、広範に定着するようになるかどうかは、不確
定のまま残されている。
12. 新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスの感染力と毒性が時間と
ともに変化するかどうかは、不確定のまま残されている。
13. これまで、新型インフルエンザA(H1N1)のほとんどの感染は北
半球で起こった。南半球へのウイルスの広がりが北半球で見られた
事態と異なり、南半球の人口が一般により脆弱であることから、より
深刻な影響をもたらしはしないかと懸念されている。すなわち、若い
人口が多く、しばしば密集した都市環境で生活している。
学んだ教訓
14. 準備されたことによって重要な相違点が生まれた: 過去5年間に
おける国および地域の世界流行に対する事前準備計画を策定する
際の投資は、大きな配当を得た。人々と諸団体は、何をしたら良いか
が判っており、一緒に作業するための準備ができていた。最近の流
行が計画の弱点を明らかにした場合においてさえも、現在それらを
改善する機会がある。
15. 国際保健規則(IHR 2005)は、多数の国に発生した公衆衛生上
の緊急事態において初めて試され、そして、その経験は、加盟国が
IHR 2005の義務を満たすよう準備していたことを示した。透明性の
重要性、迅速な情報共有、国家間および国内の共同作業は、多くの
提起事項の主要課題であった。
世界は一つ、健康は一つ(One World, One Health)
16. 成功は様々な利害関係者の取組みに依存する:多くの事前準備計画は、政府全体の取
組みを強調している。現在最も影響を受けている国の最近の経験は、もっぱら国の議論と
なってしまうところに政府以外の関係者(たとえば、国際機関や近隣国)を含めることの意義
を示している。製薬会社およびワクチン製造との情報交換、ならびに、その他の関連分野の
専門家との情報交換が直ちに開始され、継続している。どのような組織でも単独では成功で
きず、民間部門および非営利組織の活力を利用することが不可欠である。進行中の対処に
おける活動協力者として十分に情報を与えられた市民が参加している対応が成功している。
17. 有効な情報交換は最優先事項である。即時的な情報交換は、これまでの対処の鍵とな
る要素であった。発生の第1報から診断と国際的行動までに費やされた期間の短さは、この
ことを示している。一般国民との情報交換も等しく重要であり、恐慌を引起さずにリスクにつ
いて人々の関心を高める必要性と、その逆に無頓着のまま放置することのバランスをとるこ
とが大切である。新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスがどのような進化を遂げるかが全く
未知数であることは重大な関心を呼んでいる。情報交換の効果の評価(国民の注意度と関
心の高さの程度)は、戦略の鍵となる要素である。
18. 科学に基づく取組みは依然として対処の根幹である:異なる国や大陸における流行は異
なった段階にある。ある状況では、積極的な封じ込め政策は、感染の広がりに歯止めを掛け
たようにみえ、より大規模な準備のための時間を稼いだ。別の状況では、封じ込めはもはや
可能でなく、衝撃の緩和が筋の通った取組みとなる。どちらの場合も、封じ込めから緩和政
策に、どのようにして、何時、移行するかを決定する際に、決定的要素は意志決定のための
良質のデータを持っていることである。関係者は、科学的証拠に基づくために、病気自体、な
らびに、人々の動きや商品の消費に対するあらゆる制限に関する政策の必要性を強く主張
した。
課題
20. 関係者は、今回の対処が協力の最も肯定的側面の多くを示したと強調し、たと
えば、「国際協力の意義の生きた証拠だ」という発言があった。関係者は、また、明
確な指導力から生じた利益を指摘した。同時に、流行の第2波がより深刻な病状を
引き起こす可能性など、これから直面する多くの課題を彼らは指摘した。課題のい
くつかが技術的なものであり、その他に政治上および制度上の多くの課題がある。
21. 季節性および新型インフルエンザA(H1N1)のワクチン:(省略)
22. 封じ込めから緩和まで:いくつかの国はウイルス広がりに歯止めを掛けたよう
に見える。しかしながら、封じ込め戦略の継続性に限界があるかもしれないと、彼ら
は認めている。彼らの取組みを変更するための最も適切な時点に関する助言と指
導を彼らは求めるだろう。
23. 無頓着に対する警戒:現在の状況下では、世界の集団的警戒の低下が主要な
リスクとなっている。これまでの新型インフルエンザA(H1N1)症例の大部分は軽症
であるが、この状況はことによると急速に変化する可能性がある。予期しないこと
が起こり得ることを考えて置くことは不可欠であり、国民が適切に関心を抱き続ける
ようにすることは、多くの国で大きな課題となるだろう。
24. 緊急時対処能力の維持と制度的協力:とりわけ小さな国々において、緊急時対
処能力と制度的協力の管理に必要とされる人的資源を適切に確保することは重要
課題であろう。それに加えて、即時的対応においては政府内および政府間の協力
の力を発揮したが、その努力を長期に亘って維持することは、各国および国際機関
にとって容易ではないだろう。
25. 連帯の維持:複数の関係者は、事態の成り行きに対して最も良く対処できる
国々をこの病気が最初に襲った事実を指摘した。さらに、これらの国々のいくつか
は、自らの領土内での流行に対処するために相当の資源を投下しただけでなく、他
の国々に対して物的および資金的支援を提供した。多くの国は、事前準備計画、薬
とワクチンを入手する能力、保健制度の強化などの面で、潜在的世界流行に立ち
向かうそのような恵まれた立場にない。いくつかの国が他の国々より適切に対処で
きるという事実は、国際的連帯に関して速やかに解決すべき課題である。この病気
のより強毒な第2波が起こるとすれば、連帯を維持する課題は必然的により急を要
するものとなるだろう。
26. 命を護り、生活を回復する:流行が人的および経済的負担を強いることを最近
の流行は十分に示した。そのことは、病気自体の影響と、拡大を制御するために実
施される措置によるものである。新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスへの対処に
は、その発端から、個人、地域社会および国において潜在的な経済的影響を承認
する必要がある。
結論
最優先の目的は、人々と集団の健康に対する新型インフルエンザA(H1N1)の悪影響を緩
和することである。
世界的対処の促進
27. 加盟国は、現在の状況に関する科学的証拠に基づく疫学情報と技術的手引きの継続的
かつ迅速な普及を確保するために事務局と共同作業することに同意する。
29. 以上に加えて、最も脆弱な国々に焦点を合わせて、疫学的事前準備と対処のための継
続的技術支援を続ける。
薬とワクチンの入手における公平性の確保 (省略)
公衆衛生上の能力の育成
33. 世界が有効な対処を準備する場合、低所得国における制度的および技術的な能力、とく
に、試験業務の能力を育成することが必要である。これらの能力を育成するための財源確保
は、保健制度強化の鍵となる要素であり、不可欠なことである。
第5段階から第6段階への移行
34. 現在の移行手順は、病気の重篤度ではなく、もっぱら地理的拡大に基づいている。いく
つかの加盟国は、段階の移行に関して事務局長により柔軟に判断する権限を与えるよう発
言した。
HPAI H5N1の患者発生状況: 2003~2009(1月14日)
国名
死者数
症例数
致命率
インドネシア
113
139
81.3
ベトナム
52
107
48.6
エジプト
23
52
44.2
中国
21
31
67.7
タイ
17
25
68.0
カンボジア
7
8
87.5
アゼルバイジャン
5
8
62.5
トルコ
4
12
33.3
イラク
2
3
66.7
ラオス人民民主共和国
2
2
100.0
パキスタン
1
3
33.3
ナイジェリア
1
1
100.0
ミャンマー
0
1
0.0
バングラデシュ
0
1
0.0
ジブチ
0
1
0.0
計
248
394
62.9
140
120
2009年1月14日現在 20
全世界
リンク
100
死亡数
生存数
80
60
30
20
10
0
40
20
0
60
50
40
30
20
10
0
インドネシア
タイ
10
0
20
10
0
70
60
50
40
30
20
10
0
中国
エジプト
ベトナム
高病原性鳥インフルエンザの症例数と死亡数の推移
100
患者の年齢別転帰
90
2009年2月2日現在
WHO西太平洋地域事務局原図
80
症
例
数
70
:生存者数
60
:死亡者数
50
40
30
20
10
0
0-9
10-19
20-29
30-39
40-49
50-59
60-69
>70
生存 141名
52
22
29
17
9
7
2
3
死亡 251名
43
74
69
46
12
3
3
1
致命率 64.0
45.3
77.1
70.4
73.4
57.1
年齢層
36.8
H5N1感染の年齢分布は、スペイン風邪、今回のH1N1と類似
鳥インフルエンザ感染症例の概略
年配者は何故、新型に罹らないか
リンク
年
亜型
症例数
発生地
備考
1996
H7N7
1
英国
この症例は、アヒル小屋を掃除した後に結膜炎を起こした。
香港
これらの症例は、家禽におけるH5N1発生と関連していた。
人から人への継続的伝播は起らず、香港の養鶏場の全ての鶏
(約140万羽)を淘汰することで発生が終わった。
1997
H5N1
18(6死)
1999
H9N2
2(乳、幼)
香港
両症例は、インフルエンザ様の症状で入院し、無事回復した。
人から人への伝播による追加症例はなかった。追加調査に
よって、H9N2株が香港と中国の家禽において循環している
ことが判明したが、このウイルスは鳥に対して高病原性がで
はない。
2002
H7N2
1
米国
家禽における発生に続いて、ヴァージニア州の1人で感染の
証拠がみつかった。
香港
両症例は、直近に中国に旅行した一家族である。中国滞在中
にこの家族のもう一人が診断未確定まま呼吸器疾患で死亡し
た。これらの症例と家禽のH5N1感染との関連性は特定され
ていない。
2003
2003
H5N1
H7N7
2(1死)
89(1死)
オラン
ダ
家禽におけるH7N7鳥インフルエンザの発生期間に、その地
域の養鶏場作業者とその家族に感染が広がった。ほとんどの
患者は結膜炎に罹り、数人がインフルエンザ様症状を呈した。
死亡したのは57歳の獣医師であった。その後の血清学的検
査によって、不顕性感染の追加症例があったことが示された。
年
亜型
症例数
発生地
備考
2003
H7N2
1
米国
ニューヨーク州のこの症例の感染源は特定されなかった。
2003
H9N2
1(子)
香港
この症例の感染源は特定されなかった。
2003
~
現在
WHOへの
公式通知で
は、患者数
H5N1
400人以上、
致命率60%
以上。
アゼルバイジャン、バングラデシュ、カンボジア、中国、ジブチ、
エジプト、インドネシア、イラク、ラオス、ミャンマー、ナイジェ
リア、パキスタンタイ、トルコ、ベトナム。
これらの症例は、現在進行中の家禽における鳥インフルエンザの大
規模な発生と関連している。より詳しい情報、下記にある。
2004
H7N3
2
カナダ
ブリティッシュコロンビア州における家禽のH7N3鳥イン
フルエンザの発生期間に2人の養鶏場作業者が罹患したが、
いずれも結膜炎であった。
2004
H10N
7
2(幼)
エジプ
ト
子供の一人の父親は家禽商人だった。
2006
H7N3
1
英国
暴露された多くの人々が結膜炎やインフルエンザ様の症
状を示したが、1人の養鶏場作業者だけが臨床検査室に
よって感染が確認された。
2007
H7N2
4
英国
これらの症例は、ウェールズにおける家禽のH7N2発生と
関連していた。いずれも、結膜炎とインフルエンザ様の
症状を示した。
2007
H9N2
1(幼)
香港
この子供が発症する前に両親と生鳥市場に行っているが、
感染源は判明していない。
2008
H9N2
1(幼)
中国
感染源は判明していない。
現在世界各地で鳥からヒトへの感染を起こしているH5N1以外に
も、H7N7、H9N2、H7N2、H7N3、H10N7の感染例が知られている
が、オランダにおけるH7N7感染で89名中1名が死亡した以外は、結
膜炎とインフルエンザ様症状を呈したもののいずれも回復している。
すなわち、H5N1を除いて、鳥に対して高病原性であろうが弱毒タイ
プであろうが、ヒトが感染しても致命率は高くない。
調査が行われてデータ化されているのは、実際に起きている鳥イ
ンフルエンザ感染のごく一部であり、不顕性感染を含めると膨大な
数に上るものと思う。すなわち、自然感染することで、様々なタイプ
のウイルスに対して免疫ができ、そのために30歳以上では年齢とと
もに感染者が少なくなっているものと私は考える。 自然界に存在
する様々な鳥インフルエンザ・ウイルスに対して鉄壁の防
御を築くことはできないが、自然感染することによって防御
能を獲得する神の采配が働いている!
Indonesia
Vietnam
Myanmar
Thailand
Cambodia
China
Pakistan
India
Bangladesh
Malaysia
Japan
2009
2008
2007
2006
2005
Egypt
Nigeria
Cote D'Ivoire
Benin
Ghana
Togo
Niger
Burkina Faso
South Africa
Sudan
Zimbabwe
:情報なし
:これまでに発生報告なし
OIEへの報告では、
動物における発生は
継続している。
:この期間に発生報告なし
:擬似症例はあるが確定診断されていない
:感染確認されたが、臨床症状なし
:有症例を確認
:限定した地域で感染を確認した
Germany
Russia
U.K.
Romania
France
Czech
Croatia
Poland
Switzerland
Canada
Turkey
Saudi Arabia
Ukraine
Israel
Afghanistan
Iran
Kuwait
Jordan
Palestinian
「世界は一つ、健康は一つ」への貢献: 動物・人間・生態系の接点に
おける感染症のリスクを低減するための戦略的枠組み
FAO、OIE、WHO、インフルエンザ連携国連機構、UNICEF、世界銀行 (2008/10/18)
要約
1 序文: 高病原性鳥インフルエンザと今後
2 高病原性鳥インフルエンザから学んだ成果と教訓および新興感染症との関連性
3 新興および既存の感染症とそれらの影響
4 戦略的枠組み
「One World, One Health」
5 特別な目的とその結果
は、2004年9月に野生動物保
6 取組むべき分野横断的な課題
護協会とロックフェラー大学が
開催した「人間、家畜および野
7 制度上の問題
生生物集団における病気の伝
8 この枠組みへの資金調達
附属文書
播の現状と可能性に関するシ
ンポジウム」で提起された。
WHO憲章「健康の増進と疾
病とくに伝染病の抑制が諸国
間において不均等に発達する
ことは、共通の危険である」
1 「世界は一つ、健康は一つ」のマンハッタン原則
2 「世界は一つ、健康は一つ」の取組みの効果と課題
3 共通の利害を有する感染症の一覧
4 国際的技術機関、協力、および、新たな仕組み
5 研究課題の指針
6 戦略的枠組みへの資金調達要件を査定するために用いる基本的仮説