5 化学平衡

20 反応速度論
20.1
20.2
20.3
20.4
20.5
20.6
20.7
20.8
20.9
20.10
20.11
あらまし
反応速度と速度式
典型的な初速度式
平衡反応
並発反応と逐次反応
温度依存性
反応機構と素反応
定常状態近似
連鎖反応と振動反応
遷移状態理論
まとめ
第20章の概要
○ 原料の分子が別の分子と衝突
→ 結合の組替えが一斉に起こる
→ 生成物の分子ができあがる
化学反応はそんなに簡単ではない
○ なぜ化学反応が起こるのか?
熱力学の問題
・ 反応が自発的に進行するかどうかの予測
エネルギー、エントロピーなどの熱力学の概念が大切
○ どのように化学反応が進行するか?
反応速度論(速度論)の問題
・ 化学反応を理解する基本
ともかく反応速度を知ること
・ さらに深い理解
なぜある化学反応の速度に差があるのか
○ 反応速度に影響を与える因子
・ 濃度,温度、表面積や触媒の存在
・ 反応物、生成物、熱力学的な条件で決まる別の因子
○ 熱力学と速度論の関連
・ 熱力学
○ 化学反応が“起こるかどうか”
× いつまで待てば起こるのか
・ 速度論
○ 反応が“どのように進むか”
× 本当にその反応が起こるかどうか
↓
速度論と熱力学の両方を考えなければならない
○ 本章
・ 実験的速度論
化学反応を計測し,その結果を説明したり一般化することを目指す
・ 理論的速度論
簡単に触れる
→ 化学反応の速度を総合的に理解するための枠組みを調べる
20.1 あらまし
○ 速度論の最も大切な目標
特定の化学反応の速度を表す関係式(速度式)を立てること
・ ある反応が,別の反応と同じような速度式で表されるとき
→ 二つの反応は同じように進むと考えてよい
○ 速度式の例
ある特定の速度式
→ 反応の原料(反応物)や生成物の量を予測できるように,
簡単な関係式を微積分を使って導く
○ 速度定数
反応の種類と温度によって決まる定数
速度定数の温度依存性を簡単なモデルを使って考察
○ 化学反応
単純なもの、複数の反応が連続的に,あるいは並行して起こるもの
・ 複数の化学反応が原料(反応物)や最終生成物の量に与える影響
・ バラバラの素反応に分解
→ 素反応の組合せが反応機構であることを理解する
○ 推測された反応機構
実験的に求められた速度式と矛盾のないもの
・ 速度式 → 原子や分子のスケールでどのように進んでいるのかを推測
20.2
反応速度と速度式
○ 反応の速さ
一定の時間内(秒,分,時間,日など)に,何molの原料が消費され,
何molの生成物が生じたか
○ 反応速度の予測
反応が起こる前にはむずかしい
速度に影響を与えるさまざまな因子は予測可能
化学反応の速度についての多くの重要な情報
実験的に得られたもの
○ 閉じた系(途中で反応物が追加されない)
ほとんどの反応の速度
→ 時間とともに変化 (時間とともに反応物が減少)
↓
反応速度の議論 対象にする反応の段階を明確する必要
○ 初速度(initial reaction rate)
反応のごく最初(反応物だけで生成物が存在しない状態)の速度
ξ=0における反応速度
○ 反応速度
ある時間当りの反応物の量の変化
量 mol、時間 s → 反応速度の単位 mol s-1
○ どの物質についての量を考えればよいか
簡単に決められないことが多い
(例)
[この反応の速度が 1.00 mol s-1 である]
1s当りに1molの水素が反応 ?
or
酸素が反応 ?
はっきりしない
しかし、化学量論的な関係がわかっていれば,反応物についての
反応速度と生成物についての反応速度の関係は明らか
↓
ある一つの化学種について速度を決めれば,それを使ってそれ
以外の化学種についての速度を決めることができる
一般的な化学反応の速度
○ 一般的な化学反応
A、B: 反応物、C、D: 生成物、a, b, c, d :化学量論係数
時間 t, “変化“ Δ, 量 [ ] ( [A] Aのモル濃度)
反応の進行とともに
反応物は減少 → 速度 負
生成物は増加 → 速度 正
式(20.3)
↓
どの化学種に注目しているかに関係なく,反応速度は同じ値
○ 変化が微小な場合
Δ → d (微分)
○ ある一つの化学種に着目し,その絶対値を使って速度を求め,
それを用いて別の化学種についての速度に換算
※ どの化学種に注目するかによって反応速度の値が変化
課題 1
P. 786