◎ 本章 化学ポテンシャルの概念の拡張 ⇒ 化学反応の平衡組成の説明に応用 ・平衡組成 ギブズエネルギーを反応進行度に対してプロットしたときの極小に対応 この極小の位置の確定 ⇒ 平衡定数と標準反応ギブズエネルギーとの関係 ・熱力学的な式による記述 いろいろな条件の変化の定量的な効果が明確化 ・化学反応 動的平衡に向かって進行 (反応物と生成物の両方が共存するが正味の変化は起こらない) 平衡混合物中の (生成物の濃度) >> (未反応物の濃度) 反応が“完結" 多くの場合 平衡混合物中には両者がかなりの濃度で混在 ⇒ どんな反応条件のもとでも,平衡組成を予測するために, 熱力学をどのように使えばよいかを学ぶ 自発的な化学反応 ◎ 定温,定圧における自発的変化の方向: ギブズエネルギーGが小さくなる方向 この考え方を化学反応の議論に適用 7・1 ギブズエネルギーの極小 反応混合物のギブズエネルギーを計算 ⇒ Gの極小に対応する組成 ⇒ 反応混合物の平衡組成 (a) 反応ギブズエネルギー Aの無限小量 dξ がBに変化 ⇒ 存在するAの量の変化 Bの量の変化 ξ (グザイ) : 反応進行度 dnA=-dξ dnB =+ dξ 物質量の次元をもち,mol単位で表示 ある有限な量 Δξ だけ変化 A: nA,0 → nA,0 -Δξ B: nB,0 → nB,0 +Δξ 反応進行度 ξ(グザイ) ・系中の i 番目の化学種について 時刻 t =0における物質量 ある時刻 t における物質量 i 番目の化学種の化学量論係数 (生成物: 正,反応物: ni,0 ni νi 負) (ニュー) 反応進行度 (ボール物理化学(上)) 反応ギブズエネルギー : ギブズエネルギーを反応進行度に対してプロットしたグラフの勾配 ※ Δ: ふつうは二つの値の差 ここでは導関数(勾配) しかし 普通の使い方と密接な関係 反応が dξ だけ進行したと考える 対応するギブスエネルギーの変化は, この式を整理すると. すなわち. したがって,ΔrG : 反応混合物の組成における反応物と生成物の 化学ポテンシャル(部分モルギブズエネルギー)の差と解釈 ・化学ポテンシャル 組成に依存 ⇒ ギブズエネルギーを反応進行度に対してプロットしたグラフの勾配は 反応が進むにつれて変化 ・反応は G が減少する方向に進む ⇒ より μA > μB ならば,A → B μA < μB ならば,A ← B が自発的に進行 μA = μB ならば,どちらへも進まない (平衡) μA = μB となる反応混合物組成 ⇒ 平衡組成 (b) 発エルゴン反応と吸エルゴン反応 定温,定圧で反応が自発的かどうか 発エルゴン反応 吸エルゴン反応 7・2 平衡状態 (a) 完全気体の平衡 AとBが完全気体であるとき ( ) 分圧の比を Q (反応比)で表すと, 標準反応ギブズエネルギー 反応物と生成物の標準モルギブズエネルギーの差 (標準反応エンタルピーと同様) ◎ 生成物と反応物の標準モルギブズエネルギーの差: 標準生成ギブズエネルギーの差と等しい (3・6節) ⇒ 実用的な計算 ◎ 平衡では 平衡における分圧の比を K と書くと したがって、 K : 平衡定数 (圧平衡定数) ◎ ⇒ K<1 pA < pB 平衡は反応物 ⇒ K>1 pA > pB 平衡は生成物 (b) 一般の反応の場合 反応進行度の概念の一般化 反応 を と書く 一般式の形は、 ( J: 物質、を表し, νJ: 量論数) 量論数: 生成物 正、反応物 負 この場合 ξ の変化が Δξ のとき, 任意の物質 」 の量の変化がνJ Δξ となるように ξ を定義 反応進行度 ξ(グザイ) ・系中の i 番目の化学種について 時刻 t =0における物質量 ある時刻 t における物質量 i 番目の化学種の化学量論係数 (生成物: 正,反応物: ni,0 ni νi 負) (ニュー) 反応進行度 (ボール物理化学(上)) 反応ギブズエネルギー (定義) と書ける この式にある標準反応ギブズエネルギーは, あるいはもっと形を整えれば, 反応比 ⇒ 各化学種には量論係数のべき乗 平衡では G の勾配は0 ⇒ このとき活量は平衡値をもつので, ⇒ 熱力学的平衡定数 K : 活量(またはフガシティー)で表した平衡定数 (活量の取り扱い) ・希薄溶液 モル濃度 (または質量モル濃度)で近似 (濃度平衡定数) ・完全気体 分圧で近似 (圧平衡定数) ・純粋な固体と液体 活量( )=1 ⇒ K には何も寄与しない 課題 1 必要な物性データは 表2・7 (p. A43) 参照 課題 2
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