食糧問題と水産業の未来 -サバの未来を読む- 松田裕之(東大海洋研) 海洋生物資源部門資源解析分野 ・水産業の使命は食糧供給 ・魚食を見直し、過食を避ける ・漁場環境の自然資産を後世に 遺すこと 00/06/05 1 人口とエネルギー消費の爆発 00/06/05 上、Kremer 1993, Cohen1995の資料から作図(松田「環境生態学序 説」) 2 乱獲され尽くした?水産資源 00/06/05 http://www.fao.org/fi/publ/circular/c920/intro.asp#A2 3 世界の底魚と浮魚の水揚げ量 Landings (million tonnes) 120 100 Total landings 80 60 40 Pelagic marine fishes 20 Demersal marine fishes 0 1950 00/06/05 1960 1970 1980 1990 (redrawn from FAO 1994) 4 とっくに頭打ちの底魚類 (FAO1996) 00/06/05 http://www.fao.org/WAICENT/FAOINFO/FISHERY/publ/sofia/fig5e.asp 5 まだまだ獲れる浮魚類 (FAO1996) 00/06/05 http://www.fao.org/WAICENT/FAOINFO/FISHERY/publ/sofia/fig4e.asp 6 変動が激しい浮魚類の漁獲量 Catch (million tons) 5 カ タ ク チイ ワ シ サン マ マア ジ・ ム ロ ア ジ ニシ ン マサバ・ ゴ マサバ マイ ワ シ 4 3 2 1 0 1900 00/06/05 1920 1940 1960 1980 7 0.6 anglers 0.5 0.4 hunters 50 40 0.3 30 0.2 20 0.1 10 0 1940 00/06/05 60 1960 1980 推定遊漁人口 (百万人日) 狩猟免許取得者人口(百万人) 狩猟人口と遊漁人口 0 2000 8 魚食を見直し、過食を避ける 00/06/05 9 平均寿命、平均カロリー摂取量、 穀物依存度の関係 平均寿命(年) 摂取熱量 穀物依存 (kcal/日人) 度 男 女 米国 72.0 スウェーデン 75.3 76.6 日本 69.1 中国 78.9 80.8 83.0 72.4 3732 2972 2903 2727 21.7% 21.1% 39.7% 69.7% (Source: Britannica 国際年鑑 1997) 00/06/05 10 魚食の功罪 米リスク学会1999 http://www.riskworld.com/Abstract/1999/SRAam99/ab9ab073.htm • 便益=不飽和脂肪酸 が多く、 心疾患による死亡を減らす • 毎日35gの魚食で統計的に有意 ω-3 – 40歳男性の心疾患死亡を38%低下 • ダイオキシンによる害を凌ぐ (注:米国では心疾患が死因第1 位) 00/06/05 11 食用供給量は減っていない 16,000 国内生産 輸入 食用計 14,000 供 12,000 給 量 10,000 ( 8,000 千 ト 6,000 ン 4,000 ) 2,000 0 1980年 00/06/05 1990年 1996年 買った量と食べた量は別 12 漁場の価値 農林水産資源(139兆円) 生態系サービス(1708兆円) 干潟・サンゴ礁・藻場 快適さ(?) 00/06/05 13 自然の恵みの経済価値 (単位はドル/ha/年、Costanzaら1997の一部*) 面積(万km2) 物質循環 食糧生産 浄化機能 大洋 33200 118 15 不明 河口 180 21110 521 不明 藻場等 200 19002 不明 不明 珊瑚礁 62 220 58 大陸棚 2660 1431 68 不明 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 熱帯林 1900 922 32 87 干潟等 165 不明 466 6696 湿原等 165 不明 47 1659 総計(兆ドル) 51625 17.08 1.39 2.28 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 総計(兆ドル) 8.38 4.11 3.8 0.375 4.28 ・・・ 3.81 1.65 3.23 33.27 • 原論文には、あと8種類の生態系と14の部類を評価 している。不明部分が多数あり、過小評価。 00/06/05 14 漁場の環境保全は漁業者の使命 • 漁業は、自然の恵みのごく一部 を持続的に利用しているだけ • 漁業は、漁業利益よりけた違い の漁場の自然資産の賜物である 00/06/05 15 結論 • 魚食・米食の見直しを! • 腹八分にして足るを知れ • 浮遊生物食浮魚類 –たくさんいる(需要増進) –変動が激しい(低水準器に保護) –1990年代はアジ・カタクチイワ シ・サンマの時代 00/06/05 16 浮魚資源は「諸行無常」 • 豊漁期には獲りきれない –カタクチイワシの有効利用 –サンマの需要拡大 • 低水準期には保護が必要 –子供は獲らない –混獲しない –捨てない 00/06/05 17
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