サンマはいつまで豊漁か? • 松田裕之(東大海洋研) – 京大理博、数理生態学 – IWC国際捕鯨委員会科学委員会日本代表団 – WWF日本の自然保護委員 – 生態学会、水産学会 – 「環境生態学序説」 主な著書 浮魚類の魚種交替 多くの魚種はすでに獲りす ぎ? Percentage of major marine fish resources in various phases of fishery development http://www.fao.org/WAICENT/FAOINFO/FISHERY/publ/circular/c920/c920-1.htm 現状(2) とっくに頭打ちの底魚資源 http://www.fao.org/WAICENT/FAOINFO/FISHERY/publ/sofia/fig5e.htm 現状(3) まだまだ獲れる浮魚資源 http://www.fao.org/WAICENT/FAOINFO/FISHERY/publ/sofia/fig4e.htm 鯨類の摂食量 北太平洋ミンククジラの胃の 中はカタクチイワシだらけ 鯨研のページ http://www.icrwhale.org/02-E.htm クジラは漁業の害獣か? • 鯨はカタクチイワシ、中深層性 ハダカイワシなどを大量に摂食 • 必ずしも漁業とは競合しない • 大昔より鯨が増えてはいない • たくさんいる鯨を食べよう! • サンマ投棄魚はどうなるか? マイワシの世紀末の真相 • 乱獲なら高齢魚からいなくなり、 漁獲物が小型化する • 加入の失敗による高齢化社会 • 加入失敗は環境汚染・生息地破 壊ではない(貝類) • 有史以前からの自然変動 まだまだ獲れる浮魚類 • 1970年代、ペルーのカタクチイ ワシは1200万トン獲れた • 1980年代、日本のマイワシ450 万トンは乱獲でなく、豊漁貧乏 • 現在、サンマは資源保全でなく、 生産調整をしている 問題点 魚種ごとの漁獲量は大きく変動 • 増えた魚を獲る – 魚種交替に備える • 子供を獲らず、大人を獲ること – 泳がせ捜査(成長乱獲) • 減った魚を保護すること – 種もみを残す(加入乱獲) • 選択性の高い漁業技術を開発する こと マサバの乱獲,未成魚捕獲 70年代 尾数 80年代 90年代 93年以降 65.0 60.0% 87.0% 90.6% % ゼロリスク探究症候群 • ミンククジラ76万頭は持続的に 利用できる – 推定頭数は不確実。予防原理! • エゾシカ20万頭は緊急減少措置 – 推定頭数は不確実。予防原理 ABCの決め方 ア メ リ カ 日 本 20% 魚種交替の3すくみ仮説 • 競争力に3す くみ関係? マサバ マイワシ カタクチイワシ サンマ、マアジ 次の優占種は予測可能 A A B C A B C B C A B C 3すくみ仮説によると • 次の魚種交替はいつか? – 海のみぞ知る – 予測不可能 • 次の優占魚種は何か? – カタクチの次はマサバだろう – 反証可能な予測 プランクトン食浮魚類の変動と 生活史特性 毎年の加入量 継続期間 産卵場・索餌域 集団間の交流 回遊 成長速度 産卵期 産卵数・成熟率 成熟齢 初期生存 仔魚の生存 親魚の生存 低水準期 高水準期 たまに良い だいたい多い 数十年 およそ十年 沿岸に限る 沖合に広がる 分断化 一体化 沿岸に定着 大回遊 速い 遅い ? ? 少ない・低い 多い・高い 早熟(1-2 年) 晩熟(~4年) マイワシ減少期も悪くなかった 悪い(減少期) 良い どちらも良い 鹿熊管理は漁業管理の応用! ヒグマ春季管理捕獲 エゾシカ保護管理計画 マサバ加入量は大きく変動 Var[加入量]:80s>90s, P<0.3% Var[RPS]:80s<90s, P<10-7 2度の卓越年級群 マサバの過去と未来を読む • 1970-89年の漁獲圧をかけた場 合と、90年代のそれを比べる。 • 再生産成功指数RPSは過去と同 じ。今後は90年代のRPS値を無 作為抽出 • 99年資源量から始めた将来予想 マサバ資源復活の逸機 漁獲量も十分だった 失われた10年 漁獲の回復確率(50万トン以上) どこまで理論を信じるか? • 既存の資源解析学では、サバは – 乱獲しなければ回復していた? – 改めないと永久に回復しない? • 3すくみ仮説では、マサバもマイ ワシも回復せず、カタクチ・サン マ・アジの黄金時代が永続す る?? • 壮大なる実験 サンマ漁船の選別機 (カタクチイワシ分離機) • ローラに通し、小型魚を選別可能 • 1997 選別した魚を持ち帰ること • 1999 ローラ幅を15mm以上とする →なお、20cm以下のサンマを選別で きる →カタクチイワシは洋上投棄 2000年春の水産学会発表以降の補足 サンマの秋、冬、春生まれ群 • 漁期は9月~12月、成熟1歳? 「系群」 漁期 休漁期 翌年漁期 秋生まれ 仔魚 未成魚 中大型、産卵 冬生まれ 小中型 産卵 死亡? 春生まれ じゃみ、小型 大半産卵 大型、特大 • 小型魚投棄は春群への打撃 サンマ水揚げ量と来遊量指数 銘柄別漁獲量 春・冬生まれが主群 • 選別機で大量に捨てられる恐れ 二重の誤り • 小型魚を獲る(成長乱獲) • 捨てる(投棄魚問題) 「小型魚を大量投棄すれば、サンマ は減るか?」 「資源変動が自然要因なら、捨てて もいいか?」 「減少期には多大な影響の恐れ」 TAC(漁獲可能量)制度の問題点 • 投棄魚もTACに含めよ(選 別機登載船は見なしTAC) • 銘柄(体長)別のTACを! • 漁法別のTACを • 混獲魚のTACを=カタクチイワ シは捨てて良いか?
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