イメージ調査にもとづく火山防災 基準・用語の選定の試み とくに噴火警戒

イメージ調査にもとづく火山防災
基準・用語の選定の試み
とくに噴火警報・噴火警戒レベル
について
総合科学専攻
30516010 国吉雅枝
研究目的①
防災用語は、専門的な用語が多い。
そのため住民にわかりにくく、イメージや危
機的状況が伝わりにくい。
2007年12月1日から気象庁は、それまでの
3種の火山情報と火山活動度レベルを廃止
し、噴火警報・火口周辺警報・噴火予報と噴
火警戒レベル を新たに導入し、火山防災情
報を浸透させようとしている。
研究目的②
しかしこれらの火山防災情報の提供のしくみ
が大幅に新しく変更したことで、本当に日本
の火山防災が向上するかという検証はほと
んどなされていない 。
そこで本研究では、地元の住民や自治体担当
者に対するイメージ調査に基づいて、この新し
い情報提供のしくみに対する妥当性や有効性を
検証することを目的 とする。
火山情報の変更について
緊急火山情報
噴火警報(居住地域)
臨時火山情報
噴火警報(火口周辺)
火口周辺警報
火山観測情報
変
更
噴火予報
また、これらの火山情報を発表する際に、そ
れまで使ってきた火山活動度レベルを廃止
し、
噴火警戒レベルを導入した。
噴火警戒レベル
気象庁ホームページより
研究方法
静岡大学の学生、防災セミナー参加者の地元住
民にアンケートを配布、回答してもらい、回収す
る。そのアンケート結果をエクセルにまとめ、
SPSSを使い分析する。
統計解析のための専用ソフト。
データを入力してクリックをするだけ
でエクセルよりも簡単に統計処理が
できる。
アンケートについて
噴火警報、噴火警戒レベルについてのアン
ケート
(アンケート1Aとアンケート1Bの2種類実施)
 噴火警報、噴火警戒レベルについての第2ア
ンケート

噴火警報、噴火警戒レベル
についてのアンケート 問題1
アンケート1A
アンケート1B
「あなたは活火山のふもとの町に住んでいると
します.ある日,気象庁からその活火山に対
して「噴火警戒レベルX(YY)」が発表されたと
聞いた場合の,あなたの印象はどのようなも
数字キーワード
数字
0 平常
のですか?」と問いかけた上で、6つの設問
1
に回答してもらう。2 1 火口周辺注意
2 注意
3
心理学的効果
3 避難準備
4
のため
4 避難
5
5
問1の設問①
(設問1)噴火がどのくらいの確率で起きるかの
印象を0~100%の数字で回答
(設問2)火山活動の状況についての印象
非常に静穏から非常に活発の7段階で1つ選択
(設問3)危険な箇所についての印象を「危険箇所なし」
「火口周辺はかなり危険」「火口からやや離れた地域も
危険」「火口から非常に離れた地域も危険」などの7段
階から1つ選択
問1の設問②
(設問4)立ち入り規制についての印象を「立ち入り規制な
し」「火口周辺で立ち入り規制」「5合目以上は立ち入り規
制」「町の一部も立ち入り規制」「町の全域が立ち入り規
制」のなどの7段階から1つ選択
(設問5)住民の生活や避難についての印象を「通常の生
活」「ニュースに注意しつつ通常の生活」「子どもやお年寄
の避難開始」「住民全員の避難準備」「住民全員が即座に
避難開始」などの7段階から1つ選択
(設問6)「つまるところ,この状況は,あなたにとってどのく
らい不安な状況でしょうか?」という問いかけに対する回
答を非常に安心から非常に不安の7段階から1つ選択
噴火警報、噴火警戒レベルについて
のアンケート 問題2
「次の言葉に、あなたが怖いと思う順に、1から8まで番号
をつけてください。」という問いをし、
噴火警報、火口周辺警報、噴火注意報、噴火予報
火口周辺注意報、緊急火山情報、臨時火山情報、
火山観測情報
の8つの語句に怖さを感じる順番をつけてもらう。
語句の印象をより深く調べるために、過去と現在の火山
情報の語句の他に、実際に今まで使われていない
語句もいれた。
噴火警報、噴火警戒レベルについて
の第2アンケート①
防災用語の認知度やひとつひとつの語句のイメージ
を調査するため実施。
1、
噴火注意報、臨時火山情報、噴火警報、火山観測情報
緊急火山情報、噴火危険度レベル、噴火警戒レベル、
火山活動度レベルの8つの言葉に対して、「意味がだい
たいわかる」「聞いたことはあるが意味は知らない」「聞い
たことがない」の3段階で語句の認知度をこたえてもらう。
噴火警報、噴火警戒レベルについて
の第2アンケート②
2、その8つの言葉を聞いた第一印象をそれぞれ
5つのスケールについて答えてもらう。
どちらかと
いえば恐い
どちらともいえない
暗い
どちらかと
いえば暗い
どちらともいえない
心配
どちらかと
いえば心配
重い
どちらかと
いえば重い
急ぐ
どちらかと
いえば急ぐ
恐い
どちらかといえば
恐くない
どちらかといえば
明るい
恐くない
明るい
どちらともいえない
どちらかといえば
安心
安心
どちらともいえない
どちらかといえば
軽い
軽い
どちらかといえば
急がない
急がない
どちらともいえない
進行状況
噴火警報、噴火警戒レベルの
アンケート1A、1Bを集計
新入生セミナー教育学部
346人
新入生セミナー理学部
194人
新入生セミナー人文学部
304人
新入生セミナー農学部
地震防災 静岡キャンパス
地震防災 浜松キャンパス
125人
82人
82人
静岡県防災養成講座 静岡会場
67人
静岡県防災養成講座 東部会場
46人
静岡県防災養成講座 西部会場
地震防災 後期
38人
99人
アンケート
1A
969人
アンケート
1B
414人
合計
1383人
噴火警報、噴火警戒レベル
のアンケート1A問1の設問1の結果
90
○噴火警戒レベルの危
険度があがるにつれて噴
火が起きると予測する確
率もあがっている。
80
70
確率(%)
60
50
40
教育学部(教員養成)①
教育学部(三課程)②
教育学部・理学部③
理学部④
人文学部⑤
人文学部1⑥
人文学部2⑦
農学部⑧
30
20
10
0
0
1
2
3
噴火警戒レベル
4
5
○しかしレベル3と4で
は、あまり差の違いがな
い。学生には噴火警戒レ
ベルの数字による危険度
の段階が大まかにしかイ
メージできない。
80
噴火警報、噴火警戒レベル
のアンケート1B問1の設問1の結果
70
確率(%)
60
50
40
30
20
10
0
防災養成講座 静岡会場
防災養成講座 東部会場
防災養成講座 西部会場
地震防災 静岡キャンパス
地震防災 浜松キャンパス
1
2
3
4
5
平常 火口周辺注意 注意 避難準備 避難
噴火警戒レベル
○レベル2と3では噴火
予測の確率は、ほぼ変
わらない。これは、アン
ケート1Aではしっかりと
差があるため、数字より
も数字に相当する語句
の影響だと考えられる。
火口周辺注意(レベル2の語句
)は、注意(レベル3の語句)より
噴火の危険度が高いイメージ
を与えると考えられる。
今後の予定

噴火警報、噴火警戒レベルについてのアン
ケートをエクセル、統計解析ソフトSPSSでま
だしていない設問をすべて分析する。

噴火警報、噴火警戒レベルについての第2ア
ンケートを集計、分析する。