スライド 1

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安全保障貿易管理(総論)
2006年7月
経済産業省 貿易管理部
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目次
1.我が国を取巻く安全保障貿易管理体制と変遷
(1)安全保障貿易管理の必要性
(2)安全保障貿易管理の変遷
(3)安全保障貿易管理の枠組
2.我が国の安全保障貿易管理制度
(1)安全保障貿易管理制度の仕組
(2)違反に対する罰則
3.自主管理体制の整備
(1)自主管理のための社内規程の整備
(2)輸出管理社内規程の整備とポイント
(参考)輸出許可申請・各種相談窓口
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1.我が国を取巻く安全保障貿易管理体制と変遷
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(1)安全保障貿易管理の必要性
国際情勢の不安定化は、我が国の継続的経済発展を妨げる
ばかりか、我々の生活を直接脅かす可能性があります!
輸出管理が厳
格に実施され
ていない国
核兵器等の開発等
を行っている国、
テロリスト
先
進
輸出管理の必要性大
国
輸出・技術提供
不国
安際
定情
化勢
の
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(2)安全保障貿易管理の変遷
1970~
世
冷戦
第
2
次
世
界
大
戦
界
情
勢
1980~
45年
米
・
原
爆
投
下
ソ連(49)、英(52)、
仏(60)、中(64)が
原爆実験成功
80~88年
イラン・イラク
戦争
74年
印
・
原
爆
実
験
84年
兵イ
器ラ
使ク
用化
学
90年代以降の
アジア情勢
北朝鮮
・93年
ノドン発射
・93~94年
核開発疑惑と
米朝枠組合意
・98年
テポドン発射
・02年~
核開発問題
再び表面化
通
常
兵
器
1990~
90年
東西ドイツ統一
90~91年
湾岸戦争
後日、イラク
の核開発計
画が明らか
に
インド・
パキスタン
・98年
両国が
核実験
・02年
両国が
ミサイル
発射実験
大
量
破
壊
兵
器
49年
ココム設立
2000~
01年9月
米国同時多
発テロ事件
01年
10月
03年
3月
ス米
タ国
ンア
攻フ
撃ガ
ニ
攻米
撃国
イ
ラ
ク
77年 原子力供給国会合(NSG)発足・・・核兵器
キャッチオール規制導入
91年に米が、95年にEUが
キャッチ・オール規制導入
02年 我が国キャッチ・
オール規制本格導入
85年 オーストラリアグループ(AG)発足
・・・生物・化学兵器
87年 ミサイル関連機材技術
輸出規制(MTCR)開始
キャッチオール規制導入
経
過
ココム終了 措
置
94年3月
96年7月
ワッセナー・アレンジ
メント設立
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(3)安全保障貿易管理の枠組
国際的枠組
通常兵器
関 連
大量破壊兵器関連
条約
核兵器関係
兵核
器兵
そ器
の、
も生
の物
を・
化
規学
制
国際輸出
管理
レジーム
品発大通
等に量常
を用破兵
貿い壊器
易ら兵、
管れ器ミ
理る等サ
汎のイ
用開ル
等
NPT
核不拡散
条約
Nuclear
Nonproliferation
Treaty
・70年発効
・189カ国締結
(03年12月現在)
NSG
生物・化学兵器関連
BWC
CWC
生物兵器
禁止条約
化学兵器
禁止条約
Biological
Weapons
Convention
Chemical
Weapons
Convention
ミサイル関連
通常兵器関連
武器三原則
武器輸出を
原則禁止
・75年発効
・97年発効
・151カ国批准 ・164カ国批准
(04年6月現在) (04年7月現在)
AG
MTCR
WA
原子力供
給国会合
オーストラリア
・グループ
ミサイル関連
機材・技術輸
出規制
Nuclear
Suppliers
Group
Australia
Group
Missile
Technology
Control
Regime
The
Wassenaar
Arrangement
・85年発足
・39カ国参加
(05年7月現在)
・87年発足
・34カ国参加
(05年7月現在)
・96年発足
・39カ国参加
(05年7月現在)
・77年発足
・45カ国参加
(05年7月現在)
我が国の
枠 組
ワッセナー・
アレンジメント
外国為替及び
外国貿易法
・輸出貿易管理令
(貨物)
・外国為替令
(役務)
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2.我が国の安全保障貿易管理制度
(1)安全保障貿易管理制度の仕組(その1)
規制の意図・目的等
貨物の輸出
「特定貨物」
の輸出
規制対象の
違い
役務の提供
※
「居住者」→「非居住者」
への提供
※ ソフトウェアを含む
リスト
規制
・兵器及び兵器の開
発等に用いられるお
それの高いものを規
制
規制対象地域等
(特定の地域)
・全地域向けが対象
・スペックで該当す
るものは必ず許可
が必要(用途、需要
者によらない)
規制方法の
違い
キャッチ
オール
規制
平成14年4月導入
・リスト規制以外で、
大量破壊兵器等の
開発等に用いられ
るおそれのあるも
のを規制
・全地域向けが対象
米、加、EU諸国等の
輸出管理を厳格に実
施している26ヶ国は
除外
・用途、需要者により、
許可申請の要否が決
まる
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(1)安全保障貿易管理制度の仕組(その2)
ポイントとなる法律や政省令は、貨物の輸出/役務の提供やリスト規制/キャッチ・オール規制の区分に
よって異なります。 下の図は法令の概要を大まかに表した図です。
リスト規制
関係する法令等
貨
物
輸出貿易管理令
別表第1
1~15項
48条
外為法
25条
役
務
キャッチ・オール規制
別表第1
16項
輸出貨物が核兵器等の開発
等のために用いられるおそれ
がある場合を定める省令
輸出貿易管理令別表
第1及び外国為替令別
表の規定に基づき貨物
又は技術を定める省令
etc.
(おそれ省令)
(貨物等省令)
外国為替令
別表
1~15項
別表
16項
貿易関係貿易外取引等に関する省令第9
条第1項第四号イの規定に基づき、経済産
業大臣が告示で定める提供しようとする技
術が核兵器等の開発等のために利用され
るおそれがある場合を定める件
注) 他にも関連する省令や通達等が存在しますが、ここでは省略します。
詳しくは、本資料の参考資料若しくは安全保障貿易管理HP等を参考にしてください。
(おそれ告示)
etc.
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輸出許可の種類
一般包括許可
原則、国際輸出管理レジーム参加国を仕向地
として行う当該レジームで規制された貨物・技術
(機微品目を除く)の取引を一括して許可
個別輸出許可
一般包括許可の適用対象外地域及び貨物・技術
を対象として許可
特定包括輸出許可
複数回の許可
取得実績
特別返品等包括輸出許可
継続的な取引関係を有する同一の相
手方への特定貨物・技術の取引につい
て一括して許可
本邦において使用するために輸入された
貨物であって、不具合による返品、修理
または異品のためのみに輸出する輸出令
別表第1の1項または外為令別表の1項に
該当する貨物(武器)または貨物に内蔵
された技術について一括して許可
注)上記はあくまで大まかな整理です。詳細については、安全保障貿易管理ホームページ
http://www.meti.go.jp/policy/anpo/index.htmlをご覧下さい。
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(2)違反に対する罰則
「輸出管理を知らなかった」「輸出管理は自分とは関係がない
と思っていた」では済みません!!
特定の貨物の輸出・技術提供は規制の対象
注
意
違反した場合には、
経済産業大臣の許可が必要です。
・皆さんに比較的身近な民生用品であっても規制対象となります。
・海外の現地子会社、日系企業向けも対象です。
1.法律に基づき、刑事罰や行政制裁が科される場合もあります。
2.実際に懸念用途に用いられた場合、企業のみならず日本に対するダメージははかり知れません。
刑事罰
・ 対象貨物/役務価格の5倍以下の罰金
(価格が40万円以下でも最高200万円の罰金)
・ 5年以下の懲役
公
表
行政制裁
・ 3年以内の、貨物輸出・技術提供の禁止
経済産業省からの
違反企業に対する警告
・企業イメージの悪化
・社会的制裁
・株主代表訴訟 等
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我が国における行政制裁の事例
行政制裁
(1985年~2004年6月末迄:17件)
2000年5月
S社
対戦車ロケット砲「RPG-7部分品」をイラン向けに無許可輸出
→ 00年5月22日~01年5月21日迄の間、全貨物の輸出禁止
2004年3月
M社
核兵器の開発に転用可能な直流安定化電源を北朝鮮向けに
無許可迂回輸出
→ 04年4月5日~7月4日迄の間、全貨物の輸出禁止
2004年6月
A社
核兵器の開発に転用可能な周波数変換器を北朝鮮向けに無許
可迂回輸出
→ 04年6月18日~10月17日迄の間、全貨物の輸出禁止
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外為法違反による摘発事例
時期
H15
内容
キ
ャ
ッ
チ
・
オ
ー
ル
規
制
A
社
11月
核兵器の開発に転用可能な
直流安定化電源をタイ経由
で北朝鮮に違法輸出しよう
とした容疑により同社社長が
書類送検される。
B
社
C
社
東京地裁判決2/23:
同社社長に対し懲役1年、
執行猶予3年、
同社に対し罰金200万円
1月
核兵器開発に転用可能
な大型のインバータを北朝鮮
向けに不正輸出した容疑
で同社社長以下関係者
2名が逮捕される。
6月
リ
ス
ト
規
制
H16
ミサイル推進薬の製造に
使用可能な機器をイラン
向けに違法輸出しようと
した容疑で同社社長以下
関係者5名が逮捕される。
横浜地裁判決5/10:
同社社長に対し懲役1年、
執行猶予3年、共犯者
に対し、懲役10ヶ月、
執行猶予3年
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3.自主管理体制の整備
(1)自主管理のための社内規程の整備
・安全保障貿易管理の適切な実施のためには、関係法令の遵守をはじ
め企業における自主管理が重要。
・自主管理を行うにあたっては、輸出管理社内規程(CP)を整備し、こ
れに基づいた輸出管理を行うことにより、企業のリスクを軽減すること
が可能。
<社内組織体制と具体的活動の例>
○営業部門から独立した輸出管理部門を設立し、同組織を中心とした輸出管理(審査)
体制を構築する。
○輸出管理部門が中心となり、最新の制度等の関連情報を入手し、社内へ周知・徹底
を図る。
○該非判定(許可の要否)、取引審査(用途・需要者の確認等)などについては、複数の
者によるダブルチェック以上の体制で実施する。
○出荷部門では、社内での取引審査の終了していることの確認及び出荷管理票と貨物
の同一性を確認を行う。
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引合い
最高責任者
営業部門
設計・製造部門
取引審査
・該非判定
(許可の要否)
・顧客審査
・用途・最終需要者
の確認
(判定書)
(取引審査
稟議書)
該非判定書の作成
済
(教育・監査)
(製品)
該非判定最終確認
契約締結
(教育・監査)
輸出許可証の取得
(必要に応じ)
経
輸出管理部門
制度等関連
情報の入手
取引審査決裁
(許可証)
(教育・監査)
産
業
輸出許可申請の
必要性確認
(出荷依頼書)
製品の出荷依頼
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企業の輸出審査の流れと具体的活動
省
出荷部門
出荷管理
・取引審査の終了を確認
・出荷管理票と貨物の
同一性を確認
貨物の輸出
(2)輸出管理社内規程の整備とポイント
輸出管理社内規程の作成にあたっては・・・
①輸出管理体制、②取引審査、③最終判断権者の疑義ある取引の未然防止、
④出荷管理、⑤監査、⑥教育、⑦資料管理、⑧子会社等指導、⑨違反の9項目
を規定することが必要。
輸出管理体制については・・・
企業の組織構成、商社又は製造業者、企業規模を考慮しながら、企業の業態・
規模に応じた管理体制を構築することが望ましい。
企業の業態・規模
に応じた管理体制
●適切な輸出管理体制の構築が輸出管理の実効性・持
続性の確保から重要
●各管理体制のメリット・デメリットを良く理解し、そのデメ
リットを解消する施策を講じること
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(参考)
輸出許可申請・各種相談窓口
1.輸出許可申請は、以下のアドレスのホームページに記載する申請窓口に、
様式・添付資料を準備したうえで申請願います。
( http://www.meti.go.jp/policy/anpo/tetsuzuki/madoguchi/index.html )
注意 貨物及び仕向地により申請窓口が異なりますので、御確認下さい。
2.解釈、手続等で疑問があれば、以下に問い合わせください。
(1)輸出管理についての一般的なお問い合わせは、
安全保障貿易 相談窓口まで ℡:03-3501-3679
(2)申請手続き、キャッチオール事前相談についてのお問い合わせは、
安全保障貿易審査課まで ℡:03-3501-2801
注意
リスト規制に関しては、該当する規制リスト項目、輸出貨物(技術)の技術的仕様を、
キャッチオール規制に関しては、仕向地、HS分類コード、用途チェックリスト、顧客チェックリストを
お手元に御用意頂いたうえ、ご連絡ください。
(3)輸出管理社内規程(CP)についてのご相談、不正輸出のご連絡は、
安全保障貿易検査官室まで ℡:03-3501-2841
(4)法令の解釈のお問い合わせ、ホームページへご意見は、
安全保障貿易管理課まで ℡:03-3501-2800
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