1 安全保障貿易管理(総論) 平成16年5月1日 経済産業省貿易管理部 2 目次 1.我が国を取巻く安全保障貿易管理体制と変遷 (1)安全保障貿易管理の必要性 (2)安全保障貿易管理の枠組 (3)安全保障貿易管理の変遷 2.我が国の安全保障貿易管理制度 (1)安全保障貿易管理制度の仕組 (2)違反に対する罰則 3.安全保障貿易管理を巡る最近の動向 (1)キャッチ・オール規制 (2)取締の強化 4.「当社に限って」と考えられている方へ 5.経済産業省の取組みと企業に求められる対応 3 1.我が国を取巻く安全保障貿易管理体制と変遷 4 (1)安全保障貿易管理の必要性 安全保障貿易管理は、個人・企業の利益に優先し、考慮すべき課題 です。国際情勢の不安定化は、我が国の継続的経済発展を妨げる ばかりか、我々の生活を直接脅かす可能性があります! 輸出管理が厳 格に実施され ていない国 先 進 輸出管理の必要性大 国 輸出・技術提供 核兵器等の開発 等を行っている国 国 際 情 勢 の 不 安 定 化 5 (2)安全保障貿易管理の枠組 我が国の枠組 国際的枠組 大量破壊兵器関連 通常兵器関連 条約 核兵器関係 兵核 器兵 そ器 の、 も生 の物 を・ 化 規学 制 NPT 核不拡散条約 Nuclear Non-proliferation Treaty ・70年発効 ・189カ国締結 (03年9月現在) 国際輸出管 理レジーム 品発大通 等に量常 を用破兵 貿い壊器 易ら兵、 管れ器ミ 理る等サ 汎のイ 用開ル 等 生物・化学兵器関連 BWC CWC 生物兵器 禁止条約 化学兵器 禁止条約 Biological Weapons Convention Chemical Weapons Convention ミサイル関連 武器三原則 武器輸出を 原則禁止 ・75年発効 ・97年発効 ・151カ国批准 ・157カ国批准 (03年11月現在) (03年11月現在) NSG AG 原子力供 給国会合 オーストラリア ・グループ Nuclear Suppliers Group Australia Group Missile Technology Control Regime ・85年発足 ・33カ国参加 (03年9月現在) ・87年開始 ・33カ国参加 (03年9月現在) ・77年発足 ・40カ国参加 (03年9月現在) 通常兵器関連 MTCR ミサイル関連 機材・技術輸 出規制 WA ワッセナー・ アレンジメント The Wassenaar Arrangement ・96年発足 ・33カ国参加 (04年1月現在) 外国為替及び 外国貿易法 ・輸出貿易管理令 (貨物) ・外国為替令 (役務) 6 (3)安全保障貿易管理の変遷 1970~ 1980~ 1990~ 冷戦 世 界 情 勢 第 2 次 世 界 大 戦 45年 74年 米 ・ 原 爆 投 下 印 ・ 原 爆 実 験 84年 兵イ 器ラ 使ク 用化 学 90年 東西ドイツ 統一 01年9月 米国同時多 発テロ事件 90~91年 湾岸戦争 後日、イラクの 核開発計画が 明らかに 01年 10月 03年 3月 ス米 タ国 ンア 攻フ 撃ガ ニ 攻米 撃国 イ ラ ク 90年代以降のアジア情勢 北朝鮮 ・93年 ノドン発射 ・93~94年 核開発疑惑と米朝 枠組合意 ・98年 テポドン発射 ・02年~ 核開発問題再び 表面化 通 常 兵 器 ソ連(49)、英、(52) 仏(60)、中(64)が 原爆実験成功 80~84年 イラン・イラク 戦争 89年 米・ソ マルタ 宣言 2000~ インド・ パキスタン ・98年 両国が核実験 ・02年 両国がミサイル 発射実験 49年 ココム設立 77年 原子力供給国会合(NSG)発足・・・核兵器 大 量 破 壊 兵 器 85年 オーストラリアグループ(AG)発足・・・生物・化学兵器 87年 ミサイル関連機材技術輸出規制(MTCR)開始 91年に米が、95年にEUが キャッチ・オール規制導入 02年 我が国キャッチ・ オール規制本格導入 94年3月 ココム終了 経 過 措 置 96年7月 ワッセナー・アレンジメント設立 7 2.我が国の安全保障貿易管理制度 (1)安全保障貿易管理制度の仕組(その1) 8 貿易管理の範囲 対象品(役務) リスト規制? 貨物の輸出? 規制対象の違い ・「武器」または、 ・全地域向けが対象 ・「主要供給国間で合意 した軍事用途にも転用可 能な高度技術汎用品」 ・スペックで該当するも のは必ず許可が必要 ・食料品や木材等の一 部を除く全てのもの (リスト規制品を除く) ・全地域向けが対象 米、加、EU諸国等の輸出 管理を厳格に実施してい る26ヶ国は除外 (用途、需要者によらない) 規制方法の違い 役務の提供? ※ 規制対象地域等 キャッチオール 規制? ・用途、需要者により、許 可申請の要否が決まる ※ 役務 = ソフトウェアや技術の提供 9 (1)安全保障貿易管理制度の仕組(その2) ポイントとなる法律や政省令は、貨物の輸出/役務の提供やリスト規制/キャッチ・オール規制の 区分によって異なります。 下の図は法令の概要を大まかに表した図です。 リスト規制 関係する法令等 貨 物 輸出貿易管理令 別表第1 16項 別表第1 1~15項 輸出貨物が核兵器等の開発 等のために用いられるおそれ がある場合を定める省令 48条 外為法 キャッチ・オール規制 輸出貿易管理令別表 第1及び外国為替令別 表の規定に基づき貨物 又は技術を定める省令 etc. (おそれ省令) 25条 役 務 外国為替令 別表 16項 別表 1~15項 貿易関係貿易外取引等に関する省令第9 条第1項第四号イの規定に基づき、経済産 業大臣が告示で定める提供しようとする技 術が核兵器等の開発等のために利用され るおそれがある場合を定める件 他にも関連する省令や通達等が存在しますが、ここでは省略します。 詳しくは、本資料の参考資料若しくは安全保障貿易管理HP等を参考にして下さい (おそれ告示) etc. 10 武器輸出三原則 (政府見解) ○衆議院決算委員会の場において、武器輸出に対する政府の方針が明確に示される。 佐藤内閣 (1967.4) 次の場合には武器の輸出を認めない。 ①共産圏諸国向けの場合 ②国連決議により武器等の輸出が禁止されている国向けの場合 ③国際紛争当事国又はそのおそれのある国向けの場合 ○武器輸出三原則に対する政府統一見解が示される。 三木内閣 (1976.2) 政府の方針 ①三原則対象地域については、「武器」の輸出は認めない。 ②三原則対象地域以外については、憲法及び外為法の精神にのっとり、「武器」の輸出を 慎むものとする。 ③武器製造関連設備の輸出については、「武器」に準じて取扱うものとする。 武器の定義 「軍隊が使用するものであって、直接戦闘の用に供されるもの」をいい、具体的には、輸出令 別表第1の第1項(1)から(14)までに掲げるもののうちこの定義に相当するものをいう。 (WA、武器三原則及び輸出令別表第1の第1項貨物との関係) 国際紛争当事国又はそのおそれのある国 に対する武器輸出禁止の例外として・・・ ○自衛隊の海外派遣に係る武器輸出 破壊又は殺傷の用に 使用可能な貨物で、 我が国が独自に規制 ワッセナー・アレンジメント のリスト 猟銃、スポーツ銃、 ダイナマイト等 武器輸出三原則が 対象とする「武器」 ・PKO及び国際緊急援助活動 ・テロ特別措置法 ・イラク人道復興支援特別措置法 等 輸出令別表第1 の第1項貨物 ○目的が国際紛争を助長しない武器積み戻し ・我が国で使用するために輸入された武器の不良品等の返還 ・湾岸地域諸国に渡航する報道関係者が携帯する防毒マスク の輸出 等 等の事例があります。 (2)違反に対する罰則(その1) 「輸出管理を知らなかった」「輸出管理は自分とは 関係がないと思っていた」では済みません!! 特定の貨物の輸出・技術提供は規制の対象 経済産業大臣の許可が必要です。 注 意 ・皆さんに比較的身近な民生用品であっても規制対象となります。 ・海外の現地子会社、日系企業向けも対象です。 違反した場合には、 1.法律に基づき、刑事罰(罰金、懲役)や行政制裁(貨物の輸出・技術の提供 の禁止)が科される場合もあります。 2.実際に懸念用途(ミサイルや核製造機器の部品等)に用いられていた場合 には、企業のみならず日本に対するダメージははかり知れません。 11 (2)違反に対する罰則(その2) 代表2人に有罪判決 刑事罰 A国へ武器部品不正輸出 ・ 対象貨物/役務価格の5倍以下の罰金 (価格が40万円以下でも最高200万円の罰金) 公 ・ 5年以下の懲役 行政制裁 表 ・3年以内の、貨物輸出・技術提供の禁止 経済産業省からの違反企業に対する警告 12 ・企業イメージの悪化… ・社会的制裁等... 13 我が国における行政制裁の事例 行政制裁 (1985年~2004年6末迄:17件) 2000年5月 S社 対戦車ロケット砲「RPG-7部分品」をイラン向けに無許可輸出 2004年4月 M社 核兵器の開発に転用可能な直流安定化電源を北朝鮮向けに 無許可迂回輸出 2004年6月 A社 核兵器の開発に転用可能な周波数変換器を北朝鮮向けに無許 可迂回輸出 14 3.安全保障貿易管理を巡る最近の動向 15 (1)キャッチ・オール規制 定着しつつあるキャッチ・オール規制 対象 ・仕向国-我が国と同様の不拡散政策を執る26カ国を除外 ・対象貨物-食料品、木材等を除く、原則全品目を対象 < 懸念の強い貨物例36品目 > 輸出者による判断=客観要件 ①用途要件(使用目的) <ⅰ)核兵器等の開発 又は ⅱ)別表行為に用いられるか> ②需要者要件(顧客) <ⅰ)核兵器の開発等を行う(行った) 又は ⅱ)外国ユーザーリストに該当するか> 明らかガイドラインに該当する場合(輸出貨物等が大量破壊兵器の開発等以外 に用いられることが明らか)を除く。 経済産業省による判断=インフォーム要件 税関等との情報共有 (注) は経済産業省による情報提供 要 許 可 申 請 16 キャッチ・オール規制の運用実績 1 事前相談制度の実績 平成16年 平成 15年 1月 2月 3月 累計 430 502 33 51 50 1066 146 210 11 17 24 408 許可申請不要 107 172 7 13 9 308 許可申請必要 32 30 1 1 1 65 平成 14年 窓口応対件数 相談受理件数 ※ 相談受理件数には、審査中や、受理後に取り下げられた案件も含まれているため、 必ずしも 相談受理件数 = 許可申請不要 + 許可申請必要 とは、なっていません。 2 企業からの輸出申請実績 (平成14年4月~平成16年4月末) 申請件数 許可件数 不許可件数 用 途 要 件 該 当 12 11 0 需 要 者 要 件 該 当 24 14 2 16 6 2 8 8 0 外国ユーザリスト掲載 輸出者が入手した文書等 17 (2)取締の強化 最近の主な違法輸出 時期 H15 内容 H16 11月 キ ャ ッ チ ・ オ ー ル 規 制 A 社 核兵器の開発に転用可能な直流 安定化電源をタイ経由にて北朝鮮 に違法輸出しようとした容疑により 同社社長が書類送検される。 1月 B 社 核兵器開発に転用可能な大型 のインバータを北朝鮮向けに不正 輸出した容疑で同社社長以下 関係者2名が逮捕される。 6月 C 社 リ ス ト 規 制 ミサイル推進薬の製造に使用可 能な機器をイラン向けに違法輸 出しようとした容疑で同社社長以 下関係者5名が逮捕される。 10月 D 社 輸出規制対象の工作機械を輸出 の許可なくインドネシア向けに輸 出したとして同社に対し経済省か ら警告文書が発出される。 18 具体的違反事例(A社) 具体的違反事例(B社) 具体的違反事例(C社) 19 具体的違反事例(D社)-局長警告の発出 その他関連事例-注意事項の発出 大量破壊兵器関連貨物の迂回輸出について 輸出注意事項15第25号・平成15・05・16貿局第2号 平成15年5月26日 貿易経済協力局 我が国は、平和国家としての立場から、大量破壊兵器等の不拡散政策を堅持し、 大量破壊兵器等に関連する貨物・技術の輸出等については、国際的な合意の下、 外国為替及び外国貿易法(以下、「外為法」という。)に基づき厳正な輸出管理を実 施してきました。また、昨年4月よりキャッチ・オール規制を実施し、さらに規制の実 効性を高めるよう取り組んでいます。 最近、大量破壊兵器等の開発等に用いられるおそれがある貨物について、輸出 許可を受けることなく、輸出管理制度が整備されていない第三国を経由して、北朝 鮮の大量破壊兵器等の開発等に関与しているおそれがある者に輸出しようとした 事例が発生しました。 この事例の発生はまことに遺憾であり、経済産業省としては当該貨物の輸出者 に対し外為法に基づく立入検査を実施し、外為法違反として告発する等厳正に対 処しています。 輸出者各位におかれては、このような大量破壊兵器等に関連する貨物・技術の 輸出について、政府の方針を十分御認識いただき、結果として大量破壊兵器等の 開発等に結びつく行為に荷担することがないよう、今回のような迂回輸出も念頭に、 最終需要者や最終用途を慎重に確認する等社内の輸出管理を徹底してください。 また、国内販売であっても、その後輸出されることが明らかな場合には、直接輸 出する場合に準じた社内審査を行う等慎重に対応してください。 なお、キャッチ・オール規制も含めた社内の輸出管理については、以下の文書 を参考としてください。 ○不拡散型輸出管理に対応した輸出関連法規の遵守に関する内部規程の策定 又は見直しについて(平成6年6月24日、6貿第604号) http://www.meti.go.jp/policy/anpo/jishukanri/naibukitei-sakusei/index.html ○安全保障輸出管理ガイダンス(平成14年2月) http://www.meti.go.jp/policy/anpo/jishukanri/guidance/guidance.html ○キャッチ・オール規制の運用の見直しについて(平成15年4月15日) http://www.meti.go.jp/policy/anpo/catch-all/index.html 20 21 税関との協力 リスト規制 未遂(税関申告)でも刑事罰の対象と なります。 キャッチ・オール規制 輸出者が貨物、需要者、用途を十分 チェックしない場合には、税関との情 報共有を通じて、インフォームされる 可能性があります。 インフォーム貨物の例(参考) ・数値制御工作機械 ・真空凍結乾燥機 ・電子天秤 ・TIG溶接用機材 ・直流安定化電源 ・大型トラクター ・引っ張り試験機 ・周波数変換器 現時点のインフォーム件数:26件 22 4.「当社に限って」と考えられている方へ 23 当社の「製品」に限って (1)核兵器等の製造を目的とした製品は取り扱っていない。 リスト規制の対象は、武器または軍事用途にも転用可能な高度技術汎用品(民生品)です。 製 品 製 造 目 的 転用の可能性 注意 工作機械 産業用機械 ウラン濃縮に必要な遠心分離器の成形・加工 炭素繊維 ゴルフシャフト ミサイルの構造部材 トリエタノールアミン 化粧品、シャンプー 化学兵器原材料 凍結乾燥装置 食品加工用装置 生物兵器製造装置 (2)高度な技術は扱っていない。 日本国内では入手容易で、「高度な技術でなくなった」貨物も規制対象となっています。 特に、化学・生物兵器関連機材には、身近な製品も含まれるため注意が必要です。 化学兵器関連 耐腐食性の反応器、貯蔵容器、熱交換器、蒸留等又は吸収塔、充てん用機械、 かくはん機、弁(ダイヤフラム弁、逆止め弁、ベローズ弁等)、多重管、ポンプで 特定の仕様をもつもの 生物兵器関連 クロスフローろ過用装置、凍結乾燥機、発酵槽等 (3)活動が研究開発に特化しており、製品の取扱を行っていない。 特定の種類の貨物の設計、製造、または使用に係る技術を提供する場合には、役務取引 許可が必要です。 設計の定義には、設計研究、設計概念及びプロトタイプの製作及び試験といった設計の初期 段階における活動も含まれます。 24 当社の「販売先」に限って (1)国内販売のみで、輸出は行っていない。 規制貨物・技術については、例え国内販売であっても、最終的に当該貨物・技術が 海外に提供されることが明らかな場合は、適切な輸出管理を行うことが重要です。 (2)輸出は海外子会社向けのみで、懸念用途に用いられない。 輸入者や需要者が日系企業ということをもって、許可が不要ということにはなりません。 海外への進出にあたり、生産設備・原材料の輸出を行う場合には、充分な注意が必要 です。 また子会社の取引にあたり問題が発生した場合には、当該企業のみならず親会社にも 社会的責任が求められる可能性があるため、子会社に対する適切な教育・指導を実施 することも重要です。 (3)貨物の輸入者はアセアンの大手企業である。 輸出取引にあたっては、輸入者のほか、常に最終需要者の確認が必要となります。また 貨物の「仕向地」とは、最終的に貨物が消費・加工される国を言います。 25 「関係法令遵守」を徹底させている当社に限って (1)輸出管理担当部門は設置していないが、社内での「関係法令遵守」を 徹底させている。 たとえ、営業担当職員全員が輸出関連の法制度に精通していたとしても、日常業務 において個人の見落とし・判断ミスは生ずる可能性があり、それを未然に防ぐために は、組織的な輸出管理体制の整備が望まれます。 (2)輸出管理担当部門を設置し、一任している。 たとえ、輸出管理担当部門を設置したとしても、営業部門、製造部門及び出荷部門等 事業部門との輸出管理における役割分担が明確でないと問題が発生する可能性が あります。 また輸出管理体制の向上・維持管理のためには、輸出管理担当部門による事業部門 に対する教育・監査の実施が重要です。 26 5.経済産業省の取組みと企業に求められる対応 27 国内企業に対する取組み ①普及・啓蒙活動 を通じた安全保 障貿易管理の 認識向上 ⅰ)パンフレット『その輸出!! ちょっと待った!』の配布 ⅱ)経済産業省のHPを通じた ②輸出管理社 内規程の策 定に対する 支援 ③輸出管理社 内規程規の 適切な実施 に対する支援 ⅰ)パンフレット「CPの整備に 向けて」の配布 ⅱ)CISTECによる輸出管理社内 規程のモデルの作成・公表 情報提供 ⅲ)安全保障貿易管理説明会 の実施 Ⅳ)電話相談窓口の設置 輸出管理社内規程とは 輸出管理社内規程とは、別名コンプライアンス・プログラム(CP)とも言い、輸出規制 に関する外為法等の法令を遵守し、違反を未然に防ぐための社内規程をいいます。 輸出等管理に係る該非判定/取引審査/出荷審査/内部監査/教育訓練等9項目 が規定されています。 28 ①-ⅱ) 安全保障貿易管理ホームページ(TOPページ) http://www.meti.go.jp/policy/anpo/index.html 許可申請に関する 大半の基本情報が 記載されています。 小委員会における審 議内容を始めとした、 キャッチ・オール規制 に関する各種情報の 掲載。 許可申請手続きに関 する基本情報が記載 されています。 輸出管理関係法令、 お知らせ等の掲載 輸出者の自主輸出管 理のための情報を掲 載。 国際レジーム、輸出 管理関係団体等へ のリンク キャッチ・オール規制 を始めとした輸出管理 に関するQ&A、用語 の説明。 ☆平成15年中のアクセスは28万件。 29 ①-ⅲ) 平成15年度安全保障貿易管理説明会の実施状況 北海道・東北 2ヵ所 ・ 120名 全 体 信越・北陸 開催ヵ所 ・ 参加人数 3ヵ所 ・ 150名 30ヵ所 ・ 3,120名 金沢・富山等 札幌・山形 近 畿 4ヵ所 ・ 590名 大阪・京都等 中 国 2ヵ所 ・ 70名 関 東 福山・境港 8ヵ所 ・ 1,760名 東京・横浜等 東 海 3ヵ所 ・ 240名 九州・沖縄 4ヵ所 ・ 140名 四 国 4ヵ所 ・ 150名 大分・沖縄等 高知・徳島等 名古屋 3会場 30 ①-Ⅳ) 安全保障貿易相談窓口 問い合わせ内容の抜粋 【安全保障貿易相談窓口への問い合わせ件数の推移(H15.4~12)】 135 ・当社の製品××は規制品に該当しているので 132 124 しょうか? 119 ・最近、よく耳にする「キャッチオール規制」とはどの ような規制ですか? 100 件 84 84 78 ・輸出許可の取得申請を行いたいが、具体的に どのような書類を用意すればよいのでしょうか? 75 53 50 輸出管理についての一般的な問い合わせは、 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 合計884件 10 月 11 月 12 月 安全保障貿易相談窓口 TEL 03-3501-3679 まで 31 ②-ⅱ) CISTECによる輸出管理社内規程のモデルの公表 CISTEC会員企業が自社の経験に基づき、業種や業態に応じた条文型 式の輸出管理社内規程のモデルを作成し、HPにて公表 http://www.cistec.or.jp/open/info/ihanjirei/modelcp/021001modelcp.html ***株式会社 規定第**号(平成*年*月*日制定) 安全保障輸出管理規程 第1章 総則 第2章 基本方針 (基本方針) 第4条 以下を当社における安全保障輸出管理の基本方針とする。 第4章 手続 一 規制貨物等の輸出等については、外為法等に反する行為は行わない。 (目的) (該非判定) 第1条 国際的な平和及び安全の維持を目的とする安全保障輸出管理を適切に実施するた 二 外為法等の遵守及び適切な輸出管理を実施するため、安全保障輸出管理の責任者を 第8条 輸出等を行う場合には、 リスト規制貨物等に該当するか否かについて判定を行う。 めに、本規程を定める。 定め、輸出管理体制の整備、充実を行う。 2 輸出管理統括部門は、該非判定を行う部門及び判定内容を審査し最終決定を行う部門 を定める。 (適用範囲) 第3章 組織 第2条 本規程は、[会社名を記入]株式会社(以下「当社」という。)が行う貨物の輸 (最高責任者) 3 該非判定は、以下のとおり行う。 出及び非居住者への技術の提供に関する業務に適用する。必要な場合は、別に細則等を 第5条 基本方針に基づき、安全保障輸出管理関連業務を適正かつ円滑に実施するため、 定めるものとする。 代表取締役若しくはそれに準ずる者を安全保障輸出管理の最高責任者とする。 一 当社で設計・開発した貨物等の輸出等を行う場合、[該非判定部門の名称を記入] は、必要な技術資料を整備し、最新の外為法等に基づいてリスト規制貨物等に該当す るか否かを判定する。 (定義) (輸出管理統括部門) 第6条 最高責任者又は最高責任者が定める者を長とする最高責任者直轄の輸出管理統括 第3条 「外為法等」とは、国際的な平和及び安全の維持の観点から貨物の輸出及び技術 二 社外から調達した貨物等の輸出等を行う場合、[該非判定部門の名称を記入]は、 部門を設置する。 の提供を規制する外国為替及び外国貿易法とこれに基づく政令、省令、通達等をいう。 調達先からの該非判定書等の入手等により、本項の一と同様、適切に該非判定を行う。 2 輸出管理統括部門は、以下の業務を行う。 ただし、調達先から該非判定書等を入手しなくても判定できる場合には、当社の責任 2 「輸出等」とは、貨物の輸出(輸出を前提とする国内取引を含む。)及び非居住者へ で判定してもよい。 の技術の提供をいう。 一 安全保障輸出管理規程の制定、改廃 二 運用手続(細則)の制定、改廃 三 本項の一、二のいずれの場合においても、[該非判定審査部門の名称を記入]は、 三 取引の審査、承認 判定内容について審査し最終決定を行う。 四 全社管理業務の統括及び全社徹底事項の指示、連絡、要請等 4 「規制貨物等」とは、国際的な平和及び安全の維持の観点から外為法等により規制さ 五 監査 れている貨物及び技術をいう。 このうち、輸出貿易管理令(以下「輸出令」という。) 六 教育 七 子会社及び関連会社等の指導 別表第1の1の項から15の項に該当する貨物及び外国為替令(以下「外為令」という。 ) (用途確認) 八 関係部門等の長に対する報告等の要求、調査の実施、又は改善措置等の命令 別表の1の項から15の項に該当する技術を「リスト規制貨物等」といい、輸出令別表 第9条 営業部門等は、輸出等の引合を受けた場合には、その行おうとする輸出等の用途 3 「貨物等」とは、貨物及び技術をいう。 第1の16の項に該当する貨物及び外為令別表の16の項に該当する技術を「キャッチ オール規制貨物等」という。 について以下の項目に該当するか否かを確認する。 (事業部門管理体制) 第7条 本規程の遵守及び輸出管理業務を適切に実施するため、輸出管理統括部門が定め 一 リスト規制貨物等については、核兵器等の開発等に用いられる若しくは核兵器等の 5 「核兵器等」とは、核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布 る事業部門に輸出管理責任者を置く。 開発等以外の軍事用途に用いられる、又はこれらの疑いがある。 のための装置又はこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機をいう。 6 「開発等」とは、開発、製造、使用又は貯蔵をいう。 2 事業部門輸出管理責任者は、輸出管理統括部門の指示の下に、当該事業部門内の輸出 二 キャッチオール規制貨物等については、核兵器等の開発等に用いられるおそれがあ 管理に関する以下の業務を行う。 る。 一 二 三 四 五 事業部門運用手続(細則)の制定、改廃 輸出管理統括部門の指示、連絡、要請等の周知徹底 輸出管理手続業務の推進 教育 所管する子会社及び関連会社等の指導 (需要者等確認) 第10条 営業部門等は、輸出等の引合を受けた場合には、その行おうとする輸出等の契 約相手先、需要者等について以下の項目に該当するか否かを確認する。 一 経済産業省作成の「外国ユーザーリスト」に記載されている。 二 核兵器等の開発等を行う又は行ったことが入手した資料等に記載されている又はそ の情報がある。 32 ③輸出管理社内規程の適切な実施に対する支援 輸出管理社内規程を適切に実施 していると自己審査した企業名の 公表 輸出管理社内規程の届出企業に対し 1.輸出動向、監査等の実施 状況を記載した「企業概要」 2.輸出管理社内規程の実施状 況を自己審査した自己管理 チェックリスト 2004年4月時点 262社 の定期的提出を要請。 また法制度の改正及び社内組 織の変更に合わせ、実効あるも のとなるよう輸出管理社内規程 の改正を要請。 実地調査 企業の理解・協力を得た上で、輸出管理社内規程に基づく各企業の輸出 管理状況を調査することを通じて、各企業の輸出管理の維持・向上を図る。 =違法輸出の疑義がある企業を対象に行うものでは、ありません。 33 最後に(輸出管理体制の整備に向けて) 貴社の輸出管理体制がどのレベルにあるかご存じですか? 輸出管理体制を整備していない企業においては、次の手順で作業を進めて 下さい。 ①輸出管理の責任者を明確にする。 当該責任者は、輸出管理関連の最新情報を入手し、輸出に係わる取引 審査の手続き等を整備する。 ②輸出管理社内規程を策定し、経済産業省に届け出る。 ③輸出管理社内規程が適切に実施されていることを定期的に確認する。 (自己審査結果を踏まえた、METI ホームページでの企業名公表を含む。)
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