大学等の安全保障 輸出管理 2010年11月 (財)安全保障貿易情報センター 1 Ⅰ 必要性とその背景 2 大学での安全保障輸出管理強化の動き ●政府の知的財産戦略本部決定(2006年~) ・「知的財産推進計画」で「大学での輸出管理強化」を規定。 ●文部科学省事務次官通達(2006.3) 「大学及び公的研究機関における輸出管理体制の強化に ついて」 ●文部科学省4局長連名通達(2009.11) ●イラン、北朝鮮への国連制裁時にも相次ぎ通達 (2007~2009) ※ 経済産業省からも大臣・局長要請。大学等向けに「機微 技術管理ガイダンス」も作成 3 背景① 科学者自身による問題提起 フィンク・レポートの警告ーデュアルユースジレンマ ●全米科学アカデミー2004年報告書 「テロリズムの時代における生命工学研究」 ・「デュアルユース関連のバイオテクノロジー研究の規制は、 技術的、政治的そして社会的に非常に論議を呼び起こす 問題である。 軍備管理や軍備縮小の分野においては、 デュアルユースとは民生利用の技術の軍事的転用(又は その逆)を意味する。」 「中心的な問題は、科学的に重要な研究を進めると同時 にその研究が潜在的に伴う不正利用のリスクをいかに軽 減することができるかという点である。」 4 フィンク・レポートの警告ーデュアルユースジレンマ 「金属学、爆発物、内燃機関、航空機産業、電 気工学、核物理学など、全ての主要な技術は、 平和利用だけでなく敵対的な目的のために集 中的に開発されてきた。 来る21世紀の主要技術として疑う余地の無い バイオテクノロジーにおいても、これと同じような ことが起きるに違いない…」 5 デュアルユース研究の負の側面 ●フリッツ・ハーバー(1868-1934) + 窒素を化学肥料に変換する方法を発明。 農業に革新的進歩。ノーベル賞受賞。 - 第1次大戦で、毒ガス兵器開発に従事し、 作戦指揮。妻は反対し自殺。戦後、戦犯候補に。 ●ロバート・オッペンハイマー(1904-1967) + 理論物理学の発展に貢献。 - 初代ロスアラモス研究所長として、原爆開 発製造を主導。「科学者は罪を知った」 ※防衛医科大・四ノ宮成祥博士のご教示等を参考にしました。 6 IAP声明に関する日本学術会議会長コメント (2005.12) ●IAP声明:国際問題に関するインターアカデミーパネルの「バイオセキュリティに 関するIAP声明」 「この声明では、科学者の行動規範を作成する際に考慮すべき基本的な 問題を「明示」しており、科学者は、自分たちの研究の結果について常 に予測すべきこと、有害な結果しかもたらさない研究を引き受けることを 拒否すべきことを求めています。 さらに、科学者は、優良・安全・確実な実験手順を用いるべきこと、生物学 研究の不適切な使用を防ぐための教育を行い、「社会へも」情報を広め るべきであること、生物兵器禁止条約又は国際慣習法に違反する活動 に気づいた場合はその懸念を表明すべきこと、研究の「推進や論文等」 の評価に責任のある科学者は、自分の監督下にある者がこれらの原 則を厳守するよう努め、模範となる行動をとるべきこと、を求めています。 日本学術会議も、本声明が示すような科学者の行動規範の重要性に鑑み、 本年9月にこの声明を支持することを「表明」しております。 」 7 背景その② 機微技術流出への国際的な 関心の高まり ●国連安保理決議1540号(2004年) ・テロリスト、懸念国等への大量破壊兵器開発等に資する 資材・技術の拡散防止措置を加盟各国の義務に。 ●数度に亘るイラン、北朝鮮に対する国連制裁決議 ・その中に、「核・ミサイル開発に寄与する分野の、自国 内、自国民による当該国民に対する専門教育・訓練の 監視・防止を要請」が盛り込まれた。 →文科省から、当該国の研究者・学生との交流に おいて、上記の点に関して、数次にわたり注意喚起。 8 背景③ー大学での問題事例の発生 米国テネシー大学・ロス教授のみなし輸出違反事件 ●米国の武器輸出管理法 ・技術データも含めた軍事関連品目・技術の海外や外国籍保有者への輸 出・開示を禁止 。 ・罰金(最高):1,525万ドル、禁固(最高) 155年。 ●米空軍から、AGT社を通じた委託で、 プラズマ・アクチュエータ技術の研究 ※軍用無人航空機を制御。 ● ロス教授 ・中国の3大学で講義ー清華大学等から名誉教授の称号。留学生受入れ。 ・容疑→「中国国籍の大学院生に、技術データを無許可で開示」 (2008年5月摘発) ・判決→4年の実刑と服役後2年間監視下の保釈(2009年7月) + 700ドルの特殊課税 9 米国テネシー大学・ロス教授のみなし輸出違反事件 ●大学輸出管理当局は、責任は問われず。 ① 事件以前から、コンプライアンス整備、学内セミナー、指導 を実施。 ② ロス教授に注意喚起し、記録化。 ③ 無視された後、関係当局に報告。 ● 米国の主要大学は、輸出管理を着実に実施。 ・ジョン・ヘネシースタンフォーフォード大学長 「米国が戦闘における軍事的優位を維持し、国家防衛のために輸出管理が 必要なことに疑問の余地はない。」(上院公聴会) ・他方で、現行規制について、科学技術の進展、競争力確保の観点等から、 問題多いとの批判。 10 大学の技術と軍事との関係への注目 ●大学におけるイラン、中国関係事案についてのマス コミ報道 ・外国ユーザーリスト掲載大学関係者との機微 分野での研究交流 ・研究室パソコンからの技術漏洩? ●海外の軍事関係機関からの共同研究等のオファー 等 11 『先端科学技術等を狙った対日有害活動』(警察庁) ① ロシア 軍需産業、原子力、宇宙開発等の分野では、相当に高度だが、民生分 野では、欧米先進諸国に比べて遅れ。先進諸国の企業誘致、合弁・技 術提携、買収等や情報機関員の違法情報収集活動も活発に。 ② 中国 ・多数の学者、技術者、留学生、代表団等を我が国に派遣し、多面的か つ活発な情報収集活動。 ・活動が極めて巧妙であり、多数の中国人が、断片的で些末であると思 われる情報を収集していることが多いため、情報収集活動が行われて いることが認識されにくい。 ③ 北朝鮮 我が国には、朝鮮総聯の傘下の在日本朝鮮人科学技術協会(「科協」) という在日朝鮮人科学者等で構成された団体が存在しており、様々な 活動を通じて、北朝鮮の科学技術発展に寄与することを目指している。 12 研究資金確保の上でも輸出管理が前提に ●政府の「知的財産推進計画」で、「大学での輸出管 理強化」を規定。 ↓ 文科省等からの「国際産学連携研究」の資金交付 は、輸出管理の体制整備・実施が前提に。 ●企業との共同研究等 大企業等との共同研究等でも、輸出管理の実施 が大学に求められる。 13 Ⅱ 大学で必要となる輸出管理 14 大学と企業の輸出管理上の環境比較 企業 大学 マインドの 方向性 ・ノウハウ、営業秘密を守り、 特許等で開発成果は囲い込む。 ・研究開発の成果である技術 こそが利益の源泉であり、他 者との無償での共有は基本的 にない。 ・成果を公表し、広く知らしめること が、研究者にとっての評価につな がる。 ・学会発表、論文発表、学生指導等 を積極的に行い、成果を共有する。 管理体制 ・経営トップの主導の下、体制を 構築し、組織的にチェック。 ・「管理」は当然。 ・研究者、教員自身が行う場合が多 い。 ・「管理」に心情的?抵抗感。 制約され る自由 経済活動の自由 学問の自由、教育の自由 (より高次?) 15 産業界が長年の経験で得た教訓 ○ 経営トップ 経営トップの理解がなければうまくいかない。利益を生まず、営業部門 ともしばしば対立。トップに如何に輸出管理の重要性を認識させるかに 苦労する。 ○ 組織的チェック 組織的に行う、CP(コンプライアンスプログラム)に基づく、自主管理、 ダブルチェック、監査等が有効。 ○ 社会的評価 いったん不正輸出の嫌疑をかけられると、マスコミによる長期間の報道 で、企業の社会的評価に大きなダメージ。 ○ 国際的平和と安全 安全保障に関する国際政治の中でいったん問題視されれば、往々にし て、法律違反かどうかは関係なくなる。平和と安全を損なったと受けと められれば、批判にさらされる。 16 貨物輸出と技術提供① ● 貨物の輸出 ・日本国内→海外へ ※ 船、航空機等への積込みで既遂。 ・相手に提供するかどうかは問わず。自己使用のものでも許 可必要。 ● 技術の提供を目的とする取引 ・規制対象が「取引」(※)であるため、自己使用分 は規制対象外。 ※相手があるもの。有償無償問わない。 ・設計、製造、使用の各技術 <パターン> ・紙・電子媒体での提供/ 電子メール・FAXでの提供 ・データベースへのアクセス許可 / 電話・口頭での教示 17 貨物輸出と技術提供② <技術提供の局面> ・国内→海外(すべて) ・海外→海外(居住者→非居住者) ・国内→国内(居住者→非居住者) ● 注意! ・ 「貨物」の場合は、持ち帰り前提でも該当 品は 許可必要。 ・ 「技術」の場合は、自己使用分は許可不要。 18 大学での「輸出管理」の主な対象① ●海外出張時の携行品や技術の持ち出し ・パソコン等の携行 ・技術資料(紙媒体や電子媒体)の持出・提供 ●研究成果品の海外への送付 ●学会、論文等での研究成果の外部への発表 ※ 不特定多数ではない場合 ●海外の大学・研究機関との共同研究・参画 19 大学での「輸出管理」の主な対象② ●国際産学連携共同研究・開発 ・海外企業との共同研究・開発 ●海外留学生・研究生への指導等 ※ 来日後6ヶ月間は、「非居住者」 ・技術の提供 ー紙・電子媒体の提供 ーデータベース等へのアクセス ー口頭指導 等 ・研究装置の使用 等 20 大学での「輸出管理」の主な対象③ ● 「海外拠点」事務所への送付、送信 ・大学の海外事務所とそこに出向した職員は、「非居 住者」(企業の海外支店と同列)。 ・海外事務所に、リスト貨物、技術資料等を国際宅 配便、電子メール等で送ることは、許可が必要。 ● 内部技術データベース等の海外からの閲覧 ・不特定多数が閲覧できない技術データベース等を、 海外から(海外拠点への出向者を含む)閲覧させる のは、技術提供に該当。 21 大学での「輸出管理」の主な対象④ 経済産業省 『安全保障貿易管理に係る機微技術管理ガイダンス(大学・研究機関用)改訂版』で 許可取得を検討する必要がある事例として紹介されている技術提供の具体例 ○ 海外の研究者にSiCエピタキシャル成長技術を提供する ○ 海外の研究機関に薄膜を作成する装置のメンテナンスに係るノウハウを 教える ○ 海外の企業に特許使用許可とともに製造ノウハウを開示する ○ 海外からの受入研究者に、電子ビーム描画装置・真空蒸着装置・電子顕 微鏡などを使用して半導体基板を加工・評価する技術を提供する ○ 海外からの研修生に圧力校正技術の提供に伴い天秤の使用技術及びソ フトウェアの使用技術を提供する ○ 海外からの研修員にレーザー発振器の使用技術、半導体ナノ結晶の製 造技術、分光光度計の使用技術を提供する 22 規制対象外のケース① ● 基礎科学分野の研究活動 ※ 貿易外省令第9条第2項第十号 「自然科学の分野における現象に関する原理の究明を 主目的とした研究活動であって、理論的又は実験的方法 により行うものであり、特定の製品の設計又は製造を目 的としないもの」(役務通達) <要注意> 以下は、規制対象となる。 ・特定の製品設計・製造、装置の改良(性能向上)を 目的 とするもの ・産学共同研究 23 規制対象外のケース② ● 公知技術の提供、公知にするための提供 ※ 貿易外省令第9条第2項第九号 ① 学会での発表等 ・学会事務局への原稿の送付 ・学会議事録、学会誌の送付 も対象外 <要注意> ・ただし、不特定多数を対象とするものに限定。 ・守秘義務をかけての発表、特定メンバー限定の 場合は規制対象。 24 規制対象外のケース③ ② 特許技術の提供 ・公開特許情報掲載の技術の提供。 ・特許出願・登録のための送付(弁理士等 への送付等。必要最小限のものに限る。) <要注意> ・公開特許情報を超えて、製造・使用ノウハ ウ等を教える場合は規制対象。 25 法律上対象外だが、問題となりうるケース① ① 機微な技術のwebでの公開 ・ 一般公開(=公知化)するためのwebへの アップは、規制対象外。 ・ しかし、その中には大量破壊兵器の開発 等にも転用可能な技術情報が含まれている 場合もあるため、その拡散を防止するという 社会的な側面、科学者倫理に基づく側面も 配慮が必要。 26 法律上対象外だが、問題となりうるケース② ② 機微な技術の論文発表、特許出願 ・ 大量破壊兵器の開発等に転用可能な技 術を論文で公表したり、特許出願すれば、 テロリスト、懸念国にとっては貴重な情報。 ・ フィンクレポートでは、生命工学のテロへの 悪用防止のため、実験計画の審査に加え、 出版段階の自主審査まで提案。 27 法律上対象外だが、問題となりうるケース③ ③ 特許技術のライセンス供与 ・ 知財流通促進の中で、高いロイヤリティー を提示されて使用許諾したハイテク技術が、 懸念国等の大量破壊兵器開発、軍備高度 化に使われた場合、平和と安全を損なうお それあり。 ・ 大学の社会的評価にも直結。 ・ 異常に高い価格提示は、不審な取引の典 型的パターン。 28 法律上対象外だが、問題となりうるケース④ ④ 来日半年以上の留学生、研究者への指導等 ・ 来日後半年たてば、「居住者」となり、国内での提 供は、規制対象外。 ・ しかし、大量破壊兵器・通常兵器等の製造・開発 に転用される恐れのある機微な研究分野について は、来日前や離日後に、それらの研究機関と関係が あれば、懸念大。このため、本人の研究計画及び学 習背景について十分に確認を行う必要。 ・ また、彼ら自身にも、帰国時に研究成果である技 術資料等を持ち出し、研究機関等で使用するのであ れば、許可取得が必要。 29 法律上対象外だが、問題となりうるケース⑤ ⑤ 懸念国等の外国人の雇用 ・大学が外国人を職員等として「雇用」すれば、「居 住者」である大学の構成員となり、その者への業務 上での技術提供は外為法上は規制対象外(構成 員としての業務外であれば、規制対象)。 ・しかし、懸念国、懸念先機関と関係ある者が、職 員等として機微技術にアクセスし、後に大量破壊 兵器等の開発に活かすことになれば、問題となる 可能性。 30 法律上対象外だが、問題となりうるケース⑥ ⑥ 研究室のデータ等の管理不備により、研究成果 等が盗まれる場合 ・機微技術を自ら提供したのではなく、盗まれた場 合には、外為法上の責任は問われないが、情報管 理の杜撰さについて、別途の責任を問われる可能 性。 ・平成21年の不正競争防止法改正により、秘密扱 いの技術情報を盗む行為も同法違反の犯罪行為 となった。同法の保護を受けるためにも、情報の保 秘が必須。 31 (参考)不正競争防止法改正―営業秘密の保護強化 ● 平成21年春、外為法改正とともに、技術流出防止強化の 観点から改正。 ● 主な改正内容 ①「不正競争目的」→ 「図利加害目的」(※) ※ 「不正の利益を得る目的」又は「保有者に損害を 与える目的」 ※ 外国政府を利する目的も含まれる。 ②「開示」「使用」のみ対象→「横領」「無断複製」を追加。 ←従来は、技術を盗むだけでは、罰する根拠なし。 32 Ⅲ 大学等で扱われる可能性 がある機微貨物・技術 33 軍事面で求められる技術分野(1) 防衛省技術研究本部「中長期技術見積り」より「将来装備システム技術」 34 軍事面で求められる技術分野(2) 防衛省技術研究本部「中長期技術見積り」より「将来装備システム技 術」 35 軍事面で求められる技術分野(3) 防衛省技術研究本部「中長期技術見積り」より「将来の可能性を秘めた技術」 36 大量破壊兵器の開発等に用いられるおそれの強い貨物例 核・ミサイルへの転用懸念 ・リン酸トリブチル(TBP) ・周波数変換器 核 兵 器 へ の 転 用 懸 念 ・質量分析計又はイオン源 ・電圧又は電流の変動が少な い直流の電源装置 ・大型の真空ポンプ ・耐放射線ロボット ・放射線測定器 ・口径75mm以上のアルミニウム 管 ・高周波用のオシロスコープ及び 波形記憶装置 ・大型発電機 転生 用物 懸兵 念器 へ の 転化 用学 懸兵 念器 へ の ・炭素繊維・ガラス繊維・アラミド繊維 ・チタン合金 ・マルエージング綱 ・しごきスピニング加工機 ・数値制御工作機械 ・アイソスタチックプレス ・フィラメントワインディング装置 ・振動試験装置 ・遠心力釣り合い試験器 ・耐食性の圧力計・圧力センサー ・TIG溶接機、電子ビーム溶接機 ・人造黒鉛 ・大型の非破壊検査装置 ・密閉式の発酵槽 ・遠心分離器 ・凍結乾燥機 ・噴霧器を搭載するよう設計されたUAV ・UAVに搭載するよう設計された噴霧器 ・耐食性の反応器 ・耐食性のかくはん機 ・耐食性の熱交換器又は凝縮器 ・耐食性の蒸留塔又は吸収塔 ・耐食性の充てん用の機械 ・微粉末を製造できる粉砕器 ・ジャイロスコープ ・ロータリーエンコーダ ・大型トラック ミ サ イ ル へ の 転 用 懸 念 (トラクタ、トレーラー、ダンプを含む) ・クレーン車 ・カールフィッシャー方式の水分測定装 置 ・プリプレグ製造装置 ・噴霧器を搭載するよう設計され た 無人航空機(UAV) ・UAVに搭載するよう設計され た 噴霧器 1.これらの物の輸出又は技術の提供を行う際には、輸入先等 において大量破壊兵器の開発等の懸念用途に転用されない よう、輸出者は特に慎重な審査が必要です。 2.外国ユーザリスト掲載企業に対し、これらの物の輸出又は 技術の提供を行う場合は、リスト上の懸念区分(核兵器・化 学兵器・生物兵器・ミサイル)と、物・技術の懸念用途が一致 するか否かのチェックを行う際に活用ください。 37 (出所)経済産業省資料 通常兵器の開発等に用いられるおそれの強い貨物 1.ニッケル合金又はチタン合金 2.作動油として使用することができる液体であっ て、りん酸とクレゾールとのエステル、りん酸トリ ス(ジメチル 3.有機繊維、炭素繊維又は無機繊維 4.軸受又はその部分品 5.工作機械その他の装置であって、次に掲げるも の又はその部分品 1)数値制御を行うことができる工作機械 2)鏡面仕上げを行うことができる工作機械(数値 制御を行うことができるものを除く。) 3)測定装置(工作機械であって、測定装置として 使用することができるものを含む。) 6.二次セル 7.波形記憶装置 8.電子部品実装ロボット 9.電子計算機又はその部分品 10.伝送通信装置又はその部分品 11.フェーズドアレーアンテナ 12.通信妨害装置又はその部分品 13.電波その他の電磁波を発信することなく、電波そ の他の電磁波の干渉を観測することにより位置 を探知することができる装置 14.光検出器若しくはその冷却器若しくは部分品又 は光検出器を用いた装置 15.センサー用の光ファイバー 16.レーザー発振器又はその部分品 17.磁力計、水中電場センサー若しくは磁場勾配計 又はこれらの部分品 18.重力計 19.レーダー又はその部分品 20.加速度計又はその部分品 21.ジャイロスコープ又はその部分品 22.慣性航法装置その他の慣性力を利用する装置又は これらの部分品 23.ジャイロ天測航法装置、天体若しくは人工衛星の自 動追跡により位置若しくは針路を測定することがで きる装置、衛星航法システムからの電波受信装置 若しくはその部分品又は航空機用の高度計 24.水中用のカメラ又はその附属装置 25.大気から遮断された状態で使用することができる 動力装置 26.開放回路式の自給式潜水用具又はその部分品 27.ガスタービンエンジン又はその部分品 28.ロケット推進装置又はその部分品 29. (27)若しくは(28)に掲げるものの製造用の装置 又はその部分品 30.航空機又はその部分品 31.ロケット若しくは航空機の開発若しくは試験に用い ることができる振動試験装置、風洞、環境試験装置 又はこれらの部分品 32.フラッシュ放電型のエックス線装置 (出所)経済産業省資料 38 大量破壊兵器や通常兵器との関係が比較的深い研究分野の例 (産学連携学会ガイドラインより) ①原子力分野 ・色素レーザー光による235U励起スキームの研究 ⇒ 核兵器の原料精製のためのウラン濃縮装置の 設計等に転用可能(2項(31))。 ・使用済金属燃料の金属電解法による乾式再処理の研究 ⇒ 核兵器の原料となるウラン又はプルトニウムの 分離回収用の装置の設計等に転用可能(2項 (7))。 ・ハフニウムの核的特性の研究 ⇒ 核兵器に使用する核燃料物質を製造するため の原子炉の運転制御(制御棒)に転用可能(2 項(23))。 ②航空宇宙分野 ・炭素繊維強化炭素材料(C/C複合材料)の製法の研究 ⇒ ミサイルの推進用ロケットモーターのノズル部 分に転用可能(4項(15))。 ・炭素繊維強化樹脂複合材料を使った飛翔体の設計・試作 研究 ⇒ ミサイル弾頭の搭載物の大型化や航続距離の 延長に転用可能(4項(15))。 ③化学・生物学分野 ・炭疽菌の研究 ⇒ 炭疽菌の芽胞をエアロゾル化しやすい携帯に加 工して散布し、肺炭疽の発生を謀るなど、生物兵器 へ転用可能(3の2項(1))。 ・ボツリヌス毒素の研究 ⇒ ボツリヌス菌を培養して毒素を精製して飲料水や 食物に混じ、摂取した人が神経症状を示して死亡 するよう謀るなど、生物兵器へ転用可能(3の2項 (1))。 ④その他 ・高分解能赤外線撮像システムの研究 ⇒ 夜間戦闘用ナイトビジョン等の通常兵器に転用 可能(10項(2))。 ・水中音響用高性能圧電セラミックス振動子の研究 ⇒ ソナー、機雷、魚雷等の通常兵器に転用可能 (10項(1))。 ・車両用緩衝装置の研究 ⇒ 武器発射時の振動環境を再現し、核爆発装置の 部品を試験するための振動発生装置等に転用可 能。また、ロケット又は無人航空機の開発・試験に 転用可能(2項(16)若しくは16項)。 (注)項番は、輸出貿易管理令別表第1注の該当項目の番号。 (出所)経済産業省「安全保障貿易に係る自主管理の促進について」(平成22年3月17日付け) 39 Ⅳ 大学等での輸出管理の実務 40 経済産業省と産学連携学会の 安全保障貿易に係るガイダンス ●経済産業省(2010年3年改訂版発行) 「安全保障貿易に係る機微技術管理ガイダンス(大学・研究機関用) ●産学連携学会 (2009年8月発行) ・「安全保障貿易に係る自主管理体制構築・運用ガイドライン(管理者 用)」 ・「研究者のための安全保障貿易管理ガイドライン(現場の研究者等用)」 ※ 産学連携学会ガイドライン入手先 ・産学連携学会HP: http://j-sip.org/info/anzenhosho.html ・CISTEC発行「安全保障輸出管理関係資料集(大学・研究機関用)」に も収録。 41 輸出者等遵守基準の導入(2010.4~) ○ 背景 該非判定未実施による違反が6割 ○ 第1段階ー大学を含め、すべての輸出者が対象 ・該非確認の責任者の選任 ・関係法令の遵守の指導(啓発普及) ○ 第2段階ーリスト規制貨物輸出者が対象 ・現行CP内容に類したもの ○ 間接罰による担保ー改善命令違反に罰則 42 輸出者等遵守基準の第2段階 A B ・ ・ ・ 体制 ・ ・ ・ ・ ①輸出管理組織、管理 ・ ・ ・ ・ 責任の明確化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 手続 ・ ・ ②取引審査(含む該非判定) ・ ・ ・ ・ ③疑義ある取引の未然防止 ・ ・ ・ ・ ・ ④出荷管理 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ C 維持管理 ⑤監査 ⑥教育(研修) ⑦書類管理 ⑧子会社等の指導 ⑨法令違反の罰則報告 43 輸出管理内部規程の策定 ●輸出管理内部規程(CP)の策定 ・最高責任者:学長 ・輸出管理統括責任者、輸出管理責任者の選定 ・支援組織の整備ー相談窓口、アドバイザー等 ※「国際・大学知財本部コンソーシアム」(UCIP)によるモ デル CP規程等を参照。 「外為法改正への大学としての対応 ーUCIP版安全保障貿易管理規程の解説及び大学 における輸出管理実務の事例紹介」 (http://ucip01.ucip.jp/procenter/project/cockpit/getPage/preview.jsp?Nid=9519&DL= TRUE) ●学内諸規程も必要に応じて見直し。 44 該非判定、取引審査の流れ 技術提供の場合、該非にかかわらず 許可不要となる場合があります。 ・用途チェックリストの活用 ・需要者チェックリストの活用 ・明らかガイドラインの活用 貨 物 の 輸 出 / 技 術 の 提 供 を 検 討 用途・相手先 (出所)経済産業省資料 公知の 技術など 一つでもYES 該非判定 可 貨物又は技術 無 貨物又は技術が、 非該当 が、武器や核 例外規定 輸出令別表第1又 兵器等の開発 輸出令又は は外為令別表の 等のために用 貿易外省令 1 の項~15の項 において、 いられるおそ のいずれかに該 許可例外の れの有無を、 当 す る か 否 か を 該 適用可否を 用途・相手先 当 確 認 。 確 認 。 から確認。 有 審査票の起票など 該非判定票の 起票など 許 可 申 請 不 要 否 ・ホワイト国向け である。 ・輸出令別表第 1又は外為令 別表の16の項 に該当しない。 両方NO ・客観要件で 「おそれ」無し。 ・インフォームを 受けていない。 両方 YES 一つでもNO 取引の続行・ 続 中止を検討 行 中止 取引中止 組織内窓口へ相談 し、組織として判断 取引審査 取引実施の最終判断 中止 不許可 実施 取引実施 45 許可申請 許可 該非判定 ● 該非確認責任者の選定 ● 該非確認 ・どのリスト項目に該当するかを、研究内容のキーワード、 用語索引集等から慎重に選ぶ。 ・項目別対比表、パラメータシート(CISTEC発行)の活用 ・外部メーカー等のものであれば、該非判定書を請求 ・許可例外(規制対象外)のものは、該当でも申請不要。 ● 一次判定(研究者等)→二次判定(統括部門) →結果保管・データベース化 46 取引審査 ●相手と用途の懸念の有無のチェック <相手(ユーザー)のチェック> ●経済産業省の「外国ユーザーリスト」 ・禁輸リストではないが、慎重に対応が必要。 ・海外の大学も多数掲載。 ●米国のDPLリスト等(輸出禁止先:Denial Persons List等 ) ・DPLリスト等の掲載先と取引した者も制裁のおそれ →CISTECでは、上記を含め、顧客の懸念情報の有無 について1件ごとの検索代行サービスを提供。 47 外国ユーザーリスト掲載の大学の例 ●イラン Amirkabir University of Technology Malek Ashtar University Sharif University of Technology Tarbiat Modares University University of Tehran ●北朝鮮 Kim Chaek University of Technology (金策工業総合大学) Kim Il Sung University (金日成総合大学) Pyongyang Technical University University of Chemical Industry (化学工業大学) Kanggye Defense College, Physics Department (江界国防大学物理学科) National Defense College (国防大学) ●イスラエル Ben-Gurion University (of the Negev) ●シリア University of Aleppo ●中国 Beijing University of Aeronautics and Astronautics (BUAA) (北京航空航天大学) Northwestern Polytechnic University (西北工業大学) Harbin Institute of Technology (HIT) (哈爾濱工業大学) ●パキスタン Quaid-I-Azam University (QAU) ※ リストには研究所も、多数掲載されている。 48 取引審査 <用途チェック> ・大量破壊兵器等の開発、通常兵器等の開発に関連 するかどうか。 →経済産業省が示す「明らかガイドライン」等 で懸念の有無をチェック。 49 学内での啓発普及 ●関係者への周知徹底 ・教授会、学内委員会等での説明 ・公開セミナー等の説明会開催 ・教育テキスト、eラーニング等の提供 ・支援組織(輸出管理相談窓口)のサポート 等 ●機会ごとのチェック ・大学間国際交流協定締結、外国との共同研究・受託研究、外国からの 研修生・留学生受け入れ、外国からの寄付金受入れ、 ・外国出張、内外での学会発表、外国での実験依頼、外国への実験試料 送付、外国での競技会開催、外国語への翻訳依頼 等 50 監査 <目的> ・輸出管理内部規程の確実な実施、記録保存等の確認 ・問題点抽出、改善指導、勧告 <担当部門> 輸出管理統括部門、監査部門 <監査項目> 経済産業省作成の「自己管理チェックリスト(CL)」を参照。 51 Ⅴ CISTECの大学・研究機関向け の取組み 52 CISTECの大学等向けサービス① <啓発普及関係> ●HPでの輸出管理基本情報、webセミナー、e-ラーニ ング教材の提供 ●HPでの大学向けサイトの設置 ・大学の輸出管理関係の動きを網羅 ● 安全保障輸出管理資料集(大学・研究機関向け) の発行 ・経産省、産学連携学会のガイドライン、各種通達、報告書等を収録。 ● 大学でのセミナー向けの講師派遣 53 CISTECの大学等向けサービス② <該非判定、取引審査> ●該非判定用帳票類の発行 ・項目別対比表、パラメータシート ●顧客審査のための「CISTEC顧客情報」(チェーサー情報) の個別提供 <専門家雇用等の際の募集情報の配布> ●登録されている輸出管理の経験者に、大学等での募集情 報を提供 54 CISTECの大学等向けサービス③ <大学会員制度> Ⅰ 会費:20万円/年 Ⅱ サービス内容 ① 法令集・安保管理ガイダンス等基礎的書籍の無料配布 ② 普及啓蒙用DVD(日本語版)の無料配布 ③ 輸出管理相談 ⅰ 年15回まで無料 ⅱ メール相談可 ④ 基礎コース研修会5名まで無料 ⑤ 講師派遣年1回無料 * ①から⑤については、無料分を超える場合も割引価格(賛助会員価格等)で提供 55
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