Gine, Townsend, and Vickery (2008) “Patterns of Rainfall Insurance Participation in Rural India” World Bank Economic Review 22(3): 539-566. 報告者:有本寛 2009/12/2 1 背景 • 負の所得ショックに対する消費平準化 – インフォーマルなリスク・シェアリング – 保険という手もある!? • 保険が成立しにくい理由 – 逆選択:リスクが高い者ばかり加入してしまう – モラル・ハザード:保険があるのでリスクの高い行 動をとる 2 インデックス保険 • 公的に立証可能な集計的インデックスに基づ いて保険金が支払われる – 例)降水量,地域の平均反収 • 加入者による操作が不可能 – 逆選択,モラル・ハザードへの耐性 • ただし,ベーシス・リスクが生じる – インデックスは加入者の損害と相関するが, 100%損害がカバーされるとは限らない 3 事例:BASIXの保険 • インド Andhra Pradesh州 • 企画・開発:ICICI Lombard,販売:BASIX • 降水量に基づく天候インデックス保険 – 少雨に対する保険 • 耕作期間を3つに分ける:播種,開花,収穫 • 各期ごとに,3段階の降水量に応じて保険金 が支払われる 4 降水量と保険金の関係 5 課題 • 天候インデックス保険に加入した家計の特徴 を明らかにすることで,加入の障害となってい る要因を特定すること 6 仮説 1. リスク回避度が高い,ベーシス・リスクが低い,保 険でカバーされるリスクが大きいほど加入する. 2. 降水量の主観的予想が低い(収量被害が大きい) ほど加入する. 3. 信用制約に直面していない(保険金を払えるだけ の流動性がある)家計ほど加入する. 4. 保険会社への信頼が低かったり,保険の知識が乏 しかったり,保険に関する情報を流通させるネット ワークに属していない家計ほど加入しない. 7 検証戦略 • 家計レベルのクロスセクション分析 • 家計レベルの属性の違いで,加入行動の違 いを説明する • Probitモデルの推計 – 被説明変数:加入の是非 – 説明変数:7カテゴリーの家計属性変数 • データ – 37村752家計(267家計が保険加入) 8 加入者と非加入者の比較 9 加入者と非加入者の比較 10 加入者と非加入者の比較 11 保険加入・非加入の理由 12 保険加入の決定要因 13 保険加入の決定要因 14 結果 • 仮説1:△ – ベーシス・リスクが低いほど加入 – リスク回避度は高いほど未加入. • 仮説2:× – 降水量について悲観的なほど加入だが非有意 • 仮説3:○ – 高所得,信用制約なし 加入 • 仮説4:○ – 保険の知識,ネットワークありだと加入 15 結論 • 保険加入の制約要因: – 信用制約 – 保険に関する知識の乏しさ – 保険会社への信用の欠如 • 対策: – 保険購入時にローンも提供 – 保険会社への親しみや信用を高める活動が必要 16
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