第回NSCセミナー

第37回
北大MMCセミナー
Date: 2015年2月5日(木)16:30~18:00
※通常と曜日が異なります
Speaker: 西上 幸範 (京都大学理学研究科)
Place: 電子科学研究所 中央キャンパス総合研究棟2号館
5F北側講義室(北12条西7丁目)
Title:自由生活型アメーバAmoeba proteusの運動機構
Abstract: 別紙をご参照ください。
連絡先:
北海道大学 電子科学研究所
動的数理モデリング研究室
長山 雅晴 内線 3357
[email protected]
主催: 電子科学研究所 動的数理モデリング研究室
共催: 北海道大学数学連携研究センター
原生生物は単一の細胞からなるが有史以前から激変する環境中を生き
抜いてきた。このように、原生生物は単一細胞のなかに“生きていく”た
めの術をすべて落ち合わせた複雑で高度な生き物である。私はこれまで
原生生物Amoeba proteusの運動機構に関して研究を行ってきた。この生
き物は大型の自由生活型のアメーバで一秒間に数μmという非常に高
速なアメーバ運動を行う。この運動の駆動力は細胞膜表層部分の収縮
により生じた細胞内圧力であると考えられているが、その詳細に関して
は不明な点が多い。その原因はこの運動機構の複雑性があげられる。
私はこの問題を解決するため、単純な系として試験管内再構築系を作成
した。この系の解析から、アクトミオシンネットワークのレオロジー特性が
運動制御に不可欠である細胞質ゾル-ゲル変換機構の自律制御可能に
している事を示唆した。この系は細胞膜を持たないが、生細胞は細胞膜
を持ちさらにこの部分でのアクトミオシン系の働きが運動に重要であるこ
とが分っている。そこで私はこの系をさらに発展させ細胞膜一重層で囲
まれたアクティブに動くアクトミオシン油中水滴の作製に取り組み成功し
た。この系の解析からアクトミオシン系が柔らかい界面と相互作用しなが
ら働く際の性質を記述する事に成功した。このような研究より細胞膜の曲
率が運動の力発生において重要であることが示唆された。そこで、運動
中の生細胞の細胞膜の構造の時間発展を調べる研究を現在行っている。
本セミナーではこれらの研究を通じて見えてきたアメーバ運動機構に関
して紹介する。