第4回講義 マクロ経済学初級I 白井義昌 名目経済変数と実質経済変数 •実質経済変数: 財単位で表された経 済変数 •名目経済変数: 貨幣単位で表された 経済変数 名目GDPと実質GDP • 名目GDP: 貨幣単位で表されたGDP • 実質GDP: ある年を基準年として選ぶ。 基準年の財サービスの価格を用いてそ の他の年に生み出された最終生産物の総 価値額を計算したものが、実質GDPである。 例1 年 ホットドック ホットドック ハンバーガー ハンバーガー の価格 の生産量 の価格 の生産量 2001 1 100 2 50 2002 2 150 3 2003 3 200 4 100 150 2001年の名目GDPは 1・100+2・50=200 2002年の名目GDPは 2・150+3・100=600 2003年の名目GDPは 3・200+4・150=1200 例1では 2001年を基準年として、 2001年の実質GDPは 1・100+2・50=200 2002年の実質GDPは 1・150+2・100=350 2003年の実質GDPは 1・200+2・150=500 GDPデフレーター 名目GDP GDPデフレーター= 実質GDP ×100 実質GDP ×GDPデフレーター= 名目GDP 例1にしたがえば、2001年を基準年として 2002年のGDPデフレーターは (600/350)・100=1200/7=170 基準年のGDPデフレーターは常に100 消費者物価指数 • 消費者が購入する財サービスの費用の総 合的な尺度 (Consumer Price Index) CPI • どのように計算されるか? 1.購入される財サービスの組み合わせ (バスケット)を固定する。 2.バスケットに含まれる財サービスの価格 を各年についてさがす。 3.バスケットの費用を計算する。 各年の 財バスケットにその年の価格をかけて計算 する。 4.ある年を基準年とし、各年の消費者物 価指数を計算する。 ある年のバスケットの費用 ×100 ある年の消費者物価指数= 基準年のバスケットの費用 基準年の物価指数は常に100である。 例2 • 財バスケットをホットドック4個とハンバーガー 2個に固定した場合、例1の価格のもとでは、 • 財バスケットの費用は 2001年 1・4+2・2=8 2002年 2・4+3・2=14 2003年 3・4+4・2=20 • 2001年を基準年とすると、各年の消費者物価 指数は、 2001年=100 2002年=175 2003年=250 インフレ率(物価上昇率) • 物価指数の上昇率がインフレ率である。 例2にしたがえば、2001年から2002年にかけ 175-100 てのインフレ率は 100 ×100=75% となる。 2002年から2003年にかけてのインフレ率 250-175 は ×100=42.8% 175 となる。 GDPデフレーターとCPIのちがい • GDPデフレーターは国内で生産されるすべ ての財の価格を反映するが、 CPIでは消費者によって購入される財の価 格のみを反映する。 • GDPデフレーターでは価格を基準年で固 定するが、 CPIでは財バスケットを固定する。 実質利子率と名目利子率 • 名目利子率:貨幣単位で測った利払率 • 実質利子率:財単位で測った利払い率 フィシャー方程式 実質利子率=名目利子率ーインフレ率 Nominal and real interest rates in the United States, 1960-1998 The inflation rate in the United States, 1960-1998 経済全体の取引活動をどのよう に把握するか? • 3種の取引 • 市場:取引の場 • 取引の主体 消費者(家計) 国内 生産者(企業) 政府 海外 貸し手 貯蓄(黒字)主体 借り手 赤字主体 3種の取引 • 現在の財サービスと現在の財サービスの 取引 [barter trading] • 現在の財サービスと将来の財サービスの 取引 [inter-temporal trading] • 将来の財サービスと将来の財サービスの 取引 [asset trading] 信用と金融 • 金融取引 資金の余っている貸し手(lender-saver)から 資金の足りない借り手(borrower-spender)への 資金融通を行う取引。 資産とは何か? • 将来の財サービスに対する請求権 実物資産 物的資産 人的資産 金融資産 債券 株式 取引の場 • 財サービス市場 • 生産要素市場 • 金融市場 金融取引を行う場 • 資産市場 海外部門 国内 政府 消費 輸入 政府購入 輸出 総生産 GDP 財・サービス市場 生産者 家計 利 子 所 得 投資 労働 生産への 土地 投入 賃金・地代・利潤 要素 資本 所得 生産要素市場 貯 蓄 労働・資本 貸し出し 金融市場 資産市場 借り入れ 利払い
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