企業の費用最小化 • 複数の生産要素を用いて生産活動を行なう 企業を想定。 min C ( w, r; y ) wL rK L,K subject to F ( K , L) y C ( w, r; y ) 費用関数 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 生産関数と等量曲線 • 企業は、2生産要素を用いて生産活動を行な うとする。生産関数を以下であらわす: F ( L, K ) • これから、等量曲線を導出:以下を満たす ( L, K ) の組み合わせ F ( L, K ) y © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 等量曲線 K © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 等量曲線の性質 • 右下がり • 2本の等量曲線は交わらない • 右上方に位置する等量曲線のほうが、生産 量が多い。 • 等量曲線は原点に対して凸 • 効用関数との相違点:生産関数は基数的概 念 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 生産要素投入と生産量 • 規模に関する収穫 – 生産要素K,Lをα倍(α>0)したとき、yが – α倍になる→規模に関する収穫一定 – α倍より多くなる→規模に関する収穫逓増 – α倍より少なくなる→規模に関する収穫逓減 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 費用最小化 等費用曲線 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 費用最小化の条件 (1) • 技術的限界代替率と生産要素価格比率が一致する。 • 技術的限界代替率と生産関数の関係 K F / L w MRS L F / K r • 上記の条件は、支出1円あたりの限界生産物が労働 と資本の間で均等化することを示す(練習問題:なぜ それが最適なのか?) © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 費用最小化の条件 (2) • また、等費用曲線の傾きは、市場の交換比 率であり、客観的交換比率といえる。 • 限界代替率は個別企業の交換比率であるの で、費用最小化の条件は、客観的交換比率 と個別的交換比率が等しくなるところに要素 投入量を設定することになる。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 限界費用と平均費用 • 限界費用(Marginal Cost): 生産量(y)1単位の 増加の際に、費用がどれだけ上昇するか? C ( w, r; y ) MC ( y ) y • 平均費用(Average Cost): 生産量(y)1単位あ たりの費用 C( y) AC ( y ) y © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 長期の費用曲線 (短期の費用曲線の包絡線) C K=K3 K=K1 y © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 短期の平均費用と長期の平均費用 • Kの水準が異なる総費用曲線の包絡線が、長 期の総費用曲線になる。 • 同様の理由で、長期の平均費用は、短期の 平均費用の包絡線となる。 • 長期の限界費用は、短期の限界費用の包絡 線にはならない。 • 長期の限界費用は、短期の限界費用よりも、 傾きが緩やかである。それは、資本の投入量 を調整することができるためである。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 企業の利潤最大化 • 利潤 ( y ) py C ( y ) • yが内生変数。最適解の条件は p MC ( y ) © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 限界費用と生産量の決定 MC, p © Yukiko Abe 2014 All rights reserved y 平均費用と限界費用:利潤最大化 MC, AC 限界費用、MC y © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 可変費用 • 可変費用とは、生産量が変化するときに変化 する費用である。 • 一方、生産量がゼロであってもかかる費用の ことを、固定費用と呼ぶ。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 損益分岐点と操業停止点 • 短期には、利潤がマイナスであっても操業し たほうがよい場合がある。 • それは、収入が可変費用を上回る場合であ る。 • 操業しない場合の利潤: rK 0 • 操業した場合の利潤: py wL rK • py wL rK 0であっても、 py wL 0 にでき る範囲で、操業したほうがよい。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 平均費用と限界費用:利潤最大化 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved y 短期の労働需要 • 短期の労働需要量の決定 max pq ( wL r K ) L subject to F (K , L) q • 書き直して max pF ( K , L) ( wL rK ) L © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 利潤最大化の一階条件(短期) • Lで微分してゼロと置くと、短期の最適な労働 需要量L*は以下で表すことができる: pFL (L , K ) w 0 * © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 操業停止条件 • 以下の比較をし、もし後者のほうが大きけれ ば操業 rK ( 0) py wL rK • その条件は、 py wL 0 • 書き換えて、 p wL / y © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 操業停止条件(続き) • 平均可変費用(労働への費用)が生産物価 格を下回れば操業する。 p wL / y © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 労働の限界生産性、平均生産性 106 104 102 APL 100 98 96 94 MPL 92 90 1 2 3 4 5 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 6 7 8 L 110 労働の限界生産性、平均生産性 90 100 APL 0 MPL 6 4 2 L APL MPL © Yukiko Abe 2014 All rights reserved LD L 計算問題:弾力性の計算(1) • 弾力性とは、対数の差分の比率になるので、 それを利用できる場合がある。 – 以下の式で、対数の差分(左辺)は、上昇率(右 辺)であることに注意 w1 w0 w ln w1 ln w0 w0 w0 • 以下の需要曲線の弾力性は ln L 0 1 X ln w © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 計算問題:弾力性の計算(2) • 差分をとって考える ln L1 ln L0 1 ( X1 X 0 ) (ln w1 ln w0 ) • ここで、Xはpが変化したときに変化しないとす ると、 X X 0 。 • 対数の入っている項をまとめると 1 0 y / y0 ln y1 ln y0 p / p0 ln p1 ln p0 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 計算問題:弾力性の計算(3) ln L1 ln L0 L / L0 ln w1 ln w0 w / w0 • たとえば、対数を取る方法は、以下のような 需要曲線も、応用できる。 L aw © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 【補足】 自然対数の微分 • 自然対数 ln( Xの ) に関する微係数は X ln( X ) 1 X X である。ただし、 X .0 このことは、自然対数は指数関数の逆関数であり、 指数関数の微係数はもとの関数そのものになること exp( X ) から理解できる( )。 X exp( X ) © Yukiko Abe 2014 All rights reserved -4 -2 0 2 4 自然対数(1) 0 1 3 2 4 5 x ln(x) line with slope=1 28 自然対数(2) • ln(x)の差は、近似的に変化率になる ln( x1 ) ln( x0 ) ln[1 ( x1 x0 ) / x0 ] x / x こ の部分を 以下で説明 ただし、 x x1 x0 • 先の公式に沿って、自然対数を微分する ln( x) 1 x x • このことは、 x 1において、微係数が1であるこ とを意味する。 29 自然対数(3) • このことは、先の図でいうと、 ln(x)の x 1 における傾きが、1であることを意味する。 ln(1)=0であるので、このことは、先の接線は y x 1 となる。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 自然対数(4) • つまり、ln(x) の (1,0)における接線は y x 1 であるので、接線がln(x)を近似していることから ln(1 x) x である。これから、以下が成り立つ: ln[1 ( X1 X 0 ) / X 0 ] X / X © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 労働需要と供給、均衡 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 生産者余剰(企業の余剰) 賃金 雇用量 労働者余剰 賃金 労働供給量 総余剰 賃金 生産者余剰 労働者余剰 雇用量 総余剰 (数量がX0のとき) 賃金 生産者余剰 労働者余剰 L1 数量 総余剰 • 競争市場均衡では総余剰が最大化されてい る。 • 競争市場均衡以外の生産量であると、余剰 が最大になっていない(競争市場均衡の場合 との差は、厚生損失と呼ばれる)。 • これは、取引の機会がある(取引によって効 率を向上させる余地がある)にもかかわらず、 それが実現していないことによるものである。 課税や規制と総余剰 • 課税のある時の均衡は、それが無い時の競 争市場均衡とは異なるのが一般的。競争市 場均衡で総余剰が最大になっているので、課 税された均衡では、それが最大になっていな いのが一般的。 • 規制は、もしそれが有効な制約になっている と、競争市場均衡で達成できている余剰の最 大化を実現できない。 総余剰 (課税のとき) 賃金 生産者余剰 税収 労働者余剰 L1 雇用量 総余剰 (最低賃金のとき) 賃金 生産者余剰 最低賃金 Wm 労働者余剰 L1 数量 税の負担割合:弾力性の逆数の比 (1) • 間接税の負担は、弾力性の逆数の比に比例 することが知られている。 • 弾力性の大きい経済主体は、税の負担を「避 ける」ことができる反面、それが小さい主体は 避けることができず、結果として税を負担する ことになる。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 税の負担割合:弾力性の逆数の比 (2) • 無税のとき – 無税のときの均衡価格 – 無税のときの均衡数量 W* L* • 無税のところから、税を課した結果、均衡は、 以下へ変化するとする: – 需要側の価格(企業の支払賃金): Wd 1 – 供給側の価格(消費者の手取り賃金):Ws1 – 均衡数量 L1 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 税の負担割合:弾力性の逆数の比 (3) • 需要曲線上の価格の変化をΔWd とする。 • 供給曲線上の価格の変化をΔWs とする。 Wd Ws Wd1 Ws1 税額 Wd Wd (L) L Ws Ws (L) L © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 税の負担割合:弾力性の逆数の比 (4) • 前ページの式を変形する Wd L* W* 1 W* Wd { * }{ * } (L) { * } (L) L W L d L Ws L* W* 1 W* Ws { * }{ * } (L) { * } (L) L W L s L Ws 1/ s Wd 1/ d (弾力性の逆数の比) © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 負担割合(均衡付近の拡大図) L1 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved
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