プレゼンテーション資料 - サイエンティフィックシステム研究会

富士通のナノテクノロジー
「ナノテクで何が出来るのか?」
㈱富士通研究所
フェロー 横山直樹
(ナノテクノロジー研究センター長)
2006年11月2日
サイエンティフィック・システム研究会@リーガロヤルホテル
ナノテクノロジーとは
原子の世界
ナノの世界
0.1 nm
10 nm
1 nm
ミクロの世界
100 nm
ボトムアップ
ボトムアップ10億分の1 m
DNA たんぱく
1 μm
トップダウン
トップダウン
1.トップダウンのナノテクノロジー
既存の材料やデバイスをナノスケールまで加工
2.ボトムアップのナノテクノロジー
原子分子を積重ね新材料や新デバイスを創成
3.バイオ融合のナノテクノロジー
生物学と工学を融合し新分野を開拓
トップダウンナノテクノロジーの例
108
107
106
105
104
103
102
DRAM
10年毎に100倍
ソース ゲート ドレイン
日本人口
マイクロプロセッサ
10
10年毎に25倍
1
10年毎に1/3倍
1970
1980
世界人口
1990
0.1
ナノの世界
2000年
最小寸法[μm]
チップ上の素子数
半導体LSI:微細化と高集積化の歴史
10 9
→ナノの世界に突入
半導体による技術革新
2003 PRIMEPOWER
1978 FACOM M-200
1 μm bipolar IC ~1000Tr.
12MIPS (4CPU)
34㎡
140KW
速度
21,000倍
設置スペース 1/17
90nm CMOS LSI
~1000万Tr.
256GIPS (128CPU)
2㎡
40KW
消費電力 1/3.5
半導体の技術進歩により、コンピューターは劇的に
速く、小さく、安く、省エネになった。
ICチップ上のトランジスタ
10個/1円(1980年)
10万個/1円(2005年)
の価格 1/10,000
半導体は産業の牽引車
先端半導体によりあらゆる製品が進化する
サーバ/ネットワーク/
サーバ/ネットワーク/
ストレージ
ストレージetc.
etc.
ロボット・車載・モバイル
ロボット・車載・モバイル
etc
etc
システムLSI
デジタルAV・
デジタルAV・
PC/PC周辺
PC/PC周辺 etc
etc
ナノテクノロジーとは
原子の世界
ナノの世界
0.1 nm
10 nm
1 nm
ミクロの世界
100 nm
ボトムアップ
ボトムアップ10億分の1 m
DNA たんぱく
1 μm
トップダウン
トップダウン
1.トップダウンのナノテクノロジー
既存の材料やデバイスをナノスケールまで加工
2.ボトムアップのナノテクノロジー
原子分子を積重ね新材料や新デバイスを創成
3.バイオ融合のナノテクノロジー
生物学と工学を融合し新分野を開拓
ボトムアップナノテクノロジーのルーツ
Richard P. Feynman
1959年12月26日
“There’s Plenty of Room at the Bottom” 講演
APS meeting at California Institute
of Technology
24 vol.
・電子ビームを用いた数原子幅のエッチングライン
・新しいコンピュータ用のナノメートルサイズの回路
・原子操作による材料の特性制御 等
Xe原子
STM
Encyclopedia
Britannica
1/25000
1986年ノーベル賞
Gerd Binnig, Heinrich Rohrer
IBM Zurich
Ni(110)上に描かれた富士通のロゴ1992
Professor Joachim, CEMES
ボトムアップナノ材料の例
量子ドット
As atoms Size: ~10 nm
In atoms
In 1982, Profs Arakawa
and Sakaki proposed
quantum dot lasers.
GaAs
カーボンナノチューブ
Arc
discharge
アーク放電
黒鉛
graphite
Diameter:
1 ~2 nm
In 1991, Dr. Iijima of NEC
discovered needle-shaped
carbon materials,
to which later given
the name "carbon
nanotubes."
バイオ融合ナノテクノロジーの例
ナノ薬物送達システム
高感度のプロテインチップ
疎水性
親水性
標的蛋白質
抗がん剤
両親媒性ブロック
共重合体
マーカー
~10 nm
CNT
~ 数十 nm
抗がん剤を内包する
自己組織ナノカプセル
東京大学 片岡教授
富士通
抗体/
人工抗体
ヌクレオチド
ナノテクノロジーの特長
ナノ材料
バイオ・
医療
情報通信
環境
エネルギー
その他
ナノ構造トラップ、
ナノフィルター、他
水素吸蔵、触媒、
太陽電池、他
~ 数十 nm
ナノ粒子補強高
分子材料、他
ドラッグデリバリ、 量子ドット、分子エ
レクトロニク、他
人工光合成、他
原子・分子の世界を操作
材料やデバイスを根本から改変
あるいは創造することができる。
あらゆる分野で
技術革新を起こす
可能性が有る。
ナノテクノロジー研究センターのご紹介
2000年12月に設立 ボトムアップ・バイオ融合のナノテク
新しい電子ナノ材料の開発
新しい電子ナノ材料の開発
LSI技術にブレークスルー
LSI技術にブレークスルー
カーボンナノチューブのエレクトロニクス応用
ナノの世界の量子効果利用
ナノの世界の量子効果利用
光通信用次世代デバイス開発
光通信用次世代デバイス開発
量子ドット光通信用デバイスの開発
ナノとバイオを融合
ナノとバイオを融合
新規市場の創生
新規市場の創生
LSI配線
トランジスタ (ポストCMOS)
温度無依存レーザー/多波長一括光アンプ
量子通信用光源(→量子コンピュータ)
プロテインチップと人工抗体の開発
ヘルスケアーネットワークサービス市場の開拓
新規ビジネスへの展開
カーボンナノチューブの新しい物性
単層グラファイト
グラファイト・シート
アームチェア型
金属的ナノチューブ
ジグザグ型
半導体的ナノチューブ
(5,5)
(7,0)
金属
伝導電子帯
0
‐5
価電子帯
Γ
波数:運動量に相当
K
波数
M
5
0
‐5
‐10
半導体
(7,0)
10
エネルギー(eV)
5
‐10
金属
10
エネルギー(eV)
エネルギー(eV)
10
(5,5)
Γ
K
波数
5
電子
正孔
バンドギャップ
0
‐5
‐10
Γ
M
K
波数
M
カーボンナノチューブの特徴
半導体ナノチューブ
ポストSi
電子速度:Siの10倍以上
バンドギャップ:直径制御で可変(0.4-1.1 eV)
直接遷移型で発光/受光容易
金属ナノチューブ
ポストCu
最大電流密度:銅の1000倍
(~109A/cm2)
熱伝導率:銅の10倍
(~3000W/m・K ダイヤモンド相当)
カーボンナノチューブへの期待
現在のSi ULSI
将来のCNT-ULSI?
10層Cu配線
発光素子
トランジスタ
配線
ガラス基板など多様
Si CMOS層
CNT: Carbon Nanotube
全て、CNTに置き換え
カーボンナノチューブの特徴
半導体ナノチューブ
ポストSi
電子速度:Siの10倍以上
バンドギャップ:直径制御で可変(0.4-1.1 eV)
直接遷移型で発光/受光容易
金属ナノチューブ
ポストCu
最大電流密度:銅の1000倍
多層
(~109A/cm2)
熱伝導率:銅の10倍
(~3000W/m・K ダイヤモンド相当)
なぜCNTを配線材料に使うのか?
最も高い電流密度を流せる (109 A/cm2)
そして、機械的強度が非常に強い sp2+ボンド結合
→ エレクトロ/ストレス・マイグレーション解決の可能性
配線電流密度
(106A/cm2)
20
15
hp90
hp65
hp45
hp32
解になる候補技術がない
hp22
CNT
10
Cu改良
5
0
Cu
2005
2010
2015 年
カーボンナノチューブのビア配線応用
カーボンナノチューブビア
ULSI断面写真
対Cu比
電流密度1000倍
熱伝導率 10倍
Si MOSFET
Cu10層配線
Cu
絶縁膜
ボイド
Cu
Cuビアで
発生したボイド
Cu配線の限界を突破
高電流密度と
ストレスによる
EMが起因
経済産業省
フォーカス21で推進
EM: Electron Migration
Cu: 銅
さらなる微細化に対応
当社のCNT成長CVD装置
電源
μ-波
2.45GHz
μ-波
ホットフィラメント
制御盤
H2 CH4 C2H2
チャンバー
基板
pump
チャンバー
温度制御
基板ホルダー
特徴:
1)8インチ基板の成長が可能
2)多種類のCVDモードが切り替え可能
熱CVD, プラズマCVD, 熱フィラメントCVD
3)電界印加機構付
Cu配線/CNTビア混載LSI配線
Cu配線上のCNT ビア技術
(1) Co 触媒
(2) 450°C 成長
(3) TiC 電極
(4) Ta バリア層
Co (2.5 nm)
/Ti (2.5 nm)
SiO2
(350nm)
CNT
Ta (5 nm)
Cu (100 nm)
CNT via
Via-diameter
2 μm
Cu (300nm)
Ti (25nm)
CNT
Cu下層配線
Ta
Cu
1000 CNT ビア-チェーン
の試作サンプル
TEOS-SiO2
Si sub.
45 nm/32 nm世代配線技術の有力候補
富士通トップ。Infineon, Samsung追随。
M. Nihei, M. Horibe, A. Kawabata and Y. Awano, IEEE / IITC 2004, pp.251
CNTビアの電気抵抗
CNT 密度 (CNTs / cm2)
1010 1011 1012 1013
106
ビア直径: 2 μm
抵抗 (Ω/ビア)
105
10層CNT理論計算値
h/4e2=6.45 kΩ
104
103
Ni catalyst 1)
102
10
10層CNT実験値
0.7 Ω/via
Co catalyst 2)
1
W プラグ
10-1
Cu ビア
10-2
1
10
102
103 104
105
ビア内のCNTの本数
106
1) M.Nihei et al., IITC 2004
2) M. Nihei et al.,
Jpn. J. Appl. Phys. 44, 1626 (2005)
CNTの計算物理による研究
経験論的・第一原理分子動力学計算による
1.CNT成長機構の解明→構造制御
2.異種物質との接合の解明
3.新型CNTの探求・設計
CNT成長
シミュレーション
CNT接合
シミュレーション
新型CNT予測
シミュレーション
CNT成長シミュレーション
計算手法
・分子動力学法プログラム
当センター開発
・経験的原子間ポテンシャル
炭素ー炭素
炭素ー金属
金属ー金属
・定温制御
速度Verlet法
速度スケーリング
並列化 (20CPU-PCcluster )
各CPUに初期値を乱数で割当
1CPU
成長核
発生
成長核
発生
10倍高速化
20CPU
基板上触媒ナノ粒子からの成長
直径は何によって決まるのか
温度:1100K
Carbon供給:1原子/1ns → 成長実験条件を再現
Ni
初期状態
24Ni~0.8nm
0ns
C-C
飽和
CNT核析出
成長
~0.7nm
90ns
100ns
150ns
ナノ粒子サイズを反映したCNT成長の可能性
新しいCNTの直径および密度制御法
<従来の触媒CVD法>
触媒金属薄膜
CNT
触媒金属微粒子
従来の高温CVD過程
<ナノ微粒子触媒CVD法>
サイズを制御した
触媒金属ナノ微粒子
微粒子は基板上で
2次粒子化(サイズ
拡大)しない。
低温成長 HF-CVD
微粒子生成・分級・デポジションシステム
レーザーアブレーション法と減圧微分型静電分級機
(DMA: differential mobility analyzer)で構成
圧力: 1.5kPa
触媒金属ターゲット
チューブ加熱器 DMA
He
Nd:YAG レーザー
(532nm, 4W, 20Hz)
基板ステージ
基板
シースガス (He, Qs slpm)
Heに乗っ
た微粒子
(Qa slpm)
余分なガス
(Qs slpm)
真空ポンプ
サイズ分級された微粒子 (Qa slpm)
Qs : Qa = 5 : 1
S. Sato, A. Kawabata, M. Nihei, Y. Awano,
CPL 382 (2003) 361.
直径制御CNTを用いたCNTビア
Co触媒微粒子
CNTs
SiO2
Ti
Ta
Cu
Si
SiO2
MIRAIⅢ Management Structure and R&D Themes
MIRAI Project PhaseⅢ
runs from FY2006 to FY2010.
*1PL; Project Leader
*2CSTO; Chief Science &
Technology Officer
*3 RUL; Research Unit Leader
*4 TL; Theme Leader
MIRAI Project
PL*1:H.Watanabe/CSTO*2:M.Hirose
MIRAI Management Board (AIST/ASET/Selete)
Chair: H.Watanabe,
Members: M.Hirose, T.Masuhara, T.Kanayama, T.Tanaka,
S.Kawamura, T.Mogami, I.Mori, and O.Minato
Ultrascaled
CMOS
RUL*3:T.Kanayama
① New
Transistor
Structures
TL*4:S.Takagi
AIST / ASET
② Ultra
Gate
Stack
TL:A.Toriumi
③ Robust
Transistor
Design
TL:T.Hiramoto
Nano Silicon
Integration
EUV
Lithography
RUL:T.Mogami
RUL:I.Mori
④ Carbon
Nanotube
Interconnect
⑤ On-chip
Optical
Interconnect
⑥ EUV
Photomask
TL:Y.Awano
TL:K.Ohashi
TL:O.Suga
Selete
Selete: A consortium for development of production technologies using 300 mm wafer
equipments with equal capital investment from 10 semiconductor manufacturers
ナノテクノロジー研究センターのご紹介
2000年12月に設立 ボトムアップ・バイオ融合のナノテク
新しい電子ナノ材料の開発
新しい電子ナノ材料の開発
LSI技術にブレークスルー
LSI技術にブレークスルー
カーボンナノチューブのエレクトロニクス応用
ナノの世界の量子効果利用
ナノの世界の量子効果利用
光通信用次世代デバイス開発
光通信用次世代デバイス開発
量子ドット光通信用デバイスの開発
ナノとバイオを融合
ナノとバイオを融合
新規市場の創生
新規市場の創生
LSI配線
トランジスタ (ポストCMOS)
温度無依存レーザー/多波長一括光アンプ
量子通信用光源(→量子コンピュータ)
プロテインチップと人工抗体の開発
ヘルスケアーネットワークサービス市場の開拓
新規ビジネスへの展開
低次元量子ナノ構造の特徴
1 次元
量子井戸(二次元電子)
量子細線(一次元電子)
電子が占有できる
状態密度
EF
量子ドット(0次元電子)
EF
EF
E1 E2 E3
エネルギー
E1
E2 E3
エネルギー
E1
E2 E3
エネルギー
実際の電子分布: 上記状態密度 × フェルミ・ディラックの分布関数、f
f (E,T) = 1/〔exp{(E-EF)/kT}+1〕
量子ドット研究開発の位置づけ
’70
’90
’80
量子井戸(ナノサイズ薄膜)
断面写真
GaAs
AlGaAs
BSアンテナ
数ナノメーター
表面写真
断面写真
数ナノ
メーター
InAs
GaAs 100nm
ナノメータ:10億分の1メートル
実用化製品
量子ドット(ナノサイズ粒子)
富士通先行技術 電子
電子
10nm
’10
’00
・HEMT(低雑音・高速トランジスタ)
・量子井戸レーザー(通信用光源)
実用化製品?
レーザモジュール
ネットワーク
発光
量子ドットの最初の学術雑誌論文
引用回数:1200回以上
荒川先生よりご提供
量子ドットの作成方法
In
エッチング
As
GaAs
GaAs
ファセット成長
GaAs
ファセットエッチ+成長
SK成長モード
SK: Stranski-Krastanov
富士通の量子ドット結晶成長技術
■ 組成変調による
量子ドット作成(1994)
■ SKモード量子ドット
高密度化・多層化(1996)
20 nm
断面TEM写真
■ 波長制御(2003)
50 nm
■ 形状制御(1997)
断面TEM写真
(b) Intermediate layer: 20 nm
GaAs基板:1.0-1.4μm
InP基板:1.4 - 1.8μm
量子ドットレーザ技術開発
東大荒川教授との産学連携成果
20
量子ドット(ナノサイズ半導体微粒子)を用いて
温度安定動作・低消費電力・高速・長距離を実現可能
光出力 (mW)
10 Gb/s直接変調レーザの温度依存性の大幅低減に成功*
光アクセス系・ビル構内光LAN等への適用を狙う
20 ~ 70ºC
15
10
5
量子ドットレーザ
p+-GaAs
0
p-AlGaAs
Electrode
0
n-GaAs
光信号
量子ドット活性層
断面写真
平面写真
15
10
5
従来のレーザ
(量子井戸)
0
0
100 nm
80
20 ~ 70ºC
光出力 (mW)
0µ
m
40
60
駆動電流 (mA)
20
n-AlGaAs
20
20
50 nm
20
40
60
駆動電流 (mA)
80
*NEDO 「フォトニックネットワークの開発」, 文部科学省 「光•電子デバイス技術の開発」
33
温度無依存の10 Gb/s 直変動作
Output Power [mW]
6
20ºC
30ºC
40ºC
50ºC
60ºC
70ºC
80ºC
90ºC
5
4
3
2
8
Extinction Ratio [dB]
Small Variation
with Temperature
10 Gb/s
6
4
2
Ibias = 23 mA (Fixed), Imod = 25 mApp (Fixed)
1
0
Simplified Driving Electronics
Low Power Consumption
0
0
10
20
30
Current [mA]
40
20
40
60
Temperature [ºC]
80
100
エンタープライズネットワーク用のマルチモード伝送
1.3-µm directly-modulated lasers
10-4
SMF
Bit-Error Rate
10-5
Horizontal Connections
(1 Gb/s, MMF or Metal)
Vertical Connections (10 Gb/s, MMF)
90ºC
10-6
80ºC
10-7
Before EDC*
25ºC
10-8
After EDC
10-9
10-10
10-11
10-12
150
10 Gb/s
200
250
300
350
400
Transmission Distance [m]
*Electronic Dispersion Compensation
T. Yamabana et al.
Error Free transmission up to 300 m
(Covering 80 - 90% of Connections inside Buildings)
(株) QD レーザの設立
事業概要
量子ドット技術を利用した光通信用レーザチップ・サブアセンブリの開発・製造・販売
設立趣旨・会社目標
量子ドットデバイスの実用化・商用化を通じて、ユビキタス情報社会の実現に貢献
産学連携の出口となる新しい仕組みを提案・実証し、
日本のエレクトロニクス産業発展に寄与
会社概要
本社
代表取締役
設立
資本金
従業員数
株主
東京都千代田区九段北1-14-17 三創九段ビル5F
菅原 充 (富士通研兼務)
2006年4月24日
1.3億円 (2006年10月時点)
4名
グローバルイノベーションファンド
MVCグローバルジャパンファンド投資事業組合
現在のコンピュータ
これまでの高速化の方法
並列化
多CPU、多ビット化
命令実行の並列化
素子の微細化
クロック周波数の向上
パイプライン
演算回路の工夫
素子の微細化
高速アルゴリズム
高速フーリエ変換
消費電力
配線遅延
微細化の物理限界
限界に近づいている?
量子情報通信技術研究の狙い
・半導体技術:ムーアの法則に原理限界
・暗号セキュリティ:原理的不完全性
抜本的解決法→原理を変える
抜本的解決法→原理を変える
量子計算:「重ね合わせ状態による超並列性」を利用し
た超高速演算。(実用化時期:2020〜2030)
量子通信:「観測による重ね合わせ状態の破壊」を利
用した安全な暗号通信
(実用化時期:限定用途2007~2015)
総務省
ロードマップ
量子コンピュータとは
古典コンピュータの
bit(0または1で表される2状態)
の代わりに
qubit(量子力学の重ね合わせ状態)
を用いるコンピュータ
量子力学的重ね合わせ状態の可逆演算を行う
量子チューリング機械
量子コンピュータの位置づけ
解けない問題
・数学的に定式化できない問題
例:芸術、哲学、「勝利の方程式」
・定式化できるが解けない問題
例:プログラムの停止問題
解くのに膨大な時間がかかる問題
・非常に複雑な系:
例:気象予報、物質の性質
スーパー
コンピュータ
・シラミ潰し以外の解法が知られていない問題
例:巡回セールスマン問題(NP完全問題)
素因数分解(NP問題)
量子
コンピュータ
量子力学の基本法則
1. 重ね合わせの原理
2. シュレディンガー方程式
3. 観測による状態の収縮と確率的解釈
“0”の状態
“0”と“1”の重なり状態
“1”の状態
古典力学
量子力学
量子力学の基本法則
1. 重ね合わせの原理
2. シュレディンガー方程式
3. 観測による状態の収縮と確率的解釈
情報処理に利用
“0”の状態
“0”の観測
観測
“1”の状態
古典力学
量子力学
量子ビットの実現例
“1”の状態
スピン上向き
“0”の状態
スピン下向き
“1”と“0”の重ね合わせ状態
Qubit
(量子ビット)
量子コンピュータの基本概念
量子超並列性
量子コンピュータの超高速性の原理。量子ビットをN個用意すれば、
2N通りの状態についての無数の重ね合わせが実現できる。
1回のデータ入力だけ2N通りの計算を同時に行うことができる。
古典計算
量子計算
N桁のビット
0 1 0 1 1 0
・・
0 1
1データのみ入力
64ビットの時
N桁の量子ビット
・・
数全てのある種の重ね合わせを入力
~1.8 x 1019(10億×10億×18)通りの数
量子コンピュータの基本動作
初期化: すべてのqubitを同じ値にする。
ユニタリ変換:
Nqubit の 2 N 個の重ね合わせ状態に対して並列
に演算を行う。
観測: 一部のqubitの値を観測する。
・確率的であるのは観測だけである。
・すべて重ね合わせ状態に対する演算結果を観測で
きる訳ではない。
Shorの因数分解アルゴリズム
Peter Shor
• 大きな整数の素因数分解を高速に
(多項式時間で)計算
• 1994年、ベル研究所P. Shorが考案
•初めての本格的かつ実用的量子計
算アルゴリズム
• 古典的計算機で100億年(!)かかる
1000桁の素因数分解をわずか20分
で計算
公開鍵暗号と量子コンピュータの脅威
各人が,2つの鍵を持つ
一方は誰にでも公開(公開鍵)、他方は秘密(秘密鍵)
Aさん
施錠鍵
暗号化された
Aのメッセージ
1024 bit RSA
160 bit 楕円曲線暗号
Aのメッセージ
公開
古典スーパーコンピュータ
素因数分解計算に
100億年かかる
解錠鍵
Bさん
Aのメッセージ
秘密
公開鍵暗号と量子コンピュータの脅威
各人が,2つの鍵を持つ
一方は誰にでも公開(公開鍵)、他方は秘密(秘密鍵)
施錠鍵
Aさん
暗号化された
Aのメッセージ
号
暗
の
在
1024 bit RSA
160 bit 楕円曲線暗号
Aのメッセージ
現
古典スーパーコンピュータ
素因数分解計算に
100億年かかる
壊
解錠鍵 崩
Bさん
が
系
体
公開
Aのメッセージ
秘密
素因数分解計算により20分で Get !
量子コンピュータ
1000 キュービット
古典コンピュータとの比較
古典コンピュータ
量子コンピュータ
情報単位
bit
qubit
bitの取る値
0または1
|0>と|1>の重ね合わせ
演算の枠組み
ブール代数
ユニタリ変換
1bit基本演算
NOT
回転
2bit基本演算
ANDまたはOR
制御NOTまたはSWAP
並列度
N
2N
基本演算の実現
回路
qubitの時間変化
区別無し
区別あり
プログラムとデータ
様々なqubit実現法
コヒーレンス
時間(秒)
溶液NMR
10
2
線形光学素子
10
-4
光共振器
10
-2
イオントラップ
10
8
超伝導体
10
-6
量子ドット
10
-3
Si中の核スピン
10
3
ゲート操作
時間(秒)
現状
-3
7ビットのアルゴリズム
-10
3ビットのアルゴリズム
10
-6
2ビットのゲート操作
10
-5
8ビットのゲート操作
10
-10
2ビットのゲート操作
10
-10
10
10
10
-6
1ビット
提案試作中
富士通が提案している量子ビット
演算用ドット
主ドット
Ec
待機時
光パルス
必要な光パルスの
エネルギー、時間、間隔は、
ドットの大きさ、その間隔によ
り変化する
演算時
Cell A
Cell B
SWAP
ドットの大きさと位置を正
確に制御して作製する技
術が必要
作製された量子ドット
60nm
現在の問題
ドット内の電子の
寿命が短い。
作製条件を最適化
し、品質向上を図
りたい。
主ドット
演算ドット
高さ 直径
1.5 nm 30 nm
1.2 nm 20 nm
古典通信
情報の盗聴・改竄
古典通信
1
Eve
光子の束に1, 0の情
報を付与して送信
0
1
1
0
1
0
1
1
0
1
Bob
通常の光検出器で光
子(群)の有無を検出
Beam-splitting attack
Alice
• 古典通信では、Eveによる盗聴・改竄を検知することは不可能
• 情報が公開鍵で暗号化されていた場合でも、量子コンピュータ
の前には無力(多項式時間で解読可能)
量子暗号通信
量子暗号
伝送路上でAliceから
の情報を ‘盗聴’
観測により光子の
量子状態変化
Eve
Bob
検出した情報を光子
に付与して再送
単一光子検出器で
光子の状態を検出
Beam-splitting attack
Alice
単一光子に1,0の情報を(偏光などに)
付与して暗号鍵を配送
古典通信路により照合
(基底の開示)
盗聴検知
量子暗号通信ネットワークの概念
安全な秘密鍵を
指定されたノード
に供給
光通信事業が成長し
たように10年スケール
で、新デバイス
+新システム
+新NW
市場が現れる可能性
対象ノード
政府機関
銀行
病院等
既存のNWと独立した
量子通信NWを構築
単一光子で秘密鍵を伝送
単一光子発生器の重要性
現段階での問題点と解決法
単一光子発生器が出発点
•
•
•
真の量子暗号を実現
速度向上:速度が10-300倍
量子中継、量子ゲート、多光子エンタン
グルへ発展
量子ドットを用いた開発
•量子デバイスの有力候補
•富士通の差別化技術
Number of secure bit / pulse
1. 速度が遅い 数bps : 擬単一光子(Laser)が原因→単一光子
2. 距離が限定< 100km : 量子中継器で解決
3. 機能が限定(一対一):量子ゲート、多光子量子エンタングル技術で解決
Single Photon
10-1
10-3
300倍
10-5
Laser
10-7
0
40
80
120
Distance (km)
100km伝送条件での見積もり
量子暗号に重要なデバイス
単一光子発生器: 量子ドットで光子を一つずつ発生
電子
単一光子
再結合
量子ドット
(QD:quantum dot)
正孔
(ホール)
複数光子の放出が無い
光パルスの空撃ちをしなくて良い
→通信速度向上
長距離でレーザーの400倍以上の高速化が可能
単一光子発生器の開発
が量子暗号実用化への
重要なポイント
量子情報/ナノ量子エレクトロニクス研究開発
量子ドットを用いた単一光子発生素子開発
05年:1.55μm単一光子発生に
世界で初めて成功
06年:高効率単一光子発生素子試作
2008年度 量子暗号通信用単一光子発生装置の開発
東大ナノ量子情報エレクトロニクス連携研究拠点への期待
各要素技術を融合し
量子暗号ネットワークと量子計算機の実現へ
量子ドット研究開発の位置づけ
’70
’90
’80
量子井戸(ナノサイズ薄膜)
断面写真
GaAs
AlGaAs
BSアンテナ
数ナノメーター
表面写真
発光
断面写真
数ナノ
メーター
InAs
GaAs 100nm
ナノメータ:10億分の1メートル
実用化製品
量子ドット(ナノサイズ粒子)
富士通先行技術 電子
電子
10nm
’10
’00
・HEMT(低雑音・高速トランジスタ)
・量子井戸レーザー(通信用光源)
量子ドット実用化研究
1. 量子ドットレーザー(高性能・低価格)
→量子井戸レーザーの置き換え
2. 量子ドット高速光スイッチ(低消費電力)
→ペタフロップスコンピュータ応用
量子ドット基礎研究
レーザモジュール
ネットワーク
1. 量子暗号用光源→完全セキュリティ
2. 量子コンピュータ→100億倍高速計算
3. ナノテク・CMOS融合→光情報処理
東大荒川教授との産学連携研究
ナノテクノロジー研究センターのご紹介
2000年12月に設立 ボトムアップ・バイオ融合のナノテク
ナノの世界の量子効果利用
ナノの世界の量子効果利用
光通信用次世代デバイス開発
光通信用次世代デバイス開発
量子ドット光通信用デバイスの開発
新しい電子ナノ材料の開発
新しい電子ナノ材料の開発
LSI技術にブレークスルー
LSI技術にブレークスルー
カーボンナノチューブのエレクトロニクス応用
ナノとバイオを融合
ナノとバイオを融合
新規市場の創生
新規市場の創生
温度無依存レーザー/多波長一括光アンプ
量子通信用光源(→量子コンピュータ)
LSI配線
トランジスタ (ポストCMOS)
プロテインチップと人工抗体の開発
ヘルスケアーネットワークサービス市場の開拓
新規ビジネスへの展開
医療・健康社会における問題点
高齢化・少子化社会の到来
1999年 医療費が30兆円を越え、その50%が65歳以上
2006年 少子化により総人口が減少開始
2015年 65歳以上が総人口の1/4に
医療現場の問題点
医療費(対GDP)は約7.5%で世界18位。
病床数(対人口)は欧米の3倍。
→ある程度のレベルの医療の低コストでの実現
→1ベッドあたりの医師・看護婦数米国の1/6。
→医療の質の低下。医療不信。
健康管理、予防医学、臓器障害、リハビリ、介護のすべてを網
羅。高齢者の入院期間は長期。
→医療費の増大。公的負担の破綻。
疾患マーカー検出ユニットの開発
疾患マーカー検出ユニット
吸引
1cm
無痛針
無痛針
標的たんぱく候補
バルブ PSA:前立腺がん
液溜め ブラディオン:大腸がん
参照電極 コートたんぱく: SARS/HIV
PET
たんぱく検出部
~5 nm
標的たんぱく分子(< 1 ag (10 -18g))
電荷発生
あるいは蛍光
抗体
マーカー
~10 nm
標的たんぱく分子の認識と結合
ナノワイヤトランスデューサー
結合を検知し外部信号を発生
(ミュンヘン工科大学と分担研究 )
SOI 電気信号増幅処理部
PSA: Prostate Specific Antigen SARS: Severe Acute Respiratory Syndrome HIV: Human Immunodeficiency Virus
14
d
Quantum Yield, x100
ナノワイヤートランスデューサからの光信号
4
2
0
ΔF
0
5
10
z
(nm)
Distance,d (nm)
たんぱく検出への応用
The structure enables detection of specific protein binding
修飾アプタマー(人工抗体)の開発
12種のRiで修飾された
塩基から二量体を合成
Ri
2量体×20
(ランダム重合)
NH2
N
P iO
N
修飾アプタマー
のライブラリ化
●
▲
▼
◆
▲
●
■
▲
▼
▲
★
◆
★
O
▼
▲
◆
O
■
★
修飾アプタマー
を選別
アフィニティ
選別
●
●
★
側鎖情報を
再現
PCR
▲
■
▲
●
▲
OPi
1022種
A:アデニン G:グアニン
▼
◆
■
■
★
▲
●
▼
▲
■
★
特性改善,新抗体設計
フィードバック
C:シトシン T:チミン
+
側鎖Ri 12種類
塩基・側鎖
配列決定
側鎖の改良と
二量体最適化
BioServer
DB
配列情報
特性情報
Ri:アミノ酸が有している側鎖から選択
18
人に優しい医療健康ネットワーク
健康監視
日常生活を送りながら
病態を定期的に監視
・がん転移懸念者
・ウィルス性肝炎者
・糖尿病懸念者、等
危機管理
・SARS
・MRSA、等
地域病院
通院
&
遠隔検診
診療支援
専門病院
感染症への
緊急監視体制
政府/保健所
緊急対応倉庫
応急検査
ナノテクで何が出来るのか?
1.トップダウンナノテクノロジー、新ナノ材料(CNTなど)の採用
・半導体LSIの更なる高速化、低消費電力化
あらゆる産業に波及(サーバー、ロボット、ディジタル家電、車)
2.量子ドットを利用したデバイスの開発
・光通信デバイスの高速化、高機能化、低価格化、低消費電力化
次世代ネットワーク構築のためのキーデバイス
・量子情報通信の実現
量子暗号通信による、セキュアーなネットワーク実現
量子コンピュータによる高度の情報処理実現
3.ナノバイオデバイスの開発
・人工抗体→新たな創薬・試薬ビジネスに発展
・たんぱくチップ→健康管理・危機管理ネットワークサービスの実現
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