スライド

CNTを用いたHigh Q 細線の
開発
2015/04/16 安東研中間報告会
桑原祐也
熱雑音
熱浴
相互作用
熱雑音 熱浴との相互作用に由来する
精密測定において原理的な雑音の一つ Q値 系のエネルギー損失の小ささ(損失の逆数)
揺動散逸定理により結びつく
熱雑音
調和振動子の運動方程式
m!!
x + kx = fext
外力
viscous damping
−mω x! + k(1+ iφ ) x! = f!ext
2
フーリエ変換
structure damping
散逸項の導入
1
φ=
Q
1 ω0
φ=
Qω
Loss angle
熱揺動力
mω 02
Fth = 4kBT
φ (ω )
ω
∝ T /Q
感受率
調和振動子
10
10
半値幅 Δω
8
ω0
Q=
Δω
Susceptibility [m/N]
10
f0 = 1Hz , m = 5mg , T = 300K
Q = 106 の場合
Q倍
6
10
4
10
2
Noise lovel [m/rHz]
10
10
10
10
10
変位への雑音
4
0
10
10
structure
viscous
2
10
6
structure
damping
8
10
0
10
Frequency [Hz]
viscous
damping
14
2
10
1
0
10
Frequency [Hz]
1
10
2
10
1
10
10
2
# ω0 &
∝ exp % −
t(
$ 2Q '
0.5
12
10
1
Ring down
1
Amplitude [a.u.]
10
10
0
0.5
1
0
2
4
Time [s]
6
8
10
5
x 10
10
10
感受率
8
10
Susceptibility [m/N]
調和振動子
f0 = 1Hz , m = 5mg , T = 300K
structure damping の場合
10
10
10
10
10
0
10
10
10
Q = 104
8
10
2
10
1桁
Q = 106
1桁
1
1
mω 02 xrms2 = kBT は一定
2
2
2
10
1
0
10
Frequency [Hz]
1
0
10
Frequency [Hz]
1
2
10
10
力への雑音
6
14
4
10
2
1桁
12
104
変位への雑音
4
10
106
10
Thermal Force Noise [N/rHz]
Thermal Displacement Noise [m/rHz]
10
6
10
10
1
10
2
13
Q = 104
10
10
10
10
14
15
1桁
Q = 106
16
17
10
2
10
1
0
10
Frequency [Hz]
1
10
2
10
Gravitational Dilution
重力なしの振り子の復元力
kel (1+ iφ )
Loss angle (=1/Q)
ワイヤーのバネ定数
•  重力は Lossless
•  重力によってワイヤーの
ロスが希薄化
•  kelを小さくすることで
Q値が (1+kg/kel) 倍
重力ありの振り子の復元力
kel (1+ iφ ) + kg
重力に由来する
バネ定数
$
! kg $!
iφ
= kel #1+ &##1+
&&
" kel %" 1+ kg / kel %
!
$
iφ
≈ kg ##1+
&&
" 1+ kg / kel %
Dilution factor
Gravitational Dilution
Dilution factor (の逆数) 倍だけQ値大
d
L
ヤング率 E
kg kg
4MgL2
1+ ≈
=
kel kel
Y π (d / 2)4
Ø  より kel を小さく
- 直径 小,長さ 大 → 軽くて強いもの
質量M
Ø  φ3µm のタングステン線よりも高いQ値を
- L = 5cm , M = 5mg のとき Q ~ 3×105
Carbon Nano Tube (CNT) を用いた細線
•  高いQ値
→ 熱雑音レベルの低減
Q値
High Q material
106
•  輻射圧実験では
Q=47万からさらに1桁高く
なればS/N>1
•  106以上のQ値をもつ
ものは少ない
107を超えるQ値を出せば
それだけでもインパクト
周波数 (Hz)
Aspelmeyer+, arXiv:1303.0733v1
CNT (Carbon Nano Tube )
•  1991年 フラーレン製作途中に発見
•  直径 0.4 nm ~50nm
•  グラファイトを円筒状
にしたような構造
→その名の通り
「ナノチューブ」
•  CNT”分子”はしなやかさも
強度も最強
Wikipedia
CNTの乾式紡績
CNTを基盤に垂直に成長
CNTアレイ
端をピンセットなどでつまむ
→ 自動で紡績されていく
ファンデルワールス力
で隣のCNTを次々と
引き連れて行く
静岡大井上研HP
CNTファイバー
30 um
•  回転させならがらCNTを引く
ことで撚り線状のCNTファイバー
を作成できる
•  CNT同士を結ぶ力
→ ファンデルワールス力
•  1本のCNT(共有結合のみ)
と比較すると引張り強度は小さく
なるが,それでもGPa 以上の値が
期待できる
繊維のように見える1本1本はCNT 分子 ではない
→ CNT 分子 がファンデルワールス力で 強く 結びついた「CNTバンドル」
→バンドル同士がファンデルワールス力で”弱く”結びついている
これまでに分かっていること
Q値測定
5 cm
φ30µm のCNT fiber のサンプル
振り子モードの Ring down 測定
Q=2700
CNT fiber
φ30µm
5mg mirror
Gravitational Dilution
振り子の質量
ファイバー長さ
2
Qpendlum
ヤング率
4MgL
L
=
Q ∝ 2
4 int
Y π (d / 2)
d
Dilution factor (の逆数)
ファイバー直径
Intrinsic Q
直径 d : 30µm → 1µm
長さ L : 5cm → 20 cm 振り子のQ値: 2700×302×4 = 9.6×106
-  CNTファイバーの intrinsic Q = 270
-  直径30µmは悪く見積もっている
- 接着剤のロスは考慮していない
テーブルトップで
Q =107 レベルの
振り子が作れる
可能性
CNTアレイから掴む幅と直径
•  掴む幅 体積 直径の2乗
ベストデータ: 幅1 mmで直径 6 um
→ 30 um程度を掴めば 1 um 線ができる
6 um
幅1mm では直径 8um 程度
のものが多い
引張り強度
タングステン線と同様に 細くなるほど強度が大きくなる傾向 → GPa までいければ耐荷重は余裕
耐荷重 20 mg
ベーキング処理
CNTファイバーを電気炉でベーキング
→ CNTバンドル間に炭素の架橋構造が形成される
→ 撚り戻りの防止
C
C
C
ガラス上にCNTを接着
1000℃で30分
ベーキング処理
ベーキングあり
34 um
200 MPa
密なまま繊維の方向が
揃っている
ベーキングなし
47 um
70 MPa
繊維がほつれているのがわかる
空洞も多い
これからやること
全体の流れ
選別
選別
violinモードQ値測定
作る,径の測定
いいものができたら
振り子モードQ値測定
何か実験に利用
ベーキング
CNTファイバーの作成
Laser pointer
CCD
CNT アレイ
Motor
0.2 mm/s 刻みで動かせる
30 cm
移動ステージ
拡大
CCD
CNTアレイ
Motor
移動ステージ
ファイバー径の測定
CCD
CNT
CNTの作成中に径を
モニターし続ける
→ 径の均一性の保証
Laser
Motor
CNT fiber
x
= 405 nm
d
L
10mm程度
干渉縞の間隔から
0
CCD surface
Lλ
d=
Δx
ファイバー径の測定
φ40µmのタングステン線でテスト(いいCNTは切ってしまった)
20cmほど離した紙のスクリーンに投影
0次光明るすぎ問題
Q値測定(violinモード)
ベーキングに時間がかかるので
その前にQ値測定を行い選別
→ viloin モードの利用
Qviolin ~ 270
残留ガスリミット
CM ω 0
Qgas =
SP
−1
k BT
P &
3#
= 1.8 ×10 % −2 (
$ 10 Pa '
mgas
ベーキング
ガラス板を入れない状態で
800℃まで加熱するテスト済
加熱する温度と時間の
Q値への依存性を調べる
電気炉
ガラス管
CNT固定用ガラス板
Q値測定(振り子モード)
残留ガスリミット
20cm
f0 = 1.1 Hz
4mm
5mg
0.2mm
4M ω 0
Qgas =
SP
−1
π k BT
P &
7#
= 1.8 ×10 % −4 (
$ 10 Pa '
8mgas
•  使おうとしているベルジャーで いまのところ10-2 Paまでしか出てない
•  東北大の真空槽は10-5Paまでいける
らしいので向こうに投げるかも
Q値測定(振り子モード)
2.8kgの振り子を用いて
Q = 2.3×107を出した論文
最終的にはこのような形で
テーブルトップでの高いQ値
をもつ振り子の開発として
まとめたい
1ヶ月以上にわたるリングダウン測定!
使えそうな実験
交換関係の破れ
arXiv:1411.6410v1 [gr-qc] 24 Nov 2014
続報がまだ出ていない
普通の不確定性関係
補正項のある不確定性関係
最小の長さスケールが存在
プランクスケールで効いてくる ような補正項
交換関係の破れ
振幅
振動子のRing down 測定
→ 周波数の振幅依存性を見る
33mg
5.64 kHz
Q = 1.2×105
β0 < 3×107
20ug
142 kHz
Q = 106
β0 < 6×1012
20ng
747 kHz
Q = 8.6×105
β0 < 2×1019
交換関係の破れ
水素原子Lamb shift
水素原子1S-2S準位差
電弱スケール
プランク質量
共振型重力波検出器
基底エネルギー
等価原理
調和振動子
3倍波
β0 ~ 1レベル
と思われている
調和振動子
周波数の振幅依存性
波束の収縮に伴うHeatingの検証
3月末に小森くんが輪講でやった論文です
波束の収縮に伴うHeatingの検証
マクロな位置の重ねあわせがない → 波束の自発的収縮
Spontaneous Collapse Models → CSL model , DP model
Schrodinger 方程式に確率項を導入 → 運動量拡散として現れる → 未知のHeating 効果と見なせる
×
緩和時間に比例
波束の収縮に伴うHeatingの検証
加熱温度が緩和時間に比例するので
1.  共振周波数が低く 2. Q値の高い CNTを用いた振り子が適している
DP model の場合
3
!G ρ " a %
−5
ΔTDP =
τ
≈
τ
[s]×
4
×10
K
$
'
12 π kB # σ DP &
f0 = 1 Hz , Q = 107 が達成された場合 τ = 2×107 s , ΔTDP = 800 K
(ブラウン運動:rmsで4.5 nm → 7.9 nmに上昇)
まとめ
•  CNTファイバーを用いて107レベルのQ値
をもつ振り子ができる可能性 •  現状では真空度でQ値がリミットされてし
まいそう •  使えそうな実験はいまのところある