第6回科学コミュニケーションデザインワークショップ 2009年6月13日(土) 先進技術の社会影響評価(テクノロジー アセスメント)手法の開発と社会への定着 吉澤 剛 (東京大学) I2TAの概要 • RISTEX「科学技術と社会の相互作用」研究開発プ ログラムのプロジェクト(平成19~22年度) • 参画者26名(リーダー:鈴木達治郎)、海外パネル4 名(A. Rip、M. Rogers、C. Hill、D. Cope)、外部諮 問委員2名(唐木英明、武部俊一) – TA制度分析G(城山英明) – TA手法構築G(鈴木達治郎) – ナノテクTA実践G(竹村誠洋) ─医療・食品・エネルギー・CNT • 広報・コミュニケーション活動の展開 TAとは • 従来の社会的枠組みでは扱うことが困難な 技術に対し、早い段階からの将来のさまざま な社会的影響を独立・不偏の立場から評価 することにより、問題提起や問題解決のため の意思決定を支援していく活動 • 「TA手法」というものはない →手法よりプロセス重視 TAの活動:二軸モデル 専門家 何が問題かを 提示する 解決策を 提示する 問題像提示 意思決定支援 何が問題かを 話し合う 解決策を 話し合う 市民 I2TA国際WS(3/12-13)の成果 • • • • • • 熱心な支持者(champions)を見つけること メディアの役割 民主主義のシンボルとしてのTAの制度化 包括的でないTAから始めることも 謙虚であることが必要 日本で第三世代のTAの可能性? – 第一世代 OTA、米国的、専門家中心、意思決定志向 – 第二世代 pTA、欧州的、市民中心、議題設定志向 TAの制度化に向けて • 米国ではOTAなき現在、TA的活動は断片化してお り、党派性が見られる • 欧州では議会型が中心だが多様な制度化がなされ ており、小規模ながらネットワーク重視 • 日本でも省庁、議会においてTAの制度化が試みら れてきたが、工学的手法の偏重、予測・評価活動へ の推移、多様な関与者の欠如、既存の断片的活動 の慣性などにより断念 • 日本では分散型TA(パネル方式、エージェント方式、 系統的レビュー方式、課題対応委託方式)が有望か I2TAによる実践の試み • 医療:がん治療に向けたナノDDS – 3回のステークホルダー円卓会議 • 食品:食品へのナノテク応用 – ステークホルダー会合をクライアントによる議題 設定の場にして、その後pTAを実施? • エネルギー:ナノテク省エネ住宅 – Q方法論を用いた参加型ニーズ/シーズワーク ショップ • CNT:多層カーボンナノチューブのリスク評 価・管理をめぐる最近の動向 – TA Noteを作成、このたび公表 CNTチームの教訓 • 多層カーボンナノチューブ(MWCNT)のリスク評価・ 管理をめぐる最近の動向を整理し、TA Noteとして 公表・配布 • いくつかの教訓 – メンバー間で「TAとは何か」について早い段階で議論し、 合意をつくる – 専門家が主導するのではなく、チームで議論しながら論 点を整理する – TAレポートの信頼性を示す • 専門能力:本人の承諾を得てレビュアーの所属・専門分野などを 明記する • 誠実さ:多様な見解を示す、利点と欠点/リスクとベネフィットなど を分かり易く示す • 価値共有:リスクを受ける可能性のある人の立場を考慮する 広報・コミュニケーション活動の展開 • I2TAは制度か?─I2TAの現在の活動と目指 すTA機関・制度は連続しているのか否か • I2TAの課題と対応 – アカウンタビリティ 内部/外部諮問委員の設置 リーフレット・ニュースレターの作成、ウェブの充実 – 人材・ネットワーク サイエンスライター、エディター、デザイナーの協力 内部コーディネーター、外部への広報・人脈作り 関心ある人からの寄稿のお願い
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