東京女子大学 現代社会学部 コミュニケーション特論C(社会) 災害情報論 第4回 地震と危機管理: 阪神・淡路大震災後の地震情報の高度化 兼任講師 関谷直也 阪神・淡路大震災後の地震情報の高度化 被害予測システム 震度情報 (震度情報ネットワークの整備と観測点増加) 余震情報(余震の確率評価) 緊急地震情報 地震長期予測情報 (活断層活動の長期評価、地震動予測地図) 1 地震における危機管理 情報が入らない中でどのように行動す るか 危機管理(Risk Management)と 減災(Mitigation) 被害情報が収集できない 情報が入らないうちに被害を予測する。 被害の前に予測して、伝達する。 1 地震における危機管理 危機管理(Risk Management)と減災(Mitigation) 情報が入らない中でどのように行動するか (1)被害予測 -気象庁の震度階改訂:震度7の計測・速報 -被害予測システム (2)即時的情報/即時的災害放送 -津波情報 -緊急地震速報 1 危機管理(1)被害予測 ①気象庁震度階改訂 ・旧震度階は震度7は速報されなかった ・気象庁震度階の改正 震度7の速報体制 震度5を震度5強、5弱、震度6を震度6 強、6弱に分ける ・詳細な震度階級解説表の作成 1 危機管理(1)被害予測 ③被害予測システム 1.内閣府:早期被害予測システム 2.総務省消防庁:簡易型予測システム 3.兵庫県:フェニックス防災情報システム 4.横浜市:高密度強震計ネットワーク 1 危機管理(1)被害予測 ②震度情報 (震度情報ネットワーク整備と観測点増加) 気象庁では、震災前140地点だった「震度観測 ネットワーク」の観測点を大幅に高密度化した。 また震災後、自治省消防庁は全市区町村に計 測震度計を配備する「都道府県震度ネットワー ク」を整備し、気象庁の規格に適合したもの(現 在2821地点)を気象庁震度として認定すること にして、気象庁の震度観測ネットワークと統合 された。 この結果、現在、発表観測点は3431箇所と飛 躍的に増加した。 1 危機管理(1)被害予測 ②被害予測システム 兵庫県フェニックス災害対応支援システム ◇需給推計・分析機能 地震災害時の被害予測システムを用いた各被災地にお ける要員や物資等必要数の推計を行うとともに、要員、資 機材及び救援物資の需給分析を行います。 ◇ガイダンス機能 県災害対策本部の初動対応について、対策項目ごとに、 流れや手続き等を表示するとともに、初動対応の進行管 理とあわせて処理状況の記録を行います。 ◇データベース機能 需給推計・分析機能、ガイダンス機能を支えるために必要 な防災資機材等のデータベースを構築します。 2 危機管理(2)即時的情報 被害の前に予測して、伝達する。 津波情報 緊急地震速報 (ナウキャスト地震情報) (リアルタイム地震情報) 2 危機管理(2)即時的情報/即時的災害放送 ⑤緊急地震速報 1.P波とS波の伝播速度の差を利 用して防災対策をとる 2.東海地震の場合 東京ではおよそ30秒の余裕あり 3.放送の実験が行われている 3 短期予測 ⑤余震情報(余震の確率評価) 現在、気象庁から、余震情報の確 率評価が大きな地震の後に発表さ れるようになった。だが、これを防災 対策にどのようにいかせばよいか、 どのように市民が防災対策に活か せばよいか分からないという点で、 課題が残っている。 3 短期予測 ⑤余震情報(余震の確率評価) 防災関係者・報道関係者の意見 確率の大小と防災対応の関係が不明確で発表 された数値をどう受け取って良いかわからない。 何日以内にマグニチュードいくつ以上の地震が 発生する確率は何%という表現がわかりにくい。 余震に対する警戒が必要な地域が明示されて いない。 地震活動が活発化したあとに、確率の数値が 大きくなるのは後追いではないか。 報道発表資料・平成17 年2 月14 日・気象庁 「余震に関する情報のあり方について ―余震発生確率の取り扱いを中心として- 」 気象庁 報道発表資料 平成16 年10 月28 日10 時00 分 平成16 年(2004 年)新潟県中越地震に ついて(第13 報) 平成16 年(2004 年)新潟県中越地震(M6.8、深さ13km[暫定値])の余震は引き 続き発生していますので、十分に警戒してください。余震の発生する確率は以 下のとおりです。 本日10 時から3 日以内に M6.0(ところによって震度6弱~6強)以上の余震が発生する確率は約20%、 M5.5(ところによって震度5強)以上の余震が発生する確率は約50%、 M5.0(ところによって震度5弱)以上の余震が発生する確率は約80%です。 本日10 時から7日以内に M6.0 以上の余震の発生する確率は約40%、 M5.5 以上の余震が発生する確率は約70%、 M5.0 以上の余震が発生する確率は約90%です。 昨日に比べて大きな確率となったのは、大きめの地震が続いて発生し、余震活動 がやや活発化したことによるものです。 *震源直上ではこれよりも震度が大きくなることがあります。 損傷している家屋などは余震により倒壊するおそれがありますので近づかないよ うにしてください。 4 長期予測 ⑥地震長期予測情報 (活断層活動の長期評価、地震動予測地図) 現在、全国98の活断層活動の長期評価が行わ れている。それを元に、地盤・震源域を考慮して、 どの程度の地震動がありえるかを予測した地図が、 地震動予測地図である。 長期的な防災対策の進展に結びつく防災情報とな ることを期待 「今後30年(50年、100年)以内に地震がおこる可 能性は○○%」という表現を、各自治体の防災対 策、公共設備や建築物の耐震対策、市民の防災 意識向上、市民の防災対策にどのように結び付け ていくかという点で課題が残っている。 4 長期予測 ⑥地震長期予測情報 (活断層活動の長期評価、地震動予測地図) 宮城県沖地震の発生確率
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