地震予知の科学 編者 日本地震学会地震予知検討委員会 紹介者 静岡大学教育学部総合科学専攻 寺本 洋次郎 目次 1 2 3 4 5 地震の発生をあらかじめ知るとは これまで何が行われてきたか この10年で何が明らかになってきたか 地震を予知することの今 地震予知のこれから 1-1 将来の地震発生を予測する ~地震予知の3要素~ 「いつ」 「どこで」 「どのくらい(M)」 + 「震度」 1-2 長期予知 過去の地震を調べる上で歴史資料や考古 遺跡から、地震の発生した場所、規模、 年、日付や時刻などがわかる。 2-1 日本の地震予知研究の歴史 日本における地震予知研究は1891年の濃 尾地震の直後に明治政府が設立した「震災予 防調査会」がはじめとされている。 1923年の関東地震後 「東京大学地震研究所」へ 2-2 旧・新地震予知計画 ~旧地震予知計画(1962ー1998年)~ これは通称「地震予知のブループリント」と 呼ばれ、地震予知の実現可能性を明らかにす るためにはどの程度の観測研究が必要である かを、当時の科学技術の水準で実現可能な計 画として提案したもの。 地震の先行する現象の把握と解明による直前 予知が最終的な目的となっていた。 ~新地震予知計画(1999年ー現在)~ 旧から新への移行は1995年に発生した阪 神・淡路大震災がきっかけである。 「地震予知の新ブループリント」と呼ばれ、 地震を発生させるプレート境界や活断層にど のように力が集中していくか、地震の発生に 向けてどのようなプレート境界や活断層で起 きているか、さらに地震が発生したときのプ レート境界や断層のすべりについて一連の過 程として理解し、予測することを目的として いる。 つまり、 従来の地震の発生を予測する地震予知 だけでなく 地震も含めて地震にいたる過程そのものを 予測することが地震予知 3-1 コンピュータ上で地震を起こす ここ10年でコンピュータシミュレーション によってプレート境界で発生する地震発生の 特徴が再現されつつある。 さらに、スーパーコンピュータを使えば、半 日かからずに1000年間程度の地震の繰り 返しを計算することが可能になった。 4-1 緊急地震速報 地震発生後、地震計でP波観測 データを気象庁に伝送 報道機関・防災機関などに緊急地震速報 市民へ報道 4-2 緊急津波速報 地震観測 量的津波予報 潮位観測 津波予報の発表 津波予報の更新 5 海外でのあらたな地震予知研究 1980年代になって地震の前駆的とも考え られる現象=電磁現象を人工衛星からも観測 できる可能性が出たことをロシア、フランス から報告があった。 現在もロシアをはじめとするメキシコ、トル コ、台湾、中国、ウクライナ、カザフスタン などでも、地震に関する電磁現象を観測する ための衛星打ち上げ計画が進んでいる。
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