2000年問題(みずほ) 2002年6月18日 論点 • 1.大規模システム、コンピュータ(ディジタ ル) • 2.危機管理 • 3.組織内の問題 Y2K 2000年問題 • 東京電力福島第二原発1号機 • 制御棒位置指示系重故障 – 制御棒の炉内での位置を示す「座標表示器」 の画面が消えた。 – ただ、別系統のプロセスコンピュータが生きて いたために、位置を推定して運転 – 位置表示計の内蔵時計がY2Kで動作不良 • 画面表示の多重化設計が機能しなかった 大規模システム • 複雑系 • 2000と書くか、00と書くかという差に過ぎな いはずなのに、どのような事故が起こるか は予想できない コンピュータ • ディジタル:一字違いが大違い(オスとメ ス) • コンピュータは、字句の変換をするだけで なく、機械の制御(コントロール)を行う – 力学的、エネルギー的な変化を生じる • システムの複雑さ(大きいソフトにはバグ がある) JALとJAS • 運行関係(飛行計画立案)、整備関係(航 空機のバランス計算)は統合を急がない • 旅客系(予約・発券・搭乗)は、統合が重要 • これは、営業ノウハウの集積と言えるシス テム(譲歩は営業手法、企業文化の変更 を意味する) • 予約記録の移行だけでも100億円は下らな い(『週間東洋経済』2002.5.25) 危機管理 • 1.広報機能 – (問題が起こったのだから)市民に情報を公表すること が大事。ウソはひどい結果になる • 2.経営トップ – トップは企業の意思を体現するので、権限の集中と一 元的な情報管理が必要 • 3.平常時の備え • 4.法務との連携 – 『企業を危機から守るクライシス・コミュニケーション』 東京商工会議所 ENIAC • 17000本の真空管、毎秒100,000パルス • 誤りを犯す可能性が1日で、1.7×10** 14 • 誤動作の確率をこれ以下にしないと、1日 連続運転できない 通帳廃止 • 現金主義のため、システムが複雑化する • 通帳への記帳が可能になるためには、 100%オンラインの状態が常に維持されて いる必要がある • シティバンクなど欧米の銀行は、月末に取 引証明書を送るだけだ(事務負担の軽減) • 小田切尚登 『エコノミスト』 2002.5.28 システムダウン • 過去1年間にシステムダウンが全面的、な いし部分的に発生した企業 54.1% • 故障発生から次の故障発生までの平均間 隔:2938.7時間、4ヶ月に1回 • 立ち上げるまでの平均時間 145.7分 • (1999年度調査では、128.0分だった) 『週間東洋経済』2002.5.25 2001年以降のシステムトラブル • 01.1.11名古屋証券取引所(終日売買停 止) • 01.2.14国際サッカー連盟(W杯入場券ネッ ト受付がシステムトラブルで延期) • 01.5.31NTTドコモ(FOMAメール受信不 能) • 01.9.27ソニー銀行(ATM利用不能) • 01.10.30平和島競艇(システム障害で4 レース中止) • 02.4.9中部電力(駒場ダムで貯水が流出) みずほ テスト不足 • 3月上旬に実施した「口座振替強化テスト」の結 果、「旧第一勧銀が処理するデータ量の二倍で テストしたが問題は起こらなかった」 • しかし、テストはパターン・テストに過ぎなかった • 企業側からの磁気テープの様式は、千以上にの ぼる • みずほホールディングスの経営陣は事前にトラ ブルの発生の報告を受けながら、4月1日の統合 に踏み切っていた – 読売新聞 2002.4.14 異常事態の発見 • 異常事態をいかにして早く知るか – 注意 – 回避可能性 • トップに情報が伝わらないという問題がある – トップが、トラブル時に部下を単に非難すると、部下は 問題を隠す • 監視システムが必要(部下が間違うなら、それに 対して、トップが間違うなら、それに対して) システム障害 • みずほ(前田晃伸社長) :システムを設計 したのは銀行。メーカー側に責任はない • 東電社長:実際の顧客データを使ったテス トの要請を拒否された • 野口敬:SEに権限を与えなかった銀行の 「無知」 – ★膨大なデータ、インターネット、グローバル 化 通信 • 銀行 – 専用回線(ハッカーなどを防ぐ) – 回線を2本準備(冗長性) • インターネットなら、通信の冗長性は大き いが、ハッカー問題は存在する • 安全性のトレードオフ 電力1 • 問題点:ためておけない(消費が発電量を 上回ると周波数が低下) • 生鮮食料品に似ている(カップ麺のように 貯蔵できない) • この場合の危機に対する対処は難しい – 揚水発電所 – 他の電力会社から融通してもらう – 火力発電などで調節する 電力2 • 刻々と変化する需要に発電量を過不足なく対応 • ★表示盤の周波数の値を監視し一定に保つよう 発電機を操作 • このとき、補修作業停電の状況や燃料単価や為 替レート変動などの要素を考慮 • 送電線、制御用通信網は完全に二重化(阪神大 震災で停電が260万件、2時間後に100万件まで 復旧、6日ですべて回復) みずほシステムトラブル • トラブル情報が上にあがらない • 風通しの悪い企業、組織 • 1人ではものをつくれない • 要求仕様には経営者もタッチする • 消費者の意向も重要になる 悪い情報 • 直接の問題は、テストの時間がないことに よる(バグが取り切れなかった) • 開発時には、進捗状況を見ておく必要が ある • 遅れが意識されていない • 国でも、皇帝でも悪い情報は上に伝わらな い
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