転写から彩色について

転写から彩色について
1 転写の仕方(明暗分割)を理解し、正しくで
きるよう練習をして習得する。
2 ベース(イラストボード)の上に転写をするこ
とは、構図の決定をすることにつながる。構図
のアレンジについて、その効果を知る。
3 先ずは、画面に顔を浮かび上がらせる彩
色をする。色見本を用いて配色を考える。
1 転写の仕方・・・明暗分割
左の写真を転写の例として使
用する。
前回撮影した写真を、コピー
機でB4版まで拡大する。その
際、画質を写真でなく、文字に
することで、明暗のコントラスト
が高くなり、転写の際に読み取
りやすくなる。
次のスライドでは、実際に転
写をした例を参考に挙げるが、
明部と暗部の二つの色面に分
割することが、ポイントになって
いる。
転写の例 ① ・・・ 悪い例
左の写真には、赤い線でたどった線を書き込んでいる。右はその結果である。
顔の表情がほとんど消えてしまっていることから、悪い例として挙げられる。
特徴として、「白い部分と色が付いた部分」を単になぞっていることがいえる。
色面分割(明暗分割)をする時は、「日向と日陰」に分割する意識が欲しい。
転写の例 ② ・・・ 良い例
左の写真は、たどった線を緑で表している。悪い例を参考にし、『光の当た
り方』を意識して、日向と日陰を分割している。その結果、顔の表情が現れ、
より鮮明な転写ができた。
アドバイスとして、「1メートル程度距離を置き、コピー紙を目を細めて眺め
る」と日向と日陰の関係が発見できる。
2 構図のアレンジ、決定
イラストボードには下地が完成し、作品の背
景になる基礎ができている。そこにコピーした
自分の顔を「入れ込む」のだが、それは同時に
作品の構図を決めることを意味する。
イラストボードに転写をする前に、構図のアレ
ンジの仕方とその効果を知っておきたい。
構図を工夫し試行することは、作品がより自
分のイメージに迫る強さにつながる。
参考作品を鑑賞し、構図のアレンジとその効果について研究しよう!
左上
右上
真ん中
見てわかるように、
画面の真ん中から顔
を入れる位置を、少し
ずつずらしてアレンジ
した5点の作品である。
この5点の作品は、
画面の垂直方向に平
行に顔を入れている。
その結果、作品の見
え方が共通して「静」
の安定した構図なっ
ている。
真ん中から少しずら
した4点の作品は、背
景四隅の空間の面積
に、「密と疎」の関係
が生じ、動きが生じて
いる。
次の項では、「動」の
激しい変化に富んだ
構図を紹介する。
左下
右下
この5点の作品は、前項の「静」
に対して『動』の構図である。
画面の垂直方向に対して、斜め
に顔を入れている。
さらに、画面の中心からずらし
て顔を入れた作品は、不安定さ
が増して、劇的な印象をかもし出
すことに成功している。
自分のイメージに合った構図を
想像し、転写をしよう!
配色による視覚的効果について
A
B
C
D
a
b
c
d
A~Dの4つの図形は、「四角の中に矢印」がある同じ形である。
その他の共通点として、「四角の地の色より矢印の方に明るい色」を配色している。
このことで、矢印が手前に出てくるように、光が当たっているように見える。
一方で、a ~ d の図形は、配色を逆にしたものである。見え方も、矢印が後退して
いるように感じる。
3 彩色
顔を浮かび上がらせる
① 彩色の開始にあたって、先ずは転写した顔の明部色面に、「下地より明る
い
色」を置くことから始める。どんな色を画面に置くかで、作品の印象は全く違ってく
る。写真1の色見本の使い方(配色の決定・色の作り方)をマスターしよう。
写真1
② イラストボードに下地を造り、転写をした。下の3点の写真A~Cは、色見本を
用いて、顔の明部色面に置く色を「検討」し、イメージに合う配色を考えている場面
である。
A
C
Aは、下地より暗い色であるから使っては
いけない。顔は浮かんでこない。
Bは、同系色の明度違いであるが、一番
下の原色の赤では明るさが足りない。
Cは、同じ明度の色違いであるが、今回は
一番下の「明るい黄」を選んだ。
B
③ 選んだ色を、顔の明部色面に彩色したのが左下写真である。「面相筆」を
使い、転写した線に合わせて忠実に彩色することがポイントである。
今回は、画面に顔を浮かばせる彩
色をしたが、次回はいよいよ仕上げ
「作品化・タイトル決定」に入る。
現段階では、下地に対して顔が浮
かんだだけである。作品化とは、画面
全体をタイトル(何らかのイメージ)に
沿って、再度作り上げていく工程のこ
とをいいます。