「DSTの定義と意義」(PDF:11/1/3)

110103
デジタル・ストーリーテリング
定義
対話の場(ワークショップ)を通して、
一人ひとりが自分の物語を作って語り、
短編ビデオ作品を完成させる、
デジタル技術を応用した自己表現の学習活動
意義
「映像制作による自己表現学習」を通して、
「個人と社会をエンパワメント」し、
「新たな関係性を構築」することから、
「参加型・問題解決型社会」を形成する
プロセス
① 映像制作のワークショップ(自己表現)
② エンパワメント(主体形成)
③ ソーシャルキャピタル(関係性の構築)
④ 主体的な問題解決の行動(参加型社会)
対象
あらゆる世代(子供から高齢者)と、
あらゆるコミュニティー(地域社会、学校、職場など)を対象
とくに「コミュニティーの再構築が必要な集団」
「社会的弱者(若者、高齢者、マイノリティーなど)」
「転機にある人(就職、転職、退職、結婚や離婚など)
」
特徴
1
エンパワメント(主体形成)
自己を肯定的に受容し、主体性を形成することから、他者と社会との関係性を新た
に構築する。人々の自信と意欲を高め、絆を生み出し、参加、問題解決への行動を
促す社会デザイン技法。
要素1 自己表現
自分の感情を知り、自分にとっての意味を生み出し、自己を理解し、表現する。
自己表現は、自分の中に答えを見つけ出す創造的な学習手法。
要素2 ナラティブ(物語を作って語る)
自分の出来事や想いに、新たに意味付けを行うことで、自己物語を再構成する。
自己の再構築は、個人の主体性に基づく社会の再構成でもある。
要素3 物語のつなぐ働き(ソーシャルキャピタルの生成プロセス)
自己 物語は自分の複雑さ、矛盾・葛藤・対立をつなぎ、自己同一性を生み出す。
他者 物語を共有することで、語り手と聞き手の共感を生み出し、感動と敬意をも
たらす。個人の考え方、文化的な差異を超え、相互を肯定的に受容すること
で、他者とつながる。
社会 物語は、社会における自分の位置を知り、社会とつながる。未来に向けた主
体的な参加の姿勢を生み出す。
2
デジタル
新たな表現手法と、新たな社会的コミュニケーションの世界を開くデジタル技術は、
21 世紀の市民社会に必要なリテラシーとなる。
要素1 作品化(表現手法)
デジタル技術を利用することで、書く、語る、視覚、聴覚の表現様式を統合し、他
者に伝えることのできる作品を完成させる。
要素2 流通(社会的コミュニケーション)
ICT を活用することで、作品を社会的に共有させ、社会的な対話を導く。
要素3 21世紀のリテラシー(デザイン技法)
「作品化」は「コンテンツ」を作ることで「自己像・社会像」をデザインし、
「流通」は「メディア」を設計することで「社会的コミュニケーション」をデザイ
ンする。
デジタル技術を利用した「作品化」
「流通」は、参加型市民社会をデザインする新
しいリテラシーとなる。
3
対話の場
対話は傾聴によって成立し、相互の共感を生み出す。そして意味の共同創造を行う。
DST のプロセスには対話の場が埋め込まれており、社会的なコミュニケーションの場
を創造する。
要素1 ワークショップ
制作ワークショップにおける、参加者間の対話
要素2 上映会
制作者も参加する上映会における、フェイス トゥー フェイスの対話
要素3 ICT
インターネットなどを利用した作品の共有が生み出す、オンライン上の対話
他の映像学習手法との違い
・全員が自分の作品化
各プロセスの内容を自己決定し、自ら全体性を生み出すことか
ら、自己表現の「当事者」となる。
・対話の重要性
意味創造、自己理解を助けるために、他者がサポートする
・ワークショップで作られた個人の作品は、
「他者が関与することで完成する、個人の自己
表現」となる。
文責 小澤真人