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090806 平成21(2009)立命館大学 教員免許状更新講習
「教育の最新事情」
2.子どもの変化についての理解
R-15
RITSUMEIKAN
立命館大学 応用人間科学研究科
望月 昭
ブログ:「対人援助学のすすめ:日々是新鮮」
調査表
• LD, AD/HD、学力、いじめ、不登校
Ⅰ.現在の学校教育での課題(話題?)
Ⅱ.AD/HDなど「発達障害」に関する課題
・現状の問題
Ⅲ.「学力」に対するとらえ方再考
「学習者」というとらえかた
就労支援からみえた学校教育のありかた
Ⅰ.学校「教育」の共通課題
教育の目標に関する課題
子どもの「変化」? 教育の「変化」?
1)NHKクローズアップ現代「10歳の壁」
2)NHK 大人ドリル
3)最近の学生は(「決められない学生」)
4)総合支援学校の「キャリアプラン」
5)作文指導における「自由」と「形式」
ご意見聴取(1)
• 「基礎学力」に関して、(たとえば)百枡計算
などの方法はどんな意味を持つだろうか?
• 「ゆとり教育」あるいは「詰め込み教育」という
問題設定は正しいのだろうか?
• 目ざすべき「学力」とは何か?
教育のロジック再考
• 総合「支援」、特別「支援」 といった名称
「支援」という表現の持つ意味
「対人援助学」
(Science for Human Services)
学校では何を支援するのか?
「助ける=対人援助(支援)」のキモ
Service
御主人が、好きな方向へ打つために最適なボールをあげ
る。(過不足のない援助が重要)
対人援助学の一般目標
●ひとりひとりの個人にとって、それを続
けたい行動の選択肢が、自発的選択を
通じて拡大していくこと。
学校場面でも通用するか?
対人援助(支援)の3つの連環的作業
「援助つき行動成立」の実現
教授
個人の行動(反応)形成
援護
援助
行動成立のための
「新たな」環境設定
援助設定の定着のため
の運用(表現・要請)
望月昭(2007)編 「対人援助の心理学」(朝倉書店)
「援助・援護・教授」という機能分類による
対人援助の実践についてのメタ分析
Human Services Platform の利用
事例データのメタ・アナリシス
によって、対人援助の「進歩」を表現できないか?
(望月ら,2007『対人援助の心理学』)
Human Services
Platform (HSP)
(%)
事例データベース
100
教授
援助
援護
重複実践
75
研究例:
『機能連環モデル』
によるメタ分析
既刊論文130編によるDB分析
50
25
0
1970年代
1980年代
1990年代
10年を単位とした実践研究機能の推移
反応キー(オペラント
の対象)
4)キーをペック(反応)
したら強化
3)さらに上で強化
2)少し上で強化
1)餌呈示装置の近くで類似の反
応を強化(えさ呈示)
えさ呈示装置
えさ呈示機から食べる
ミーアキャットもできるらしいが・・・
Shaping(援助-「援護」-教授)
学校教育における
「対人援助」(=支援)
●能力(ability)のボトムアップ?
●社会的要請のスキルをトップダウン?
いずれも当事者不在で、規範的な教育コンテンツ
を中心とした議論になりがち
●個人の「できる」を見つけて増やしていく
「できる」とは、何ができる?
• 通信簿の点数?
発達年齢?
IQ?
(個人属性や状態)
・“トータルな”人格的成長?
当事者(個別の個人)にとって、
「今」やりたい、と思う行動があること
(正の強化で維持される「行動」が成立する)
「できる」は発見されるもの?
• ある条件があれば「できる」(正の強化で維持
されながら行動が成立する)
「できる」は、援助つき(これがあれば=支援
こみ)でかまわない
つまり「できる」は
創造していくことができる。
「これ」 (こんな条件)があれば
「できる」行動の表現方法
先行事象
反応(行動)
結果事象
この3つで「できる」を表現
例:「電卓の計算能力がある」(?)
「できる」は表現してナンボ
• 「当事者が正の強化で維持される行動の選択
肢を拡大する(できる)」プロセスを表現する
• 当事者の「個人属性の記述」ではなく、
「これがあれば『できる』という条件についての
公共的な表現を追及する
表現手段例:個別の教育支援計画(IEP)
先生の仕事
• 一般論(「最近の子どもは・・・」とか「ADHDの生
徒は・・」)ではなく、
「個別の個人」において、「欠陥」「できない」を目標値
から引き算するのではなく、
「今できること」や、今に続く「できる可能性」
を設定し、それを環境条件を含めて表現
(情報移行)する。
生徒が継続的に「学習者」であるよう
に支援(援助・援護・教授)する
ご意見聴取(2)「学習者」
●学習者とは?
●「学習者」であるための
教育(支援)内容は?
Ⅱ.発達障害の子どもの「できる」
• 援助設定による対応
ビデオクリップ
学校教育の中で、援助設定を使って
「できる」を創る。そして、どこまで、自己
決定を入れることができるか?
「できる」の支援事例1(VTR)
• 障害児学級(当時)に在席の小学3年生
• 集団の中で騒ぐ
• 普通学級の生徒からも先生からも疎まれる
●「できる」こと
文字を読むことができる
事例:では、さらに「できる」を利用して、他
の人も認めるような援助設定を創造するに
は??
この事例での支援内容
1)援助(設定)は?
2)援護は?
3)教授は?
●表現することの重要性
●この生徒の次は、どんな内容が可能だろうか?
「できる」の支援 事例2、3:
普通学級に通うADHDと診断された
生徒のケース
• 事例2:
ADHDと診断された生徒の集団参加
• 事例3:
学級から逸脱してしまう生徒への対応
事例2: 金山(2003)の研究
本研究の目的
人間関係や社会性において問題を抱える
ADHD児に対して、集団遊びを逸脱せずに継
続して参加が行えることを目的とした。その手
法として、
第一段階:シェイピングによる行動形成
(当初は「教授中心」)
第二段階:「参加する/見学する」を選択する
機会を与える(「援助設定」導入)
対象生徒
• WISC-Ⅲ
• 小学4年生 男児
• ADHD(混合型)
全検査IQ 91
• 学校では、普通学級と障害
言語性IQ 79 有意差
児学級に所属している。
動作性IQ 107 あり
• 学力は、算数・理科が得意
であるが、国語は苦手。
• S-M社会生活能力検査
• 時々癇癪を起こしたり、キ
生活年齢
9歳6ヶ月
レたりする。
社会生活年齢
6歳4ヶ月
• 体育は好きだが、ドッジ
身辺自立
7:0
ボールなど、集団での活動
移 動
6:6
は積極的に参加しない。
作 業
8:0
• こだわりが強い。
意志交換
6:2
集団参加
自己統制
4:9
6:10
支援(教授)の流れ
ゲームのルール理解訓練
ベースライン
訓練Ⅰ-A: 勝率優先による継続的なゲーム参加
訓練Ⅰ-B: 同等の勝率においての継続的なゲーム参加
訓練Ⅱ: 「します/見学します」の選択訓練
※
→
「
所途参見
属中加学
しですし
て参るま
い加。す
るしそ」
チたのを
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「
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② ①
訓
選 対【練
「
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択ャ
提「
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る」。
。
種目決定ボード
決める人
Y
○さん
△さん
□さん
種目
Y君は?
野球
ドッジボール
風船バレー
サッカー
見学します。
結果
ベースライン
訓練Ⅰ‐ A
訓練Ⅰ‐ B
訓練Ⅱ
ド 360
ッ 300
ジ 240
ボ
180
ー
ル 120
・ 60
秒 0
種目別反応時間
ベースライン期
勝った直後のゲームは参加。
負けた直後のゲームは、参
加までに時間がかかった。
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41
360
風
300
船
バ 240
レ 180
ー 120
・
60
秒
訓練Ⅰ‐A
5試行とも、60秒以内に参加。
訓練Ⅰ‐B
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41
360
サ 300
ッ 240
カ
180
ー
120
・
秒 60
ゲーム途中、負点になった時
点で逸脱行動があった。
訓練Ⅱ
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41
360
300
野 240
球
180
・
120
秒
60
0
※360秒以上の逸脱は、360秒のラインで表記
○ 勝
● 負
▲ 負・途中逸脱
* 勝敗なし
□ 見学・勝
■ 見学・負
◇ 途中参加・勝
◆ 途中参加・負
図3 . 対象児の種目別反応潜時
「野球」以外は、「見学します」
を選択。逸脱行動は見られ
なかった。 サッカー29試行
目に途中参加。 32試行目か
らは、自発的参加が見られ
た。
事例3:
神戸市の「教員補助学生」による研究
●金山好美・望月昭(2005)
通常学級に通うADHD児のための選択機会を伴
う受容的環境の検討-逸脱行動に対する「行っ
てきますカード」手続きの効果-
日本行動分析学会第23回大会発表論文集
研究1
行動的アセスメントと教室環境での薬物療法ついて
【目的】
通常学級に所属するADHD児の実態・経過を
行動観察し、問題行動の機能分析を行うこと
を目的とした。
【方法】
週3回、3名が教員補助として観察を行った。
対象児
A児(7歳 男児)
入学時から多動な行動が見られた。
・教室から逸脱する。
・すぐに上半身裸になる。
・水道の水を体にかける。
逸脱時は「保健室」に行く。
行き先は告げていかない。
「国語」「算数」はできる。
10月に医療機関で「ADHD傾向の疑い」と受
診される。
16
9月 日
18
9月 日
19
9月 日
25
9月 日
26
9月 日
30
10 日
月
2
10 日
月
3
10 日
月
10 7日
月
1
1 0 0日
月
1
1 0 4日
月
1
1 0 6日
月
2
1 0 1日
月
2
1 0 3日
月
2
1 0 4日
月
2
1 0 8日
月
3
1 0 0日
月
3
1 1 1日
月
1
1 1 0日
月
1
1 1 1日
月
1
1 1 3日
月
1
1 1 4日
月
1
1 1 8日
月
2
1 1 0日
月
27
12 日
月
2日
9月
【結果】
薬投与期①
図1 教室在室率
薬投与期②
100
授
業 80
開
始
時 60
の
参
加 40
率
(
% 20
)
0
図2 時間帯による授業参加
薬
服
用
薬
服
用
9月16日
9月18日
9月19日
9月25日
9月26日
9月30日
10月2日
10月3日
10月7日
10月10日
10月14日
10月16日
10月21日
10月23日
10月24日
10月28日
10月30日
10月31日
11月11日
11月10日
11月13日
11月14日
11月18日
11月20日
11月27日
12月2日
朝の会 1時間目 2時間目 3時間目 4時間目
国語
体育
算数
国語
図書
国語
算数
生活
生活
体育
算数
国語
図書
国語
算数
生活
体育
国語
算数
国語
国語
体育
算数
国語
図書
国語
算数
国語
生活
国語
音楽
算数
自習
体育
算数
国語
国語
音楽
算数
生活
国語
体育
算数
国語
見学
見学
音楽
音楽
音楽
体育
算数
国語
音楽 学級会 算数
国語
国語
音楽
国語
算数
音楽
体育
算数
国語
音楽
算数
図書
体育
音楽
国語
算数
国語
国語
生活
生活
生活
算数
国語
体育
国語
図書
国語
算数
生活
生活
国語
算数
国語
国語
体育
生活
生活
図書
生活
自習
国語
図書
生活
生活
国語
国語
国語
体育
算数
給食
5時間目 終りの会
100
道徳
80
音楽
学級会
体育
参
加 60
率
(
% 40
)
20
学級会
0
国語
図書
算数
体育
音楽
図工
生活
生活
は、授業に15分以上参加
図3 教科別授業参加率
給食
研究2
逸脱行動に対しての「いってきますカード」導入の効果
【目的】
薬物療法で参加率を上げる事が難しくなった対象児に対して、
対象児に行動の選択機会をあたえ、教室での参加・行動変
容の検証を行った。
【方法】
リタリンの処方で授業参加が可能になっていたが、2年時2
学期から教室からの逸脱行動が頻繁になった。
そこで,教室を出る場合は,「行き先カード」を残し,タイマー
を持って出かける.定時に帰室し「記録」を書く.
レクチャー
【結果】
ベースライン期
100
介入期①
介入期②
教 80
室
滞 60
在
率
40
(
%
) 20
9
2
12
/1
3
5
12
/9
12
/1
0
4
12
/8
1
11 月
1
12
/7
12
/1
11
/3
0
11
/2
9
11
/2
6
11
/2
5
11
/2
4
11
/1
9
12
/6
28 29
12
/2
10 月
11
/1
8
11
/1
6
11
/1
5
11
/1
2
11
/1
1
11
/1
0
11
/9
11
/5
11
/4
11
/1
10
/2
9
10
/2
8
0
8
10 13
12 月
10 11 12 15 16 18 19 24 25 26 29 30
6
7
9
一方的に話す
爪を噛む
ス 着
ト席
レ
ス
と教
思 室
わ 内
れ
る
行 逸
動 脱
時
小物で遊ぶ
パ ル ル ル ル ル ル パ パ パ 電
刃物で遊ぶ
ボーとしている
体調の訴え
黒板に落書
裸になる
教室内立ち歩く
ケ ン カ ・ハ ゚ニ ッ ク
校内(1 階)
運動場
保健室
なかよしル ーム
校長室
校外に出る
友達と関わる
適
応
的
な
行
動
集団(学級)活動
音
音
音
体 朝
ゲ
挨
H先生の話を聞く
先生の約束・関り
先生の手伝い
先生に要求
給食を食べる
保 保
保 保
学習に取り組む
図5 教室滞在率と行動観察結果
掃
2つの事例を通じて
1)いずれも、「今できる」ように援助設定
2)当事者の「選択機会」を導入する
●援助設定(「できる」を作るための状況)を
創造している
ただし、それには、周囲の協力が不可欠
(「援護活動」(情報共有)が前提となる)
情報共有のための「援助設定」必要
Ⅲ.学力のとらえ方再考
• 「できる」状況の実現を支援する。
●自己決定を尊重しながら、当事者と取り巻く
他者の利益を最大限になるように誘導する
=「リバタリアン・パターナリズム」
●そこにおける「学習者」としての子どもに
求められる「学力」とは?
就労支援からみた学校教育のありかた
•
•
•
•
学生ジョブコーチシステム(SJCS)
表現してわかるもの
「情報共有」がなければ意味のない就労実習
生徒自身が、環境を変えて仕事をしやすく
できるような支援へ
学生ジョブコーチ
総合支援学校(養護学校)の生徒の就労実習、
卒業生、地域に住む障害のある成人を対象に、「行動
分析学」の基礎知識と技術を持った学生が対象者と
共に事業所(企業)に入り、求められる
作業をより容易にするための支援を行う。
仕事内容
1.事前業務・課題分析
2. ジョブコーチ(直接支援)
3.課題分析・機能分析によるカイゼン
4. 対応(直接支援)
5.企業・学校への提案
秒
ベースライン期
フォローアップ期
介入期
6.0
1200
枚
分類
食器洗い
1000
5.0
食器直し
各項目の平均
800
総皿数
4.0
600
担当者の
各項目平均
3.0
400
2.0
200
1.0
0
16
17
18
19
20
23
24
25
26
27
30
31
1
2
3
6
7
8
9
10
日付
これでも「援護」可能
獲得過程の記録例:表記(作業効率)
高津ら(2006) 学生ジョブコーチシステムという試み(2) ―養護学校生徒の飲食店
実習援助における学生ジョブコーチの役割.日本行動分析 学会発表論文集,24,50.
「なぜ」の追及:機能分析の例
• 太田隆士ら(2006)
学生ジョブコーチシステムという試み(3):仕事遂行メタス
キルの獲得.日本行動分析学会年発表論文集, 25,51.
ユースホステルの清掃作業において、
●頻繁に教員・職員に仕事の確認をする
●仕上げがいまいち
細かい課題分析をしなおせばよいか?
援助設定としてのチェック表
表1
作業 チェック表
名前 月 日
けしょう
すい
月 日
月 日
月 日
月 日
月 日
月 日
いどう
化粧水などを移動する
おわった
おわった
かくにん
かくにん
JC のかくにん
カガミをふく
JC のかくにん
おわった
おわった
かくにん
かくにん
JC のかくにん
JC のかくにん
せんめんだい
洗面台をふく
おわった
おわった
かくにん
かくにん
JC のかくにん
けしょう
すい
JC のかくにん
なら
化粧水などを並べる
おわった
おわった
かくにん
かくにん
JC のかくにん
JC のかくにん
結果(1)
効果の確認(1)報告回数
A条件(作業チェック表無し)
20
報
告
回 15
数
B条件(作業チェック表あり)
(
2
時 10
間
当
た 5
り
)
0
9日目
10日目
11日目
12日目
13日目
14日目
図1 B 君からJCへの報告・ 確認行動の推移
15日目
作業日数
• B君の報告・確認行動は、図1のチェックリストが無いと
きは平均18回であったが、B条件でチェックリストに自分
で記入するようになったら平均4回に減少した。
課題達成率
100%
90%
80%
70%
60%
B条件「チェック表有」
50%
40%
30%
A条件
20%
10%
4日
目
5日
目
6日
目
7日
目
8日
目
9日
目
10
日
目
11
日
目
12
日
目
13
日
目
14
日
目
15
日
目
目
3日
目
2日
1日
目
0%
図3 B君の課題達成率
○ B条件ではA条件と比較してB君の課題達成率が上昇した。これはB君
自身 が確認することを促す作業チェック表を用いることで、作業の完成度
が高くなった ためであると考えられる。
この実践の意味
• 他律的な就労実習行動から生まれる
「決められない」「指示待ち」の状況
・ 自己チェックによるセルフマネジメントによる
自発的進行
類似ケース:ノートを用いることによる自己管理
能力
SJCと先生との意見の食い違い
●就労場面での「援助設定」優先が「甘い」
援助設定を優先するか、教授を優先するか
●「職場への援護」「工夫」VS「身に着ける」
「社会はそんなに甘くない」
「1時間座らないで『がまんして』作業する」
●「記録と報告」か「体験主義」か
SJCからみた生徒の変化
• 他者依存・他者評価から、自己評価、あるい
は自己管理(Self-Management)へ
●正の強化で維持される行動の選択肢の拡大
( 正の強化を、方法(手続き)から目的へ )
●当事者の学習自体(自らの行動や戦略の変化)が正の強
化になるような「継続的学習者である状態」をどのように援
助するか?
?キャリアアップ?
変化過程自体が正の強化となる状況(継続的拡大)
SJCからみえた従来の支援内容の問題
• 目標(ノルマ)があり、それに不足した部分を
「課題」として残す
• 「何ができるか」は記録しても、どうやったらそれが
できるようになったか、という記録がない
• 「できやすくする」ように、自分で環境を変えるスキ
ル(セルフマネジメント)を教えない
• 「生徒を伸ばす」ことが担任の個人的で職人的技術
に任されている
• 情報を蓄積し、移項する方法(伝統)がない?
個別の教育支援計画(IEP)
• 京都では「個別の包括支援プラン」
• あるいは「個別のキャリアプラン」
情報共有のための「援助設定」
発行:京都市総合養護学校
2005.2.22
支援プランの書き換え作業
• 支援プランの書き換え(更新):
○学校でどれほど生徒の「できる」を丁寧に辿って
きたかの証明である。
○支援者自身、保護者、そして移行先の関係者
(就労先関係者)が、当該生徒に対して、
さらなるキャリア・アップのための行動をすることを
勇気づけるものでなくてはならない。
「
で
き
る
」
の
変
遷
今
実践
上方修正
実践からの確認
時間(年月)
移行支援
FA宣言とキャリア・アップ
• 生徒は、FA宣言をした野球選手のようなものであ
る。
• 選手のキャリアアップをはかる作業である
• IEPとは、「選手」を高く売り込むための、そして異
動後のキャリア・アップを促進する「売り込み書類」
である
「個別の包括支援プラン」:簡略図
アセスメント
長期プラン
評価
(プランの)
実行プラン
実践遂行
C
D
A
P
短期プラン
現実的問題?
1)プラン(カリキュラム・プログラム) P
2)実行 D
---------------
3)チェック C:個別のこどもの結果とPlanとの
すりあわせ
4) プランの変更 A
PDで終わり。 CAがない。
ご意見聴取(3)
• 目ざすべき「学力」とは何か?
• 継続的「学習者」であるために、先生
は何をすべきか?
参考文献
• 望月昭(編著)2007 「対人援助の心理学」
(朝倉書店)
• 望月昭・中村正・サトウタツヤ 2009
「対人援助学キーワード集」
• 引用した論文は、
立命館大学人間科学研究所紀要
「立命館大学人間科学研究」に収録(PDFでDL
可能」